Archive for category フルレンジユニット

Date: 11月 11th, 2024
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その21)

(その20)で聞いたことを試してみる機会はなかったけれど、
12月のaudio wednesdayではやれる。

D/Aコンバーターにはメリディアンの218を使うから、
デジタル処理で極性を反転できる。

通常の接続時の音と、(その20)で書いた接続では、
どのような音の変化があるのだろうか。

意外と大きいのか、逆に小さいのか。
まったく(ほとんど)同じとはならないと思っている。

このことを含めて、12月のaudio wednesdayを、
私は楽しみにしている。

Date: 7月 6th, 2022
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その20)

直列型ネットワークを自作して、
トゥイーターとウーファーの接続の順番を入れ替えての結果を聴いて、
そういえば、あのスピーカーはどうだったのだろうか、と考えたのが、
BOSEの901である。

901はフルレンジユニットを九本直列接続している。
通常のユニットとは違い、901に使われているユニットのインピーダンスは0.9Ω。
つまり0.9Ω×9=8.1Ωとなる理屈である。

では、この九本のフルレンジユニットをどういう順番で接続しているのか。
901の中を見て確認したことはないなぁ、と思っていた。

おそらくだろうが、正面の一本がプラス側の最初にきて、
それから後面の四本+四本へと直列接続されていることだろう。

直列型ネットワークにおけるウーファーの位置づけにあたるのは、
901では正面の一本だと考えれば、
プラス側から後面の四本+四本と接続していき、
最後に、つまりマイナス側に正面の一本となるようにしたほうが、
好結果が得られるのではないだろうか。

実際に901でこのことを試したわけでもないし、
もしかすると最初から、こういう接続になっている可能性もあろう。

私の周りで901を使っている人はいないから確かめようはないが、
もしそうでなかったとしたら、接続の順番を逆にするだけで、
そうとうに901の音は変るはずだ。

内部をいじるのは好まないというのであれば、
スピーカーケーブルのプラスとマイナスを入れ替える。
このままでは逆相スピーカーになってしまうから、
システムのどこかがバランス伝送ならば、そこのところでプラス・マイナスを入れ替える、
D/Aコンバーターに極性の反転スイッチがあるならば、それを利用すれば、
システム全体としては正相となる。

Date: 5月 30th, 2022
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その19)

初めて直列型ネットワークで音出ししたとき、
バイワイヤリングのスピーカーをシングルワイヤリングで鳴らす感覚で、
ウーファーを優先(上側)にした結線だった。

以前、書いているように6dB/oct.ならば、
並列型と直列型のコイルとコンデンサーの値は同じになるから、
直列型、並列型の組替えはすぐに行える。

そうやって並列型と比較試聴したうえで直列型を採用したわけなのだが、
しばらくはウーファーを上側にしたままだった。

パワーアンプの出力(プラス側)がまずウーファーに入り、
そのあとにトゥイーター(アース側)という結線である。

でも、やはり試してみないことには、ということで、
ウーファーとトゥイーターを逆にしてみた。
トゥイーターを上側(プラス側)、ウーファーを下側(アース側)である。

あくまでも試しにやってみただけであった。
聴く前から、バイワイヤリングのシングルワイヤリングでの音のような変化だろう──、
そんなふうに高を括っていたところがなかったとはいえない。

だから、鳴ってきた音にびっくりすることになる。
ウーファーが下側のほうが、より表現力が増す。

直列型ネットワークにおいては、トゥイーターを優先する結線がいいのか。
最初はそう考えた。

けれどどう聴いても、ウーファーがうまく鳴っている。
ということは、この結線(ウーファーがアース側)こそが、
ウーファー優先なのだとしたら──、
そんなふうに見方をかえてみると、
直列型ネットワークにおいて、アース側にウーファーをもってくることこそが、
ウーファー優先となること。

このことはアースに対して、ウーファーが直結されていること。
このことが大事なのだろう。

Date: 5月 30th, 2022
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その18)

