Date: 12月 14th, 2022
Cate: オーディオ評論

オーディオ評論をどう読むか(その13)

2021年3月の(その9)で、下記のことを書いた。

はっきり書けば、ステレオサウンド編集部は黛 健司氏を冷遇している。
そんなことはない、と編集部はいうだろう。

そんな意識はないのかもしれない。
それでも黛 健司氏はステレオサウンド・グランプリの選考委員になれていない。
なぜだろう、と思っている人は私以外にもいる。

山之内 正氏が、そう遠くないうちに、
ステレオサウンド・グランプリの選考委員になることはあるだろう。
そうなっても黛 健司氏は選考委員ではなかったりするのではないか。

これを書いたときから一年九ヵ月ほど経ち、
ステレオサウンド 225号が発売になった。

ステレオサウンドのウェブサイトをみると、
ステレオサウンドグランプリの選考委員に、山之内 正氏の名前がある。
黛 健司氏の名前はない。

225号のベストバイからは柳沢功力氏と和田博巳氏の名前が消え、
ここにも山之内 正氏の名前が今回加わっている。

Date: 12月 13th, 2022
Cate: 映画

TÁR

10月に“TÁR (Music from and inspired by the motion picture)”について書いている。
映画「TÁR」のサウンドトラック盤だ。

とはいえ、映画「TÁR」は日本ではまだ公開されていない。
2023年公開予定で、いつになるのかは決っていなかった。

それがここ数日、海外の映画の賞でノミネートされたり選ばれたりしていることが続いたのか、
ようやく公開月が決った。

そのくらい海外での評価は高い。
予告編をみても期待がもてる。

サウンドトラックを聴くと、それはさらに大きくなっていく。
この作品だけは見逃せない。

ただ気になるのは邦題が決っていないためもあって、
「TÁR」を「ター」と表記している映画関係のサイトがいくつか目につく。
タールのはずなのに……。

Date: 12月 13th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス HRS130(とベストバイ・その2)

今日(12月13日)は、ステレオサウンド 225号の発売日。
いまではKindle Unlimitedで読めるので、公開されるまで待てばいい。
なのでKindle Unlimitedを利用するようになって、
書店でステレオサウンドを手にすることも、ほぼない。

でも今日だけは、ちょっととはいえ立読みしてきた。
ベストバイでジャーマン・フィジックスのHRS130がどれだけ星を獲得しているか、
それだけが知りたかったからだ。

三人が星を入れていた。
みな一つ星だった。

予想としていたとはいえ、やっぱりその程度の評価なのか……、と思うしかない。
B&Wの802 D4は、HRS130よりも高い評価になっている。
これは昨年の結果からもわかっていたことといえるし、納得もいく。

ここで考えるのは、ベストバイという企画が、
以前のように価格帯関係なしの選定であったら──、ということだ。

Date: 12月 13th, 2022
Cate: ディスク/ブック, 映画

MEN 同じ顔の男たち

昨日、映画「MEN 同じ顔の男たち」を観てきた。

予告編をみたときから、ぜひ観たいと思っていた。
予告編以上に不気味というか不快な映画だから、
おもしろい映画だから、観てほしい、とすすめたりはしない。

よく、この内容でR15+で済んだな、と思うようなシーンが終盤にある。
この時代だからこそ可能な映像であるから、よけいに生々しい。

昨晩は帰宅してから、
TIDALで「MEN 同じ顔の男たち」のサウンドトラックをすぐさま検索した。
あった。

映画を観ていない人、観たくない人にも、こちらはおすすめしたい。
音もよい。

Date: 12月 12th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス HRS130(とベストバイ・その1)

いま日本に輸入されているジャーマン・フィジックスの製品は、
HRS130、一機種のみだ。

HRS130の価格は、サテン仕上げが4,180,000円、ハイポリッシュ仕上げが4,620,000円、
カーボンファイバー仕上げが4,950,000円(いずれもペア、税込みの価格)。

HRS130とほぼ同価格のスピーカーシステムとして、B&Wの802 D4がある。
すでに2023年1月11日からの値上げが発表になっているが、
HRS130も来年になると値上りするかもしれないので、
ここでは現時点(2022年12月)の価格を挙げておく。

802 D4も仕上げによって価格は違う。
ローズナット、サテン・ホワイト、ウォールナットが4,114,000円、
グロス・ブラックが4,356,000円(いずれもペア、税込み)。

明日発売のステレオサウンド 225号のベストバイでB&Wの802 D4は高い評価だろう。
HRS130はベストバイになっているとは思うが、何人が星を入れているのか、
どのくらい集まっているのかは知らない。

