Archive for category ブランド/オーディオ機器

Date: 3月 7th, 2026
Cate: ALTEC
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ALTEC A4(その2)

アルテックのA4と同規模のスピーカーシステムに、ヴァイタヴォックスのBassBinがある。

アメリカのアルテック、イギリスのヴァイタヴォックス。
どちら一つだけ聴く機会をもらえるのであれば、BassBinと即答する。

BassBinは、一度、夢に登場したことがある。A4は、いまのところない。

A4にしてもBassBinにしても、これだけの規模のスピーカーとなると、その音を想像しようとしても、なかなか難しい。
想像するための元となる音がないからともいえる。

アルテックのA7、A5があるではないかといわれそうだが、規模が違いすぎるとしか思えない。

長いことオーディオをやっていると、不思議な縁が生じてくることがある。
三年ほど前に、連絡があった。部屋の奥にしまい込んだままになっているスピーカーを鳴らしたいから、手を貸してほしい、と。

そのスピーカーがA4だった。
大きいことはわかっていても、実際に目の前にA4があると、でかい……、という言葉しか最初は出てこない。

劇場に置いてあるのならば、このきぼスピーカーは必要だな、と思うだろうが、広いとはいえ個人の住宅に置かれたA4は、見上げることになる。

そして脚立が必要になる。

Date: 3月 6th, 2026
Cate: ALTEC

ALTEC A4(その1)

アルテックのA4ときいて、どんなスピーカー、すぐに思い浮かべられる人は意外に少ない。

A5やA7は、ある程度キャリアのあるオーディオマニならば、ほぼみんな知っている。

使用ユニットや仕様について細かなことは知らなくても、こういうスピーカーというイメージは、すぐに思い描ける。

ところがA4となると、どんなスピーカーでしたっけ? もしくはそんなスピーカー、ありましたっけ? だったりする。

無理もないと思う。A4を見たこと(聴いたことではなく)がある人だって少ない。A4を知っている人でも写真でしか知らない──、そういう存在である。

ステレオサウンド 60号に、そのA4が登場している。
     *
瀬川 ただ、幸か不幸か、日本の住宅事情を考えますと、きょうはここは54畳ですね。ここでA4を鳴らすと、もうA4では部屋からはみ出しますね。大きすぎる。A5になって、どうやら、ちょうどこの部屋に似あうかな、でも、もうすこし部屋が広くてもいいなという感じになってくるでしょう。
 ただ現実にはわれわれ日本のオーディオファンは、A5を6畳に入れている人が現にいますよね。一生懸命鳴らして、もちろん、それはそれなりにいい音が出ているけれども、きょうここで聴いた、この開放的な朗々と明るく響く、しかもなんとも言えないチャーミングな声が聴こえてくる。このアルテック本来の特徴が残念ながら、われわれの部屋ではちょっと出しきれません。どんなに調整しこんでも……。
 逆に菅野さんが言われたように、このシリーズはクラシックが鳴りにくいと言われた、それがむずかしいと言われた。むしろ6畳なんかでアルテックを鳴らしている人は、そっちのほうに挑戦してますね。
 つまり、このスピーカーは、ほっとくとどこまでも走っていきたくなるあばれ馬みたいなところがある。そこがまた魅力でもあるんだけれども、そこをおさえこみ、おさえこみしないと、6畳ですぐそばじゃとっても聴けないですね。そこをまたおさえこむテクニックはたいしたものだと、ぼくは思います。実際、そういう人の音をなん度も聴かせてもらっているけれども。
 でも、それが決してアルテックの本領じゃない。やっぱり、アルテックの本領は、この明るさ、解き放たれた自在さ、そしてこれは今日的なモニタースピーカーのように、原音にどれほど忠実かという方向ではないことは、このさい、はっきりしておかなくちゃいけない。物理的にどこまで忠実に迫ろうかというんじゃなくて、ひとつの音とか音楽を、ひとりひとりが心のなかで受けとめて、スピーカーから鳴る音としてこうあってほしいな、という、なにか潜在的な願望を、スッと音に出してくれるところがありますね。
 実にたのしいと思うんです。この音を聴いてても、ぜったい原音と似てないですよ。だけど、さっきサウンド・トラック盤をかけた、あるいはヴォーカルをかけた、あのときの歌い手の声の、なんとも言えず艶があって、張りがあって、非常に言葉が明瞭に聴き取れながら、しかも力がある。しかし、その力はあらわに出てこない。なんともこころよい感じがする。
 あの鳴り方は、これぞ〈アメリカン・サウンド〉だ、と。
     *
A5、A7も劇場用スピーカーだが、A4はさらに大きな劇場用スピーカーである。
どんなスピーカーですか、訊かれて、A7の四倍くらいの大きさです、とつい言ってしまったが、そのくらいの規模である。