バイワイヤリングのスピーカーシステムがある。
スピーカーケーブルが二組あれば、バイワイヤリングで接続するけれど、
一組しかなければ、まずは上下どちらかの端子に接いで聴くことになる。

下側(ウーファー側)に接続するのか、
上側(トゥイーター側)に接続するのか。

これは人によって、違う。
私の感覚では、まずはウーファー側に接続した音を聴いた上で、
トゥイーター側の音を聴き、どちらにするのか判断するわけだが、
人によっては、トゥイーター側にまず接続して──、だったりする。

バイワイヤリングのスピーカーシステムをシングルワイヤリングで鳴らすさい、
どちらを優先するのか。
こういうところでも、その人の音の聴き方がなんとなく感じられるわけなのだが、
直列型ネットワークを採用すると、
この選択は、もっとはっきりした音の違いとなって出てくる。

バイワイヤリングのスピーカーの場合、
スピーカーケーブルを二組用意できれば、
どちらを優先するのか、という問題はなくなるけれど、
直列型ネットワークの場合は、そうはいかない。

ウーファーとトゥイーターが直列に接続されているわけだから、
ウーファーを上側(プラス側)にしてトゥイーターを下側(アース側)にするのか、
その逆にするのか。

パワーアンプが完全なバランス出力なのであれば、
ここでの音の差はかなり小さくなるのだろうが、
大半のパワーアンプはアンバランス出力なのだから、
直列型ネットワーク使用におけるウーファーとトゥイーターの接続の順番は、
あとまわしにせず、最初に試聴して決めておくべきことといえる。

Date: 4月 29th, 2022
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その17)

直列型ネットワークも、スロープ特性が6dBではなく12dBになると違ってくる。

6dB/oct.であれば、2ウェイが3ウェイになっても、
ウーファー、スコーカー、トゥイーターは直列に接続され、
それは直流的にも接続されていることになる。

ところが12dB/oct.になると、
2ウェイであってもウーファーのみが直流的に接続されていて、
トゥイーターは直流的には浮いていることになってしまう。

しかも12dB/oct.の場合、
並列式ではウーファーは、プラス側はハイカットフィルターのコイルのみを介して、
ウーファーのマイナス側はアースに接続されるわけだが、
12dB/oct.の直列式になると、ウーファーをはさむかっこうで、
ウーファーのハイカットフィルターのコイル、
トゥイーターのローカットフィルターのコイルが介在することになる。

グリッドチョーク的ケーブルを聴いての私の推論が正しければ、
直列型ネットワークは、6dB/oct.においてもっとも特長が活きてくる。

Date: 4月 27th, 2022
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その16)

音楽信号は交流である。
直流では決してない。

ならば直流的にどう接続されているとか、
直流的にどう作用しているとかは、アンプやスピーカーの動作、
さらには音には関係してこないのではないか、と考えようと思えば考えられる。

けれどグリッドチョーク的ケーブルの音について考えていると、
そしてそこから関連してくることをも併せて考えると、
意外にも直流的にはどうなのかは、かなり重要な要素のように思えてならない。

スピーカーシステムのネットワークは並列式と直列式があるのは、
以前から書いていることで、世の中の多くのスピーカーシステムのネットワークは並列式である。

スピーカーの自作に関する本を読んでも、並列式ネットワークの設計について詳しく記述されていても、
直列式ネットワークに関しては、まったく触れられていないか、
さらに直列式という方法もある、みたいな書き方でしかなかったりする。

少なくとも私がこれまで読んできた範囲内では、
直列式ネットワークでは、
ウーファーもトゥイーターも直流的に接続されている、
並列式ネットワークでは、ウーファーはそうであっても、
スコーカー、トゥイーターは直流的には浮いている(絶縁されている)、
そういう違いがあると記述されているものはなかった。

なかったけれど、この直流的にどうなのか、ということは、
くり返すが、意外にも重要なことのはずだ。

Date: 4月 26th, 2022
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その15)