802 D4ほどは星を獲得していないはずだ。

それに802 D4が試聴できる販売店の数はそこそこあろう。
HRS130が試聴できる販売店となると、いまのところないのではないだろうか。

期間限定の試聴会はいくつかのオーディオ店で行われていても、
そこに行けばいつでも聴けるというわけではない。

東京でも、HRS130を常設しているオーディオ店はないはずだ。

ブランドの知名度もかなり違う。
ジャーマン・フィジックスは別項で書いているように、
十年ほど日本での取扱いはなかったのだから、より違いは大きくなっている。

つまり日本での販売台数は802 D4が上のはずだ。
かなりの差があるように思う。

HRS130と802 D4、
どちらがベストバイなスピーカーシステムといえるのか。

Date: 12月 11th, 2022
Cate:

音の種類(その9)

音をよくしていくことと、
音を育てていくことは同じではない。

このことに気づかないままでは、
つぼみのままの音を愛でるだけに終ってしまうだろうし、
結実させることはできない。

Date: 12月 11th, 2022
Cate: 世代

世代とオーディオ(老害、独断と分断・その4)

老害と若害。
最近、そんなことを考える。

若害というのは私の勝手な造語だ。
けれど若害がないといえるだろうか。

ことオーディオにかぎってのことでも若害はあるように感じている。
オーディオにおいての老害については、
インターネットの普及、ソーシャルメディアの普及によって、
ひどいものだな、と感じることを目にすることがある。

けれどなかにはあまりにも短絡的に老害だ、
と切って捨てている人がいるのも見かける。

匿名の掲示板などには、聴力の衰える高齢者はオーディオは無理──、
そんなことすら目にしたことがある。

そんなことを書いている本人も、いずれ高齢者になってゆくのに──、
と思うわけだが、たしかに歳をとれば高い音は聞き取り難くなる。
ただし、これは正弦波に関して、である。

このことはここでは触れないが、老害も若害も対称的であり対照的な事象のような気がする。

老害は独断と分断へとつながっていくが、
若害もまた同じだ。独断と分断へとつながっていく。

怒ると叱る。
怒られると叱られる。

この違いがわからない人もまた増えてきているように感じる。
そのこともまた老害と若害を生んでいるのではないだろうか。

老害も若害も、一部のオーディオマニアのことだけだろうけれど、
そういう人の方が声高に叫ぶし、目立つ。

Date: 12月 10th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その10)

今年は、オーディオ機器の値上りがいくつもあった。
値上りしているのはいうまでもなくオーディオ機器だけではなく、
おそらく来年も値上げが発表されるであろう。

特に海外製品は為替相場も関係してくる。
定価をつけることが難しくなってきたから、
オープン価格にせざるをえない──、といっているところもあるときいている。

来週には、ステレオサウンド 225号が出る。
特集は、いうまでもなくステレオサウンド・グランプリとベストバイ。

ステレオサウンドの定番企画でベストバイは35号が一回目で、
つづく43号、47号の三回は価格帯を設けずの選定だった。

四回目の51号から価格帯を分けての選択となっていった。
そして、それがずっと続いている。
どこで価格帯を分けるのかは、時代によって違ってきているが、
果たして価格帯を設けることの意味はあるのか、とずっと思っている。

225号はまだ見ていないが、価格帯を分けてのベストバイであろう。
どの価格で線引きするのか。
線引きした価格近辺の製品は、来年には値上りして上の価格帯に、ということだって、
今の状況なら十分ありうる。

ベストバイという定義によっては、
価格帯を分けるのはおかしいということだっていえる。
私は、価格帯を分けるべきではないと考える。

ステレオサウンド編集部は、それぞれの製品ジャンルのどこで価格帯を分けたのか。

Date: 12月 10th, 2022
Cate: ディスク/ブック

Walking In The Dark

“Walking In The Dark”。
ジュリア・ブロックのノンサッチからのアルバムである。

ジュリア・ブロックについては何も知らなかった。
TIDALのニューアルバムのところに表示されていたから、
興味本位で聴いただけなのだが、いいアルバムだけでなく、いい歌手だ。

すでに12月。
オーディオ機器は、年内に素晴らしいモデルが登場する可能性は時間的に少ない。
まずない、といっていい。

けれどレコード(録音物)は違う。
あと三週間ほどで今年は終るけれど、まだまだ素晴らしいアルバムと出合える可能性は、
オーディオ機器よりもずっとずっと高い。

ノンサッチはMQAに積極的である。
44.1kHzのデジタル録音もMQAにしている。
このアルバムももちろんMQA Studio(192kHz)で聴ける。

“Walking In The Dark”はe-onkyoにもある。
けれど、こちらはflacのみで、96kHzだけである。

ジュリア・ブロックの声は、MQAで聴いてもらいたい。

Date: 12月 10th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その9)

