老いとオーディオ(2027年と2028年)
今は2026年3月。
あと一年と少しで、岩崎先生が亡くなられて五十年になる。
さらに一年と九ヵ月足らずで、岩崎先生の百回目の誕生日を迎える。
没後五十年と生誕百年が、やってくる。
今は2026年3月。
あと一年と少しで、岩崎先生が亡くなられて五十年になる。
さらに一年と九ヵ月足らずで、岩崎先生の百回目の誕生日を迎える。
没後五十年と生誕百年が、やってくる。
ルドルフ・ゼルキンが言っている。
“One should not play music; one should let the music play itself.”
(音楽を演奏すべきではない。音楽に自ら奏でさせるべきだ。)
スピーカーの鳴らし方も同じではないか。
オーディオマニアとして、無視できないキーワードがいくつかある。
方式や回路、部品や材質といった、いわば側面的、部分的な要素によって音が決まるわけではないことは、もちろん承知の上で、
それでも心惹かれてしまうキーワードといえるものがある。
それは人によって、世代によっても違ってくるものだろう。
私にとってのそういったキーワードが、他の人にとってはことさらを関心を抱くことさえないものだったりする。
そういうものだとわかった上で、私が惹かれてしまうのは、管球式OTLアンプがあり、直熱三極管がまず挙げられる。
つい先日、ヤフオク!でRCAの3A5という真空管を落札した。
新品を十本まとめての出品だった。
高くなりそうだったら諦めるということで、最初からこのぐらいで落札できたらいいな、と思う金額で入札した。
結果、その金額の七割くらいで落札できた。
3A5という真空管について詳しく知りたい人は検索してみてほしい。
3A5は電圧増幅用の直熱三極管だ。そんな真空管を手に入れて、どんなアンプを作りたいのか、具体的なことは何も決めたなかった。
十本落札できたら、こんなアンプも組めるなぁといったぼんやりした案はいくつかある。そのうちのどれかを作ることになるだろうが、
準備を進めるうちに気が変って、案そのものが変更になるかも──と自分でも思う。
アンプとチューナーにおけるデザインのペア性について忘れないうちに書いておきたいのは、薄型のチューナーのことだ。
マークレビンソンのJC2の登場は、国産アンプへいくつかの影響を与えたといえる。
まずアンプの薄型化である。
ヤマハのC2は、JC2の登場がなければ違ったスタイリングになっていたかもしれないし、JC2がなくとも、あのスタイルだったのかもしれないが、それでも、その登場は少し遅れたのかもしれない。
JC2はトーンコントロールを始め、いくつかのファンクションを、音質向上のためという名目で省いているが、
C2はトーンコントロールもしっかりと備えた上で薄型に仕上げているのは、ヤマハらしい。
C2の上級機のCIは、改良モデルが登場することはなかった。
C2はC2a、C2xと改良モデルが続いたロングセラーモデルだが、
ペアとなるパワーアンプのB2は最初から存在していたが、チューナーはなかった。
T2はしばらく登場しなかった。T2は薄型チューナーの先駆けでもあった。
このころ国産各社から薄型のチューナーが登場した。
パイオニアのF26、テクニクスのST9038Tなどがあった。
それ以前から、やや薄型のチューナーとしてラックスのT110があったが、10cmを切る薄さと比較すると、私の中では薄型チューナーの先駆けと感じるのは、上に挙げた三機種あたりからだ。
T2は新鮮に感じていた。C2とペアになるチューナーなんだ、と受け止めていたし、薄型のすっきりした印象は、チューナーは性能的にもサイズ的にも、こういう薄型チューナーで満足できる方がいいんじゃないか──、そんなふうに思わせました。
パイオニアのExclusive F3、ケンウッドのL01T、アキュフェーズのT104の三機種。
この中で音を聴いているのは、Exclusive F3だけだ。
音を聴いているといっても、私がいま住んでいるところは専用アンテナを用意できないし、
受信環境もいいとはいえないなので、音が鳴っているというレベルでしかなく、
その音について語れるわけでもない。
だから瀬川先生が書かれたものを読むしかないわけで、この三機種には音の共通性があるように感じている。
少なくともExclusive F3とT104は、どちらかといえば女性的な音であり、ウェットなはず。
