Archive for category コペルニクス的

Date: 1月 3rd, 2015
Cate: コペルニクス的

オーディオにおける天動説(その3)

グッドマンのAXIOM80は、このユニットならではの独特の構造をもつ。
一般的なエッジとダンパーは、この9.5インチという、他にあまり例のない口径のフルレンジユニットにはない。
そのため軽量コーンでありながら、f0は20Hzと驚異的といっていいほど低い。

となれば、HIGH-TECHNIC SERIES 4にある佐伯多門氏の解説通りであれば、
AXIOM80の低域特性は20Hzあたりから12dB/oct.で減衰していくはずである。
だが実際のAXIOM80の特性は、というと、200Hzあたりから減衰していく。
それも-12dB/oct.ではなく、-6dB/oct.のカーヴを描いている。

HIGH-TECHNIC SERIES 4には、残念ながら、そのことについての記述がなかった。
ラウザーのPM6も200Hzあたりから減衰していく。
JBLのD130もそうだ。

D130のf0は40Hzと発表されている。
しかし200Hzから下の帯域が6db/oct.で減衰していく。

AXIOM80、PM6、D130に共通しているのは、軽量コーンと強力な磁気回路を組み合わせたユニットであること。
それゆえに能率が100dB/W/m前後となっている。

HIGH-TECHNIC SERIES 4を読んだ時は、ここまでしかわからなかった。
その後わかってきたことは、
AXIOM80、PM6,D130の200Hz以下の帯域は、速度比例による動作である、ということ。
そして6dB/oct.で減衰している、というよりも、6dB/oct.で音圧が上昇しているということである。

Date: 12月 22nd, 2014
Cate: コペルニクス的

オーディオにおける天動説(その2)

ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES 4は、「魅力のフルレンジスピーカーその選び方使い方」で、
巻末には佐伯多門氏による「フルレンジスピーカーの基礎知識」が載っている。

この記事中に、出力音圧周波数特性と電気インピータンス特性、
このふたつのグラフを上下に並べている図がある。

電気インピータンス特性のグラフでは、
インピーダンスがもっとも高い値を示すところに低音共振周波数(f0)と書いてあり、
そこからの垂線が出力音圧周波数のグラフと交わるところには、低域限界周波数とある。
同じような図と説明は、他のスピーカーの技術書にも載っている。

HIGH-TECHNIC SERIES 4では、このグラフの隣のページには、
六つのフルレンジユニットの周波数特性のグラフががある。
ダイヤトーンのP610、パイオニアのPE8、フィリップスのEL7024/01、
JBLのLE8T、ラウザーのPM6、グッドマンのAXIOM80である。
HIGH-TECHNIC SERIES 4では、この他に37機種の実測データも載っている。

これらのグラフと、出力音圧周波数特性のグラフに書き込まれている解説を読んで気がついたことがあった。
グラフの説明では、低域限界周波数から下の帯域では、低音減衰(-12dB/oct)とある。
だがHIGH-TECHNIC SERIES 4に登場するフルレンジユニットの中には、そうでない機種がある。

AXIOM80、PM6がそうだし、JBLのD130もそうである。他にもいくつかある。
これらは古典的な高能率のフルレンジユニットである。いわば古い時代のユニットでもある。

HIGH-TECHNIC SERIES 4を読んだ当時(1979年)、16歳だった私は違いがあることに気づいても、
それがどういうことを意味しているのか、深いところまではわからなかった。

Date: 12月 21st, 2014
Cate: コペルニクス的

オーディオにおける天動説(その1)

いまでは、どんな人でも太陽が地球の周りをまわっているのではなく、
太陽の周りを地球がまわっていることは知っている。

知っているといっても、知識としてであって、
体感として、ではないともいえる。

だからずっとずっと昔の人は天が動いていると思っていた。
そこにコペルニクスが、太陽を中心とした地動説を唱えた。

オーディオにも天動説、地動説といえることがあるのだろうか、と思う。
たとえば電気は高い電位から低い電位へと流れる、とまず教わる。
けれど次に電子の流れは、実際には反対だと教わる。

電子の流れを捉えることができなかった時代は、高い方から低い方へ流れるものという,
いわば思い込みからそう決めてしまっていた。

その後、電子の流れは実は反対方向だったことが判明する。

このことを学校で教わった時、これも天動説・地動説のようなことなのか、と思った。

他にもあるような気がしている。
まだ気がついていないだけのことがあるのかもしれない。