Archive for category 単純(simple)

Date: 2月 13th, 2024
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(その3)

 どういう訳か、近ごろオーディオを少しばかり難しく考えたり言ったりしすぎはしないか。これはむろん私自身への反省を含めた言い方だが、ほんらい、オーディオは難しいものでもしかつめらしいものでもなく、もっと楽しいものの筈である。旨いものを食べれば、それはただ旨くて嬉しくて何とも幸せな気分に浸ることができるのと同じに、いい音楽を聴くことは理屈ぬきで楽しく、ましてそれが良い音で鳴ってくれればなおさら楽しい。
(虚構世界の狩人・「素朴で本ものの良い音質を」より)
     *
四年前の(その2)も、十年ほど前の(その1)も、同じ書き出しだ。

今年からaudio wednesdayは音を鳴らすようになった。
まだ二回だけだが、上に引用した瀬川先生が書かれていることをの実践である。

まだまだだよ、といわれるかもしれないが、
このことはとても大切なことで、絶対に忘れてはならないことだ。

Date: 12月 1st, 2022
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その7)

iPhoneを新しくした。
これまではiPhone 12 Pro、いまはiPhone 14 Pro。

iPhone 12 Proは三年は使うつもりでいた。
なのに買い替えたのは、二年前の購入時にかえトクプログラムを使っていて、
二年後(つまり2022年)の買い替え前提の割引だったからである。

支払い金額を比較したら、買い替えようという気になった。

なので先日から夜中に音楽を聴くときは、
iPhone 14 ProとLotooのPAW S1とヘッドフォンの組合せ。

前回、iPhone 8からiPhone 12 Proに買い替えた時、
あれっ、iPhone 8のほうが音がなめらかだった、と感じた。
しばらくiPhone 12 Proを使っていけば、音も変化するだろう、と思いながら、二年。

最初にiPhone 12 Proで聴いた時の、ちょっとひっかかるところは薄れたし、
特に気にしなくなっていたのに、
iPhone 14 Proで聴いたら、iPhone 12 Proよりもあきらかになめらかな音。

D/A変換はPAW S1が担っているわけだが、
iPhone 12 ProとiPhone 14 Proとでははっきりと音が違う。

この音の違いは、どこからくるのだろうか。
PAW S1はiPhoneから電源供給されている。

バッテリーも、iPhone 12 ProとiPhone 14 Proとでは違っているはずだし、
その他の回路も違っている。

それらが効いての音の変化なのだろうが、
このことだけでもiPhone 14 Proにしてよかった、と感じている。

夜中にヘッドフォンで聴く時間が長くなってきそう。

Date: 8月 17th, 2022
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その6)

LotooのPAW S1はバッテリーを搭載していない。
バスパワーで動作するモデルである。

ゆえに接続される機器の電源の状態でも、音は影響を受けているはずである。
私はiPhone 12 Proしか接いでいない。
他メーカーのスマートフォンに接続した音は聴いていない。

なのではっきりしたことは何もいえないのだが、
少なくともiPhone 12 Proと接続した音、
いいかえればiPhone 12 Proからのバスパワーで動作するPAW S1の音は、
けっこういい感じである。

ならばPAW S1にバッテリーが搭載されたら、もっといい音になるのか。
そんなことを想像するわけだが、
でも本当にそうだろうか、とも考えてしまう。

電源(ここではリチウムイオンバッテリー)が、
iPhone 12 ProとPAW S1とで共通である。

そのことによる音の良さということもある気がするからだ。
電源を独立させれば、そのことによる音の変化ははっきりと出る。

いい音になるといえば、そういえるところもけっこう多い。
でもそれだけだろうか。
メリットだけだろうか。

世の中のどんなことにも、メリットとデメリットがある。
ならば電源がトランスポート(iPhone 12 Pro)と、
D/Aコンバーター兼ヘッドフォンアンプ(PAW S1)で共通(一つ)、
そのことによるメリットが音の面であるような気がする。

といっても、それを確かめるのはけっこうやっかいなのだが。

Date: 7月 28th, 2022
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その5)

