Archive for category James Bongiorno

Date: 3月 26th, 2017
Cate: James Bongiorno

GASとSUMO、GODZiLLAとTHE POWER(その13)

アンプ(amplifier)は増幅器。
入力された信号を増幅して出力する電子機器である。

ふだん何気なく増幅という言葉を使っているけれど、
増幅とは、幅を増す、と書く。

何の幅なのか、といえば周波数レンジ、ダイナミックレンジ、
このふたつの幅ということになろう。

けれどどんな高性能なアンプであっても、
入力された信号の周波数レンジを拡大するようなことはしない。
ダイナミックレンジに関しても同じだ。

ダイナミックレンジが60dBの信号が入力されたとして、
出力には70dB、もしくは80dBのダイナミックレンジの信号が現れるわけではない。

60dBのダイナミックレンジの信号は、そのままダイナミックレンジ60dBのまま、
電圧、もしくは電力が増えて出力される。

その意味で考えれば、増幅という言葉は、
正確にアンプの動作を言い表しているとはいえないところがある。

だがこれは理屈であって、アンプの中には、
特にパワーアンプにおいては、明らかにダイナミックレンジが増したように、
スピーカーを鳴らしてくれるモノがある。

これも正確にいえば、
他の多くのアンプがダイナミックレンジを狭めたようにスピーカーを鳴らすから、
対比として、いくつかのアンプはダイナミックレンジがそのまま再現されているであろうに、
ダイナミックレンジが増したように、
つまり幅が増した(増す)、という意味での増幅器がある。

なにもダイナミックレンジだけではない。
周波数レンジをも狭めたように聴かせるアンプがある。
そういうアンプからすれば、そのままの周波数レンジで鳴らすアンプは、
周波数レンジも幅を増したかのように思えないわけではない。

私がジェームズ・ボンジョルノのアンプに惚れている理由のひとつである。

Date: 12月 12th, 2016
Cate: James Bongiorno

THE MOATのこと

ボンジョルノがGASを離れてSUMOを設立して発表したモデルは、
パワーアンプのThe Power、The Goldのほかに、THE MOATがあった。

THE MOATはパワーアンプではない。
ブリッジ接続アダプターである。
つまり入力はアンバランスで出力はバランスになっている。
ゲイン0dBのユニティアンプで構成されている。

THE MOATのmoatは、堀、環濠という意味である。
ブリッジ接続アダプターの名称としてぴったりだとは思わない。

おそらくmoatは、日本語の「もっと」だと思っている。
会社名を相撲が好きだからという理由で、SUMOとするくらいのボンジョルノだから、
パワーアンプをブリッジ接続することでパワーアップできるのだから、
もっとパワーを、という意味を込めての「THE MOAT」のはずだ。

そう確信するのにはひとつ理由がある。
THE MOATは左右のバランス出力のほかに、センター出力も持つ。
センターチャンネル用のレベルコントロール(±6dB)がついている。

パワーを「もっと」だけでなく、再生チャンネル数も「もっと」のはずだ。

1979年ごろのボンジョルノは、センターチャンネルを加えた再生を試していたのだろう。

Date: 10月 17th, 2016
Cate: James Bongiorno

GASとSUMO、GODZiLLAとTHE POWER(その12)

マークレビンソンのML2は初段は差動回路だが、二段目は差動回路ではない。
そのためドライバー段と出力段をもう一組用意すれば、
バランス出力が得られる──、というわけにはいかない。

差動回路のふたつの出力をどう扱うか。
バランス出力であればそのままでよくても、
アンバランス出力であれば、プラス側の出力を使っても、
マイナス側の出力は無駄にするのか、それともカレントミラーなどの回路を使い、
有効利用するのかは、設計者によって違ってくる。

ML2、原型となっているJC3の回路図はインターネットで検索すれば、すぐに見つかる。
初段と二段目の接続がどうなっているのか興味がある人は、回路図を見ていただきたい。

ブリッジ接続はバランス出力をもつコントロールアンプがあれば、
どのパワーアンプも原則として可能である。
アンバランス出力しか持たないコントロールアンプでも、入力がバランスであるパワーアンプであれば、
ブリッジ接続は特別なアダプターを必要とせず可能になる。

