Archive for category JBL

Date: 11月 23rd, 2016
Cate: D130, JBL

ミッドバスとしてのD130(その12)

《世の中には男と女しかいない、その男と女が寝室でやることはしょせんきまっている》
と書かれたのは五味先生。

そこでの行為は生殖のためでもあるし、快感を求めてでもあるし、
目の前にいる、いま触れている相手の鼓動を感じる行為でもある。

寝室での男女の行為は、第三者に見せる行為ではない。
なかには見せることに快感を感じるようだが、寝室という密室での行為だから、
鼓動を感じることができるとはいえないだろうか。

オーディオに何を求めるのかは同じようであって、人によって大きく違うこともある。
音楽の鼓動を聴く、という行為を追い求めている聴き手を、
だから肉食系という表現を使った。

肉食系には、もうひとつ、
人にむやみに聴かせない、という意味も込めている。

そこでの行為が見せるものでないように、
そういう意味での肉食系オーディオの音は、むやみに誰かに聴かせるものではない──、
そんなふうに感じているからだ。

同時に草食系という表現を使いたくなる音が増えてきているように感じるのは、
スピーカーの性能向上がその理由ではなく、インターネットのここまでの普及により、
オーディオマニア同士の交流が、以前には考えられないほど活発になってきたこと。
それと無縁とは思えない。

どこかに正確な統計があるわけではないが、
あきらかに互いの音を聴くことは、インターネット以前よりもはっきりと増している、はずだ。

誰かに自分の音を聴いてもらう、
誰かの音を聴きに行くことにもメリット、デメリットがあるだろう。

誰かに聴かせることを意識した途端に、何かが知らぬうちに変っていくようになる。
それは必ずしもいい方向ばかり行くわけではない。

そこに気づかずに聴きに行ったり、聴きに来てもらったりをくり返すうちに、
草食系的面が頭を擡げてる。
そんなことはない、とはっきり否定できる人がいるだろうか。

Date: 11月 22nd, 2016
Cate: D130, JBL

ミッドバスとしてのD130(その11)

D130の低域を拡充するのにE145が最適なような気がする。
もちろんD130とE145は同口径だから、E145はダブルにしたい。

E145の出力音圧レベルはカタログ発表値で98dB/W/m。
ダブルで使って3dB音圧は上昇するから101dB。
D130の102dB/W/mと近似となる。

エンクロージュアは……。
こんなことを考えていると、楽しい。
実現するか(できるか)は関係なく、愉しくなってくる。

D130もそうだし、2440(2441)といったコンプレッションドライバー、
E145のようなウーファー、この種のJBLのユニットは、妄想をたくましくしてくれる。

私自身が求めている音とは方向が違っていようと、愉しくなってくる。

一時期、肉食系男子、草食系男子といういいかたがあった。
最近ではあまり聞かなくなったようだが、オーディオにもあてはまるところはあると感じている。

私にとって、ここで挙げているJBLのユニットは、
肉食系的性格のユニットといってもいいだろう。

E145を自分で鳴らしたことはない。
150-4Hを採用したDD55000は、何度もステレオサウンド試聴室で聴いている。
ローエンドまで充分にのびている音ではない。
ダブルにしたところでのびるわけではなく、エネルギーが増す。

低域のエネルギーの再現性で、E145ダブルは比類なき音を聴かせてくれそうだ。

結局、音楽を聴く行為は、その音楽の鼓動を聴く、といってもいい。
演奏者の鼓動でもあり、作曲者の鼓動でもある。

私が肉食系の音と感じるのは、まさにここに理由がある。
鼓動を、そのエネルギーをロスなく届けてくれる。

Date: 11月 22nd, 2016
Cate: D130, JBL

ミッドバスとしてのD130(その10)

D130をミッドバスにするのであれば、ウーファーはどうするか。
もっといいウーファーというか、ぴったりくるウーファーがあるような気がしていた。

そうだ、そうだ、と思い出したのがJBLのE145である。
ステレオサウンド 60号の特集でも取り上げられている4676-1。

このシステムはフロントショートホーン型エンクロージュア4550に、
E145-16を二発、中高域には2441(二発)+2350ホーンという組合せ。

4550の重量だけでも88kgあるため、総重量は141kg。
4676-1は型番が示すようにサウンドリインフォースメントおよびシアター用であり、
出力音圧レベルは104dB/W/mと発表されている。

