Archive for category テーマ

Date: 10月 20th, 2017
Cate: スピーカーとのつきあい

スペンドールのBCIIIとアルゲリッチ(その1)

私にとってスペンドールの代表的スピーカーといえば、やはりBCIIである。
私だけに限らないはずだ。
少なくとも私と同世代、上の世代のオーディオマニアの人に同じことを聞けば、
九割以上の人がBCIIと答える、と言い切れる。

それほどBCIIの評価は好ましいものだった。
輸入元が今井商事からかわり、復刻されたBCIIの音は聴いていない。
ここでのBCIIとは、あくまでも今井商事が輸入元だったころのBCIIのことである。

BCIIには、BCIIIという上級機があった。
BCIIは3ウェイ、というより2ウェイ・プラス・スーパートゥイーターといえる構成。
BCIIIは、そのBCIIにウーファーをさらに加えたかたちだ。

BCIIのウーファーは口径20cmのベクストレンのコーン型、
BCIIIは、この20cmウーファーに、30cmのベクストレンコーン型を足している。
カタログには、ふたつのウーファーのクロスオーバー周波数は700Hzとなっている。
20cmウーファーは3kHzまで受け持つのは、BCIIもBCIIIも同じである。

この700Hzという値は、もう少し低く設定することは考えなかったのだろうか、と思わせる。
BCIIにも採用されている20cmウーファーをもう下の帯域まで受け持たせていれば、
スピーカーの印象もずいぶん変ってきたはずなのに……。
それはつまりBCIIのイメージそのままに、
スケールアップしたよさをBCIIIは出せたかもしれない、と思うからである。

日本ではBCIIとBCIIIとでは、圧倒的にBCIIのほうが人気が高く、
売行きも大きな差があったはずだ。

BCIIは、よく見かけたし、何度も音を聴いている。
ステレオサウンドの試聴室でも聴いている。

BCIIIは、というと、これも聴きたくても聴く機会がなかったスピーカーのひとつである。
見かけることも、数えるほどもなかった。

Date: 10月 19th, 2017
Cate: バランス

音のバランス(その4)

川崎先生の今日(10月19日)のブログ「モノの美しさにあるバランス性が決定要因」。

ちょうどいまは天秤座の時期である。
天秤座のシンボルマークは、もちろん天秤を表している。
その天秤とは片天秤ではなく、両天秤のはずだ。

X(エックス)というアルファベット。
このアルファベットこそ、両天秤だと最近思っている。

両天秤だからこそ、解でもある、と思っていたところに、
川崎先生の「モノの美しさにあるバランス性が決定要因」だった。

Date: 10月 19th, 2017
Cate: 「オーディオ」考

耳の記憶の集積こそが……(その3)

「五味オーディオ教室」がオーディオのスタートだった私にとって、
「五味オーディオ教室」は、五味先生の耳の記憶が綴られていた、とつくづくおもうとともに、
それ以外のスタートでなくてよかった、ともつくづくおもう。

「五味オーディオ教室」をくり返しくり返し読んできたのは、
「五味オーディオ教室」という五味先生の耳の記憶を継承しようとしていた──、
ここにきて、やっとそういえる。

Date: 10月 18th, 2017
Cate: 598のスピーカー

598というスピーカーの存在(長岡鉄男氏とpost-truth・その14)

長岡鉄男というオーディオ評論家は、どのタイプなのか。
オーディオマニア(キチガイでない)のためのオーディオ評論家(キチガイでない)だと私は思っている。

だからこそ、あれだけ多くの読者からの支持があったのだと思っている。
長岡鉄男氏のうまいところは、
オーディオマニア(キチガイでない)を相手に、
オーディオマニア(キチガイ)と思い込ませることにあったのではないだろうか。

オーディオメーカーにとってありがたいのは、
長岡鉄男氏のようなオーディオ評論家であったはずだ。

オーディオマニア(キチガイでない)がオーディオマニア(キチガイ)と思い込むことで、
オーディオにお金を注ぎ込む。
メーカーにとってありがたい存在(客)を、長岡鉄男氏はその文章でつくってきた。

その10)で引用した五味先生の文章。
その中に出てくる、あるステレオ・メーカーの音響技術所長の
「キチガイ相手にショーバイはできませんよ」、これこそがメーカーの本音であり、
オーディオブームはオーディオマニア(キチガイでない)によって支えられていた、ともいえるし、
ブームのためには、オーディオマニア(キチガイでない)を、
オーディオマニア(キチガイ)だと思い込ませることだったのではないか。