2チャンネル分のパワーアンプをブリッジ接続すれば、それはバランス増幅といえるのか、といえば、
そうとはいえない。
その違いについて言葉だけで詳しく述べるのはやや面倒なのでばっさり省略するが、
SUMOのTHE POWER、THE GOLDのバランス増幅と、
2チャンネル分のアンプを使いブリッジ接続した場合と同じに考えるわけにはいかない。

GASのGODZiLLAは、ここのところがどうなっているのかがはっきりとしない。
2チャンネル分のAMPZiLLAをブリッジ接続した回路構成なのか、
それともSUMOのアンプと同じバランス増幅といえる回路になっているのか。

外形寸法と重量、それに内部コンストラクションの写真をみていると、
GASのGODZiLLAはAMPZiLLAのブリッジ接続版という可能性が捨てきれない。

仮にそうだとしたら、AMPZiLLAの進化形といえるのはGASのGODZiLLAではなく、
SUMOのTHE POWERとなるし、現在のAMPZiLLA 2000ははっきりとTHE POWERの流れを汲むアンプである。

Date: 10月 17th, 2016
Cate: James Bongiorno

GASとSUMO、GODZiLLAとTHE POWER(その11)

GASのGODZiLLAが、ボンジョルノ設計ではないことは、保護回路からも推測できる。
SUMOのパワーアンプは、基本的に保護回路はない。
GODZiLLAはしっかりした保護回路を搭載している。

この違いは、ボンジョルノのアンプ(設計)かどうかの判断基準といえる。

GODZiLLAもSUMOのアンプもバランス入力を持ち、バランス出力となっている。
ただ回路構成が基本的に同じかどうかはなんともいえない。

JBLのパワーアンプSE408S(SE400S)において差動回路が採用されて以来、
今日のアンプの大半は差動回路を採用しているといえる。

差動回路はふたつの入力を持つ。
出力もふたつある回路である。
つまり差動回路そのものがバランス回路といえるところがあるわけで、
それでも従来のアンプがアンバランス入力だったのは、
差動回路の片側の入力だけを信号用として使い、
もう片方の入力はNFB用に使われていた。

出力に関しては、ドライバー段、出力段をもう一組用意すればバランス出力を得られるわけだが、
少なくともコンシューマー用アンプではSUMOのTHE POWERの登場までなかった。
THE POWERは入力から出力まで差動回路によるバランス構成となっている。

バランス入力に関しては、マークレビンソンのML2が先に出ていた。
ML2の電圧増幅段も差動回路で、ふたつの入力をもち、
だからこそリアパネルにはLEMO(CAMAC規格)端子の他にXLR端子もついている。

通常の使用では反転入力をアースに落すことでアンバランス入力としている。
なので非反転入力をアースに落せば、ML2は反転アンプとなる。

ステレオサウンド 53号が面白いと思うのは、
特集でGASのGODZiLLA AとSUMOのTHE POWERが取り上げられていて、
さらに瀬川先生による4343のML2のブリッジ接続ドライヴの記事も載っていることである。

Date: 10月 16th, 2016
Cate: James Bongiorno

GASとSUMO、GODZiLLAとTHE POWER(その10)

広告は、時として記事よりも、知りたい情報を与えてくれる。
ステレオサウンド 53号のバブコの広告。

ここにはスレッショルド、シンメトリー、GAS、SUMOといったブランドが紹介されている。
それぞれのブランドのロゴの下には、エンジニアの名前が表記してある。

スレッショルドはNelson Pass、
シンメトリーはDesigned by John Curl、
SUMOはDesigned by James Bongiorno、
GASはDesigned by Andrew Hefleyとなっている。

GASのところにある写真は、
コントロールアンプのThaedra IIとGODZiLLAである。

これではっきりした。
GODZiLLAの設計はボンジョルノではないことが。
ただThaedraはボンジョルノの設計だから、
Thaedra IIの基本設計はボンジョルノで、Andrew HefleyによってII型になったということのはずだ。