JBLのウーファーでKシリーズは楽器用ということだった。
EシリーズはKシリーズを受け継ぐながらも、サウンドリインフォースメント用としても使われる。

Eシリーズの15インチ口径のウーファーには、E130(フルレンジ)、E140、E145があり、
18インチ口径がE151である。

これらの中でE145のフレームだけが異る。

JBLのウーファーは取付け用金具MA15でフロントバッフルに固定する。
15インチでも18インチでも、その点は同じだ。

だがE145はMA15が使えない。
コーン紙外周のフレームの厚みがボリュウムある形状になっていて、
そのこととも関係しているのが、コーンの頂角だ。

アルテックのウーファーよりも浅めのJBLのウーファーの中で、
E145は深めの頂角になっている。
つまり150-4Cと共通する点をもつウーファーといえる。

E145はDD55000のウーファーとして採用されている。
その際の型番は150-4Hである。

Date: 10月 24th, 2016
Cate: 4343, JBL

4343と1976年(13年後)

ジョージ・ワシントンが初代大統領に就任し、議会政治が発足したのは1789年。

この年をアメリカの真の国家成立だとすれば、
200年後の1989年のオーディオを眺めてみると……。
13年後とは思えぬほど新製品の数は増え、ブランドも増えている。

でもここでもJBLからProject K2 S9500が登場している。
無機的な素材が印象的なデザインのS9500が、象徴的に感じられる。

Date: 10月 24th, 2016
Cate: 4343, JBL

4343と1976年

アメリカは1776年に独立宣言をしている。
1976年、建国200年と、日本でも騒がしかった。
雑誌でもアメリカ建国200年に結びつけの企画がいくつもあった、ように記憶している。

JBLの4343は1976年に登場している。

4343にことさら関心のない人にはどうでもいいことだし、
無理にこじつけようとしたいわけでもないが、
1976年のステレオサウンド四冊をめくっていて、
アメリカからの新製品の中で、象徴的なモノを探していたけれど、
コレ! というモノはなかった。
強いてあげれば、アルテックのModel 19、AGIの511くらいだった。

JBLは建国200年ということを意識しての製品開発ではなかっただろうが、
それでも4343は建国200年の1976年を象徴するアメリカ製品のひとつだと感じる。

Date: 11月 4th, 2015
Cate: JBL, 型番

JBL PROFESSIONALの現在(4367の型番)

JBLの4367は型番末尾にWXがついている。
このWXはウォールナット仕上げを意味している。

以前の4300シリーズは、型番末尾に何もつかないモデルとWXがつくモデルがあった。
4343と4343WXというように。

WXのつかないモデルは、サテングレー仕上げで、バッフルは黒。
ハーマンインターナショナルのサイトをみると、4300シリーズでWXがつくのは4305Hと4312MII。
この二機種には、それぞれ違う仕上げがあった。
だから型番末尾にWXがついているのは納得がいく。
4365、4338などのモデルにはWXはつかない。ウォールナット仕上げのみだったからだ。

となると4367WXという型番で登場したということは、違う仕上げの4367が控えている、ということだと、
昔からのオーディオマニアでJBLのスピーカーに高い関心を持っていた人ならば、そう期待する。
私は期待している。
サテングレー仕上げの4367を。

Date: 11月 4th, 2015
Cate: JBL

JBL PROFESSIONALの現在(4367WXの登場)

JBL PROFESSIONALのM2について、「JBL PROFESSIONALの現在」で書いているところ。
M2は、専用信号処理を必要とするバイアンプ駆動モデルであり、
JBLが内蔵ネットワーク仕様で、どう仕上げてくるのかが、M2の存在を知ってからの関心であった。

いまでは4300シリーズはJBL PROFESSIONALではなく、JBLブランドの型番になっている。
このことに一抹の寂しさを感ずるのは、4343、4350、4320、4311、4301といった時代を体験してきた世代だけだろう。

4ウェイの4348がなくなり、4350を継承するモデルはとっくになくなっている。
現在の4365はよく出来たモデルとは思っても、
以前の4300シリーズに感じていたもの、期待していたものは、そこにはなくなっている。

