Archive for category テーマ

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その3)

Model 9kに最初からついてくるEL34(6CA7)は、どこのメーカーなのか。
私のところにやって来たModel 9kにはRCAの、いわゆる太管が挿さっている。ほとんど使われていなかったようだ。

ステレオサウンド 49号の写真には、内部だけでなく部品一式のものもある。こちらも不鮮明なのだが、GEの太管の箱があるのがわかる。

画像検索して表示される9kではテレフンケンのことも多い。真空管だから、作った人が挿し替えていることもあるが、なんとなくではあるが、元々はGEかRCAの太管だったような気がする。

内部を見て、最初に感じる違いは、やはりコンデンサーである。
オリジナルの9は、よく知られるとおりGOOD-ALL製。9kで使われているのは、イギリスのPLESSEY製のフィルターコンデンサーで、品質はともかくとして、オリジナルのGOOD-ALLと比較して、とにかく細い。

そのため内部をパッと見た印象がややスカスカに感じてしまうし、なんとなく頼りない感じすら受ける。
音を聴けば印象は変るかもしれないが、代わりとなるコンデンサーも用意する。

こんなことをあれこれ考えているのが楽しい。

Date: 4月 22nd, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その2)

マランツのModel 9に関することは、以前からかなり知っているつもりだった。
それでもModel 9kがやって来て、底板を開けて内部を見ていくと、発見はいくつもある。

Model 7k、Model 9kのことは、ステレオサウンド 49号の記事で知った。内部の写真も載っているが、モノクロで小さく不鮮明なので、細部まではわかるような写真ではない。

そんな写真でも、Model 7やModel 9の内部を見る機会があった後に見れば、得られる情報は49号を最初に読んだからとはずいぶんと違ってくる。

それにいまはインターネットで画像検索がすぐにできる。オリジナルのModel 9、キットのModel 9k、レプリカのModel 9SEの内部をカラー画像で見ることができる。

そうするとずいぶんとそれそのモデルでも違いがあることがわかる。
オリジナルは相当に古いわけだから、多くの個体がメンテナンスがされているだろうし、9kにしても発売は1978年だから、これも古い。
それにキットだから、作る人によっては自分で部品を変更していることも十分ある。

今回9kの内部を画像検索してみると、けっこう違いがあるのがわかる。どういう理由で違うのかまでははっきりしないが、49号のぼんやりした写真と比較しても、違う。

私のところにやって来たModel 9kの作りは丁寧だ。オーディオメーカーのエンジニアの方が組み立てられたというのは、本当だな、と思える仕上がり。

このまま音を出しても問題なさそうな状態なのだが、まだ鳴らしていない。
残念なことにフェイズ切替とローカットフィルターのトグルスイッチが経年変化によって、壊れかけているからだ。

でも幸いなことに、Model 9kに使われているトグルスイッチは、いまも現行製品で、新品が手に入る。アメリカの会社だからなのだろうか。

iPhoneでModel 9kの実機の内部と画像検索の結果を比較できるし、使用部品も検索できて、注文までできる。

Date: 4月 21st, 2026
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプのバイアス調整のこと

フッターマンのOTL2、マランツのModel 9kが続けてやって来た。
フッターマンはOTLアンプ、Model 9kは出力トランスを持つという大きな違いがあるが、どちらも出力管のバイアス調整をユーザーが行う点では共通している。

昔からバイアス調整は、そう簡単ではない、といわれ続けている。最初はよくても、しばらくするとズレくるから、こまめなチェックと調整が必要になると。

確かにそういう面はあるけれど、昔から疑問なのは、バイアス調整用のポテンショメーターに、カーボン型を使うことだ。

固定抵抗もそうなのだが、カーボン抵抗の温度係数は概ね −200〜−800ppm/℃程度。他の抵抗体に比べて劣っている。
つまり真空管アンプのシャーシー内の温度が上昇していくと、抵抗値が変動する。
抵抗値が変動すれば、バイアスも当然ズレてくる。

それだけでなく、細かいことを指摘すれば均一性の欠如がある。カーボン皮膜は抵抗体全体が同じ温度特性を持つわけではないため、調整した位置(接点位置)によっても温度係数に微妙な違いが生じているとみていい。

レベルコントロールのように、常に音量設定をして頻繁に動かす使い方ではまだしも、バイアス調整は、いわば半固定的な使い方のため、接点位置による不均一性は、そのまま温度ドリフトとして現れると考えていいはずだ。