メリディアンの210だけでなく、
MQAのコアデコードに対応しているストリーマーには、SPDIFのデジタル入力はない。

MQAのコアデコードに関係なく、ストリーマーと呼ばれる製品には、
SPDIFのデジタル入力は必要ないと考えるのだが、
実際のところ、つまり日本の現在ということに関しては、
SPDIFのデジタル入力があってほしい、とおもってしまう。

TIDALやe-onkyoを活用している人にとっては、特に必要ないといえるが、
パッケージメディア、つまりCDだけという人にとっては、
MQA-CDを買っても、D/Aコンバーターが対応していない、
けれどMQAのコアデコード対応のストリーマーを買ってきても、
SPDIFのデジタル入力がないから接続できない──、
そんな状況になってしまうからだ。

もうこれは日本だけの特殊事情といえる。

Date: 12月 9th, 2022
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(技術用語の乱れ・その8)

技術用語の乱れをそのまま放置しているオーディオ雑誌の編集者。
乱れていること、間違っていることにすら気づいていないから、そのまま放置なのか。

好きなことをやるためには、やりたいことをやるためには、
やりたくないこと、面倒だと感じることをもやっていなければならない。

オーディオの勉強を、技術用語の乱れに気づいていないオーディオ雑誌の編集者は、
好きなこと、やりたいことのみをやろうとしているのか。

これから先もそのままなのだとしたら、
この人たちも、おさなオーディオでしかない。

Date: 12月 9th, 2022
Cate: ジャーナリズム

オーディオの想像力の欠如が生むもの(その83)

オーディオの想像力の欠如した者は、どんなにお金と時間を費やしても、
おさなオーディオから脱することはできない。

Date: 12月 9th, 2022
Cate: 1年の終りに……

2022年をふりかえって(その8)

メリディアンの210は、210 Streamerである。
製品ジャンルとしては、ストリーマーということになる。

ストリーマーは、今後製品が活発に登場してくるであろう製品ジャンルであり、
今年いくつか登場したストリーマーのなかには、
210と同じくMQAのコアデコード機能をもつモデルがある。

私が聴いているのは210だけなのだから、
それらのモデルの音がどうなのかについては何も語れないのだが、
メリディアン以外からのMQAコアデコード機能をもつストリーマーの登場は、
MQAのエヴァンジェリストを自認する私としては、嬉しい一年だったといえる。

来年もそういうモデルが登場してほしいし、
そしてなによりもTIDALの日本でのサービスが開始されてほしい。

Date: 12月 8th, 2022
Cate: German Physiks

ジャーマン・フィジックス Troubadour 40のこと(試してみたいこと)

ジャーマン・フィジックスのTroubadour 40を手に入れたら──、
以前からおもっていたことがある。

Troubadour 40はマイクロフォンとして使ったら、どういう結果になるのか。
いうまでもなくスピーカーとマイクロフォンは、
どちらもフレミングの法則からの動作である。

ならばTroubadour 40もマイクロフォンとして動作するであろう。
もちろんマイクロフォンとしてはダイアフラムが大きすぎるという問題があるかもしれない。

けれどTroubadour 40のチタン振動板は、メーカー発表値だと3gである。
まったくマイクロフォンとして機能しないということはないように思う。

そんなバカなことはやらなくてもいいじゃないか、とは思わないのは、
ベンディングウェーヴ型スピーカーの動作を理解するには、必要なことだと考えるからだ。

Date: 12月 8th, 2022
Cate: 「本」

オーディオの「本」(古賀書店の閉店・その2)

書店のない市町村が全国で、26.2%とあるニュースを今日みかけた。
出版文化産業振興財団の調べで、
全国1,741市区町村のうち456市町村に書店がない、とのこと。

その456市町村の人口がどのくらいなのかは、記事にはなかった。
とはいえ、身近に書店がない市町村が、これだけある。

以前、書いているように、書店が身近にあったから、オーディオという世界があることを知った。
その世界が、ステレオサウンドだけではなく、さまざまなオーディオ雑誌があったように、
オーディオの世界もさまざまだった。

書店が身近になくても、コンビニエンスストアがある。
そこで本を取寄せてもらえるし、インターネット通販もある──、
けれど、それは知っている本を買うこと、定期購読している本を買うには困らないが、
見知らぬ世界を教えてくれる本との出合いは、やはり書店である。