今日発表になった4367WXは型番では4365の改良モデルのように思えるが、
4365が3ウェイに対し4367は2ウェイである。

このことが表すのは4367がJBL PROFESSIONALのM2のコンシューマーモデルということだ。
ハーマンインターナショナルの4367WXのページを見ると、
期待していたものが、ある。

D2 Dual Driverがある。
あれこれ書きたいことはあるけれど、とにかく、その音をはやく聴いてみたい。

Date: 8月 16th, 2015
Cate: 4345, JBL

JBL 4345(4347という妄想・その2)

4347という、実際にありえなかったJBLのスタジオモニターを想像している。
前回書いたように、18インチ口径のウーファーに12インチ口径のミッドバスの4ウェイ・システム。

タンノイのKingdomも同じ構成なのだが、
Kingdom以前にも、ほぼ同じ構成のスピーカーシステムがあったことを思い出した。
エレクトロボイスのGeorgianである。

Kingdomは4ウェイだが、Georgianは3ウェイ。
コルゲーションのはいった18インチ口径ウーファーとノンコルゲーションの12インチ口径ミッドバス、
このふたつのクロスオーバー周波数は250Hz、
1.5kHz以上はCDホーン型ユニットが受け持つ。

このGeorgianに10kHzあたりでスーパートゥイーターを追加すれば、
JBLの4ウェイ・スタジオモニターとほぼ同じクロスオーバー周波数とユニット構成となる。

エレクトロボイスは古くから4ウェイのシステムを手がけてきている。
GeorgianはII型に改良されている。
III型はなかった。エレクトロボイスがコンシューマー用スピーカーから手を引いたためだろうか。

もしエレクトロボイスがコンシューマー用スピーカーを継続していたら、
タンノイまでもスーパートゥイーターを単体で発売するくらいまで続けていたら、
スーパートゥイーターを搭載したGeorgian IIIが登場したかもしれない。

Georgianと4345の比較、
エレクトロボイスという会社とJBLという会社の比較、
そんなことも考えながら、4347が登場していたら、どんな姿に仕上っていたのかを想像している。

Date: 7月 7th, 2015
Cate: 4350, JBL, 組合せ

4350の組合せ(その1)

別項でダブルウーファーのことを書いていると、
頭の中にJBLの4350のことが何度も浮んでくる。

私にとって、最初の、そしてもっとも強烈だったダブルウーファーのスピーカーは4350Aだった。
4350Aで聴いた菅野先生録音のザ・ダイアローグの音はすごかった。

調整に十分な時間がかけられていたわけでもないだろうし、
完全な鳴り方でもなかったのだけれど、それでも凄い音が鳴ってきた。

ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」で、
菅野サウンドのジャズ・レコードを製作者の意図したイメージで聴きたい、
という読者から手紙に応えて、菅野先生がつくられた組合せのスピーカーは4350だった。

《私としては自分がこのシリーズを録音したときの意図というものを、理想的に再生するシステムとしては、
JBLのスピーカーしか、現在のスピーカー・システムの中では見当たらないわけです》
と菅野先生は4350を選択した理由を語られている。

ステレオサウンド、別冊をみても、4350の組合せは意外と少ない。
バイアンプ駆動ということ、
組合せにはたいてい予算の制約が設けられているから、4350はその点で不利になる。
そんな理由であまり組合せ記事に登場してこなかったのか。

私が記憶している4350の組合せは上に書いた菅野先生の例と、
「コンポーネントステレオの世界 ’80」での井上先生の組合せ、
それからスイングジャーナルでの瀬川先生の組合せだけである。

スピーカーが同じでも組合せをつくる人が違うと、
そこで選ばれるアンプ、プレーヤーはずいぶん違ってくる。

三つの記事を並べて読むと、実に興味深い。

Date: 6月 24th, 2015
Cate: JBL, Studio Monitor

JBL 4315(その4)

JBLの4315は、ステレオサウンドに登場したという記憶はない。
けれど別冊には登場というほどの扱いではないが、瀬川先生がコメントを残されている。

「コンポーネントステレオの世界 ’80」で、予算200万円の組合せをつくられている。
選ばれたスピーカーはアルテックの620Bだが、
候補は他にもあって、ひとつはUREIの813、もうひとつがJBLの4315である。

813は耳の高さに604のユニットの位置がくるようにするためには、
かなり高い台に乗せる必要があり、ここが一般家庭ではちょっと使いにくくなるということで、
候補から外されている。