L01Tも、そういう面を持っていると思っているし、L02Tにさほど惹かれないのは、そういう面が希薄かないと感じているからでもある。
Exclusive F3、T104、L01T、この三機種はそれぞれペアとなるアンプがある。
Exclusive F3にはExclusive C3が、T104には C240が、L01TにはL01Aという存在がある。
T104とC240、L01TとL01Aと比べると、Exclusive F3とExclusive C3は、デザインとして統一感があまりないと感じる。
私が別格のチューナーと感じているマランツのModel 10BとセクエラのModel 1は、Model 10Bには Model 7という存在がいるが、Model 1には、そういう存在はいない。
QUAD、ウーヘルのチューナーにもペアとなるアンプがあった。
ヤマハのCT7000とオーレックスのST720にも、そういう意味でのペアがいない。
CT7000には、ヤマハのプリメインアンプCA2000、CA1000IIIがあったではないか、と思われる方もいるだろうが、
この二機種とペアとなるチューナーはCT1000であり、価格的にもサイズ的にもそうである。
CT7000は、サイズ的にも合わないし、ヤマハのデザインらしいという点では共通していても、
デザインのペア性では、CT7000はペアとなるアンプを持たない存在だ。
別項で書いているアルテックのA4のネットワークは、クロスオーバー周波数500HzのN500Fが純正だが、
いまのところ、6dB/oct.のネットワークで鳴らしている。
これがベストなのかどうか、いまの段階でははっきりしたことは言えないが、
A4が収まる部屋とはいえ、劇場ほどの広さはない空間では、
かなりの音量を求めても、
ネットワークの減衰カーヴは6dBでも問題はないように感じている。
一般的な並列型ネットワークでの接続だが、直列型に変更するのは、すぐにできる。
A4のような大型スピーカー、つまりウーファーと中高域のドライバーとがかなり離れている場合、
並列型と直列型は、どういう変化を見せるのか、楽しみにしている。。
(その1)でチューナー篇から書き始めたのは、たまたま目の前にあったステレオサウンド別冊の表紙にセクエラがあったからだ、と書いている。
そうなのだが、もう一つ理由があって、チューナーはほぼ新製品が登場しないからだ。
ステレオサウンドのベストバイでも以前はチューナーのカテゴリーがあった。
いまではない。当然だろう。
いまチューナーの新製品といえば、毎年登場するわけではない。マッキントッシュとアキュフェーズが比較的新しい製品を出しているとはいえ、
昔と今とではチューナーの存在は薄くなりつつある。
チューナーを持っていないオーディオマニアがいても不思議ではない。
この項のチューナー篇を書いていて、ケンウッドのL02T以降のチューナーには、関心がない。
セクエラのModel 1が復活した時は、おおっ、と思ったが、それが最後だった。
これから先もチューナーの新製品は、数は少ないだろうが登場するだろう。高価なチューナーも現れるかもしれないが、その登場に昂奮することはないと思っている。
L02Tはすでに書いているように、どうしても欲しいとまでは思っていない。
私が欲しいと思っているチューナーの中で新しいモノとなると、アキュフェーズのT104である。
マランツのModel 10Bとセクエラを別格として、この二つのモデルよりも身近なチューナーとして欲しいモノは、
パイオニアのExclusive F3、ケンウッドのL01T、アキュフェーズのT104が並ぶわけだが、
ここまで書いてきて思い出すのは、ステレオサウンド 55号のベストバイである。
55号のベストバイの巻頭には、オーディオ評論家それぞれのベストバイ観があり、My BestBuyとして、各ジャンルから三機種ずつ選んでいる。
瀬川先生のチューナーのベスト3が、Exclusive F3とL01TとT104なのを思い出している。
渋谷でaudio wednesdayをやるようになって、毎回、MQAと通常のCDとの聴き比べをやっている。
先日のaudio wednesdayでも初参加の方が二人いらっしゃったのでやった。
D/Aコンバーターは、メリディアンの218。
渋谷のぴあ分室のシステムの中では218が、もっとも安価な製品。それでも218と通して聴くMQA-CDのフルデコードの音は、鮮明だ。