つまりGASのアンプでThaedra II(1978年)以降、
Thaedra IIB、GAS500 Ampzillaも含めて、ボンジョルノからAndrew Hefleyの設計に変っている。

GODZiLLAはSUMOのパワーアンプの仕様に近い。
AB級とA級、ふたつのラインナップを持ち、出力も近い。
けれどコンストラクションは大きく違う。

GODZiLLAの音を聴く機会はなかったため、
これまで断言できなかったけれど、ボンジョルノの手を離れたモノとは判断できていた。

ただ想うのは、ボンジョルノ自身は、
GASで、GODZiLLAという型番で、SUMOのTHE POWERとTHE GOLDを出したかったのではないだろうか。

AMPZiLLAの登場のころから、上級機としてGODZiLLAが出る、というウワサはあった。
たしかに出るには出た……。
けれどボンジョルノの手による「GODZiLLA」は、
GASのGODZiLLAではなく、SUMOのTHE POWERとTHE GOLDといえる。

Date: 10月 30th, 2015
Cate: James Bongiorno

ボンジョルノとレヴィンソン(その10)

1970年代後半、ボンジョルノのGASのアンプの音は男性的といわれた。
レヴィンソンのLNP2は、女性的なところがあるともいわれていた。

黒田先生がステレオサウンド 24号、「カザルス音楽祭の記録」についての文章がある。
     *
 端折ったいい方になるが、音楽にきくのは、結局のところ「人間」でしかないということを、こんなになまなましく感じさせるレコードもめずらしいのではないか。それはむろん、カザルスのひいているのがチェロという弦楽器だということもあるだろうが、スターンにしても、シゲティにしても、ヘスにしても、カザルスと演奏できるということに無類のよろこびを感じているにちがいなく、それはきいていてわかる、というよりそこで光るものに、ぼくは心をうばわれてしまった。
 集中度なんていういい方でいったら申しわけない、なんともいえぬほてりが、室内楽でもコンチェルトでも感じられて、それはカザルスの血の濃さを思わせる。どれもこれもアクセントが強く、くせがある演奏といえばいえなくもないだろうが、ぼくには不自然に感じられないし、音楽の流れはいささかもそこなわれていない。不注意にきいたらどうか知らないが、ここにおいては、耳をすますということがつまり、ブツブツとふっとうしながら流れる音楽の奔流に身をおどらせることであり、演奏技術に思いいたる前に、音楽をにぎりしめた実感をもてる。しかし、ひどく独善的ないい方をすれば、この演奏のすごさ、女の人にはわかりにくいんじゃないかと思ったりした。もし音楽においても男の感性の支配ということがあるとしたら、これはその裸形の提示といえよう。
     *
ここで語られていることがそっくりそのままボンジョルノのアンプにあてはまるとまでは言わないが、
大筋においてはそういえる。
GASのAMPZiLLA、THAEDRA、SUMOのTHE POWER、THE GOLDの音は、まさしくそうである。
だから、ボンジョルノのアンプの音は男性的といえる。

そして、「鮮度」に関してもそうだといえる。

Date: 10月 24th, 2015
Cate: James Bongiorno

GASとSUMO、GODZiLLAとTHE POWER(その9)

SUMOの輸入元であるバブコの広告には、
THE POWER、THE GOLDのコンストラクションのことをモノコック構造と記していた。

モノコック(monocoque)とは車における車体とフレームが一体構造であることをさす。
単体構造ともいう。
自転車のフレームでモノコックといえば、フレームを形成する前三角、後三角が一体成型したものをいう。

THE POWER、THE GOLDのコンストラクションをモノコック構造といっているのは、
ジェームズ・ボンジョルノだったのか、それとも輸入元なのかははっきりしない。
ただ、当時SUMOの広告を見ながら、これがモノコック構造なのか……、と少し疑問に感じていた。

バブコの広告ではTHE POWERの外装が取り外された写真が中央に大きくあった。
この写真をみると、THE POWERの中心部にはシールドされた電源トランスがある。
その両脇にヒートシンクがあり、ヒートシンクの下側に平滑コンデンサーがある。