グリッドチョーク的ケーブルを、
2020年のaudio wednesdayで何度か試して好結果を得ている。

なぜ、こんなに音が変ってくるのか。
その理由について考えていて、
ふと直列式ネットワークもそうなのかも──、と気づいた。

audio wednesdayを行っていた四谷三丁目にあった喫茶茶会記は、
いまは長野県茅野市に移転している。
喫茶茶会記のスピーカーはアルテックのユニットを中心とした自作スピーカーで、
最初のころは、12dB/oct.の市販のネットワークだった。

市販のだから、一般的な並列式ネットワークである。
それをある時期から、何回かの実験を経て、
6dB/oct.の直列式ネットワークに変更した。

直列式と並列式、
その優劣をはっきりさせたいわけではなく、それぞれに長所短所があり、
私が試した範囲では、6dB/oct.のゆるやか遮断特性で、
2ウェイ構成であるならば、直列式のメリットはより活きてくるように感じている。

直列式はスピーカーユニットを直列に接続するところからきている。
ウーファーはトゥイーターを直列に接続し、
ウーファーに対してコンデンサーを、トゥイーターに対してコイルを並列に接続する。

これがどういうことなのかを別の視点から説明すれば、
仮にパワーアンプが故障して、その出力にDC(直流)があらわれた場合、
一般的な並列式のネットワークのスピーカーであれば、
ウーファーは直流がそのまま流れてしまい故障してしまうが、
トゥイーター、スコーカーはコンデンサーによって、直流はカットされる。

直列式のネットワークだと、
ウーファー、トゥイーターといったユニットは直列接続されているのだから、
どちらも直流がコンデンサーでカットされることなく流れ込むことになる。

Date: 11月 26th, 2020
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その14)

レベルコントロールに使われるポテンショメーターが、
どういう構造になっているか分っている方は読み飛ばしてもらっていい。

10kΩのポテンショメーターがあるとする。
減衰量が0のとき、10kΩのポテンショメーターは、
そのままアンプの入力に並列に接続されたかっこうになる。

絞りきった状態、減衰量が∞のときは、10kΩのポテンショメーターが、
アンプの入力に対し直列に接続された格好になり、
アンプの入力はショートされた状態でもある。

ポテンショメーターの減衰量は、R1とR2の抵抗の比で決る。
つまり10kΩのポテンショメーターの場合、R1+R2=10kΩであり、
減衰量によってR1、R2の値が変っていく。

R1がアンプの入力に対して直列に、R2が並列に入る。
減衰量0のときは、R1が0kΩで、R2が10kΩとなり、
減衰量∞のときは、R1が10kΩで、R2が0kΩとなる。

つまり減衰量が増えるほどR1の値が大きくなり、R2の値は小さくなっていく。
R2はアンプの入力に並列に入るわけだから、
この値が小さくなっていくことと、ショート状態に近くなっていくことでもある。

その分R1の値が大きくなっていくわけだから、どちらが音質への影響(デメリット)が大きいのか。
いままではR1の値が大きくなる方だ、と考えていたが、
間違っていたわけではないものの、R2が小さくなることのメリットも、
実はけっこう大きいのではないか、とグリッドチョーク的ケーブルをあれこれやっていて、
そう考えるようになってきた。

繰り返すが、絞った状態で使うのであれば、
良質のポテンショメーターの使用が条件となる。

Date: 11月 12th, 2020
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その13)

マークレビンソンのLNP2のインプットアンプのゲイン切り替えは、
NFB量を変えて行っているため、
単純にインプットレベルのポテンショメーターを絞った状態だから──、
といったことは言い難いところはある。

