シングルボイスコイル型フルレンジユニットのいまにおける魅力(パワーアンプは真空管で・その12)
1970年代のプリメインアンプには、ミューティングスイッチがついている機種が割とあった。
たいていの機種では、このスイッチをONにすると、20dB減衰する。
私が使っていたアンプでは20dBだったけれど、
機種によっては10dBのものもあったと思う。
このスイッチはどういう時に使うかというと、
音楽を聴いている最中に電話がかかってきたりして、
急に音量を下げたい時に便利だし、
それだけでなく小音量で聴く場合に、
ミューティングスイッチをONにすれば、その分ボリュウムの位置は上になる。
いまでこそ、あまりいわれなくなったけれど、
当時は、ボリュウムは、絞り気味で使うと音が悪くなる──、
そんなことが、オーディオ雑誌によく書かれていた。
聴く音量、スピーカーの能率によっては、
ボリュウムをかなり絞った状態で使うことがある。
真夜中に音量を絞って聴きたい時に、
ボリュウムを絞りすぎると、音がやせることもあったし、
あまり質の高くないボリュウム(ポテンショメーター)だと、
左右チャンネルの減衰誤差が生じて、音量がアンバランスになることもある。
それらを回避するために、ミューティングスイッチを活用する、
ということがオーディオ雑誌に、これまたよく載っていた。
たしかにそうだったのだが、
たとえばマークレビンソンのLNP2を使ってみると、
ほんとうにそうなのか、と思うことがあった。
LNP2のインプットアンプのゲインは切り替えられる。
このゲイン設定によって、LNP2の音は変っていく。
以前書いているのが詳細は省くが、
インプットアンプのゲインは最大にして、
レベルコントロール(ポテンショメーター)を絞り気味で使ったほうが、
意外にも好ましかったりしたからだ。