別項「D/Dコンバーターという存在(その14)」で、
二年前にも書いているように、
Amarra PlayのMQA対応は完全な、とはいえないところを残している。

二年前に、Amarra Playを使ってiPhoneとメリディアンの218でのMQA再生を試した。
Amarra PlayはMQAのコアデコードをパスすることができる。
フルデコードのD/Aコンバーターと接続するためである。

設定項目にあるPassthrough MQAをONにしてみると、MQA再生が非常に不安定だった。
218のMQAを示すLEDが、なぜか点灯ではなく点滅する。
IP Controlで確認しても、MQA、PCMの表示が一秒足らずの周期で変る、という具合にだ。

今回、LotooのPAW S1と接続した時も、もちろんPassthrough MQAをONにした。
PAW S1の表示には、コアデコードのみの再生と表示される。
フルデコードされていない(MQAと表示されない)。

PAW S1のファームウェアのヴァージョンも確認した。
最新ヴァージョンの一つ前だった。
症状がおさまるとは思えなかったが、念のためファームウェアを最新にする。
予想どおりに症状は同じである。

mconnect Player、HF PlayerではMQAのフルデコードができる。
Amarra Playは、どうやってもできない。

なので、いまのところmconnect Player+PAW S1の組合せが、
夜遅くなってからのTIDALサーフィンの供になっている。

Date: 7月 26th, 2022
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その4)

HiByのFC3やLotooのPAW S1のような小型D/Aコンバーターを、
なんというのか。
スティック型DACなのか、ポータブルDACなのか。

オーディオと関係のない海外のニュースサイトを見ていたら、
Tiny USB DACという表記があった。

tinyは小さな、という意味だから、文字通りの名称である。
タイニーUSB DACとカタカナまじりにすると、なんだかしまらない感じなので、
Tiny USB DACと表記する。

Tiny USB DACは、実にたくさんの機種がある。
日本に入ってきていない機種も少なくない。
安価なものは一万円を切る。
それでいてMQAにレンダラーとして対応している機種もあったりする。

MQA対応を謳ったTiny USB DACは増えてきているが、
フルデコードではなく、レンダラーとしての対応が大半なので、
その点は注意して、その製品の仕様を読んでほしい。

FC3ではコアデコード対応のアプリとの組合せが、MQA再生では求められるが、
PAW S1はフルデコード対応なので、アプリの選択肢が増える。

オンキヨーのHF Playerはコアデコード未対応なので、
FC3との組合せではMQA再生はできないが、
PAW S1とでは問題なくMQA再生が可能。

ただしHF PlayerではTIDALが聴けない。
TIDALが聴けるiPhone用のアプリとなると、mconnect Playerがある。

mconnect Playerはコアデコード未対応なので、これまで使ってこなかったが、
PAW S1があるので、まずは無料のmconnect Player Liteを使ってみた。
TIDALに問題なく接続できるし、PAW S1でMQA再生ができる。

mconnect Player Liteのままで機能的に不満はなかったけれど、
広告が表示されるので、有料版(730円)のmconnect Playerにした。

mconnect Playerを使ってみて、
これまで使ってきたAmarra PlayのMQA対応のしかたに不満がはっりきとしてきた。

Date: 7月 19th, 2022
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その3)

その2)は、一年ちょっと前。
(その2)の時点では、iPhone 12 Pro、HiByのFC3にヘッドフォンという構成だった。

特別な音がするわけではないが、これはこれで満足していた。
Amarra PlayというアプリでTIDALで、あれこれ聴いていく、
それも夜遅くなって聴いていくには十分事足りていた。

けれど別項で触れているようにAmarra Playのヴァージョンアップにともない、
きちんとしたMQA再生ができなくなってしまった。

FC3はMQAのレンダラーだから、iPhone側でコアデコードをする必要がある。
Amarra Playがそれを担っていたのだが、
ヴァージョンアップによって、よけいな信号処理をやっているようで、
FC3がレンダラーとして機能しなくなった。

送り出し側で信号処理がされると、MQAはMQAとして再生できなくなる。
素直にコアデコード処理だけを行ってくれればいいのに、アップサンプリングを行っている。
そのためレンダラーがレンダラーとして機能しなくなる。