ヒートシンクの上には電圧増幅部の基板、電源トランスの上にもプリント基板があった。
この基板がアンバランス/バランス変換回路でもる。
すぐ目につくプリント基板は三枚だが、ヒートシンクにはパワートランジスターの配線をかねた基板が、
ヒートシンクの両脇に一枚ずつある。つまり計七枚のプリント基板がある。

AMPZiLLAがヒートシンクの下側に空冷ファンを配置していたのに対して、
THE POWER、THE GOLDではヒートシンクを水平に設置。
空冷ファンはフロントパネル側に取りつけられ、リアパネル側に排気する。

バブコの広告写真をみたときには、どんなにじっくりみても気づかなかったことがあった。
THE GOLDを手に入れて、一度分解して各部のクリーニングを徹底して行ってから組み立て直して、
確かにこれはモノコック構造といえるな、と思っていた。

Date: 10月 12th, 2015
Cate: James Bongiorno

Ampzilla(その人気)

「世代とオーディオ(その14)」を書き終って、ステレオサウンド 59号をぱらぱらとめくっていた。
特集はベストバイ。
このころのベストバイはオーディオ評論家だけでなく、
読者が選ぶベストバイ・コンポーネントの集計結果が載っている。

それだけでなく投票した読者の現用機器の集計結果も掲載されている。
これを丹念にみていくと実に興味深い。

59号の発売、つまり1981年におけるパワーアンプ使用台数の一位は、QUADの405の102台、
二位がアキュフェーズのP300Xの92台、三位はパイオニア Exclusive M4(a)の85台、
四位はデンオンのPOA3000の84台、五位にAmpzillaが来ている。

Ampzillaの使用台数はAmpzilla II、Ampzilla IIAも含めて51台である。
ちなみにサンプル数は3003。Ampzillaの総数率は2.8%で、
1978年度は十六位、1979年度は八位と確実に順位をあげている。

Ampzillaより上位に来ているパワーアンプは、どれもAmpzillaと同価格帯のモデルではない。
405はAMpzillaの約1/4、アキュフェーズ、デンオン、パイオニアにしても1/2から1/3の価格であること考えると、
このころのAmpzillaの人気と実力の高さが読み取れよう。

ブランド別/現用装置対照表もある。
GASはパワーアンプ部門で53台の十一位。
Ampzillaが51台だから、あとの2台はSon of AmpzillaかGrandsonであろう。
Godzillaということは考えにくい。

Ampzillaとペアとなるコントロールアンプをみると、Thaedraは16台の二十五位。
ということはGASの純正ペアで使われるAmpzillaは1/3以下となる。
この結果は、ちょっぴり残念に思う。

Date: 10月 6th, 2015
Cate: James Bongiorno

ボンジョルノとレヴィンソン(その9)

鮮度とは、新鮮さの度合と辞書にはある。
ということは音の鮮度とは、音の新鮮さの度合であり、
鮮度の高い音とは新鮮さの度合の高い音ということになる。

ここでの新鮮とは、どういう意味になるのか。
いままで聴いたことのない、新しい魅力をもつ音としての新鮮さもあれば、
肉や魚や果物などに使う場合の新鮮さとがある。

特にことわりがなければ、音の鮮度がいい、とか、鮮度の高い音という場合には、
後者の意味合いで使われる。

つまり、この意味合いで使われるのは、実演奏での音(コンサートホールでの音)ではなく、
スピーカーやヘッドフォンから鳴ってくる音に対して使われる。
再生音にのみ使われる。

肉や魚、果物などの鮮度がいいという場合には、
それらの肉や魚はすでに死んでいるからこそ、鮮度がいいとか悪いとかいう。
果物にしても、すでにそれらがなている木から捥ぎ取られているからこそ、
鮮度が高いとか悪いとかを気にするわけだ。

再生音も、いわば捥ぎ取られた音といえるし、
すでに死んでいるともいえる。
こんなことを特に意識していなくとも、オーディオに夢中になっていれば、
そのことは無意識のうちにわかっているのであろう、だから音の鮮度ということが気になる。