カーボン型ポテンショメーターをバイアス調整に使うことによって、バイアス調整を面倒なことにしている、と私は考えている。

カーボン型よりも導電性プラスチック型、さらには巻線型を使えば温度係数は小さいのだから、適している。

もっといえば同じ品種のポテンショメーターでもワット数が大きいほど温度係数も小さくなる。

Date: 4月 20th, 2026
Cate: 真空管アンプ

管球式OTLアンプのこと(その4)

別項で何度も触れているように、私が真空管アンプで、素直にカッコいいと感じたのは、
伊藤先生が無線と実験で発表されたシーメンスの直熱三極管Edの固定バイアスのプッシュプルアンプが初めてだった。

同時にEdにも一目惚れした。
それだけにEdには思い入れがたっぷりあったにもかかわらず、伊藤先生の、西日暮里にあった仕事場で聴くことが叶ったEdのシングルアンプの音には、がっかりした。

伊藤先生は、300Bのシングルアンプも聴かせてくれた。
度肝を抜かれた。そのくらいEdと300Bとでは、違っていた。

Edは美しい球なんだけど、音は……、と伊藤先生の言葉ははっきりいまでも憶えている。

それでもいつかはEdのアンプも作ってみたいな、と思っていたら、Edの価格の値上りのすごいこと。
すでに製造中止になっていたのだから、仕方ないとはいえ、音のことを思うと手が出なかった。
するとまた値は上がっていった。手が出せないほどに。

Edは美しい球だし、300Bは立派な球だと思う。

それからEL156は、カッティング用アンプに採用されていた真空管という記事を読んで、すごいなと興味を持ったし、
もっとポピュラーな球のEL34、EL84、KT88なども、それからラジオ球と呼ばれる真空管のいくつかも好きな真空管だ。

出力管だけで音が決まるわけではないものの、それでも管球式パワーアンプにおける出力管の存在は大きい。

私は真空管そのもののマニアではないから、珍しい真空管でアンプを作ってみようという気はない。
これまで聴く機会のあった管球式パワーアンプで気に入った音を出してくれたモノに搭載されていた出力管が気に入っている。

愛着を多少なりとも感じている真空管あるのかないのか。管球式OTLアンプには、そのことを感じないし、
6LF6をはじめ管球式OTLアンプに採用される出力管に、私は思い入れとか愛着は感じていない。

その音は気に入っているのだから、少なくとも6LF6には、少しばかり愛着を感じてもよさそうなのに……、と自分でも思うのだが、やっぱりない。

Date: 4月 17th, 2026
Cate: 真空管アンプ

マランツ Model 9kがやって来た(その1)

昨晩は、アルテックのA4の調整に行っていた。18時すぎから始めて、音が鳴ったのは2時ごろだった(これについては別項で触れる)。
電車はとうに走っていない時間帯なので、車で自宅まで送ってもらった。
それだけでなくマランツのModel 9とともに送ってもらった。

なので少し前のフッターマンのOTL2に続いて、Model 9がやって来た。

話ではオリジナルではなく、レプリカだと思うということだったが、ACがインレットになっていないことに気づいた時点で、9Kなんだろうな、と思っていた。

朝方3時ごろに帰宅して、いくつかチェックすると、やはり9kだった。
9kは1978年に登場したキットであり、末尾のkは kit(キット)を表す。

これまでずっと9Kだと思っていたが、本体には9kと小文字だ。

このModel 9kは、あるオーディオメーカーのエンジニアの方が作られたモノらしい。まだ中を見てないので、どのレベルの人の手によるモノなのかは、まだなんともいえない。

オリジナルの9、キットの9k、レプリカの9。
評価が高いのは、もちろんオリジナルの9で、次がレプリカの9、9kの評価は良くない。

それでも私は全く気にしていない。どの個体を手に入れたとしても補修作業は行うわけだからだ。9kだから、むしろやり甲斐があるな、と私は思う方だ。

Date: 4月 16th, 2026
Cate: 真空管アンプ

管球式OTLアンプのこと(その3)

カウンターポイントの設計者といえばマイケル・エリオットを思い浮かべる人が大半だろうが、カウンターポイントのデビュー作SA1の設計者はエドワード・スマンコフで、彼が創業者でもある。