Date: 10月 17th, 2017
Cate: デザイン

プリメインアンプとしてのデザイン、コントロールアンプとしてのデザイン(その2)

1991年にビクターから、文字通りの超弩級のパワーアンプが登場した。
ME1000である。

出力は200W。重量は83kgである。
ME10000はモノーラルアンプ、83kgという重量は一台あたり、である。

バブル期だったから、これだけのパワーアンプが製品化されたのだろう。
いま、ME1000と同じモノを企画・開発したら、価格はどれだけになるのだろうか。

1991年、ME1000の価格は3,000,000円(ペア)だった。

ME1000とペアとなるコントロールアンプは、ついに出なかった。
おそらく計画はあったはずだ。

バブル期があと数年続いていたら、登場したように思う。
ME1000と同じく、鋳鉄ベース使用の重量級のコントロールアンプだったのかもしれない。

1993年に、ビクターからプリメインアンプAX900(398,000円)が登場した。
ME1000の特徴を引き継ぐモデルである。

ステレオサウンド 109号で、長島先生が新製品紹介記事を書かれている。
     *
特に圧巻だったのは武満徹のノヴェンバーステップスで、心の中を突き通すようなあの音は、わが国の製品でなければ絶対に出ないような凄みを伴った音だった。何かが国産機の中で芽吹いた、という感慨にも似た心の高ぶりさえ感じたのである。
     *
ME1000は聴いたことがないが、AX900は聴いている。
私も驚いた。
プリメインアンプの次元とは思えない音が鳴ってきた。

発売後すぐには購入できなかったが、しばらくして自分のモノとして鳴らしていた。

最初はプリメインアンプとして見ていた、
同時にボリュウム付パワーアンプとしても見ていた。

しばらく使っていくうちに、ME1000とペアになるべく開発されていたコントロールアンプが、
バブル崩壊とともに、計画変更されてAX900になったのではないか……、と思うようになった。

Date: 10月 17th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その10)

1956年に登場している075は、年代だけをみれば確かに古いトゥイーターというしかない。
実測データをみても、そういえる。

けれどJBLのホーン型トゥイーターは、基本的にホーンだけが異る。
プロフェッショナルシリーズでいえば、2402、2403、2404、2405、
コンシューマー用では075、077などがある。

これらのダイアフラム、磁気回路といった、いわば駆動系は共通している。
2405と075のダイアフラムの形状は44mm径のリング型と基本的には同じだが、
わずかに違うところもある。

違いについては、ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIESの三冊目、
「世界のトゥイーター55機種の試聴とその選び方使い方」の26ページの写真を見てほしい。

菅野先生は075に2405のダイアフラムを換装されている。
(詳細はステレオサウンド 60号参照のこと)

プロフェッショナルシリーズとなると、そのへんはどうなのか。
おそらくすべて共通ダイアフラムではないか、と思われる。

2405と075の違いは、ホーンの違いであり、
ホーンが違うだけで、指向特性も高域の延び方もそうとうに違ってくる。
そのかわり075は2.5kHz以上から使えるのに対し、
2405は7kHz以上からとなっているし、2404は3Hz以上、2403は5kHz以上という違いもある。

2404、2403は1980年代に入ってから登場したトゥイーターである。
そのトゥイーターの駆動系は075そのものということは、
075の駆動系の基本設計の優秀性を示すものであり、
単に登場した年代だけでは、古い、新しいを判断するのは難しい、ともいえるし、
075を古いという場合、ホーンの形状が古い、ということでもある。

Date: 10月 17th, 2017
Cate: 「オーディオ」考

耳の記憶の集積こそが……(その2)

自分の耳に自信があれば、人の意見、
特にオーディオ評論など必要ではない──、という意見が以前からある。

耳の記憶の集積こそが、オーディオである、と考える私にとって、
真にオーディオ評論といえるものを読むことは、耳の記憶の集積につながる行為である。

Date: 10月 16th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その15)

セレッションのSL6のトゥイーターのダイアフラムは銅だった。
それまでのイギリスのスピーカーのトゥイーター、スコーカーに使われるドーム型は、
たいていがソフトドームだった。

金属ダイアフラムのハードドームは、イギリスのスピーカーとしては珍しかった。
しかも銅である。
たいていはアルミ。SL6クラスの価格帯のスピーカーであれば、アルミが大半といえた。

