アレクシス・ワイセンベルク(その3)
(その1)で書いているように、
私はアレクシス・ワイセンベルクを好きでもないし、嫌いでもなかった。
TIDALで集中的に聴くまでは、関心がほとんどなかったのだから。
私の周りのクラシック好きの人で、
ワイセンベルクが好きという人はいない。
私の周りだけなのかもしれないが、
積極的にワイセンベルクが好きという人は、あまりいないように感じている。
実際のところ、どうなんだろうか。
好きという人がいないように、
嫌いという人も、少なくとも私の周りにはいない。
だからといって、注目に価しないピアニストなわけではない。
TIDALで聴けるワイセンベルクの録音は、
ソニー・クラシカルの分(もちろんMQA Studio)も加わって、少し増えた。
といってもそれほどの数ではないが、すべてを聴いているわけではないが、
そのなかで、驚いたのはチャイコフスキーのピアノ協奏曲(EMI録音)だった。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲を、熱心に聴いてきたわけではない。
これまでに何枚か聴いてきているものの、いま手元に残っているのは、
アルゲリッチとコンドラシンのSACDのみである。
そのアルゲリッチとコンドラシンのレコード(録音)が出たころ、
レコード芸術の名曲名盤では、やはりアルゲリッチが一位になっていた。
つづいてリヒテル、ホロヴィッツの順だったと記憶している。
そして、そこにワイセンベルクの名前はなかった(はずだ)。
カラヤン/パリ管弦楽団とのチャイコフスキーは、どうだったのだろうか。
1970年の録音である。
このレコードが出たころ、私はまだ小学生でクラシックを聴いていなかった。
当時の評価は知らないが、いま聴くと(というよりもいま聴いても)驚く。
この演奏は、いまどんな評価なのだろうか。
レコード芸術の「新時代の名曲名盤500」は今月号でシューベルトまで。
チャイコフスキーはまだである。
ワイセンベルクとカラヤン/パリ管弦楽団による、この演奏(録音)に、
点を入れる人はいまいるのだろうか、と野次馬根性で興味がある。
REPLY))
小生の好んで聴くワイセンベルグは81年録音のゴールドベルグ変奏曲ですが、70年代のものでは、バッハの編曲ものを柴田南雄先生が昭和50年代の評論文で音楽的だと評価なさっています。中でもシャコンヌの演奏を高く評価されていたのは意外でした。
ワイセンベルグは日本の音楽評論の世界では余り評価されなかった一人だと思います。ただテクニシャンと思われていますが、日本人で最初にマリアカナルスの一位をとったピアニストは、「結構ムラがある。乗ったときは素晴らしいけれど」と言って、1984年頃のケルンでの演奏会、リストと多分ラフマニノフが絶賛されていたのをあげていました。録音しか聴いたことのないものとしてはなんとも言えませんが、NHKFMでもあったかも知れません。ただ小生84年から2年日本を離れるので84年というのは記憶違いかも知れません。