TIDALで聴けるようになったソニー・クラシカルのMQA。
いったいどれだけのアルバムがMQAで聴けるようになったのかは、数え切れない。
クラシックだけでも、SACDのタイトル数を超えているような感じすら受ける。
MQAの恩恵をもっとも受けるのは、44.1kHz、16ビットのデジタル録音かもしれない。
優れたアナログ録音も、MQAでなら、さらに驚くことが多い。
それでも44.1KHz、16ビットのデジタル録音のなかには、
MQAになったことで、こんなにも音が良かったのか、と、もっと驚くことがある。
デジタル録音におけるフォーマットは器そのものであり、
フォーマットの制約を受けるわけだが、
同じフォーマットであっても、優れた録音とそうでない録音とがあるように、
フォーマットだけで音の良し悪しが決定するわけではない。
そんな当り前のことを、カルロス・クライバーの1992年のニューイヤーコンサートを、
MQA Studioで聴くと、こんなにも凄かったのか、とあらためて驚き直している。
カルロス・クライバーのブラームスの四番は、当時よく聴いていた。
でもカルロ・マリア・ジュリーニの四番を聴いたあとでは、
クライバーの(音楽の)呼吸は、どこか浅いように感じてしまった。
オーケストラはどちらも同じだけに、よけいにそんなことを感じていた。
それも1989年のニューイヤーコンサートを聴いて、消えてしまった。
カルロス・クライバーにこんなことを書くのは失礼なのは承知で、
クライバーも一皮剥けた、とそう感じた。
ブラームスの四番に感じた、呼吸の浅さのようなものは、もうなくなっていた。
クライバーの1992年のニューイヤーコンサートも、
少し前にMQAになった。
今日、MQAで聴いた。
もう驚くしかなかった。
それに、音が素晴らしい。
聴いていて、音楽好きの友人たちに、
クライバーの1992年のニューイヤーコンサート、MQAで聴いてみてよ、
そんなメールを送りたくなるほどだった。
ソニー・クラシカルは、44.1kHz、16ビットのデジタル録音も、MQAにしている。
けれどほかのレーベルは、そうではない。
ドイツ・グラモフォンも、やっていない。
ドイツ・グラモフォンには、
ブラームスの四番、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」がある。
「トリスタンとイゾルデ」だけでもいい。
カルロス・クライバーの「トリスタンとイゾルデ」を、MQAにしてほしい。
TIDALではMQAのマークが、クライバーの「トリスタンとイゾルデ」についているが、
MQAではなく、ついているだけである。
でも、これがいつか本当になってほしい。