音の毒(オイロダインのこと・その4)
ポリーニの実演は、20代前半のころ、一度聴いている。
1986年だったはず。
確かベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴いている。
そのぐらいしか、もう憶えていない。
感動しなかったからだろう。
五味先生のように激怒ということだったら、
それはそれで記憶にしっかりと残っているはずだから。
ポリーニをきちんと聴いてきたとは、言わない。
そんな私でも、アバドとのバルトークのピアノ協奏曲第一番は、
初めて聴いた時ももちろん、それから何度となく聴いているが、
聴くたびに、凄いと思う。
極端な言い方になるが、私にとってのポリーニは、
このバルトークの曲のためだけの存在となる。
自分でも不思議に思っている、
なぜ、バルトークの一番だけなのか、と。
答が見つかったわけではないが、
バルトークのピアノ協奏曲第一番は、
ピアノを打楽器として使うという曲に関係してことだろう。
いまは、そう感じている。
ポリーニは、バルトークの第三番は弾いているのだろうか。