Archive for category テーマ

Date: 11月 23rd, 2025
Cate: 訃報

Ornella Vanoni (22 September 1934 – 21 November 2025)

いまの時代、誰かの訃報はニュースサイトよりも早くソーシャルメディアで知ることの方が多くなった。

オルネラ・ヴァノーニ(Ornella Vanoni)の訃報はニュースサイトでだった。
こんなこともあるのか、このニュースサイトの記者の人の中に、オルネラ・ヴァノーニのファンの人がいたのか。

オルネラ・ヴァノーニは、まさしくイタリアを代表する歌手なのだが、日本ではイタリアでの知名度はない。

オルネラ・ヴァノーニがお好きだった黒田先生。
私などは、オルネラ・ヴァノーニ聴きとは言えないし、たまらなく好きなわけでもない。

それでもTIDALで音楽を聴くようになってからは、割と聴くようになっていた。
新譜も出ていた。90歳をこえていての新譜である。過去の人(歌手)ではない。

HMVで、以前オルネラ・ヴァノーニのCDを購入したことが何度かあるため、
HMVからのメールの中には、オルネラ・ヴァノーニの新譜の案内があったりする。

それでTIDALで検索して聴く。そんなことをここ数年間やっていた。

おそらく、もう新譜は出ないだろう。

Date: 11月 22nd, 2025
Cate: スピーカーとのつきあい

BOSE 901というスピーカーのこと(その8)

昨年12月のaudio wednesdayでは、BOSEの901の上にエラックのリボン型トゥイーター、4PI PLUS.2を置いて鳴らした。

901単体で鳴らしても、もちろん興味深いスピーカーなのだけども、
井上先生もステレオサウンドでの組合せでやられているように、ウーファーとトゥイーターを足すというのもありだ。

井上先生は901の四段スタックの上に、
ウーファーはエレクトロボイスの30W、トゥイーターはピラミッドのリボン型T1を足しての、
相当に大掛かりなシステムをやられている。

901のスタックは私もやってみたいのだが、すでに901は製造中止だし、
同等のコンディションの901を揃えるとこまでは、正直やる気はない。

でもウーファーとトゥイーターに関しては、手持ちのモノでできる。

トゥイーターはエラックがあるし、ウーファーはサーロジックがある。

ここまでやるとなると、901の設置場所をメインスピーカーの場所とするしかないし、
それは大変だなぁ、と思いつつも、もうひとつ考えているのは、
ジャーマン・フィジックスのTroubadour 40のウーファーとしての試用を考えている。

これで、いい感じの手応えを得られたら、20cm口径のウーファーで、901的スピーカーを作り──、という手がある。

Date: 11月 21st, 2025
Cate: スピーカーとのつきあい

BOSE 901がやって来た

昨年12月のaudio wednesdayで鳴らしたBOSEの901を、今日、狛江から引き上げてきた。

二十二回続けたaudio wednesdayのために、いくつかのオーディオ機器をずっと置いていた。
それらを狛江でのaudio wednesdayの終了に伴い、今日、引き上げてきたわけだ。

その中に901がある、といっても私が所有しているのではなく、昨秋、ある方から借りているモノだ。

901は、これまで何度か書いてきたようにステレオサウンドの試聴室で、井上先生が鳴らされる音を聴いている。
それ以外の場所で聴いた(鳴らした)のは、昨年12月のaudio wednesdayだけだ。

私の部屋は広くない。901以外のスピーカーもある。そういう環境で、どう鳴ってくれるのか、楽しみだ。

すんなり鳴ってくれるのか、少し苦労することになるのか。鳴らしてみないことには、なんとも言えない。

またオーディオ機器全体のセッティングを変えようとも考えているから、実際に音を出すまでには、少しばかりかかる。

年末年始にゆっくり聴くことになりそうだ。

Date: 11月 20th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その20)

オーディオショウやオーディオ店に頻繁に行き、いろいろな音を聴くことは、
その人の音の聴き方の幅を広げていくのだろうか。

広がっていく人もいるし、まったくそうでない人もいる──、としか言えない。

結局、聴いた数(経験とはあえて書かない)と、音の聴き方の広がりには、比例関係はあってないようなものだろう。

オーディオの雑談をしていると、あゝ、この人は音の聴き方の幅が狭いな、広げようとも思っていないんだろうな、と感じることがある。

オーディオは趣味だから、それでいいだろう。
そんな返事がかえってくることがわかっているから、そんな指摘はしない。

Date: 11月 19th, 2025
Cate: きく

音楽をきく(その7)

この項では、私が十代だったころの田舎での音楽体験がどんなものだったかを書いている。

その頃、熊本にはFM局はNHKだけだった。
テレビも同じ感じだった。

NHKが総合と教育の2チャンネル、民放は1チャンネルしかなかった。
民放が一局増えたのは、1969年。私が六歳の時で、私が熊本にいた頃は、増えることはなかった。
しかもUHF局だったため、開局したからといってそのままで受信できたわけではなく、
UHFコンバーターを買ってこなければならなかった。