TIDALのアプリもコアデコードが可能なのだが、
残念なことに日本でのサービスがまだ始まっていないため、
TIDALのアプリは日本からはダウンロードできない。

なので昨秋、ChordのMojoを手に入れた。
MQAのフルデコード再生を、iPhoneでポータブルな機器を使って無理であれば、
コアデコードだけでもいいや、と割り切ろう──、
そう思っての購入だった。

iPhone+Mojoも良かったのだが、
やっぱりiPhoneとポータブル型D/Aコンバーターによるミニマルなシステムで、
MQAフルデコードの音を聴けるようにしておきたい。

HiByのFC3と同タイプのD/Aコンバーターでも、フルデコード可能な製品はある。
LotooのPAW S1である。いまはPAW S2になっている。
最近ではiFi Audioからも登場している。

それらのどれかを購入しようかと考えてはじめていたところに、
ヤフオク!にPAW S1が、「お探しの商品からのおすすめ」として表示された。
検索していたわけではないのに、不思議とタイミングよく表示してくれる。

ならばコレ(PAW S1)にしようと決めた。

Date: 5月 26th, 2021
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その2)

その1)でふれているミニマルなシステムは、もっとミニマルになっている。
(その1)は、いまから約一年半ほど前。

iPhone 8とメリディアンの218、それにスタックスのコンデンサー型ヘッドフォン。
いまはiPhone 12 Pro、HiByのFC3にヘッドフォン。

iPhone 8のころは、218と接続するためには、
Lightning-USBカメラアダプタ、USBケーブル、D/Dコンバーター(FX-AUDIOのFX-D03J+)、
SPDIFケーブルを介して、だった。

iPhone 12 Proのいまは、Lightning-USBカメラアダプタは不要になり、
FC3購入時にオプションで選択したLightningケーブルがあるだけだ。

ミニマルといえばミニマルだ。
けれど、どちらがシンプルなのかと考えると、
よりミニマルだからよりシンプルとはいえない。

iPhone 8のころはTIDALは使っていなかった。
e-onkyoで購入したアルバムをiPhone 8にダウンロードして聴いていた。

iPhone 12 Proのいまは、e-onkyoで購入したアルバムも聴くけれど、
それ以上にTIDALで聴くことが、とにかく多い。

つまりiPhone 8のころは、聴く時にはインターネットに接続している必要はなかった。
実際、機内モードにしたほうが音は良かった。

iPhoen 12 ProでTIDALとなると、インターネットは不可欠である。
TIDALのサーバーはアメリカにあるのだろう。

インターネットに接続しなければTIDALで音楽を聴くことはできない。

Date: 6月 17th, 2020
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(その2)

 どういう訳か、近ごろオーディオを少しばかり難しく考えたり言ったりしすぎはしないか。これはむろん私自身への反省を含めた言い方だが、ほんらい、オーディオは難しいものでもしかつめらしいものでもなく、もっと楽しいものの筈である。旨いものを食べれば、それはただ旨くて嬉しくて何とも幸せな気分に浸ることができるのと同じに、いい音楽を聴くことは理屈ぬきで楽しく、ましてそれが良い音で鳴ってくれればなおさら楽しい。
(虚構世界の狩人・「素朴で本ものの良い音質を」より)
     *
五年半前の(その1)も、同じ書き出しだ。

別項「218はWONDER DACをめざす(番外)」で書いていることが、
ここでの瀬川先生が書かれていることと重なってきたからだ。

《いい音楽を聴くことは理屈ぬきで楽しく、ましてそれが良い音で鳴ってくれればなおさら楽しい。》
まさにそうだった。
四人が、その場にいた。

みな同じだった(はずだ)。

この時のオーディオは、《難しいものでもしかつめらしいものでもなく》、
ただただ楽しいものだった。

Date: 12月 29th, 2019
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(iPhoneとミニマルなシステム・その1)