だが、ここで音の鮮度とは、もうすこし違う意味合いがあることに、
GASのTHAEDRAをボンジョルノのパワーアンプにつないで聴いた者は気づくのかもしれない。

Date: 10月 1st, 2015
Cate: James Bongiorno

THE GOLDなワケ(THE NINEの場合)

SUMOのTHE POWERには半分の出力のTHE HALFがあった。
THE GOLDにも半分の出力のTHE NINEがある。

THE GOLDの中古を見つけて買ったことを山中先生に話したことがある。
THE NINEもいいアンプだよ、と教えてくださった。

THE NINEはTHE GOLDのハーフモデルだからA級動作である。
電圧増幅部はTHE GOLDがディスクリート構成なのに対し、THE NINEはOPアンプを使っている。
出力段はTHE GOLDとほぼ同じ構成である。

フロントパネルはTHE HALFが黒なのに対し、THE NINEはゴールドである。

こんなことを書いているけれど、THE NINEの実物を見ることはなかった。
山中先生が聴かれているのだから日本に輸入されているはず。
けれどステレオサウンドの新製品紹介のページには載ることはなかった。

そんなTHE NINEであっても、インターネットのオークションをみていると、
ときどき出品されていることがある。
並行輸入かもしれないし、正規品かもしれない。
とにかく、さほと数は多くないにしても日本にTHE NINEはある。

このTHE NINE、なぜNINEなのだろうか。
THE HALFはわかりやすい。半分だからだ。

NINEは9。
なぜ9なのか。あれこれ考えてみた。

THE GOLDの半分で9ということは、つまりはTHE GOLDは18になる。
18Kなのか、THE NINEは9Kということなのか。

これが正しいのかどうかはいまとなってはわからない。
仮に正しかったとしたら、THE GOLDは18Kであって、24Kではないのか、ということになる。
24Kがいわゆる純金なのだから。

ここまで考えてくると妄想はふくらむ。
THE GOLDのスペシャルもデルの構想がボンジョルノの頭の中にあったのかもしれない。
18Kではなく24KとしてのTHE GOLDの構造が。

Date: 9月 23rd, 2015
Cate: James Bongiorno

GASとSUMO、GODZiLLAとTHE POWER(その8)

ジェームズ・ボンジョルノはマランツ時代にModel 15を手がけている。
AMPZiLLAが取り上げられたステレオサウンド 35号では、
ボンジョルノはマランツでModel 500を手がけたとあるが、これは間違いである。
Model 15といっても、若い人ではどんなモノなのかまったく知らないだろう。

Model 15はパワーアンプで、
モノーラルアンプを二台左右にならべてフロントパネルで結合したコンストラクションをもつ。
つまり、いまでいうところのデュアルモノーラルコンストラクションである。

AMPZILLA 2000の登場を知って、ボンジョルノの復活を嬉しく思うとともに、
AMPZILLA 2000のスタイル、二台左右に並べての写真をみて、Model 15のことを思い出していた。
このことは、AMPZILLA 2000について考えていく上で無視できない。

GASのGODZiLLAもまたデュアルモノーラルコンストラクションをとっている。
フロントパネルのすぐ裏に二基の電源トランス(EI型)が配されている。

それはボンジョルノのアイディアだったのかは、
それともただ単にAMPZiLLAをブリッジ接続したともいえる規模からくるコンストラクションだったのか。

どちらなのかははっきりしない。
ただフロントパネルには電源スイッチが左右で独立してふたつあるところをみると、
そうなのかなぁ……、ともおもえる。

このGOFDZiLLAのコンストラクションは、予想のつくコンストラクションともいえる。
それに対して同時期に登場したSUMOのTHE POWERのコンストラクションは、
それまでのボンジョルノが手がけたアンプどれとも似ていない。

ここにボンジョルノの飛躍ともいえるものを感じるし、
ボンジョルノが奇才と呼ばれるのは、なにも奇を衒ったようなデザインとネーミングとロゴではなく、
こういうところにあるのだという具体的なモノとしての存在である。

Date: 9月 22nd, 2015
Cate: James Bongiorno

GASとSUMO、GODZiLLAとTHE POWER(その7)