新聞のテレビ欄は、隣の福岡の分も掲載されていた。こんなにテレビのチャンネルの数が違うのか。
その頃の田舎の子供の多くは、そう思っていたはず。

民放局のチャンネルが少ないということは、小学校時代、クラスの皆んなが見ている番組は、ほぼ同じだったということだ。

チャンネルの選択肢、番組の選択肢がほぼないに等しいのだから、そうなってしまう。

このことは、いまふりかえってみると、良かったことなのかも──、と思ったりもする。

Date: 11月 19th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その5)

小林秀雄が「様々な意匠」のなかで語っていた《粉飾した心のみが粉飾に動かされる》、
丸山健二の「新・作庭記」にある《優しさを装って肯定してくれる》、
このことを、オーディオに限ってのことで強く実感した一年でもあった。

具体的なことは書かないけれど、そういうものなのか……としか言いようのないことがあった。

それだけのことだ。

Date: 11月 18th, 2025
Cate: ショウ雑感

2025年ショウ雑感(その19)

インターナショナルオーディオショウが終っても、東京でも大阪でも各地で、オーディオショウが開催されている。
販売店主催のショウも、ずいぶん増えた。

インターナショナルオーディオショウの規模がいちばん大きくても、聴くことができないブランド、製品はけっこうな数になる。

インターナショナルオーディオショウで聴けないモノが、別の所でのショウでは聴けたりする。
いいことだと思う。

全てのオーディオショウとまでいなくても、けっこうな数のオーディオショウに足を運ぶ人はいる。
そうやって、いろんなオーディオ機器に触れ、音を聴く。
けっこうなことだ。

別項で書いているが、オーディオ店、オーディオショウで聴いたオーディオ機器の数をやたら誇る人がいる。

数を聴くことが悪いとは言わないが、それでもオーディオ店やショウで聴ける音は、
あくまでも参考程度に留めておくべきで、そこでの音で評価は、まずできないと思っていた方がいい。

もちろん必ずしも全てがそうだと言わない。
惚れ込める音との出逢いは、それがたとえあまり良くない状態で鳴っていたとしても、
何か感じるものがあるからだ。

2002年のインターナショナルオーディオショウ、タイムロードのブースで鳴っていたジャーマン・フィジックスの音が、
私には、まさしくその音だった。

そんな例もあるが、それでも、そこで聴けた音は、
その製品そのものの音というよりも、
そのブースの鳴らし手の音(実力、感性、情熱)を聴いていると思って、間違いない。

だから、今回のショウでは、これだけの数のオーディオ機器の音を聴いた──は、ほとんど意味を持たない。

ステレオサウンド 97号に海外メーカーのスタッフのインタヴュー記事が載っている。
マイクロメガのダニエル・シャーのインタヴューがある。
     *
最近はよくリファレンスシステムについて訊ねられますが、私はこれを公開することで、オーディオファイルが誤解することを危惧しますね。というのは、それぞれのイクイップメントには長所と短所があり、それらすべてをよく理解できているものが、リファレンスとして、サウンドデザインに使用できるのです。かりに、私がこのメーカーのこれをリファレンスにしていると言ったら、オーディオファイルによってはこれが最高なのかと早とちりしてしまうかもしれないし、またある人はこんな機器を使っているのかと蔑み、私の製品を理解しようとはしないでしょう。このような状況が考えられますから公表したくありません。
     *
ここで述べられている危惧とはまったく同じとは言えないものの、深いところでは同じ危惧と言える。

Date: 11月 18th, 2025
Cate:

賞からの離脱(その53)

あと一ヵ月足らずで発売になるステレオサウンドの最新号の特集は、毎年恒例のステレオサウンド・グランプリ。

どの製品が選ばれて、ゴールデンサウンド賞はどのモデルなのか。
以前は、書店に本が並ぶまで読者は知りようがなかった。

ある程度の予想はつくものの、実際に選ばられるモデルとそうでないモデルとがあり、
ページをめくりながら、やっぱりか、とか、意外とか、そんなふうに楽しんでいたのが、
いまでは本の発売前に、大半の受賞モデルがわかってしまう。

ソーシャルメディアで、メーカー、輸入元が、受賞しました、と告知するからだ。
ゴールデンサウンド賞も、どのモデルなのかがわかっている。

本を手にしてページをめくっていく楽しみを、ステレオサウンドが損なうことをやっているともいえる。

Date: 11月 17th, 2025
Cate: audio wednesday
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audio wednesday (next decade) –第二十二夜(番外編として再開)