セレッションはSL6の開発にあたり、レーザーを使い振動板の振動モードの、
それも動的な解析を行った、と聞いている。
ということは、動的な解析の結果の銅だと考えていい。

SL6はSL600に進化し、
SL6Sに改良されている。
SL6Sでは銅からアルミになっている。

SL6とSL6Sの違いは、トゥイーターのダイアフラムの違いだけなのだろうか。
ネットワークも少しは変更しているのだろうか。
どうだったろうか。

音は違う。
SL6Sの方が改良モデルといわれれば、納得するような音の違いがあった、と記憶している。
やはり銅は、アルミよりも重たいのか、と思うところが、音にあった。
反面、銅のほうが、ある種の粘り的な要素を感じさせるところもあり、
鳴らし込んでいくのであれば、銅の方が面白いかな、と思わせる。

この時だった。
ある人と銀線の話になった。
銅線と銀線の音の違いに何に由来するものなのか、とたずねられた。

「色が違うから」と答えた。
その人は、私が冗談をいっていると思ったようだったが、
私としては、真面目に答えていた。

銅のダイアフラムとアルミのダイアフラムの音の違い、
銅線と銀線の音の違いに、どこか共通するところを感じたから、
「色が違うから」と答えたわけだ。

アルミと銀の色は、銅とははっきりと違う。

Date: 10月 15th, 2017
Cate: 「オーディオ」考

耳の記憶の集積こそが……(その1)

耳の記憶の集積こそが、オーディオである、といまいおう。

Date: 10月 15th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(その10)

「毒にも薬にもならない音」、
「毒にも薬にもならない文章」と書いてきて、
「毒にも薬にもならない演奏」とは……、で思い出すのは何か、と考えた。

私にとって「毒にも薬にもならない演奏」の筆頭は、
インバルがDENONレーベルに録音したマーラーである。

インバルのマーラーのことは、以前に書いている。
そのときバーンスタインのマーラーを引き合いに出している。

私にとってインバルのマーラーが、まったく響かなかったのは、
「毒にも薬にもならない演奏」だったからにほかならない。

インバルの演奏からは、マーラーの交響曲(音楽)がもっている毒、
一種の毒といってもいいと思えるところが弱い、というよりも、
ほとんど感じられなかった。

インバルのマーラーに毒を感じる人もいるのかもしれない。
現在のインバルのマーラーが、どうなのかは聴いていないので、なんともいえないが、
少なくとも1980年代のDENONレーベルのマーラーに、毒を感じることは一度もなかった。

私がバーンスタインのマーラー、それもドイツグラモフォン録音を高く評価するのも、
誰にも増してマーラーの毒を強く感じさせるからである。

そうだった、と思い出すのは、
「毒にも薬にもならない文章」を書くことを選択した知人だ。
知人は、好んでマーラーを聴くことはなかった。

彼のところにバーンスタインのマーラーのディスクを持っていったこともある。
そのときの彼の反応は、いま思えば、毒に対するある種の拒否反応だったかもしれない。

毒があるから、マーラーの世界(音楽)にのめり込んでいける、
もしくはどっぷりとつかれる(浸かれるであり、憑かれるでもあり、撞かれる)。

そんな私のような聴き手がいる一方で、
毒があると、のめり込めない、という人もいるはずだ。

Date: 10月 15th, 2017
Cate: 新製品

新製品(TANNOY Legacy Series・その19)

2017年のインターナショナルオーディオショウで見たかったモノのひとつが、
タンノイのLegacyシリーズだった。

正直、エソテリックのブースの音は期待していない。
あそこで聴いた音で、製品の音は参考程度にもならないと個人的にはずっと以前から思っている。
なのでLegacyシリーズの実物を見たかった、見て確かめたかったことがあった。

私がショウに行ったのは初日の夕方以降の数時間だけ。
エソテリックのブースにも、もちろん行った。
Legacyシリーズによる音出しではなかった。
運が良かった、と思った。

あてにならないとわかっていても、
鳴っている音を聴いてしまうと、なんらかの判断をしてしまいがちである。
だからLegacyシリーズが鳴ってなくてよかった、と思ったわけだ。