ステレオサウンド 60号を読みながら、私が求める音ではないだろうけど、一度聴いてみたい……、でも聴く機会は訪れないだろうな……と思っていた。

ステレオサウンドで働いていた時も、その機会はなかった。

Date: 2月 11th, 2026
Cate: JBL

JBL 4380

JBLのスタジオモニター、4380。
いまのところ、4380というモデルは存在しないが、今年創立80周年を迎えるJBLだから、
4300シリーズの80周年記念モデルとして4380は、現実味があると思うのだが。

今年4380が登場しなくても、五年後の85周年に4385、そのまた五年後の90周年に4390、いつか本当に出てきてほしい。

Date: 1月 16th, 2026
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その26)

輸入盤と国内盤の音の違いは、LPの時代だけでなくCDになってからでもあった。録音がアナログからデジタルに移行してからでもあった。

輸入盤と国内盤の音の違いは、だからといって共通認識とはいえない、とも思っている。
たしかに音の違いがある。けれど、その音の違いをどう捉えているのかは、
輸入盤といっても、主に聴く音楽によってはアメリカ盤を指すこともあれば、イギリス盤、ドイツ盤を指すこともあるからだ。

私が二台の218を聴き比べて、輸入盤と国内盤の音の違いに通じると感じたのは、ここでの輸入盤はクラシックにおける輸入盤(それもLP)であり、
ヨーロッパからの輸入盤であり、主にドイツ盤といってもいい。

こんなことを書いていると、メリディアンの218の実力を誤解する人がいるかもしれない。
ノーマルの218と私が手を加えた218には、はっきりとした音の違いがあるけれど、
その違いがうまれてくるのは、218の素性がよく、しっかりしたものだからだ。

手を加えたといっても、それはマジックではない。
どうしようもないオーディオ機器に手を加えても、さほど成果は得られない。

どういう手を加えるかにもよるが、手を加えるほどに良くなっていく機種もあれば、
変ったことには変ったけれど……、となってしまう機種もある。

Date: 1月 15th, 2026
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その25)

昨晩のaudio wednesdayでは、久しぶりに218同士の比較試聴をやった。
四谷三丁目の喫茶茶会記でやっていた時にノーマルの218との比較をやっているから、五年ぶり以上になる。

ここまで月日が経っていると、比較して、その音の違いをどう感じるのかに興味があった。

違いがあるのはわかっている。その違いをどう感じるのか、受け止めるのか。

MQAをメリディアンのUltra DACで初めて聴いた時、
アナログディスク再生にデジタルの良さが加わった、と感じた。

現在のハイエンドのデジタルオーディオ機器は、デジタルの良さを追求していくことでアナログ的な良さも感じられるようになってきた、と感じられる音も聴けるようになってきている。

どちらをとるか。両方とも、という人もいる。私も余裕があれば、両方ともと言いたいけれど、どちらかとなれば前者だ。

それはLPの再生からオーディオをスタートしているからも大きく関係しているだろう。
同じようにアナログディスク再生からオーディオが始まっている人でも、どういう音で聴いてきたのかも、大きな違いとなるように感じている。

EMTのTSD15があればいい、という時代が私にはあった。
方式、型式だけでは語れないことはわかった上で書いているのだが、MM型カートリッジがメインの人とMC型カートリッジがメインの人とでは、やはり違う。

それに国産カートリッジをメインに使ってきた人、海外製カートリッジをメインに使ってきた人、
海外製カートリッジといっても、アメリカ製なのか、ヨーロッパのどこかの国なのか。
製造国が同じでも、ハイコンプライアンス、軽針圧なのか、ローコンプライアンス、重針圧なのか。

