Archive for category フルレンジユニット

Date: 8月 19th, 2014
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その6)

カセットテープの音には、どこかしら、ふわふわした感じを受ける。
この感じは、どんなに高級なデッキを用意したところで、多少は減りはするものの、なくなることはない。

このふわふわした、カセットテープにつきまっている不安定さは、
個人的にオーディオで、もっとも避けたい(取り除きたい)要素のひとつである。

私はカセットテープをそう感じしまう。
けれどこの点も、人さまざまで、カセットテープの音にふわふわした感じ、不安定さを感じない人もいる。
これは再生音に求めている優先順位が、それこそ人によって大きく違っているからであろう。

音の安定を求める私にはカセットテープのふわふわした感じは、
たまに聴く分には、カセットテープの音だな、というふうに受けとめられるが、
日常的に、メインのプログラムソースとなってくると、どうにも我慢できない要素となる。

だが再生音に、安定よりも他の要素をより強く求める人には、
カセットテープのふわふわした感じは、特にそうとは感じないようでもあり、
感じたとしても、そのことが音の不安定さということにはならないようだ。

カセットテープの音に、私と同意見の人もいれば、
そうかな、と首を傾げる人もいよう。

とにかく音は安定していほしい。
だからアナログプレーヤーにEMTの930st、927Dstを求めてきた、ともいえる。

Date: 10月 19th, 2013
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その5)

音像に関して、自分でも少し気にしすぎではないかと思うくらい気になる時はすごく気になる。
四六時中そうではなくて、あまり気にならなくなるときもある。
けれど、どちらかといえば、気になる(気にする)方だと思う。

なぜ気になるのか、と自問すれば、
これは別項「EMT 930stのこと」でも書いているように、
再生音に関して、できるだけ不安定さをなくしていきたいと思っていることと深く関係しているようだ。

とにかく音楽に没頭したい、
音のことを気にせずに没頭するために、まず私が求めているのは音の安定なのだ、と気がついた。
音の安定があるからこそ、こまやかな音の表現は可能になるし、
脆い、儚げとでも表現したくなるような音を、腫れ物に触るように愛でる趣味は、基本的には私にはない。
そんな音を、繊細な音だと曲解・誤解することも、もうない。

そんな音を愛でていくのもオーディオの趣味のありかたとして理解はできても、
そういう音では、私が聴きたい音楽を鳴らすことはできない、とわかっているし、
そんな音を愛でることと、繊細な音とすることとは同じことで決してない。

見せかけだけの、上っ面だけの繊細さは、私はいらない。
だから音の安定を求めてやまない。

Date: 9月 11th, 2013
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その4)

音像についての感じ方は、じつに人さまざまだ、ということに気がついたのは、
ステレオサウンドで働くようになってからだった。

感じ方もそうなのだが、それ以降思うようになったのは、
音像そのものの捉え方が人によって、これもさまざまだということである。

これについては、いずれ音場と音像をテーマにして書くつもりでいる。
だから、ここではこれ以上深くはふれないが、
音像について、私のように非常に気にする人もいれば、まったくそうでない人もいる。
その中間ぐらいの人もいる。

だから私のように気にする人のいうことは、
まったく、もしくはあまり気にしない人にとっては、
マルチウェイのスピーカーシステムの音像に対して、安定さを欠くようには思わないだろう。

それにスピーカーシステムだって、20年前、30年前のモノからすれば、
この点も改善されているのはわかっている。
それでも、よくできた小口径から中口径のフルレンジユニットを素直に鳴らしたときの、
音像の良さの安定感は、安心して聴ける、という点で、やはりはっきりとした違いをいまも感じてしまう。

聴く音楽によっても違ってくるのだが、
音像に不安定さを感じさせるスピーカーシステムで聴く場合、
あえてセンターから外れたところで聴きたくなるときもある。
センターに坐れば、それだけシビアに気になってしまう。
ならばいっそのことセンターからある程度外れたところで聴けば、
特にセンター定位の音像の不安定さに心を惑わされずに、気にすることなく聴けるということもある。

Date: 9月 5th, 2013
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その3)

最初はラジオだった、その次にラジカセで音楽を聴いてきた。
ラジオもラジカセも、私が子供のころにはモノーラルが当り前だった。

ステレオ仕様のラジカセはあったのか。
あったのかもしれないが、手が出せる価格ではなかっただろう。
とにかく小遣いを貯めて買える価格のラジオ、ラジカセは、どれもモノーラルで、
スピーカーはフルレンジユニットだった。

