Archive for category テーマ

Date: 7月 26th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その9)

インターナショナルオーディオショウに行ってきた。
今年強く感じたことの一つが、以前書いたことの繰り返しである。

いくつものブースで、
「次はこのディスクを鳴らしたいと思います」「かけたいと思います」という人がいる。
今年もいた。むしろ以前より増えているように感じたのは、
私がこの「と思います」が嫌いなだけではないはずだ。

直前のこと、次に行うことに、なぜやりたいと思います、と言うのか。
まだ確定していない、それをやるにはまだ時間がかなり経ってから、
そういうのであれば、「と思います」とするのはわかる。

すべてのブースでそうだったわけではない。
すべてのブースをまわったわけではないから、
他にも「と思います」を使っていなかったところはあると思うが、
ナスペックのスタッフは、「と思います」を使っていなかった。
「次はこれをかけます」、「これを鳴らします」、
それでいいのだから、ナスペックのブースはそれだけで好感が持てる。

Date: 7月 25th, 2024
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(SNS = SESか・その21)

不気味の谷。
この言葉を目にするたびに最近おもうのは、
不寛容の谷である。

不気味の谷の横軸は写実性だが、
不寛容の谷の横軸は、利便性ではないだろうか。

Date: 7月 24th, 2024
Cate: 表現する

自己表現と仏像(その11)

像を想うと書いて、想像である。
誰が考えたのかは知らないけれど、仏の姿を想うことこそ想像である。

Date: 7月 23rd, 2024
Cate: 音の毒

音の毒(オイロダインのこと・その4)

ポリーニの実演は、20代前半のころ、一度聴いている。
1986年だったはず。

確かベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴いている。
そのぐらいしか、もう憶えていない。
感動しなかったからだろう。

五味先生のように激怒ということだったら、
それはそれで記憶にしっかりと残っているはずだから。

ポリーニをきちんと聴いてきたとは、言わない。
そんな私でも、アバドとのバルトークのピアノ協奏曲第一番は、
初めて聴いた時ももちろん、それから何度となく聴いているが、
聴くたびに、凄いと思う。

極端な言い方になるが、私にとってのポリーニは、
このバルトークの曲のためだけの存在となる。

自分でも不思議に思っている、
なぜ、バルトークの一番だけなのか、と。

答が見つかったわけではないが、
バルトークのピアノ協奏曲第一番は、
ピアノを打楽器として使うという曲に関係してことだろう。
いまは、そう感じている。

ポリーニは、バルトークの第三番は弾いているのだろうか。

Date: 7月 22nd, 2024
Cate: 新製品

TANNOY Autograph 12

今週末のインターナショナルオーディオショウで、
実物を見る聴くことができるはずの、タンノイの新製品。

ミュンヘンのショウで発表されていたので、ご存知の方も多いだろう。
Autograph 12である。

タンノイはなぜ、このスピーカーをAutographと呼ぶのか。
ここが、私にはまったく理解できない。

詳細が不明だが、エンクロージュアがバックロードホーンとは思えないし、
フロントショートホーンがないのは、すぐにわかる。

音はどうなのか、わからない。
素晴らしいのかもしれないが、
それならなおさら別の型番を用意すべきだろうし、
それだけでなく、ここ数年、
自社製品のパチモン的新製品について書いてきているが、
このAutograph 12がパチモン的とは言わないが、
Autographという、過去の名器の栄光に縋っている、
そんな印象を受けてしまう。

Date: 7月 21st, 2024
Cate: ディスク/ブック

THE DREAMING(青春の一枚・その3)

ケイト・ブッシュの四枚目のアルバム、
「THE DREAMING」を、7月のaudio wednesdayでかけた。

かけるつもりは、最初はなかった。
それでもメリディアンのDSP3200にエラックのリボン型トゥイーターを足した音は、
「THE DREAMING」をかけることを、私に促した。