別のスピーカーが鳴っていたから、
Legacyシリーズの実物をじっくり見ることができた。

インターネットでの写真を見たときから気になっていたのが、
全体に漂う質感の違いだった。

1976年登場のArden、Cheviot、Eatonの、記憶にある印象からすると、
妙に滑らかに過ぎる質感のように感じていた。

それが写真の撮り方によるものか、それとも実際そうなのか、
それを確認したかった。

Legacyシリーズは、ジャック・ハウのデザインを忠実に再現したと謳っているが、
細部に違いはある。
レベルコントロールのパネル、バスレフポートの開口部の形状などは違っている。

けれど私がおぼえた違和感にも近い感覚は、そのへんの違いゆえとは思えなかった。
全体の仕上げが、当時とは違っていることによるものではないのか。

写真で見たとおりの感じを受けた。
Legacyシリーズの仕上げを基準とすれば、
以前のABCシリーズの仕上げは、やや粗さを残している、ともいえるし、
ABCシリーズの仕上げを基準とすれば、Legacyシリーズは滑らかすぎる、と感じる。

もしかすると私の記憶の中にあるABCシリーズの印象が、
すでに色褪てきているから、そう感じたのかもしれない、と思いつつも、
Legacyシリーズの仕上げの質感は、手触りのぬくもり的なものが薄くなっている。

Date: 10月 14th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その14)

銀をスピーカーシステム内の信号経路のほとんどに使ったからといって、
ただそれだけで素晴らしいスピーカーシステムができあがるわけではないことは、
承知している──、それでも……、といいたくなるところが銀の魅力かもしれない。

YL音響にDG18000Yというトゥイーターがあった。
同社のドライバーの型番はDのあとに数字が並ぶ。
DG18000Yのシリーズには、D18000Yもあった。

Gがつくかつかないのかの違いは、ダイアフラムにある。
DG18000Yは、18mmφの純銀箔のダイアフラムである。
ボイスコイルも当然銀線である。

コンプレッションドライバーのダイアフラムの材質は、
金属系ではアルミが古くから一般的で、チタンやベリリウムなどが使われる。

銀をダイアフラムにしたユニット(ドライバーに限らず)は、あっただろうか。
銀は導体抵抗は低くても、チタンやベリリウムと比較すれば重い金属である。

軽くて剛性の高い材質が使われるのに、
YL音響はあえて、やや重い銀を使っている。
YL音響によれば、銀にした場合、他の材質に比べて約1.5dB程度の感度の低下が生じる、とのこと。

それでもYL音響は、銀を採用している。
DG18000Yは1990年代後半、一本250,000円だった。
D18000Yは175,000円だった。

ダイアフラムを銀にするメリットは、どのあたりにあるのだろうか。
答はDG18000YとD18000Yをじっくり聴いてみれば、ある程度はつかめるだろうが、
もうそんな機会はやってこない。

思うに、銀にはそれだけのオーディオ的魅力がある、ということなのだろう。
DG18000Yの開発者も、そのひとりなのだろう。
銀の魅力にとらわれてしまったのかもしれない。

もしかすると市販するつもりはなく、
ダイアフラムを銀にしたドライバーを試作したのかもしれない。
音を聴いて、製品化しただけなのかも……、という想像もできる。

Date: 10月 14th, 2017
Cate: ケーブル

ケーブル考(銀線のこと・その13)

Silver Signature 25は、どんな音だったのか。
私は聴く機会がなかった。

ステレオサウンドには、
108号で柳沢功力氏が新製品紹介の記事を書かれている。

109号、Components of the year賞に選ばれている。
ここでの山中先生の発言が、個人的にはもっとも興味深いし、
音の片鱗のようなものが伝わってくる。
     *
山中 このスピーカーを聴いたときに、とても驚きました。
 どこにも空白がないというくらい、物凄く密度の濃い音で、中身が非常に詰まっている。しかも、ダイレクトラジエーターのスピーカーで、音圧レベルがかなり高くとれるんですね。
 とくに中高域で、人の声を張り上げるところなど、非常に厳しいソースを鳴らしても、いままで考えられないようなクリアーさで鳴ってしまう。
     *
厳しいソースを、いままで考えられないようなクリアーさで鳴らしてくれるのは、
徹底した銀を使ったことのメリットなのだろうか。
そうとも読めるし、まったく関係ないことともいえるかもしれないが、
私は、銀の徹底使用のメリットだ、と思って読む。