トゥイーターなんてものは、ついてなかった、そういう時代に音楽を聴き始めている。

そういえばテレビもそうだ。
音声多重放送が始る前からだから、モノーラル。
こちらもスピーカーはフルレンジである。
そんなテレビで歌番組を見て(聴いて)育ってきている。

そのためなのかどうかはなんともいえないが、
とにかくステレオ再生において、音像定位に不安定さを感じてしまうのが、どうしてもいやである。

オーディオには、人それぞれ優先順位といえるものがある。
すべてを完全に満足させられる音が得られるのであれば、
こんな優先樹医的なものはいらなくなるけれど、
現実には、この部分には目をつぶれるけど、こちらの部分はそうはいかない──、
それは人によって違っても、みな持っているはず。

私ももっている。
そのひとつが音像定位の良さの安定感である。
もちろん、これだけではないけれど、
いくつかの項目とともに、このことは絶対に譲れないところである。

Date: 9月 5th, 2013
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その2)

いま私はJBLのD130をC40エンクロージュアに入れて聴いている。
内蔵のネットワークN1200とドライバー175DLHを使えば2ウェイとしてもすぐに鳴らせるのだが、
D130をソロで鳴らす魅力に、いまのところぞっこんである。

とはいえ、15インチ(38cm)口径の、このD130をフルレンジユニットの代表として、
誰かにすすめられるかとなると、一般的なフルレンジユニットということでは、
別のユニットをすすめる。

ここでいう別のユニットとは、おもにD130よりも口径の小さなフルレンジユニットという意味合いが強い。

D130もフルレンジユニットとして認識されているけれど、
この項で私が触れたいフルレンジユニットということになると、
その下の12インチ(30cm)でも、まだ大きいと感じる。
ぎりぎり10インチ(25cm)より小さな口径から、一般的な、という意味でのフルレンジユニットになってくる。

つまり、もっと小口径のものもあるのは知っているが、
ここでは4インチ(10cm)、6.5インチ(16cm)、8インチ(20cm)口径のフルレンジユニット、
それも最初に書いたように同軸型構造ではなく、シングルコーンであってもダブルコーンであっても、
ボイスコイルがひとつ(シングルボイスコイル)のモノのことである。

シングルボイスコイルのフルレンジユニットの魅力は、
人によって異ってくるところもあれば共通するところもある。

私がフルレンジユニットの音を聴いて、改めて感じるのは音像定位の良さ、
というよりも、その安定感の良さである。
しかも、この安定感の良さは、口径が小さくなるほどに増してくるところを感じる。
口径が小さくなるにつれて、音のスケールは小さくなっていく傾向にあっても、
こと音像定位の安定感の良さとなると、小口径フルレンジユニットの魅力は増していく。

Date: 9月 5th, 2013
Cate: フルレンジユニット

シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(その1)

別項「素朴な音、素朴な組合せ」で書いていることと重なることにもなるが、
フルレンジユニット(シングルボイスコイルのユニット)のことについて、いくつか書きたいことがある。

2013年のいま、フルレンジユニットの存在・価値を認めるか、認めないか、
これは、その人のオーディオに対する考え、概念、そして姿勢を現すことにもなる──、私はそう考えている。

ここでいうフルレンジユニットは、
一般的なコーン型のフルレンジユニットのことである。
ユニットの口径は8cm程度から38cmまで、いくつもサイズがある。
そういうユニットについてのことだ。

ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニット、マンガーのBWTユニット、コンデンサー型スピーカーなどは、
あえてここではフルレンジユニットには含めていない。

コーン型の、昔からある、
それこそ世界ではじめてつくられたライスとケロッグによるユニットから、ということになると、
百年弱の歴史をもつ、もっとも見慣れたユニットのことである。

小口径のものだと金属製の振動板も使われているが、
昔から現在にいたるまで、コーン型ユニットの振動板は、まず紙である。

この紙をコーン(円錐)状にし剛性を確保した振動板をもつ、この手のユニットは、
現代のスピーカーシステムの中におけば、周波数特性、歪率、リニアリティ、指向特性など、
測定できるすべての項目において、限界がそれほど高いところにあるわけではない。