鮮明な音という表現はよく使われるが、この「鮮明な音」もまた、使う人によって随分と違ってくる。
こんな音を鮮明というのか、この人は、と思ったことは数えきれないほどある。
鮮明な音も、また誤解されてすぎていると感じている。
MQAで、マイルス・デイヴィスとカルロス・クライバーを鳴らした。
鮮明だ、と驚かれていた。
そうだろう、そうだろうと心の中で思っていた。
なのでこれからも新しく参加された方がいらっしゃったら、MQAとの比較を行っていく。
渋谷に場所を移して四回のaudio wednesdayを終えて感じているのは、何か流れが生まれてきたかなぁ、だ。
ダイヤソウルのスピーカーは、audio wednesday以前に昨年8月に二度聴いている。その時の印象では、クラシックを鳴らすのは難しいな、だった。
それでもスピーカーを他のモノにすることはできないから、鳴らしていくしかない。
8月のころと、ずいぶん印象は私の中で変ってきた。8月に一緒に聴いた人も、変ったという感想だった。
何かを大きく変えたわけではない。ちょっとしたことをやっただけだ。
スピーカーケーブルやラインケーブル、電源コードにインシュレーターなどといったアクセサリーを持ち込んで交換したわけではない。
高価なアクセサリー類をいっぱい持ち込んで、それまでの音とはガラッと違う音を出すことは、誰にでもできる簡単なことだ。
それで「どうだ!」と自慢する人もオーディオマニアの中にはいると聞いている。その程度のことを音響調整と豪語する、らしい。
それはそれで、聴いた人が満足していれば、私があれこれ言うことではない。
お好きにどうぞ、と言うだけだ。
そんなレベルのことはaudio wednesdayではやりたくない。やるつもりは全くない。
そういうことではなくて、音を良くしていく流れを作っていく(生み出していく)ことこそ大事だし、音響調整だと思っている。
クリスチャン・マクブライドの“conversations with christian”。
このCDも知らないしクリスチャン・マクブライドも知らなかった。
昨晩のaudio wednesdayに初めて来られたKさんが持ってこられたCD。
一曲目を希望された。
ジャケットを見れば、ジャズなんだろうな、と思いながらボリュウムは、やや大きめにセット。
最初に鳴ってきたベースの音。そして女性ヴォーカル。聴き覚えのある声。アンジェリーク・キジョーだった。
2019年のOTOTENでブースにはいったとき、ちょうどかかっていたのが、アンジェリーク・キジョーの“Summer Time”だった。
それからだ、アンジェリーク・キジョーを聴くようになったのは。
アンジェリーク・キジョーが、“conversations with christian”に参加していることを全く知らなかっただけに、これだけでも驚きだったけれど、
このアルバム自体が、驚きだった。
2011年に発売のディスクだが、昨晩来られた人は、Kさん以外、初めて聴くディスクだった。みんなにとって驚きだったようだ。
一曲目だけでなく個人的関心から二曲目、三曲目、十三曲目も聴いた。
ビリンバウというブラジルの民族楽器が聴ける十三曲目。
ここで、また別の驚きがあったけれど、ここでは省く。
とにかく昨晩のaudio wednesdayでの最大の収穫は、この“conversations with christian”だった。
TIDAL、Qobuzでは96kHz、24ビットで聴ける。
4月のaudio wednesdayは、1日ではなく8日、15日、22日のどこかになりそうです。
決まり次第、案内します。
8月21日から9月27日のどこかで大阪に行く予定ですので、場所の都合がつけば、大阪で開催できればと考えています。
(その37)で、1988年に日本フォノグラムから発売されたノーノイズCDのことを書いた。
(その37・補足)で、それらノーノイズCDのいくつかがTIDALで聴けることを書いた。
今日、あるところでiZotopeを聴いた。
iZotopeは、なんとなく知っていた。かなり効果的だとの評価も聞いていたけれど、そこまでだった。
今日、ようやくiZotopeでノイズ処理された音源を、処理前の音源と比較できた。
かなり盤質の悪いSP盤からの復刻。
このSP盤からの取り込みには私も参加しているので、どれだけのノイズがあったのはわかっている。