ここ数日スタックスのヘッドフォンばかりで聴いている。
D/Aコンバーターはメリディアンの218で、そこにiPhoneを接続している。

Lightning-USBカメラアダプタ、USBケーブル、D/Dコンバーター、SPDIFケーブルを介して、
iPhoneと218を接続している。

D/Dコンバーターは、FX-AUDIOのFX-D03J+である。
バスパワーで動作する製品は他にもあったが、iPhoneでは動作しなかった。
FX-D03J+も正式には対応していないようだが、接続すれば問題なく、いまのところは動作する。

iPhoneもFX-D03J+も小さい。
これらに218が加わっても、小さいといえる。

これでMQAを再生できる。
e-onkyoでMQAを購入しダウンロードすればいい。

218があるから、トーンコントロールも使える。
これはこれで、けっこう気に入っているからこそ、
ここ数日、このシステムで聴いている。

とはいえ、ちょっとした不満といえることもないわけではない。
FX-D03J+である。

バスパワーで動作するため、iPhoneに接続するまでは電源が入っていない。
そのためすぐに再生しても、ウォームアップがすんでいない。
20分ほど鳴らしているといいのだけれど、バスパワーゆえにしかたないことでもある。

Date: 8月 20th, 2017
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その22)

1970年の終りから1980年代にかけて登場してきた真空管アンプメーカー、
それもアメリカのメーカーのいくつかは、
ラインアンプを真空管の一段増幅で構成しているものがあった。

(その21)で書いた、FET一石のゼロバイアスのヘッドアンプ的な構成のラインアンプ。
どちらもこれ以上、部品点数を減らすことはできない、という回路構成。

こちらに関しても、シンプルな回路ゆえに音の劣化が少ない、
つまり音がいい、という人がやはりいる。

いいたいところはわからなくもないが、
真空管一段構成のラインアンプも、ほんとうにシンプルといえるのか。

その前に考えたいのは、FET一石のヘッドアンプも、
真空管一段増幅のラインアンプも、入力と出力の位相が反転している、ということ。

つまりどちらも逆相アンプである。

システム全体が正相であるか逆相であるか、
そのことによる音の違いははっきりとある。

本来的にはプログラムソースを含めての、システム全体が正相であるべきで、
録音によっては逆相のものもあるし、
部分的に逆相(マルチマイクロフォン録音で、一部のマイクが逆相)もあるし、
録音そのものは正相であっても、LP、CDが逆相になっていることもある。

トータルの位相管理は、1960年代からいわれていることである。
マランツの管球式パワーアンプModel 9には、だから位相反転スイッチが設けられている。

このシステム全体の位相管理での正相・逆相を、
何度説明しても、左右チャンネルが逆相になっていることと混同する人がいる。

あくまでも左右チャンネルは同相で鳴っていての、
その上でのシステム全体の正相・逆相のことである。

Date: 2月 9th, 2017
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その21)

1970年後半に、FET一石使用のゼロバイアスのヘッドアンプの製作記事を、
オーディオ雑誌で何度か見かけた。

FETの他には抵抗とコンデンサー、
電源は消費電流が少ないこともあって、乾電池を使った製作例もあった。

それらの製作記事の詳細を憶えているわけではないが、
シンプルで音がいい、的なことが書かれてあったはずだ。

FETが一石ということは、これ以上増幅素子を削ることはできない。
増幅するには最低でも何らかの増幅素子がひとつは必要となる。

FET一石のゼロバイアスのヘッドアンプは、
シンプルなのかミニマルなのか。

増幅素子に限らず、抵抗やコンデンサーいって部品も少ない方が、
アンプとしてシンプルである、といわれがちだし、思われがちだ。

でも、ほんとうに能動素子、受動素子の数の少ないのがシンプルなのだろうか。
部品点数の少なさがシンプルであることに直接結びつくのだろうか。

ここで考えるべきは、素子の数といった視覚的なことではなく、
アンプとしての動作について、である。
さらにいえば、それぞれの部品の動作について、もである。

少なくともアンプについてシンプルということは、
目的を実現するための動作がシンプルであれば、そのために素子数が増えても、
そのアンプはシンプルということになる。

トーンコントロールやフィルターといったファンクションを削ったアンプが、
素子数をできる限り減らしたアンプが、
シンプルとは限らない。

Date: 1月 6th, 2017
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その20)