4315は、ちょっと捨てがたい感じはあるけれど、アルテックの620Bに決められている。

「コンポーネントステレオの世界 ’80」の瀬川先生の発言でわかるのは、
4315を開発したのはゲイリー・マルゴリスということ。
マルゴリスは、彼が手がけたモニタースピーカーの中でいちばん好きで自宅でも使っているのが、
どちらかといえば地味な存在の4315とのこと。

この話をマルゴリス本人から聞いて、
《いっそう興味がでて、最近の新しい♯4315を聴きなおして見よう》と思われたそうだ。

つまりそれ以前の4315は、瀬川先生にとってそれほどいい音のスピーカーシステムであったわけではない。
こんなことを話されている。
     *
この♯4315は4ウェイですが、ウーファー、ミドルバス、ミドルハイ、トゥイーターという構成のなかの、ミドルは医に5インチつまり13cmのコーン型が使われていることです。JBLの13cmのコーン型のミドルレンジ・スピーカーというのは、JBLのなかでいちばん駄作だという印象を、ぼくはもっています。事実、これがついているシステムは、どれを聴いてもこの音域に不満がのこるんですね。
ところが、詳しいことはわかりませんけれど、この1年ほどのあいだに、JBLではこのユニットに改良を加えたらしいのです。
     *
「コンポーネントステレオの世界 ’80」は1979年暮に出ているから、
1978年ごろからの4315の音は音が良くなっている可能性が高い。

新しい4315の音はどうだったのか。
     *
かつての製品は、ミドルハイに粗さがあって、それが全体の音の印象をそこなっていたわけですが、最近のものはためらかさがでてきているのです。ごく大ざっぱにいえば、♯4343の弟分とでもいった印象で、スペースファクターのよさもあって、なかなか魅力的なスピーカーになったと思います。
     *
瀬川先生は予算400万円の組合せで4343を選ばれている。
4343を400万円の組合せで使われていなければ、200万円の組合せのスピーカーは4315になっていたかもしれない。

Date: 6月 20th, 2015
Cate: JBL, Studio Monitor

JBL 4315(その3)

4315の概要がわかっても、なぜ型番が4315なのかと疑問だった。
価格的には4331よりわずかに安いだけにも関わらず、型番は4315という、
4311と同じブックシェルフを思わせる型番であるのは、なぜだろう、と。

4315のミッドハイの2105は、LE5のプロフェッショナル版であることに気づけぃは、答は簡単だった。
LE5は、4311のミッドレンジに採用されているユニットである。

4311もウーファーは4315と同じ12インチ口径。
つまりは4311にミッドバスを加えて4ウェイ化したモデルが4315なのではないか。
そう考えると、4315という、やや中途半端な印象の型番に納得がいく。

3ウェイの4333にミッドバスを加えたのが4341であり、その改良版が4343という捉え方もできる。
ならば4315は4311が、その開発の出発点であったと仮定してもいいのではないか。

ステレオサウンド 60号の特集の座談会で菅野先生が、JBLの4ウェイについて発言されている。
     *
 4ウェイ・システムは、確かに非常にむずかしいと思う。瀬川さんが以前「3ウェイで必ずどこか抜けてしまうところを、JBLはさすがにミッドバスで補った」という発言をされたことがあるように記憶しているんですが、卓見ですな。
     *
4315も3ウェイでどこか抜けてしまうところをミッドバスで補ったということになるのか。
そうだとしたら、この場合の3ウェイとは、4311ということになる。

抜けてしまうところを補ったからこそ、トゥイーターが2405に変更されたのではないのか。
4311のトゥイーターはコーン型のLE25。
そのままではエネルギーバランス的に不足があったのかもしれない。

とはいえ設計コンセプトは4311と4315は異る。
ネットワークをの回路図を比べてみれば、すぐにわかる。
4315のネットワークは基本的に12dB/oct減衰である。
2405のみ18dB/octとなっている。

この視点から捉えれば、4315はコンシューマーモデルのL65をベースに4ウェイ化したともみれなくはない。
どこかで以前4343と4315が並んでいる写真を見たこともある。
となると4315は4343のスケールダウン版なのか、とも思える。