1982年から社長に就任したのがマイケル・エリオットで、SA5が彼のカウンターポイントでのデビュー作となる。

SA1とSA5の回路はずいぶん違う。見た目こそ同じだが、当然音も違う。
安定していたSA1の音は、もう一度聴きたいと思うほどだが、これがなかなか不安定なところのあるアンプだった。

SA5に、そんな不安定さはなかった。そのSA5は、あるメーカーのエンジニアが、SA5の設計は私だ、と主張していた。

カウンターポイントとほぼ同時代のミュージック・レファレンスのロジャー・モジェスキーがそう言っていると、
ミュージック・レファレンスの輸入元の人が教えてくれた。

確かにミュージック・レファレンスのコントロールアンプ、RM5とSA5の回路はよく似ている。

回路だけでアンプの音が決まるわけではないので、RM5とSA5の音が同じなわけではなかった。
仮に同じだったとしても、どちらをとるかといえばSA5である。

デザインの違いで、SA5を選ぶわけだが、そのデザインはカウンターポイントの創業者、エドワード・スマンコフからのものだ。

そしてパワーアンプのSA4も、ロジャー・モジェスキーによると彼の設計らしい。
とはいえミュージック・レファレンスから管球式OTLアンプは登場しなかったから、この話がどこまで本当のことなのかなんとも言えない。

本当だとしても製品としてまとめ上げたのはカウンターポイントなのだから、それに音を聴けばカウンターポイントのアンプの音であるから、
設計者がロジャー・モジェスキーであったしても、私はどちらでもいいぐらいに受け止めている。

Date: 4月 15th, 2026
Cate: 真空管アンプ

管球式OTLアンプのこと(その2)

OTLアンプとは、念のため書いておくとOutput Transformer Lessの略であり、出力トランスを省いたアンプのことだ。

真空管はトランジスターのように内部インピーダンスが低くないため、スピーカーの一般的なインピーダンス(16Ω、8Ωなど)に合わせるには、
インピーダンス整合のために出力トランスが不可欠な存在となる。

出力トランスに限らずトランスは、バンドパスフィルターでもある。そのためトランスの設計にはフィルター理論が重要ともいえる。

トランスにもメリット、デメリットがあって、トランスのデメリットを嫌う人も、オーディオの世界では多い。
管球式パワーアンプの出力トランスだけでなく、ラインレベルを扱うトランスすら、全て排除する(したい)と考えている人は、結構いる。

彼らは「トランスの音がする」という。
その気持は理解できるところもあるが、そういう彼らの中には、トランスが信号系に当たり前に使われていた時代の録音を絶賛したりもしている。

そういう録音からはトランスの音が聴き取れないのだろうか。

そんなツッコミをしたくなるのだが、管球式OTLアンプの動きは、フッターマン登場以前からあった、と聞いている。

実用化し製品化したのがフッターマンが最初であり、そのことでフッターマンがOTLアンプの、いわばオリジネーターと見做されている。

そのフッターマンのアンプは、OTLアンプではあるが、OCLアンプではない。
OCL(Output Condenser Less)ではないため、出力の最終段に直流カットのためのコンデンサーが介在する。

出力管に6LF6という共通点があるが、復刻フッターマンとカウンターポイントのSA4の違いが、ここにもある。
SA4は管球式OTLアンプとともにOCL回路でもある。

Date: 4月 14th, 2026
Cate: 真空管アンプ

管球式OTLアンプのこと(その1)

管球式OTLアンプのことは、いつかまとめて書こうと思っていた。そこにフッターマンのOTL2がやって来た。

私がオーディオに興味を持った1976年、この時、管球式OTLアンプは、隅っこに追いやられている感じすらあった。
それ以前、ラックスからMQ36というOTLアンプがあったことは知ってはいた。

とはいえ詳しいことは何も知らない。ステレオサウンド 50号での井上先生による文章で、やっぱりいいアンプなのか、
そのぐらいを知った程度である。

その頃になると、知識としてフッターマンがあって、テクニクスからも製品化されていたこと、自作アンプの世界でもOTLアンプに挑戦する人が何人もいたこと、
管球式OTLアンプの出力インピーダンスの高さに合わせて、スピーカーのボイスコイルを巻き直してハイインピーダンスに改造する、とか、
そういった断片的な知識だけはあった。

MQ36が製造中止になって、OTLアンプを手掛けていたのはエトーン、マックトン、マクソニックぐらいだった。

こういってはなんだが、この三社はマイナーなブランドだった。
マクソニックはスピーカーでは知られていても、管球式OTLアンプを使っていたことを知っている人は、そう多くない。