ゲインをあげれば、その分だけNFB量が減っているわけで、
そのことによる音の変化は当然ある。

ゲインを高くして、レベルコントロールを絞り気味にして使うのか、
ゲインを低めにして、レベルコントロールをできるだけ絞らずに使うのか。

ボリュウム(ポテンショメーター)の音の影響を考えれば、
できるだけ絞らずに使う方が好ましい、と考えられる。

それでも私がオーディオに興味を持ち始めたころには、
すでに余剰ゲインによる音のよさ、といったことがいわれていた。

システム・トータルのゲインを高くとったうえで、
ボリュウムを絞り気味にしたほうがいい、ということがいわれていた。

もちろん、一方で、そういった余剰ゲインは要らない。
余剰ゲインの分だけアンプを減らして、ボリュウムはできるだけ絞らずに使う、
そのほうが音がいい、という意見もあった。

LNP2では、インプットアンプのゲインを高くして、
つまり余剰ゲインを確保したうえで、ボリュウムは絞り気味にして使う。
そのほうが、なぜか好ましいように感じた。

20代のころは、LNP2に搭載されているポテンショメーターの質が高いからなのか、
とも考えたことがある。

LNP2のポテンショメーターはスペクトロール製で、かなり高価だった。
それに比べ、国産の普及クラスのプリメインアンプのそれは、ずっと安価だった。

スペクトロール製だから、絞り気味でも大丈夫なのか。
グリッドチョーク的ケーブルについて書いていて、
なんら関係のないLNP2のことを持ち出したのは、
ポテンショメーターを絞り気味にするという使い方は、
グリッドチョーク的ケーブルの直流域の抵抗の低さに通じるからである。

Date: 11月 11th, 2020
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その12)

1970年代のプリメインアンプには、ミューティングスイッチがついている機種が割とあった。
たいていの機種では、このスイッチをONにすると、20dB減衰する。

私が使っていたアンプでは20dBだったけれど、
機種によっては10dBのものもあったと思う。

このスイッチはどういう時に使うかというと、
音楽を聴いている最中に電話がかかってきたりして、
急に音量を下げたい時に便利だし、
それだけでなく小音量で聴く場合に、
ミューティングスイッチをONにすれば、その分ボリュウムの位置は上になる。

いまでこそ、あまりいわれなくなったけれど、
当時は、ボリュウムは、絞り気味で使うと音が悪くなる──、
そんなことが、オーディオ雑誌によく書かれていた。

聴く音量、スピーカーの能率によっては、
ボリュウムをかなり絞った状態で使うことがある。

真夜中に音量を絞って聴きたい時に、
ボリュウムを絞りすぎると、音がやせることもあったし、
あまり質の高くないボリュウム(ポテンショメーター)だと、
左右チャンネルの減衰誤差が生じて、音量がアンバランスになることもある。

それらを回避するために、ミューティングスイッチを活用する、
ということがオーディオ雑誌に、これまたよく載っていた。

たしかにそうだったのだが、
たとえばマークレビンソンのLNP2を使ってみると、
ほんとうにそうなのか、と思うことがあった。

LNP2のインプットアンプのゲインは切り替えられる。
このゲイン設定によって、LNP2の音は変っていく。

以前書いているのが詳細は省くが、
インプットアンプのゲインは最大にして、
レベルコントロール(ポテンショメーター)を絞り気味で使ったほうが、
意外にも好ましかったりしたからだ。

Date: 11月 9th, 2020
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その11)

11月4日のaudio wednesdayでも、グリッドチョーク的ケーブルを試用した。
その10)で書いているように、タムラのA8713の一次側巻線に、
1kΩの抵抗(DALEの無誘導巻線抵抗)と
1000pFのディップマイカコンデンサーを直列したものを並列にハンダ付けした音を聴いてもらった。

ここでも、確かに効果がある。
今回くらいの値だと、効果があるのはなんとなく説明がつくようなところがあるが、
スピーカーのユニットに、数Ωと数pFの抵抗とコンデンサーを接続したときの音の変化は、
どう説明できるのだろうか、といまも迷うところだ。