はっきりと正体の掴めないところのあるスピーカーシステムともいえる4315の音は、どんなだったのか。
できれば4311、L65と比較してみたい。

いまも不思議と気になるスピーカーシステムである。

Date: 5月 19th, 2015
Cate: 4343, JBL, 組合せ

4343の組合せ(その2)

「コンポーネントステレオの世界 ’77」の取材は1976年10月ごろ行われていることが、
岩崎先生によるエレクトロボイスSentryVの組合せの記事(222ページ)でわかる。

4343はステレオサウンド 41号の新製品紹介のページに登場しているから
黒田先生はまだ4343を購入されていない。
同じJBLの4320を鳴らされていた時期である。

架空の読者である金井さんがよく聴くレコードとして挙げられている三枚は、
ベーム指揮のコシ・ファン・トゥッテ、カラヤン指揮のオテロとボエームで、
レーベルはドイツ・グラモフォン、EMI、デッカとあえて違うようにしてある。

ベームのコシ・ファン・トゥッテは三種のレコードが出ている。
ここではドイツ・グラモフォン盤なので、ウィーンフィルハーモニーとのライヴ録音である。

カラヤンのとオテロは、再録音をよく行っていたカラヤンではあるが、
旧録音(デッカ)から10年ほどでの再録音である。
交響曲や管弦楽ならばこのくらいのスパンでの再録音はあっても、
オテロはいうまでもなくオペラである。
オペラで、このスパンの短さはほとんど例がない。

カラヤンの旧録音のオテロについて、
黒田先生は「録音のあとでカラヤンはしくじったと思ったのではないのか」と推測されている。
(ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’76」より)

これらのレコードを用意しての、組合せの取材である。
しかもスピーカーは最初から4343に固定してある。

これは井上先生とレポーターの坂清也氏、ふたりによるある種のワナのようにも思えてくる。
もちろん、いま読む、とである。
黒田先生への用意周到なワナである。

黒田先生は前年の「コンポーネントステレオの世界 ’76」巻頭の、
シンポジウム「オーディオシステムにおける音の音楽的意味あいをさぐる」で、
岡先生、瀬川先生とともに4343の前身である4341を聴かれている。

Date: 5月 3rd, 2015
Cate: JBL

JBLのユニットのこと(ウーファーについて・その5)

JBLのウーファー2231に採用されたマスコントロールリングは、
JBLがいうとおりの効果が得られるのであれば、どこかに実測データはないのか、とさがしていたら、
JBLではないけれどオンキョーが発表していたデータが見つかった。

オンキョーは1977年9月にセプター・システムスピーカーを発表した。
セプター・スピーカーシステムではなく、システムスピーカーと名づけられたこのシリーズは、
ウーファー3機種、ドライバー3機種、ホーン4機種、トゥイーター1機種、
この他にも音響連美、ネットワーク、エンクロージュアからなる。

このウーファーにも、JBLと同じようにマスコントロールリングが装着されている。
オンキョーではウェイトリングと呼んでいた。

このとき発表されたデータに、
ウェイトリングなし、ウェイトリング30g、ウェイトリング60gの、
周波数特性、インピーダンス特性がある。

ウェイトリングを装着することでなしの状態よりも、当然のことだがf0はわずかに左にずれる。つまり低くなる。
さらにインピータンスの上昇も、なしの状態よりも60g装着時には2/3ほどに抑えられている。

周波数特性は、意外にもいうべきか500Hz以上ではほとんど変化がない。
それから50Hzの肩特性も低い方に移行する。ただし減衰カーヴは一致している。
グラフをみると150Hzから300Hzのあいだでウェイトリングによる特性の変化幅が大きい。

ウェイトリングが重量が増すと、この帯域のレスポンスは低下している。
JBLによれば、マスコントロールリングにより、
低域の下限周波数の拡張だけでなく、堅くて軽いコーン紙を使うことで中低域のレスポンスも向上する、とある。
この辺は、オンキョーの特性結果と異るところでもある。

オンキョーの発表した特性では中低域のレスポンスは低下している。
ただしJBLのそれは、アクアプラスと比較してのことだとすれば、そうなのだろう。

とにかくマスコントロールリング(ウェイトリング)を装着しても中高域は変化しないことがわかった。
そしてオンキョーも発表しているようにボイスコイルボビンとコーン紙の結合がよりしっかりするために、
コーン紙の釣り鐘振動といわれる変形が抑えられているのが、
ウェイトリングなし/ありのストロボ写真ではっきりと確認できる。