それをA/D変換した(処理前)の音も聴いている。今日、iZotopeでノイズを除去した音を聴いた。
1988年、ノーノイズCDのサンプル盤を聴いている。このサンプル盤には、ノーノイズ処理前と処理後の音が収録されていて、その効果を比較試聴で確かめることができた。
ノーノイズCDに否定的な意見は当時もあった。サンプル盤には当然だが、うまくいった例だけを収録していたのだろうが、
聴けば、かなり効果的なことはすぐにわかる。それまでのアナログ信号処理では不可能といえるノイズ処理である。
それからほぼ四十年。
iZotopeは、デジタル信号処理によるノイズ除去技術のレベルが静かに進歩していることを感じさせた。
自分でいじってみたわけではないから、細かなことまで判断できるわけではないものの、
ノーノイズCDが四十年前に感じさせてくれた期待を、私はまた感じとれた。
明日(3月4日)は、渋谷に移ってから四回目のaudio wednesday。
鳴らすシステムは、先月とあまり変化はないが、何かしらを変えていこうと考えている。
明日は、初めて来られる方が二人の予定。月一回の会をずっと続けていると、こうやって会える人がいることでもある。
大きな変化こそないが、少しずつ変化していく。そこに流れがある。
「春くらり」が、今日公開された23話で終ってしまった。
(その2)で、
「春くらり」もそうなるのかもしれない。十年後か二十年後くらいにふと思い出して、また読む。
その時、どうおもいながら読むのだろうか、
と、書いた。
5月8日発売の第三巻で完結する。もちろん買う。
暗記するほどくり返し読んでいるのに、それでも買うのは十年後か二十年後くらいに、ふと思い出して読むためでもある。
いまはマガポケというスマートフォン用のアプリで読めるが、十年後、二十年後はどうなっているのかは、誰にも予測できないはずだ。
十年後、二十年後、スマートフォン(これすらどうなっているのかもわからない)で読める保証はない。
たわいないマンガなんて、十年後、二十年後、読めなくなっていても、どうでもいいことだろう、それよりもっと別の本を紙の本で持っておくべきでは──が正論だろう。
でも、いわゆる名作は、どんなフォーマットになっているかは何ともいえないが、何らかのフォーマットで読まれているだろう。
だから、そういう名作よりも私は「春くらり」を、十年後であっても二十年後であっても確実に読めるフォーマットとして、
紙の単行本を買う。
ケンウッドのL02A、L02Tは、ステレオサウンドの試聴室で何度か聴いている。
くり返し聴くことができたのは、プリメインアンプのL02Aのほうで、チューナーのL02Tの方は、一度だけだった。
音を聴かなくとも、カタログやオーディオ雑誌の記事、それに実物を目の前にすれば、すごいと多くの人が感じたはずだ。
L02Aについてプリメインアンプ篇で書くことになるだろうから、ここではL02Tだけについて書く。
L02Tが登場したころ、オーディオをやっていた人は、セクエラのModel 1とL02T、どちらが高性能なのだろうか、と頭の中で比較したと思う。
L02Tは300,000円。セクエラは1,480,000円。
日本製とアメリカ製の違いがあって、単純にこの価格差だけでは比較の対象とはならないクラスであっても、
L02Tの内容を知るほど、どうなのだろうか、という興味は募っていった。
L01Tでは、そんなことは思わなかった。
以前、別項で書いているように、ステレオサウンドの試聴室でL02Tとナカミチのカセットデッキ、700ZXEとで、シルヴィア・シャシュの日本公演の放送を録音したことがある。
L02Tを聴いたのは、この時かぎり。仕事ではない録音だし、他のチューナーと比較試聴したわけでもない。
それにステレオサウンドの試聴室でチューナーを聴いたのも、この一回かぎりだった。
なので聴いたとはいえ、どれだけの実力なのかの判断基準があったわけではない。
単純に、最高といえる(それに近い)チューナーとカセットデッキで、大好きなシルヴィア・シャシュの公演を録音していることが嬉しかった。
ステレオサウンドで働いていたからできたことで、そうでなければ普及クラスのチューナーとカセットデッキでの録音がやっとだっただろう。
そういう個人的な思い出があるL02Tだけに両方欲しいと思いながらも、誰かにL01Tとどちらかが欲しいときかれたら、L01Tと答える。