10月の第二十一夜で一旦終りとなったaudio wednesdayだが、
12月、第二十二夜として行う。

場所も決まっている。
大勢が入れるスペースではないため、今回は再開する、という告知だけになる。

番外編として、まずやってみて、来年以降、どうするのかを含めて考えていきたい。

Date: 11月 16th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その4)

この時期になると、ここ数年、一年をふりかえって、思い出したことを書くようにしている。

この項を書く書かないに関係なく、11月になると、
もう少しで11月7日だ、
今日が11月7日だ、
今年も11月7日が過ぎていった……、とおもう。

来年も再来年も、これから先ずっとそうなのだろう。
呆けてしまわない限り、もしかすると呆けてしまっても、
11月7日がどういう日なのかを思い出せなくなっても、
そろそろ11月7日だなぁ、今日が11月7日だなぁ、
今年も11月7日が過ぎていったなぁ、とひとりごとを言ってるかもしれない。

Date: 11月 15th, 2025
Cate: スピーカーの述懐

スピーカーの述懐(その65)

スピーカーの言うことをよく聴いて鳴らす、それだけ。
最近、そんなふうに思うようになってきた。

スピーカーから鳴ってくる音をよく聴いて、ではない。
スピーカーの言うこと、言ってくることをよく聴くこと。

何の違いがあるのか、と思われるだろう。
うまく説明できないもどかしさがあるが、同じとは感じていないのが、いまの私だ。

Date: 11月 14th, 2025
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その27)

エレコムからナトリウムイオンバッテリーが登場した。

詳細はリンク先を読んでほしい。
早速購入しようと思ったら、品切れだった。

リチウムイオンバッテリーと比較して、音はどうなのか。早く手に入れたい。

Date: 11月 13th, 2025
Cate: オーディオマニア

つきあいの長い音(その48)

JBLの4343をひさしぶりに聴いたのは、2005年ごろだった。数年ぶりに会って頻繁に会うようになった早瀬文雄(舘 一男)さんのリスニングルームだった。

4343は1976年に登場しているから、この時点でほぼ三十年が経っている。

おそらくウーファーの2231Aとミッドバスの2121のエッジは張り替えられていたはず。

舘さんはずっと以前、鳴らされていたはずだが、その時の4343の音は聴いていない。聴いたのは4344だった。
二人して、やっぱり4343ですよね、と語っていた。

別項でも書いているように、あの時代、4343はスターというよりスーパースターだった。
だからアンチもかなりいた。

いかなスーパースターであっても、オーディオ機器はいずれ製造中止になって消えていく。
4343も消えていった(製造中止になった)。
代わりに4344が登場したわけだが、4344から4343に感じていたスーパースターのオーラのようなものは感じ取れなかった。

このことは舘さんも同じだったはず。だからこそ2005年に再び4343を、中古で手に入れられている。
4344を中古で買うことは頭になかったはずだ。

それから数年して、舘さんは京都に開業するために引っ越された。その京都ではDD66000を鳴らされていた。

京都のあと、ほんのわずな期間、東京に戻って、また、京都。それから沖縄。

沖縄でも4343を手に入れて鳴らされていた。沖縄は遠い。
遊びに来ませんか、と誘われていたけど、行くことはなかった。

Date: 11月 12th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その3)

2008年9月から書き始めた、このブログ。
書き続けているから出会える人がいる。

今年も何人の方と出会えた。
つい先日(11月10日)も会っていた。

六年ほど前からメールをくださっている方なのだが、なかなか会う機会がなかった。
audio wednesdayに機会をつくって行きたいです、と連絡があったのに、
audio wednesdayが終りになってしまった。

そうやって会える人もいれば、疎遠になっていく人もいる。
それでいい、と思っている。

Date: 11月 11th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Die Meistersinger von Nürnberg

Die Meistersinger von Nürnberg(ニュルンベルクのマイスタージンガー)を初めて聴いたのは、
ワーグナーの前奏曲集だった。いきなり全曲盤を聴いたわけではなかった。

何人かの指揮者で、前奏曲を聴いてからの全曲盤は、EMI録音のカラヤン/ドレスデン・シュターツカペレによる演奏だった。

全曲盤を聴いて、とにかく驚いたのは前奏曲が、前奏曲集で聴いた終り方でなく、
続けて第一幕の冒頭のコラールへと続いていること、そしてそれがたまらなく美しかったことに、驚いた。

だから、その後、いくつかの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を聴いているけど、
ここのところ、前奏曲から第一幕へと繋いでいく美しさが、どうなのか。

初めての全曲盤のカラヤン/ドレスデン・シュターツカペレの美しさが基準となってしまったから、どうしても比較してしまう。
このこともあって、できればステレオ録音で聴きたい。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲盤も全てを聴いているわけではない。
聴いていない録音もある。ショルティ盤は旧録音も新録音も聴いていない。

先日、ショルティ盤を初めて聴いた。旧・新録音、どちらも聴いた。
旧録音(ウィーン・フィルハーモニー)に惹かれた。