この釣り鐘振動は中低域の音の濁りの原因ともいわれているから、
JBLのいう中低域のレスポンスの向上は、このことも含まれているのかもしれない。

Date: 4月 23rd, 2015
Cate: 4345, JBL

JBL 4345(4347という妄想・その1)

ステレオサウンド 60号の特集記事の座談会、
JBLの4345のところで、次のように瀬川先生が語られている。
     *
 この前、あるアマチュアでおもしろい指摘をした人がいまして、4345の音を聴いた後、ウーンと得なって、「なるほどいいところはある。けれども、4341が4343になって完成したと同じく、これはもしかしたら4347ぐらいが出ると、もっと完成後が高まるんじゃないか」と言った人がいました。
     *
4345の後継機としての4347。
4343の後継機として4348は登場したけれど、4347というモデルナンバーのスピーカーは登場しなかった。
18インチ口径のウーファー搭載の4300シリーズは、4345だけで終ってしまった。

4345の後継機はなぜ登場しなかったのか。
その理由はいくつか考えられるけれど、はっりきとしたことはよくわからない。

瀬川先生が生きておられたら……、4347なるモデルが登場したかもしれない。
私はそうおもってしまう人間である。

いまも4347がもし登場したら、どんなスピーカーだったっのか、とあれこれ妄想してしまう時間がある。

4347、
やはりウーファーは4345と同じ18インチ口径であってほしい。
それから4341が4343になって洗練されたように、4347も絶対そうであってほしい。
となるとミッドバスが4345と同じ2122ではどうしてもうまくいかないような気がする。

18インチ口径ウーファー搭載で、システムとしてのサイズはどうしても大きくなってしまう。
ならばいっそのことミッドバスも10インチではなく12インチにしたほうが、
全体のバランス、プロポーションは整ってくるはずた。

このことは昔からそう思っていた。
それが確信に変ったのは、タンノイのKingdomの登場があったからだ。

現在のKingdom Royalではなく、最初のKingdom。
18インチ口径ウーファーに、12インチ口径同軸型ユニット、そしてスーパートゥイーターの4ウェイ構成。
この大型のシステムは、威風堂々としていて、4345のようなずんぐりしたイメージはまったくない。

つまりミッドバスには、4350、4355に搭載されている2202となる。
そうなればミッドハイのドライバーは2420(2421)から2441にしても、
エネルギー的にバランスがとれるようになる。
スーパートゥイーターは2405のまま。

こんな4347を想像している。

Date: 4月 23rd, 2015
Cate: 4343, JBL

40年目の4343(なぜ、ここまでこだわるのか)

ブログを書いていて、われながら、なぜここまで4343にこだわるのか、と思わないわけでもない。
このブログで、オーディオ機器に関しては4343のことをもっとも多く書いている。

読まれる方の中には、「また4343か」という人がいるのはわかる。
それでも、こうやって4343について書いているのは、
オーディオ界を見渡すためにも必要なことのように感じているからでもある。

もちろん個人的な理由の方が大きいとはいっても、
4343という、いわばスタジオモニター、それも高価なスピーカーシステムが、
驚異的な本数が売れたということは、なにか象徴的な現象のように思える。

そういえば……、と思いだす。
菅野先生が、ステレオサウンド別冊「JBLモニター研究」で、次のように書かれている。
     *
 そしてその後、中高域にホーンドライバーを持つ4ウェイという大がかりなシステムでありながら、JBL4343というスピーカーシステムが、プロのモニターシステムとしてではなく、日本のコンシューマー市場で空前のベストセラーとなった現象は、わが国の20世紀後半のオーディオ文化を分析する、歴史的、文化的、そして商業的に重要な材料だと思っている。ここでは本論から外れるから詳しくは触れないが、この問題を多面的に正確に把握することは、現在から近未来にかけてのオーディオ界の分析と展望に大いに役立つはずである。
     *
1998年に書かれている。
4343に憧れてきたひとりとして、そのとおりだと思うとともに、
残念に思うのは、いまのステレオサウンドには4343という材料(問題)を、
多面的に正確に把握することは期待できない、ということだ。

「名作4343を現代に甦らせる」という記事が、強く裏付けている。