聴き終って、
「THE DREAMING」は私の青春の一枚であることを噛み締めていた。

「THE DREAMING」の中からどの曲を選んだのか。
どうして、その曲なのか。
その理由は書かないけれど、やはりこういうふうに鳴ってくれるのか、
その手ごたえが、私にとって最大の収穫だった。

Date: 7月 20th, 2024
Cate: ショウ雑感

2024年ショウ雑感(その8)

来週末はインターナショナルオーディオショウ。
今回、個人的にもっとも聴きたいのが、ゼラトンのスピーカーシステム。

1990年ごろにアンサンブルという、
スイスのブランドのスピーカーシステムが、輸入されていた。

小型の2ウェイシステムは、このブランドならではの音の表現を聴かせてくれていた。
それゆえに好き嫌いはあったように思う。
惚れ込んだ人にとって、他に代わるスピーカーは、
なかなか見つからなかったはずだ。

私も魅了された一人だ。

このアンサンブルのスピーカーのウーファーは、
センターキャップがなく、文字通りのコーン(円錐形)だった。

このウーファーだからこその音なのか、
そんなふうにも受け止めていた。

アンサンブルは、長く輸入されていたわけではなかった。
いつの間にか日本の市場から消えていた。

それからずいぶんして、ドイツのゼラトンが輸入されるようになった。
ウーファーを見て、アンサンブルと同じだと。
これは、ぜひともじっくり聴いてみたい、と思いながらも、
聴く機会はなかった。

ゼラトンのスピーカーが輸入されていたころは、
インターナショナルオーディオショウには、毎年行っていた。

けれどタイミングが悪いのか、
輸入元のブースで音が鳴っているのに、出会したことがない。

来年は聴けるだろう、と思っていたら、その輸入元は、取り扱いをやめた。
それから十年以上経ったか。
やっとゼラトンが輸入されるようになった。

今度はアクシスが取り扱う。
以前の輸入元のような、そっけない扱いではないはずだ。

現在のゼラトンの音が、どんななのか、まったくわからない。
それでも今回のショウで、いちばん期待しているし、楽しみにしている。

Date: 7月 19th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第七夜(ネットワークのこと)

8月7日のaudio wednesdayは、5月に鳴らした757Aレプリカを鳴らす。
前回は元からついていたネットワークをそのまま使っての音出しだった。
今回は、ネットワークをいくつか試す。
まず前回と同じ構成(ネットワーク)で鳴らす。
次にAmpex(JBL)の、古いネットワークにする予定だ。
預かっているモノで、大型のネットワーク。

どんな音がするのか、預かっているだけで、その音を聴いてはいないから、
これの音は私も楽しみにしている。

それからアキュフェーズのDF35を使って、バイアンプドライヴも予定している。

これらの音を確認した上で、ネットワークの自作を考えている。
なので9月も757Aのレプリカを鳴らす。
8月は2ウェイのまま鳴らすが、9月の会では、トゥイーターを足す。
デッカのリボン型トゥイーターを、片チャンネルあたり二本足してみようと考えているところ。

Date: 7月 18th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第七夜・選曲について

7月のaudio wednesdayの日は暑かった。
梅雨があけた8月のaudio wednesdayは、
同じくらいかもっと暑くなるかもしれない。

8月に鳴らすのは757Aレプリカだから、ホーン型である。
8月に鳴らしたい曲は、ホーン型だから聴きたい曲になるかもしれない。

暑さを吹き飛ばしてくれるほどに、
熱い演奏をかけたいと考えている。

ウーゴ・ディアスだろうか。

Date: 7月 17th, 2024
Cate: atmosphere design

Audeum Audio Museum

昨晩、ソーシャルメディアを眺めていたら、
驚くしかない動画が表示された。

韓国にあるAudeum Audio Museumである。

説明は不要だろう。
とにかくリンク先をクリックしてほしい。

驚かれるはずだ。
私は驚くとともに、負けた、と感じていた。
日本には、ないからだ。

「韓国 オーディオミュージアム」で検索すると、
オーディオとはまったく関係ないところに記事があった

この記事を読んで、また負けた、と感じていた。

Date: 7月 16th, 2024
Cate: 表現する

自己表現と仏像(その10)