シンプルとは何かを考えていくためのミニマルなシステム。
こうやって書いていて気づいたのは、
シンプルなシステムではなく、
ミニマルなシステムの定義とは、冗長性の排除なのかもしれないということ。

シンプルなシステムとの違いは、そこなのかもしれない。

Date: 12月 22nd, 2016
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その19)

音における化粧について考えていると、
ミニマルなシステムは、音の化粧を受け入れるのか受け入れないのか、
音の化粧を求めるのか求めないのか──。

ソナス・ファベールのMinima AmatorとCHORDのHUGOのミニマルな組合せ。
スピーカーをロジャースのLS3/5A(15Ω版)にした場合の組合せは、
ミニマルなのかどうかを考えていると、
Minima AmatorとLS3/5Aの違いは、音の化粧にも関係してくることに気づく。

Date: 12月 20th, 2016
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その18)

CHORDのHUGOに接ぐのがソナス・ファベールのMinima Amatorではなく、
ロジャースのLS3/5Aだったら……、と想像してしまう。

見た目はMinima AmatorもLS3/5Aもそう大きくは違わない。
サイズも、ユニット構成も近い。
けれどネットワークは大きく違う。

LS3/5Aの特に15Ωのネットワークは、
6dB/oct.のネットワークからすれば、部品点数も多いし、
スロープ特性も、それからロス(損失)に関しても違う。

Minima Amatorのように、LS3/5Aは鳴ってくれるだろうか。

LS3/5Aを、昔GASのコントロールアンプThaedraで鳴らしたことは書いている。
精緻で緻密な音がした。
私にとって忘れられないLS3/5Aの音である。

Thaedraのラインアンプの終段は、
パワーアンプのドライバー段に相当するといえるもので、発熱量もかなりある。
電源も十分ゆとりのある構成だったからこそ、
LS3/5Aから、あの音が聴こえてきた、ともいえるところがある。

Thaedraのラインアンプと電源部と比較すれば、HUGOはスマートすぎる。
それに規模も小さい。
ネットワークが複雑なLS3/5Aをうまく鳴らせるのか、とどうしてもおもう。

うまく鳴るのかもしれない。
インピーダンス的には15Ωという値は、負荷としては軽くなる。
けれど……、という部分がどうしてもつきまとう。

オーディオは鳴らしてみなければわからないところがある。
LS3/5Aの15Ω版も、HUGOはうまく鳴らしてくれる可能性はある。

けれどMinima Amatorとのシステムほどにミニマルといえるだろうか。

Date: 12月 20th, 2016
Cate: 単純(simple)

シンプルであるために(ミニマルなシステム・その17)

その16)にコメントをいただいている。
ソナース・ファベールのMinima Amatorを、
CHORDのHUGOで、直接鳴らされている方からのコメントである。

いい音が鳴っている、とある。
そうだろうと思う。

Minima Amatorは大きなスピーカーではない。
小口径ウーファーとドーム型トゥイーターの小型2ウェイ。
このころのソナス・ファベールのスピーカーシステムのネットワークは、
6dB/oct.のシンプルなものだったはずだ。

6dB/oct.のネットワークはシンプルといえるし、
部品点数からいってミニマルな構成のネットワークでもある。

同じ小型スピーカーで、Minima Amatorと同じ程度の能率のスピーカーであっても、
ネットワークが複雑な構成であったならば、
HUGOで直接鳴らしての結果は、少し違ったものになる可能性がある。

HUGO + Minima Amatorhは、ミニマルなシステムといえる。
もちろん制約もある。
Minima Amatorの能率はさほど高くない。
パワーアンプなしなのだから、音量を望むことはできない。

その意味で、音量面でのミニマルといえる。
それだけに、深夜ひとりでしんみりと、
ひっそりとした雰囲気を漂わせる音楽に聴き耽るのであれば、
これで充分ではないか、と思わせてくれるだけでなく、
これ以上はむしろ邪魔なのでは、と思わせてくれるのかもしれない。