トーンアームやターンテーブルに関しても、いろいろ言えるわけだが、
私と同じように若いころからEMTの音が常にあった者にとって、MQAの音は、アナログディスク再生にデジタルの良さが加わったと感じられた。

そんな私には、今回の218の比較試聴は、輸入盤と国内盤の音の違いと同種のものを感じた。

瀬川冬樹氏のこと(ロジャース PM510・その11)

ロジャースのLS3/5Aは、私にとってどういう存在、位置づけかというと、
非常に私的なスピーカーシステムということだ。

オーディオを介して音楽を聴くという行為は、私にとってはひとりで音楽を聴く行為である。

ひとりで好きな音楽を聴く。
それは、その姿を誰かに見られたら気恥ずかしいと思える音楽を、その音楽にふさわしい音で聴く、ともいえる。

LS3/5Aで、好きな女性ヴォーカル、それも歌い上げる歌手ではなく、
そっとささやくように歌う歌手を聴いているところを想像してみてほしい。

私は、その時の姿を誰かに見られたくないと思うし、
そんなこと一度も想像したことがない、という人の鳴らすLS3/5Aの音は、
私が思い描いているLS3/5Aの音とは、まったく別ものでしかない。

何人かのオーディオマニアのお宅で鳴っていたLS3/5Aは、そうではなかった。
オーディオショウで聴いた、いくつかのLS3/5Aの音もそうではなかった。
だからといって、ひどい音で鳴っていた、というつもりではない。

LS3/5Aというスピーカーの捉え方がまるで違うだけのことだ。

Date: 12月 22nd, 2025
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(久しぶりに)

1月のaudio wednesdayには、私が使っているメリディアンの218を持っていくつもりでいる。

この項で書いているように手を加えた218であり、四谷三丁目でaudio wednesdayをやっていた時に一度、
ノーマルの218と手を加えた218とを聴き比べでもらったことがある。

次回のaudio wednesdayで久しぶりに、また比較試聴をやろうと考えている。

Date: 12月 21st, 2025
Cate: PM510, Rogers, 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと
2 msgs

瀬川冬樹氏のこと(ロジャース PM510・その10)

(その9)を読まれた方の何割かは、LS3/5Aを嫌っている、あまり高く評価していないと受け止められたようだ。

そうではなくて、ロジャースのLS3/5Aの15Ω仕様は大好きなスピーカーだし、いまでも手に入れたいと思いつつも、
ヤフオク!を眺めていると、とんでもない金額で落札されていて、
遠い存在のスピーカーになってしまったなぁ──、と思うしかないし、ならば今時のレプリカモデルに手を加えて、ということを考えてしまう。

LS3/5Aの15Ω仕様と11Ω仕様の音に違いについて、時々きかれる。
どちらであっても他のスピーカーと比較すれば、LS3/5Aであることに違いはないのだが、
それでも直接比較でも、記憶の中での比較でも、違う、といえる。

細かく書いていけば幾つもあるが、些細なことだったりするが、私が個人的に大きく違うと感じるのは、低域の腰の強さだ。
11Ω仕様モデルは、15Ω仕様よりも弱い。同じスピーカーユニットなのにも関わらず、この差は、私には大きい。

11Ω仕様をもつ友人宅に、15Ω仕様のLS3/5Aを持っていったことがある。そして、なんとか15Ω仕様に近づけられないか、と頼まれた。

ネットワークを15Ω仕様のモノにすれば、と、いっても、それは当時はけっこうたいへんなことだった。
なので、ある方法を提案した。かかった費用は三十数年前で数千円ほど。

効果は大きかった。その音をいま思い出すと11Ω仕様を手に入れて、また試してみるのもいいかも、ぐらいには思っている。

Date: 12月 13th, 2025
Cate: HL Compact 7ES-3, JBL

4343と2405(その7)

10月にヴァイタヴォックスからT3 Systemが発表になったことは、別項で書いているが、
この新しいシステムで多くの人が注目しているのは、JBLの2405そっくりのトゥイーターの存在だろう。

ヴァイタヴォックス版2405を見て、すぐさまおもったことがある。
4343の2405を、このヴァイタヴォックスのトゥイーターに交換したら、どんな音がするのだろうかだ。