そうとうに高い周波数では作用しているだろうが、可聴帯域ではほとんど、というか、
まったく特性的には変化ない、といっていい。

電子回路のシミュレーターでも、変化は出なかったそうだ。
けれど音を聴く(聴いてもらう)と、抵抗、コンデンサーの有無による音の違いは、
そうとうにはっきりした もので、一度ありの音を聴いてしまうと、
なしの音は、どこか濁りを感じてしまうし、
人の声を聴けば顕著なのだが、ありの音を聴いた後では、
なしの音は、喉にえへん虫がいるような感じの発声にきこえてしまう。

今回のグリッドチョーク的ケーブルでの音の変化は、
録音の細工的なところが、はっきりと聴きとれる方向への変化だった。

その意味ではモニター的ということになるのかもしれないが、
一般的なモニタースピーカーのもつモニター的なイメージとは、ちょっと違う。
すんなり提示してくれる印象なのだ。

こうなると接続されず開放状態の二次側巻線にも、
このCR方法をやりたくなる。

この比較試聴は、12月のaudio wednesdayの最初のところで行う予定だ。

Date: 10月 10th, 2020
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その10)

前回と今回のaudio wednesdayで試したケーブルのことを、
私は便宜的にグリッドチョーク的ケーブルと呼んでいる。

もっといい呼称を思いついたら、そちらに変更するが、
いまのところグリッドチョーク的ケーブルと表記していく。

グリッドチョーク的ケーブルには、トランスを使う。
トランスには巻線がある。この巻線はいうまでもなくコイルである。

二年くらい前から、このブログでCR方法について書いている
この方法は、グリッドチョーク的ケーブルにも応用できる。

今回のケーブルもそうしようか、と思ったが、
前回のケーブルと今回のケーブルの違いを、
前回来られた方が今回も来てくれるのであれば、比較試聴になるしということで、
あえて試してない。

グリッドチョーク的ケーブルに使っているタムラのA8713の一次側巻線の直流抵抗は、約1kΩ。
なので1kΩの抵抗(ここはDALEの無誘導巻線抵抗)と0.001μF(1000pF)を直列にして、
巻線に並列に接続する。

次はこれを試してみる予定だし、来月のaudio wednesdayの最初の方で、
ありなしの音を聴いてもらう。

さらには開放状態の二次側巻線をどうするかである。
ここにもCR方法を試すつもりである。

これらのことを試していくとともに、
いまはむき出しのままで使っているトランスを、どうケーシングするのかも、今後の課題。
その後、A8713だけでなく、グリッドチョークのいくつかも試してみたい。

それにA8713も一次側巻線を、いまの20kΩから5kΩに変更すれば直流抵抗は約500Ωとなり、
直流域でショート状態に近づけることが、どれだけ音に影響していくのかも、
audio wednesdayでの公開試聴でやっていく予定だ。

Date: 10月 9th, 2020
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その9)

グリッドチョークのことに、前回気づいてから思い出したことがある。
ステレオサウンドでの井上先生の試聴でのことだ。

CDは登場していたけれど、
まだまだアナログディスクの売上げが多かった時のことだ。
だからプリメインアンプ、コントロールアンプには、
きちんとしたフォノイコライザーが搭載されていた。

その時の試聴はCDのみを使ってだった。
途中で、井上先生がその時使っていたアンプのフォノ端子に、
MC型カートリッジの昇圧トランスを接続してみろ、と指示された。

なぜ、そんなことを? と思いながらやってみると、
小さくないどころか、かなりの音の変化があった。

昇圧トランスの接続前は、フォノ端子には何も接続されていなかった。
次に、昇圧トランスを外して、MC型カートリッジをトーンアームに装着した状態で、
フォノケーブルをフォノ端子に挿す。

また音が変る。
最後はフォノ端子にショートピンである。

アンプの入力セレクターをフォノにして、ボリュウムをあげていく。
レコードは再生していない状態だから、ノイズのみがスピーカーから出てくる。

ここに昇圧トランスを接続すると、ノイズが減る。
MC型カートリッジでも減る、ショートピンでも減る。

ショートピンの時が、もっともノイズが減るのは理屈通りである。
このときはフォノイコライザーのノイズが、
CD再生にどれだけ影響しているのか確認であった。

この時は、CD再生時に、フォノイコライザーのノイズの処理の手法であったわけで、
昇圧トランスの二次側巻線の直流抵抗がどれだけだったのかはわからないが、
少なくともフォノイコライザーの入力インピーダンス(47kΩか50kΩ)よりは低い。

