ブルックナーのこと(その2)
別項のためにステレオサウンド 16号を開いている。
16号でのオーディオ巡礼には、瀬川先生のほかに、山中先生と菅野先生も登場されている。
このころの山中先生はアルテックのA5に、
プレーヤーはEMTの930st、アンプはマッキントッシュのMC275を組み合わされていた。
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そこで私はマーラーの交響曲を聴かせてほしいといった。挫折感や痛哭を劇場向けにアレンジすればどうなるのか、そんな意味でも聴いてみたかったのである。ショルティの〝二番〟だった所為もあろうが、私の知っているマーラーのあの厭世感、仏教的諦念はついにきこえてはこなかった。はじめから〝復活〟している音楽になっていた。そのかわり、同じスケールの巨きさでもオイゲン・ヨッフムのブルックナーは私の聴いたブルックナーの交響曲での圧巻だった。ブルックナーは芳醇な美酒であるが時々、水がまじっている。その水っ気をこれほど見事に酒にしてしまった響きを私は他に知らない。拙宅のオートグラフではこうはいかない。水は水っ気のまま出てくる。さすがはアルテックである。
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アルテックでブルックナーか、
と読んだ時から思っていたけれど、なかなか聴く機会はこれまでなかった。
アルテックといっても604ではなく、ここでのアルテックは劇場用スピーカーとしてのアルテックであり、
A5、最低でもA7ということになる。
周りにA5(A7)を鳴らしている人はいないが、
喫茶茶会記のスピーカーのユニット構成は、A7に近い。
アンプもMC275ではないけれど、MA2275がある。
もらろん山中先生の鳴らし方ではないけれど、
これまで私がブルックナーを聴いてきたシステムとは傾向が違うし、
いちどブルックナーを聴いてみようかな、と思っている。
audio wednesdayのどこかでやってみたい。