エトーンはステレオサウンドの広告を見て、いつか聴いてみたいと思っていたけれど、どういう音だったのだろうか。

とにかく管球式OTLアンプは、数が少ないだけでなく、それ以上にマイナーな存在だといえた。

それでも聴いてみたい、という気持だけは持ち続けていた。
やっと聴けた管球式OTLアンプは、別項でも書いているようにフッターマンが最初である。
そしてカウンターポイントのSA4が登場した。

今ではウエスギからも登場したし、日本に輸入元がなくなったため入ってこなくなったが、ドイツにアインシュタインがある。

私が知らないだけで、他にもメーカーがあってもおかしくない。それに自作マニアで挑戦している人も少なくないと思う。

一般的な管球式アンプと管球式OTLアンプの違いは、出力トランスを背負っているかいないなのだが、
私にとって、この二種のアンプの違いはそれだけでなく、出力管への思い入れがあるかないかでもある。

Date: 4月 14th, 2026
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第二十六夜(いよいよ明日)

明日(4月15日)は、渋谷で行うようになって五回目のaudio wednesday。
今回も初めての方が来られる予定。

2011年2月にスタートして、十五年が経った。
最初の頃は音は鳴らせなかった。五年目くらいから音を鳴らせるようになった。

四谷三丁目でやっていた時は、システムのセッティングを一からやって終了後、バラしていた。
狛江でも基本的に同じで、ほぼ毎回システムのセッティングから始まる。

渋谷では、そこが違う。おかげで肉体的に楽になった。楽になったからこそ新たにやれることはないか、あれこれ考えている。

Date: 4月 13th, 2026
Cate: ケーブル

ケーブルはいつごろから、なぜ太くなっていったのか(その23)

瀬川先生がステレオサウンド 5号、
「スピーカーシステムの選び方 まとめ方」の冒頭に書かれている、このことを先日のケーブルの比較試聴で思い出していた。
     *
 N−氏の広壮なリスニングルームでの体験からお話しよう。
 その日わたくしたちは、ボザークB−4000“Symphony No.1”をマルチアンプでドライブしているN氏の装置を囲んで、位相を変えたりレベル合わせをし直したり、カートリッジを交換したりして、他愛のない議論に興じていた。そのうち、誰かが、ボザークの中音だけをフルレンジで鳴らしてみないかと発案した。ご承知かもしれないが、“Symphony No.1”の中音というのはB−800という8インチ(20センチ型)のシングルコーン・スピーカーで、元来はフル・レインジ用として設計されたユニットである。
 その音が鳴ったとき、わたくしは思わずあっと息を飲んだ。突然、リスニングルームの中から一切の雑音が消えてしまったかのように、それは実にひっそりと控えめで、しかし充足した響きであった。まるで部屋の空気が一変したような、清々しい音であった。わたくしたちは一瞬驚いて顔を見合わせ、そこではじめて、音の悪夢から目ざめたように、ローラ・ボベスコとジャック・ジャンティのヘンデルのソナタに、しばし聴き入ったのであった。
     *
ラジオ技術のメイン執筆者であった高橋和正氏は、ある時からケーブルは細い方が好結果が得られる、と主張されるようになった。

47研究所の木村準二氏も、細いケーブルを高く評価されているし、実際47研究所のケーブルは本当に細い。

今回聴いたケーブルのうち二本は細かった。かなり細い。比較試聴したケーブルのもう一本は一般的な太さである。

そのケーブルの後に、細いケーブルを聴く。
その時の音は、まさしく瀬川先生が書かれていることを、そのまま音にしたものと感じていた。

《突然、リスニングルームの中から一切の雑音が消えてしまったかのように、それは実にひっそりと控えめで、しかし充足した響きであった。まるで部屋の空気が一変したような、清々しい音であった。》

レナータ・テバルディのCDを聴いていた。
テバルディが声をひそめて歌うところ、まさにそうであった。
他のケーブルだと、声量を落として歌っているだけに思えるほど、その表情が大きく違う。

テバルディは素晴らしい歌手だと思っていたが、こんなにも素敵な歌手だと、恥ずかしながらいままで気づかなかった。

Date: 4月 12th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その6)