ステレオパワーアンプを二台、モノーラルパワーアンプならば四台用意してブリッジ接続にする。
この場合の出力は8Ω負荷時の四倍の出力が得られる──、のが理屈である。

50W+50Wのステレオパワーアンプをブリッジ接続すれば、だから200Wのモノーラルパワーアンプとなる。
けれど実際にブリッジ接続してみても理論通りに四倍の出力が得られるモノはごくわずかである。

ほとんどの場合、出力の増加は二倍程度であった。

1977年に登場したマークレビンソンのML2は、8Ω負荷時で25W。
にも関わらず消費電力はA級動作のため400W。
無駄飯喰いのパワーアンプだが、4Ω負荷時では理論通りに50Wになり、
2Ω負荷時には、ここでもまた理論通りに100Wになる。

なのでML2Lをブリッジ接続すれば8Ω負荷時で100W、4Ω負荷時で200Wが得られる。
それだけML2は電源の余裕度が大きかったといえる。

ML2の登場によって、
電源の余裕度を4Ω負荷時の出力、ブリッジ接続時の出力から推し量ろうとするようにもなった。
4Ω負荷時の出力が8Ω負荷時の出力の二倍になっているかどうか、
ブリッジ接続時に四倍になっているかどうかである。

ただしこれを逆手にとって、
4Ω負荷時の出力の半分の値を8Ω負荷時の出力として表示するアンプも登場したようだ。
8Ω負荷時には実際はもっと出力が得られるのだが、正直にその値を発表すると電源の容量が不足している、
そんなふうに受けとめられることを避けるためでもあった。

ML2にしても8Ω負荷時で実のところ50Wの出力が出せていたようでもある。
それが初期のロットからそうだったのか、途中からそうなっていったのかは不明なのだが。

GASのAMPZiLLAは8Ω負荷時の出力は200W+200W、
GODZiLLA ABの出力は350W+350Wと約二倍である。

AMPZiLLAの外形寸法はW44.5×H17.8×D22.9cm(AMPZiLLA IIAのカタログ発表値は若干大きい)、
GODZiLLAはW48.0×H18.0×D49.0cm、
重量はAMPZiLLAが22.7kg、GODZiLLAが45.0kg。

GODZiLLAはAMPziLLAを奥行き方向に二台並べた外形寸法と重量である。
出力もAMPZiLLAをブリッジ接続した値に近い。

このことだけでは断言できないものの、
やはりGODZiLLAはAMPZiLLAのブリッジ接続がベースになっているパワーアンプなのだろう。

Date: 9月 19th, 2015
Cate: James Bongiorno

ボンジョルノとレヴィンソン(その8)

目の前に、スタインウェイのピアノがあったとする。
スタインウェイでなくともよい、ベーゼンドルファーのピアノでもいいし、
ストラディヴァリウスのヴァイオリンでもかまわない。
とにかく目の前に、よい音を奏でてくれるであろう楽器がある。

でも、これだけではその楽器から音は一音たりとも鳴ってこない。
弾き手がいて、はじめて、その素晴らしい楽器から音が鳴ってくる。
素晴らしい楽器になればなるほど、素晴らしい弾き手を求める。

楽器はそれ単体では音を鳴らさない。
弾き手(つまり人間)の肉体運動の結果として、楽器から音が鳴ってきて、
音楽が奏でられる。

それはどんな音楽であってもそうだ。
クラシックであれジャズであれロック・ポップスであれ、
人間の肉体運動によって音は発せられる。

このことを実感できる再生音とそうでない再生音とがある。
ジェームズ・ボンジョルノのアンプとマーク・レヴィンソンのアンプ。
両者のアンプの違いは、こういうところにもはっきりと出てくる。
そして、音の鮮度の高さに関しても、ボンジョルノのアンプとレヴィンソンのアンプとは同じわけではない。

念のため書いておくが、ここでのマーク・レヴィンソンのアンプとは、
ジョン・カールがいた時代、関与したアンプ、つまりJC2(ML1)、LNP2、ML2などのことである。