10kHz以上を受け持つトゥイーターであっても、替えてみた時の音の変化は、ほとんどの人が想像以上だ、と感じるはず。

知識としてわかっていても、実際に可聴帯域10オクターヴのうちの最高域の1オクターヴほどであってもだ。

audio wednesdayでエラックのリボン型トゥイーターを、いくつかのスピーカーシステムと組み合わせてみて、
改めて、トゥイーターの支配力といったものを実感していた。

けれど世の中には、スーパートゥイーターを導入したけれど、あまり音は変らなかった──、という人もいる。
おそらくだが、そういう人のシステムは聴感上S/N比が悪いのだろう。
私の経験から言えるのは、聴感上S/N比の良いシステムほど、トゥイーターを替えた際の音の変化は大きい。

ヴァイタヴォックスの2405型トゥイーターと4343の2405を交換する機会はないだろうけど、
その音を想像するだけで私はけっこう楽しめるし、
さらにはアルテックの6041のトゥイーター(瀬川先生があまり質の良くないと評価されていた)を、
このヴァイタヴォックス版2405にしたら、どうなるだろうか、妄想は広がっていくばかり。

Date: 12月 7th, 2025
Cate: PM510, Rogers, 瀬川冬樹, 瀬川冬樹氏のこと

瀬川冬樹氏のこと(ロジャース PM510・その9)

BBCモニター系列のスピーカーの音に惹かれることは、すでに書いてきているが、
ここでBBCモニターの音と書いても、それがあまり意味を持たないこともわかっている。

私にとってのBBCモニター系列のスピーカーを挙げると、もちろんロジャースのPM510、それからロジャースのLS3/5A(15Ω)、
スペンドールのBCII、あとハーベスのMonitor HLあたりとなる。

LS3/5Aはいまでも人気の高いスピーカーだし、ロジャース以外にも製造していたメーカーはいくつかあったし、
いまも復刻モデルが手に入るから、上に挙げたスピーカーの中では最も聴かれているといっていい。

オーディオショウでも何度も聴いているし、個人宅でも聴く機会は複数回あった。
どれも同じ音で鳴っていたわけではない。同じ音で鳴っていることを期待していたわけではないし、オーディオとはそういうものではない。

けれど、それらで聴けたLS3/5Aの音に、私が惹かれるBBCモニターの音を感じたことはなかった。

私が初めて聴いたBBCモニターのスピーカーは、BCIIだった。
瀬川先生が熊本のオーディオ店に来られた時に鳴らされたBCIIの音だ。

Date: 11月 10th, 2025
Cate: Bösendorfer/Brodmann Acoustics, VC7

Bösendorfer VC7というスピーカー(その29)

ベーゼンドルファーのスピーカーシステムは、ベーゼンドルファーがヤマハに買収されたことで、
いまではBrodmann Acousticsとなり、日本ではフューレンコーディネイトが取り扱うようになり、十二年ほどになる。

インターナショナルオーディオショウのフューレンコーディネイトのブースには、ほぼ毎年足を運んでいるが、
タイミングが悪いこともあって、一度も聴くことが叶わずなのだが、
最近ではBrodmann Acousticsのスピーカーシステムを見る目に、私の中で変化が起きている。

スピーカーシステムとしても魅力的に感じていることに変りはないが、
ジャーマン・フィジックスのTroubadour 40と組み合わせるウーファーとしても見るようになってきた。

まだ誰も組み合わせたことはないと思っている。

Date: 10月 22nd, 2025
Cate: VITAVOX, 新製品

Vitavox T3(その1)

数年前にヴァイタヴォックスのウェブサイトに、CN191でもBitoneMajorでもないエンクロージュアの写真が公開されていたことがある。

その写真も全体が写っていたわけではなく、詳細は全く不明だった。何か新しいスピーカーシステムを開発しているんだろうな、とうかがわせるだけだった。

そのスピーカーシステムがようやく登場した。しかも三システム同時にであり、さらにトゥイーターも一緒にである。

T3 Systemという。
TriStar、Triple5、Tritoneの三システムだ。

型番がTriから始まることからもわかるように、おそらくヴァイタヴォックス初の3ウェイシステムである。

それぞれのモデルについては私が書くよりもヴァイタヴォックスのウェブサイトを見たほうが早いし、
それにエンクロージュアの詳細がわかっていない。

それでも書いておきたいのは、トゥイーターの形状だ。JBLの2405のヴァイタヴォックス版といえる。

Date: 10月 22nd, 2025
Cate: CN191, VITAVOX, 瀬川冬樹

Vitavox CN191と瀬川冬樹(その2)