オーディオマニアの中には、ナカミチマニアもいる。
ナカミチに限らず、JBLマニアもいるし、他のブランドのマニアもいるが、
ナカミチマニアが、いちばん熱心というか、やや言葉は悪いが狂信的なマニアではないだろうか。

ナカミチの全機種を蒐集している人もいる。
同じ歳の友人Aさんも、ナカミチが好きだった。
彼はハタチごろ、秋葉原の光陽電気でアルバイトをしていた。
ナカミチからDragonが発売になっていた頃である。

彼はDragonが好きだった。もちろん自分でも購入していたし、お客にも熱心に勧めたそうだ。
個人でDragonを一番売った男とのこと。

Dragonに興味がある客、買いたそうな客はすぐにピンとくるそうだ。その人に熱心に説明する。

Dragon好きの男が、Dragonを好きになりそうな、好きな人を相手に声をかけるのだから、かなりの台数を売り上げたのもわかる。

フラッグシップモデルとして1000があり、その下に700。
一般的なコンポーネントのサイズのデッキとして500シリーズ、600シリーズがあり、
数字の型番から外れたモデルとしてDragonを出してきたナカミチ。充実したラインナップを形成していた。

Aさんは、Dragonをカッコいいと熱く語っていた。

私には理解できないものの、ナカミチはマニアを熱くさせる何かを持っていたのだろう。ナカミチマジックと呼んでいいのかもしれないし、
ナカミチマジックは、音の面でも言うことができた。

ナカミチのカセットデッキで録音したテープは、ナカミチのカセットデッキで再生する分には、
確かにいい音なのだが、ナカミチで録音したテープを他社製のカセットデッキで再生、
反対に他社製のカセットデッキで録音したテープをナカミチのカセットデッキで再生した音は、
意外なほど冴えない場合が多い。

Date: 4月 12th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その5)

メタルテープが登場した時、オーディオマニアとしてどんな音が聴けるんだろう、と私だって興味を持った。

TDKからMA-R、ソニーからMetal Masterが登場してくると、聴いてみたいという気持は強くあったけれど、
どちらのメタルテープも、未だに聴きていない。

ヤフオク!に出品されている未開封のモノ、MA-RもMetal Master、どちらもかなり高額。
買えない金額ではないものの、そこまでして……という気持が、私の場合、強い。

ナカミチの680ZXを、もしこれから先手に入れることがあったら、MA-R、Metal Master、どちらかは高価でも落札するだろう。

680ZXは標準速だけでなく半速での録音・再生ができる。同時代のマランツのカセットデッキは倍速に対応していた。

音のことだけをとれば、倍速での録音と再生となるが、私の興味は少し別のところにあって、
680ZXとMA-RかMetal Masterとの組合せだと、半速で、どれだけのクォリティを維持できるのか。ここに興味が、いまでもある。

メタルテープには、どのメーカーからもC120は出ていなかった。C60だけのメーカーもあったし、C90までしかなかった。

半速だとC90で片面90分録音できる。CDよりも長い収録時間。

だからといって、その倍になった収録時間をどう活かすのかをあれこれ考えていたわけではない。
単純に、すごいなぁ、どれだけの音質なのだろうか、そこへの興味だけである。

それを確かめたいだけなのだが、私にとってナカミチのカセットデッキといえば、680ZXだけとなる。

Date: 4月 11th, 2026
Cate: ケーブル

ケーブルはいつごろから、なぜ太くなっていったのか(その22)

スピーカーの出力音圧レベルが大きく違う場合、同じ音圧を得るには、当然だが、出力音圧レベルが低いスピーカーであれば、大きなアンプの出力が必要になるし、
スピーカーケーブルを流れる電流もそれに応じて大きくなる。

例えば100dB/W/mを超える出力音圧レベルのスピーカーと、今時のスピーカーのように80dBぐらいの出力音圧レベルのスピーカーとでは、必要なパワーは違う。

それに100dB超えのスピーカーは、大抵、往年の大型スピーカーだったりする。その場合、スピーカーのインピーダンスは16Ω、15Ωと高い。

一方、今時の80dB前後のスピーカーだと8Ωのモノもあれば4Ωのモノは多くある。

100dB超え16Ωのスピーカーと、80dB前後4Ωのスピーカーとでは、必要なパワーの差はさらに大きくなる。

そう考えると、100dB超のスピーカーには細いスピーカーケーブルでも問題はなくても、
80dB前後で4Ωのスピーカーでは、その細さが問題となってくる──、
そういうふうに考えられるといえば、そうともいえる。