さらに山中先生は、こう発言されている。
     *
山中 とにかく、このスピーカーはコンパクトサイズでありながら、音はビッグスピーカーのそれですよ。ワーグナーがちゃんと聴けるんですから。
     *
《ワーグナーがちゃんと聴ける》、
このひとことだけで、Silver Signature 25が欲しくなってしまう。

Date: 10月 14th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その9)

高域が075よりものびている2405だから14.4kHzというカットオフ周波数でも、
トゥイーターを追加する意味はあろうが、
075の実測の周波数特性をみるかぎり、
高域の上限とカットオフ周波数が同じということになり、
何の意味があるのかと思われるかもしれない。

周波数特性だけでなく、指向特性も良好とはいえないから、
指向特性の改善につながるとも考えにくい。

私だって、少しはそう思った。
けれどコンデンサーだけの、つまり-6dB/oct.でローカットしているわけだから、
1オクターヴ下の7kHzにおいても、そこそこの音圧レベルで鳴っている。

075のカタログ発表値の出力音圧レベルは、806Aよりも数dB高い。
私がここで狙える可能性があると考えたのは、
アルテックの2ウェイシステムの高域の拡張ではなく、
音のプレゼンスに関係してくる帯域から上限までの充実であり、
音の表現力の充実である。

その意味で、今回の075の使い方もサブトゥイーター的といえる。
その狙い通りにうまくいくのか、と多少の不安は音を出す前はあった。

075を追加した効果がまったく感じられないどころか、
このくらい高いカットオフ周波数でも、075のジャジャ馬的性格が出てくるのかだろうか、
すべて杞憂にすぎなかった。

とりあえずホーン811Bの少し後方に置いて鳴らした。
DLM2の時に、常に気になっていた点が払拭されていた。
しかも滑らかだった。

Date: 10月 14th, 2017
Cate: アンチテーゼ

アンチテーゼとしての「音」(audio wednesdayでの音・その8)

グッドマンのDLM2については、ほとんど知らない。
スイングジャーナルに載っていた1967年のシュリロ貿易の広告には、
AXIOM 80とともにDLM2も載っている。

広告には能率が高く、5kHzから使える、とある。
価格は一本8,500円、参考までにAXIOM 80は一本26,500円だった。

DLM2はホーン型ながら、ドーム型トゥイーターのように薄い。
しかも5kHzのカットオフ周波数のローカットフィルターを内蔵して、である。
おそらくローカットフィルターは12dB/oct.のスロープ特性だろうから、
コイルとコンデンサーがひとつずつハウジング内に収まっているはず。

DLM2は少なくとも1967年以前からあったわけだ。
JBLの075は1956年に登場している。

1950年代のアメリカのトゥイーターと1960年代のイギリスのトゥイーター。
周波数特性の高域の伸びということでは、どれだけの差があるだろうか。

喫茶茶会記では、中高域を受け持つドライバー806Aの端子に並列に接続されていた。
5kHz以上からDLM2も鳴っていた。
806Aはローカットはしているが、高域に関してはハイカットフィルターは通していない。

私がDLM2のことを、サブトゥイーターと呼ぶ理由は、このへんにある。
しかもDLM2は正面には向けずに、ほぼ上向きにしている。

このDLM2を今回、075にしてみたわけだ。
交換するにあたって、あれこれ考える。

自分のシステムならば、常にいじれるけれど、
喫茶茶会記のスピーカーなので、月に一回。
それも調整だけに時間をさけるわけでもない。

基本的にアルテックの2ウェイシステムに075というJBLのトゥイーターを追加する、
DLM2と交換するという考えではなく、そう考えていた。

クロスオーバー周波数をどのくらいにするか、
806Aの上の帯域をカットするのか、そのままにしておくのか、
スロープ特性は……、レベル設定は……、
置き場所、置き方は……、
これらをひとつひとつ音を聴いていってセッティングをつめていければいいけれど、
そうもいかない。

とにかく今回は075をアルテックの2ウェイに追加することで、
どんな変化が得られるのか、その様子見といったほうがいい。

結局、2016年8月のaudio wednesday「新月に聴くマーラー(Heart of Darkness)」では、
2405を鳴らしている。このときコンデンサーだローカットしている。
今回も、そのコンデンサーをそのまま使用した。

容量は0.47μFと0.22μFのコンデンサーを並列に接続だから0.69μF。
075のインピーダンスは16Ωだから、単純計算では14.4kHzのカットオフ周波数となる。