誰も仏をみたことがないわけで、
仏が人間と同じような姿かたちなのか、それすら誰もわからないのに、
人間の姿かたちに近い仏像が世の中には存在しているし、
そのことに疑問を抱いたとしても、
仏像を仏の姿かたちとして受け止めているのは、
なんともふしぎなこと。

そのうえで、では仏像は何をあらわしているのか。
仏の姿かたちではないことは明白で、
つまるところ仏の心なのだろう、
というところに行き着くのではないだろうか。

仏の「心」だとして、オーディオの場合は、何なのか。

Date: 7月 15th, 2024
Cate: スピーカーの述懐

あるスピーカーの述懐(その51)

多様性。
数年前から、頻繁に目にしたり耳にしたりするようになった。
ではオーディオにおける多様性とは? と考えると、
まずスピーカーの数だけの多様性があると言えるだろうし、
それからオーディオマニアの数だけの多様性が、そこに加わるはずである。

けれど実際にそうなのだろうか。
インターネットの普及、
さらにはソーシャルメディアの普及と増していく手軽さが、
多様性を浮き彫りにしてくれるかのようであるが、
反対に、多様性を狭めていっているようにも、最近は感じ始めている。

Date: 7月 14th, 2024
Cate: きく

カセットテープとラジカセ、その音と聴き方(余談・その26)

引越しして約三週間。
以前の部屋では単なるラック(使わない機器の収納)として使っていただけのエレクターのワイヤーシェルフ。

いまの部屋では、このエレクターに、
KEFのModel 303、サンスイのAU-D607、テクニクスのSL01、
ヤマハのK1d、パイオニアのExclusive F3を収めている。

そんなに幅広のラックではないから、
KEFのスピーカーの間隔は、かなり近い。
それにワイヤーシェルフだから、オーディオ機器の置き台としても好ましいとは言えない。

このシステムはメインではないから、
なんとなくラジカセ的に捉えている。

電波の入りは良くないから、ラジオの受信は良好ではない。
でもラジオは聴けるし、カセットテープもレコードも聴ける。なんとなくラジカセじゃないか、そんなふうに思ってみると、
ワイヤーシェルフのままでもいいかな、となる。

エレクターは黒。スピーカーもアナログプレーヤー、カセットデッキ、
プリメインアンプも黒。

チューナーだけ仕上げも製品の格も違うから、
できれば黒のチューナーで統一したい気持もあるが、
チューナーは、やっぱりコレ(Exclusive F3)だ。

エレクターは固定脚だが、キャスターにするのもいいかな、と思うのは、
(その24)でも引用している黒田先生の文章の影響からだ。

Date: 7月 13th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第六夜を終えて(その2)

7月3日の最初の曲は、
エーリッヒ・クライバーによる「フィガロの結婚」。
第一幕を最後までかけた。

来られた方たちの中には、退屈された人もいたかもしれないが、
私は、このまま第二幕、第三幕、第四幕、
つまり「フィガロの結婚」だけをかけていたかった。

いまの時代、エーリッヒ・クライバーの「フィガロの結婚」は、
どういう評価をされているのだろうか。

特に知りたいわけでもないが、
なんだか忘れ去られようとしているのかも……、
そんなふうに思うこともある。

古い録音だ。七十年ほど前の録音なのに、
本当の意味で、鮮やかな音で「フィガロの結婚」が聴ける。

Date: 7月 11th, 2024
Cate: スピーカーの述懐

あるスピーカーの述懐(その50)

「比較ではなく没頭を」は、
フルトヴェングラーの言葉である。

そのとおりなのだが、ことオーディオ機器の購入に関しては、
比較するからこそ購買意欲が湧いてくるだろうし、
増していくともいえよう。

比較することに没頭してしまうことにもなるかもしれない。
そのため最良の選択ができなかったことがあっても不思議ではない。