今日、あるところでケーブルの比較試聴をしていた。その結果から、何がいえるだろうかと考えているところなのだが、理屈はそうだけど……、となっている。

Date: 4月 11th, 2026
Cate: 戻っていく感覚

My Favorite Things(カセットデッキ篇・その4)

私が熱心に読んでいたころのステレオサウンドは、カセットデッキ、オープンリーデッキをあまり取り上げていなかったのは、
姉妹誌に隔月刊のテープサウンドがあったからだろう。

私が住んでいた田舎の書店に、ステレオサウンド他オーディオ雑誌はけっこう並んでいたが、
テープサウンドは見かけた記憶がない。

テープサウンドがない、ステレオサウンドでもあまり取り上げない。そのこともカセットデッキ(テープ)にあまり関心を持てなかったことにつながっていると思っている。

それにLPを買ったらカセットテープに録音して、そちらを聴く──、
そういう習慣は私にはなかった。多くの人がそうだろうと思っていたら、
意外に多くの人が、まずカセットテープに録音していた、と話すのを聞いて、えっ、そうなのか、と驚いたことが何度もある。

LPの録音ということを積極的にやっていたら、カセットデッキ(テープ)への関心は相当に違っていただろうが、そうではなかった。

メタルテープが登場した時、もちろん興味はあった。でもそのころ使っていたカセットデッキはメタルテープ登場以前の機種ゆえ、当然対応していない。

メタルテープ対応のカセットデッキを買うだけのお金があれば、LP再生環境を良くしたい、と思っていたから、
メタルテープの音を聴いたことは数度あっても、自分で使ったことはずっとなかった。

メタルテープ対応カセットデッキを手に入れたのは2019年、ヤフオク!で落札したヤマハのK1dが初めてである。
カセットデッキは手に入れても、メタルテープも落札するまで、しばらく聴くことはできなかった。

自分のシステムで、自分で録音して(といってもCDのダビング)聴いたのは2020年になっていた。

私のカセットデッキ(テープ)への関心の薄さは、このことからもわかってもらえよう。

カセットデッキ(テープ)へ強い関心のある人にとってのナカミチと、
関心の薄い私にとってのナカミチの存在の大きさは、ずいぶんと違ってきて当然である。

Date: 4月 11th, 2026
Cate: ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その34)

(その33)で、アルテックの604-8Gを中心としたスピーカーシステムで、
ウーファーにあえて604-8Gの15インチよりも小口径のウーファーを持って組み合わせるのも面白いかもしれない、と書いた。

以前、別項で書いているように世の中には同じことを考える人が三人はいる、そうだ。

今日、facebookを見ていたら、ジャーマン・フィジックスがようやくGaudiの次期モデルを完成させていることを知った。

二年ほど前から、Gaudi MKIIIは、ずっとcoming soonのままだった。
ずいぶんと時間をかけて開発しているな、かなり大きな変化があるのかも、と完成するのが楽しみだった。

Gaudi MKIIIは、ウーファーセクションが別エンクロージュアになっている。
     *
This picture shows one of the bass sections of the new German Physiks Gaudi Mk III omnidirectional loudspeakers being prepared for shipping. It uses three separate, sealed cabinets. In the centre is the woofer cabinet. This is fitted with a forward facing 15-inch driver and covers the range from 60Hz to 200Hz.

Above and below this, are the sub-woofer cabinets. Each is fitted with four 10-inch drivers and these cover the frequency range from 60Hz down to 18Hz. The drivers are arranged two on each side of each cabinet, which cancels out their reaction forces.
     *
Gaudi MKIIIのウーファーに関しては、上記のように書かれていた。

三つのブロックを積み重ねた構成で、中心に15インチ口径ウーファーがある。
これを挟み込む上下のブロックには、10インチ口径ウーファーが左右に二発ずつ搭載されている。

15インチ口径ウーファーが受け持つのは60Hzから200Hz、
10インチ口径ウーファー(四発)が受け持つのは60Hzから下の帯域、18Hzまでと公表されている。

15インチ口径ウーファーがミッドバス的に使われている。同じことを考える人が、やはりいる。

Gaudi MKIIIを聴く機会は、まずないだろう。
それでも同じことを考える人がいて、製品として出してきたのを知ると、心強いし、
かなり真剣にスピーカーユニット選定を始めたい。