ステレオサウンド 52号のSUMOのTHE POWERの新製品紹介の記事。
ここでコントロールアンプをLNP2からTHAEDRAにすると、
途端に音の鮮度や躍動感が出てきた、とある。

音の鮮度。
THE POWERが登場した1979年、
GASのTHAEDRAよりも鮮度感の高さ、透明度の高さを誇るコントロールアンプはあった。
ふつうに考えれば、そういったコントロールアンプの方が、より鮮度のある音が得られるように思う。

私はそう思っていた。
THE GOLDを手に入れて、THAEDRAを遅れて手に入れるまでは。

Date: 9月 18th, 2015
Cate: James Bongiorno

THE GOLDなワケ

SUMOからTHE GOLDが登場したとき、
なぜTHE GOLDなワケについて深く考えはしなかった。

AB級のTHE POWERがブラックパネル、
A級のTHE GOLDはゴールド(塗装)パネル。

フロントパネルの色でいえば、THE POWERはTHE BLACKという型番でもいいはず。
だが実際は、THE POWERとTHE GOLDである。

1985年12月、偶然にもTHE GOLDの中古を見つけた。
ちょうどステレオサウンドの冬号が店頭に並んで、ぽっかりヒマな時間ができたというので、
会社を抜け出して秋葉原に行っていた。

なんとなくTHE GOLDがありそうな予感だけがあったからだ。
そして実際に、そこにTHE GOLDがあり、衝動買いだった。

そうやって自分のモノとして、なぜこのアンプはTHE GOLDなのか、と考えた。
THE POWERの半分の出力をもつ弟分にあたるアンプはTHE HALFだった。
わかりやすいネーミングだ。

THE GOLDは純A級アンプなのだから、THE PUREという型番でもいいではないか。
いうまでもなくフロントパネルがゴールドだからTHE GOLDではないはず。
THE GOLDだからフロントパネルをゴールドにしたものと思われる。

そんなことをぼんやりと考えて思いついたのは、
AMPZiLLAがアンプのゴジラなのだから、
THE GOLDはゴジラの強敵といえるキングギドラなのではないか。
キングギドラは金色に輝く。

だからTHE GOLDなのか、と思った。
もちろん、何の根拠も確証もない単なる憶測にすぎない。
けれど、他にこれ! といった理由がいまだに思いつかないでいる。

Date: 9月 18th, 2015
Cate: James Bongiorno

ボンジョルノとレヴィンソン(その7)

神経質とこまやかな神経とは決して同じではない。

こまやかを細やかと書くか濃やかと書くか。
これもけっして同じとはいえない。

マーク・レヴィンソンとジェームズ・ボンジョルノについて書いているが、
ふたりの違いを端的に書けば、神経質か濃やかな神経かということになる。

もちろん神経質なのはマーク・レヴィンソンであり、
濃やかな神経なのはジェームズ・ボンジョルノである。

マーク・レヴィンソンが神経質であることに認める人でも、
ジェームズ・ボンジョルノが濃やかな神経の人であると思う人は多くないかもしれない。

GASやSUMOといったネーミングにしても、
GASのデビュー作であるAMPZiLLAのネーミングとそのデザイン、
どこかふざけているように受けとめてしまう人はいるはずだ。

ボンジョルノが濃やかな人だとは、私はすぐには気づかなかった。
ステレオサウンドに載っているGASノイチレンノアンプの評価を読んでいるだけでは、
そのことに気づくことはなかった。

結局、ボンジョルノのアンプの音を聴いてみるしかなかった。
だからといって聴けばすぐにわかることもあればそうでないこともある。

GASのアンプにしろSUMOのアンプにしろ、聴いてすぐにわかる良さはある。
けれど、ボンジョルノを濃やかな人と気づくようになるには、
私の場合、しばらくの期間を聴き込むことが必要だった。

つまり自分のモノとしてつきあうことが必要だった。
そうやって気づく良さがあり、
そのことに気づいた上で、もう一度、GAS、SUMOのアンプの評価を読むと、
特に井上先生、山中先生の新製品紹介のページを読みなおすと、また気づくことがある。