BOSE 901というスピーカーのこと(その3)
《いわばシグナル・トランスデューサーの概念に対してアコースティック・トランスデューサーの概念で作られたものなのだ。》
スイングジャーナル 1977年7月号のSJ選定新製品で、
菅野先生が901 Series IIIについて、そう書かれている。
シグナル・トランスデューサーの概念、
アコースティック・トランスデューサーの概念、
いまでは、というよりも、いまもなのだが、
世の中の大半のスピーカーシステムは、シグナル・トランスデューサーの概念によるモノであり、
アコースティック・トランスデューサーの概念によるモノは、
どれだけあるだろうか。
BOSEの901は、その型番が示すように9基のユニットからなるスピーカーシステム。
101MMは、フルレンジ型ユニットが1基のみだから、型番は101である。
901と101の共通点は使用ユニットだ。
どちらも口径11.5cmのフルレンジ型で、基本的には同じといえる。
101MMではインピーダンスは8Ω、
901のユニットは9基すべて直列接続の状態で、一般的な8Ωにするため、
個々のユニットのインピーダンスは0.9Ωとなっている。
901では9基のユニットを、前面に1基、後面に8期と、
比率的に1:8になるように配置されている。
901は間接音重視のため、間接放射型のスピーカーとして受け止めている人もけっこういる。
本当にそうだろうか。
間接放射型のスピーカーシステムは、以前から数はそれほど多くはないものの、
いくつかあったし、いまも製品としてある。
だからといって、それら間接放射型スピーカーすべてを、
アコースティック・トランスデューサーの概念によるモノとして括っていいのか。
901と同じと捉えていいのか。
ここのところが曖昧のまま、901は市場から姿を消してしまった。