瀬川先生の文章に魅了され、熱心に読んできた者にとって、
瀬川先生が生きておられたら、スピーカーは何を鳴らされていただろうか、は永遠に答の出ないテーマであり、
早瀬文雄(舘 一男)さんとは、よく話したものだ。

瀬川先生はメインのスピーカーとして、JBLの4341、4343、4345と鳴らされていた。
4345の次は、いったいどのスピーカーにされたのか。

JBLのスピーカーを選ばれたのか。それとも──、楽しいオーディオ談義でもあった。

決定的なコレだ、というスピーカーはなかったけれど、ダリのSkyline 2000は、かなり高い評価をされたはず、と二人で納得したこともある。

それでもSkyline 2000を購入されるのかどうかは、なんとも言えなかった。
反対に、コレはないな、というスピーカーについても話していた。

1990年代のころ、アメリカのハイエンドオーディオを代表するブランド、
具体的に挙げればアヴァロン、ティール、ウィルソン・オーディオは、絶対にない、と、これも二人とも共通していた。

そんなことを話しながらも舘さんに話すことはなかったが、
私はJBLのパラゴンとヴァイタヴォックスのCN191のことも考えていた。

Date: 10月 21st, 2025
Cate: CN191, VITAVOX, 瀬川冬樹

Vitavox CN191と瀬川冬樹(その1)

ステレオサウンド 43号(1977年6月発行)、
特集・「評論家の選ぶ ’77ベストバイ・コンポーネント」で瀬川先生は、ヴァイタヴォックスのCN191について、こう書かれていた。
     *
 いまの私には、これを鳴らす理想的なコーナーを整えるという条件を満たすことができないからあきらめているが、せめていつかは、この豊潤で渋い光沢のある独特の音質をわがものにしてみたいという夢を持っている。いまやこれだけが、現行製品の中で良き時代を残した最後の生き残りなのだから。
     *
CN191のことは、「五味オーディオ教室」を読んでいたから、その存在だけは知っていた。
五味先生のタンノイのオートグラフと双璧をなすスピーカーシステム、
それもアメリカ製ではなく、イギリスのスピーカーシステム。

さらに私がオーディオに興味を持ったころ、オートグラフはタンノイでは製造しておらず、
輸入元のティアックがライセンスを得て日本でエンクロージュアを作っていたのだから、
イギリス・オリジナルのスピーカーユニットとエンクロージュアの組合せによるスピーカーシステムの音を聴けるのは、
もうそれだけで素晴らしい価値あることだと、中学生だった私は思っていた。

ステレオサウンド 47号(1978年6月発行)
特集・「評論家の選ぶ’78ベストバイ・コンポーネント」では、《コーナー型オールホーン唯一の、懐古趣味でなく大切にしたい製品。》と、
瀬川先生は書かれている。

1978年でも、CN191を懐古趣味として見る人はいたわけだ。
ましてそれから五十年近く経っているのだから、
ヴァイタヴォックスという会社すら知らない若い世代にとっては、
懐古趣味どころか化石のような存在なのかもしれない。

スピーカーユニットが何ひとつ見えない。
ウーファーはクリプッシュホーンによって隠れている。
中高域を受け持つドライバーとホーンも、化粧カバーに覆われていて見えない。

CN191は、そういうスピーカーである。

Date: 6月 24th, 2025
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その32)

アルテックの604-8Gを中心としたワイドレンジなシステムの構築は、
おそらくなのだが、技術的な完成度を高めていこうとすればするほど、
604-8Gの限界もはっきりしてくるはず。

同軸型ユニットという構造、そして中高域をホーン型としたことによる制約が、
技術的に詰めれば詰めるほど、どうしても解消できない問題として残る。

そこを面白いと感じられるか、
限界が見えているから、といってその程度のモノと思ってしまうのか。

そういうところがあるから、アルテックの同軸型ユニットはスピーカーというモノ、
スピーカーシステムというモノを理解するのにつながっていると、私は思っている。

スピーカーというカラクリの面白さを、どこに見出すのか。こここそが肝心な一点のはずだ。