ということはフォノイコライザーほどゲインは高くないし、
ノイズも少ないラインアンプであっても、ノイズの低減化の効果もあるといえる。

とはいえこの時は、
フォノイコライザーのノイズ影響の低減化だけに気を奪われて、
ライン入力にトランスの巻線を並列に接ぐこと、
つまり池田 圭氏が盤塵集に書かれていたことを思い出していたわけではなかった。

Date: 10月 9th, 2020
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その8)

9月のaudio wednesdayに引き続き、
今回もラインケーブルにタムラのA8713の一次側巻線を並列に接続したものを持っていった。

ただし今回は、A8713をメリディアンの218出力側から、
マッキントッシュのMA7900の入力側へと位置を変更した。

A8713を二組(四個)持っていれば、
ラインケーブルを二組作って、比較試聴ができるけれど、あいにく一組しか持っていない。

ならばケーブルの向きを入れ替えて、ということになるだろうが、
これでは厳密な比較試聴にはならない。

ケーブルの方向性もあるけれど、
それ以外にも自作ケーブルの構造上、
単にケーブルの向きを反転させれば済むというわけにはいかない。

なので当日の午前中、ラインケーブルを自作していた。
前回のケーブルとの比較試聴はできないが、
喫茶茶会記には、同じシールド線を使ったトランスなしのケーブルがある。

9月も、このケーブルとの比較を行っているから、
今回も短いけれど、比較しているから、A8713をどちら側にもってきたらいいのかの、
一応の結論は出た、といっていい。

前回試したときから、今回の結果はある程度は予測できていた。
それにグリッドチョークのことを思い出してもいたし、
そのことからも受け側(MA7900の入力側)のほうが、
好結果が得られる可能性が高いだろう、と。

実際にそうだった。
A8713なしのケーブルとの比較でいえば同じ傾向で音は変化する。
けれどA8713の位置の変化で、今回の方がよさが際立っている、と感じた。

今回A8713をMA7900の入力側にもってきたことで、
アンプの入力と出力、両端にコイルが接続するかっこうになった。

出力には、マッキントッシュ独自のオートフォーマー、
入力にはA8713の一次側巻線というふうに、である。

Date: 9月 13th, 2020
Cate: トランス, フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その7)

インダクタンスが高くて、直流抵抗が低い──、
こう書いていて、そういえば、と思い出したのが、
真空管アンプ、それもかなり古いアンプに用いられていたグリッドチョークのことである。

ずっと昔の三極管はグリッド電流が多いという問題があった。
そのためグリッド抵抗よりも、直流抵抗が低くできるグリッドチョークが、
いわば必須といえた。

古典的といえる三極管を採用した、昔のアンプの回路図をみても、
真空管アンプの回路の歴史を解説した記事をみても、
グリッドチョークは必ず登場する。

けれどグリッドチョークの採用したアンプを、
私は聴いたことはない。

三極管でも、有名なウェスターン・エレクトリックの300Bは、
グリッド電流が少ないため、グリッドチョークではなく、
グリッド抵抗で、しかも高めの値で設計できる。

良質な抵抗とグリッドチョーク。
どちらが音がいいのかは、聴いたことがないからなんともいえない。

ただ、抵抗とチョークコイルとでは、
価格がずいぶん違うし、それ以上にスペースの違いの問題は、
アンプを自作するうえでは、このことは大きな違いとなってくる。

グリッドチョークの真空管アンプは、自作する以外に、
これからも聴く機会はないだろう。

それでも今回の実験で、グリッドチョークへの関心は急速に増しているし、
それだけでなく、スピーカーユニットに対してのグリッドチョークの応用も考えている。