音楽をきく(その8)
「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」というマンガがある。ことしからアニメも放送されている。
主人公の東島丹三郎だけでなく、彼の周りの人たちの仮面ライダーへの愛情は、はっきりと異常である。
いい歳した大人が仮面ライダー、それも昭和の初期の仮面ライダーに夢中になって、それを引きずったまま生きている──、滑稽だと笑う以前に、
なぜ、そこまで仮面ライダーなのか、と若い世代の人は疑問に思うだろう。
仮面ライダーは、シリーズとしてずっと続いている。
昭和の仮面ライダー・シリーズがあり、平成の仮面ライダー・シリーズがあり、
いまは令和の仮面ライダー・シリーズがある。
世代によって子供の頃、見ていた仮面ライダーは、それぞれ違う。
仮面ライダーの最初の放送は、1971年。私は8歳、小学生だった。
前回書いたように、当時の熊本の民放テレビ局はわずかだった。
そんな状況での仮面ライダーだけに、クラスの男子はほぼ全員見ていたといってもいい。
カード付きの仮面ライダー・スナックも売り出されていて、こちらもほぼみんな集めていた。
当たりのカードが出ると、専用のカードアルバムがもらえた。みんな夢中だった。
そんな時代の小学生だったからこそ、「東島丹三郎は仮面ライダーになりたい」の主人公たちの気持がわかる、と言いたくなる。
もし、あの時代、テレビのチャンネルが東京のようにいくつもあったら、どうだったろうか。
仮面ライダーはそれでも人気番組だったろうが、クラスの男子ほぼ全員が見ていたとはならなかったはずだ。