Archive for category 1年の終りに……

Date: 12月 31st, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年の最後に

昨年11月に、父が倒れた。
90の誕生日の二日後だった。

大きな病院での検査の結果、国指定の難病だった。
今年5月に亡くなる。半年の入院だったわけだが、父は本の差入れを求め、ずっと読んでいたそうだ。

80半ばまで週一回テニスをしていた。
惚けることもなく、それまではずっと健康といえた。

母は足腰が弱ってきているものの、惚けることなく元気でいてくれている。

オーディオはお金もかかるし、時間も必要とする。
私は長男だから、いつかは親の介護で実家に帰ることになるだろう──、と若い頃から思っていた。

そのころからずっと東京で暮らしたままオーディオをやっていられる。
それだけで幸せだし、幸運だったとも思っている。

Date: 12月 25th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その11)

「バカの壁」は、養老孟司氏、
「アホの壁」は、筒井康隆氏。

そろそろ、誰か「ゲスの壁」を書いてくれてもよさそうなのに……、
そんなことを何度か感じた一年でもあった。

四年前の12月に、そう書いた。
ゲスは、意外に多い。

アホ、バカ、ゲス。
いちばん始末におえないのは、ゲスだ。

ゲスに慣れる必要はない。慣れてはいけない。
残念なことに、そう感じた一年でもあった。

Date: 12月 20th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その10)

松尾芭蕉の《古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ》、
ゲーテの《古人が既に持っていた不充分な真理を探し出して、それをより以上に進めることは、学問において、極めて功多いものである》、
このことを理解できないオーディオマニアがいることは以前から感じていたけれど、
今年は、このことに全く無理解のまま、徒に音を激変させて、改革だ革新だ、とか、進歩進化だと叫んでいるのは、もうどうしようもない──、
そう感じた一年でもあった。

Date: 12月 12th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その9)

ベスト・オーディオファイルに続いて、「読者参加による人気実力派スピーカーの使いこなしテスト」、
それからチェロのAudio Suiteについてのエッセーあたりまでは、
本名の舘 一男で登場されている。

その後、ペンネームの早瀬文雄を使われるようになったわけだが、舘さんは、ステレオサウンドから二回離れている。

一度目は1991年ごろ、
それから十年ほど経って、ステレオサウンドに復帰。
けれど数年でまた離れられたのは、「怒り」だと私は受け止めている。

一回目の時は、かなり細かなことまで聞いている。
私がステレオサウンドを辞めても、つきあいは変らなかった。
変えなかった人が舘さんだった。

ここでは書けないことをかなり聞いている。
ずいぶん怒りが溜まっているな、と感じながら聞いていた。
誰に、何に対しての怒りなのか、一つひとつ具体的に明かしたりはしないが、
ステレオサウンド編集部への怒りもあったわけだ。

積もり積もった怒りが臨界点を超えた感じだった。

ステレオサウンドに復帰しても、結局は同じだったようだ。
この時もけっこう聞いていたけれど、
舘さん自身、一回目の時よりも歳を重ねていたわけで、
怒りだけというより、諦めも強くあったように感じた。

この「怒り」を、管球王国が休刊になって嘆いている人たちは、どうなのだろうか、と思ってしまう。

「怒り」なんていっさい持つことなく、ステレオサウンドを、管球王国をずっと読んできているのだろうか。

Date: 12月 11th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その8)

(その7)で書いたことを読んだ人の中には、お前よりも私の方がつきあいは長かった、とか、つきあいは深かった、と思う(言う)人はいるはず。

私は、何も早瀬文雄(舘 一男)さんの一番のオーディオの仲間だったとか、仲が良かったとか、そんなことは全く思っていない。

ぶつかったことは何度かあるし、舘さんに向かって、他の人だったら言わないであろう本音をぶつけたこともある。
どちらも大人気ないところがあった。

私は医者としての舘さんに敬意を持っていた。
聖人君子なんて、私の周りにはいない。舘さんも聖人君子ではなかった。

それでも医者としての舘さんは立派だったと思っている。
少しばかりきれいごとすぎるな、と感じなかったわけではないが、僻地医療にも取り組まれていたし、
とにかく真面目だった。

舘さんの医者としての側面を見ていなければ、私の性格からして、とっととつきあいに見切りをつけていたはず。

(その7)で触れているように、舘さんと出逢いは1985年。
井上先生の使いこなしの記事、
ステレオサウンド 76号に掲載されている「読者参加による人気実力派スピーカーの使いこなしテスト」に、
舘さんは読者として登場された。

それ以前にも菅野先生のベスト・オーディオファイルにも登場されている。

それから四十年経つ。
こうしてふりかえって思うのは、舘さんとのつきあいが、途中疎遠になりながらも続いたのは、二人ともオーディオ業界への怒りを持っていたからであり、
舘さんは医療業界にも怒りを持っていた──、そう思えてならない。

Date: 12月 4th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その7)

別項で何度か書いたことを、ここでも書く。

「私のオーディオの才能は、私のためだけに使う。」

三十年ほど前の私は、こんなことをいっていた。
そんな私に、
「せっかくの才能なんだからオーディオの仕事をしたらどうですか」
「何か書いたらどうですか」、「書いてくださいよ」
そういってくれていた。
しつこいくらい言われていた。

それでも「私のオーディオの才能は、私のためだけに使う。」と返していた。嘯いていたのかもしれない、といまは思う。

くり返しそう言ってくれたのは早瀬文雄(舘 一男)さんだ。

1985年からのつきあいの中で、疎遠となった時期もある。お互いに、なんだ、こいつは、とおもったこともある。
それでも舘さんは、私のオーディオの才能を認めてくれていた。

今頃になって、そのありがたさを噛み締めている。
今年10月から、the re:View (in the past)で、早瀬さんの文章を、だから公開している。

Date: 11月 27th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その6)

十数年前に書いた「妄想組合せの楽しみ(その16)」。

そこで、DBシステムズのDB1+DB2とパイオニアのExclusive M4の組合せについて触れている。

この組合せは、
瀬川先生の、熊本のオーディオ店での講演のときにリクエストしたものだ。
「なかなか思いつかない面白い組合せだね」と言ってくださった。

別項で書いているスペンドールのBCIIとラックスのLX38、それにピカリングのXUV/4500Q、
この組合せも、瀬川先生に褒められている。
「玄人の組合せだね」と。

当時、高校生だった私は、そのことがすごく嬉しかった。

このことをまた思い出して書いているのは、先日会ったFさんのサブシステムのアンプが、
DB1+DB2とExclusive M4の組合せだということを、Fさんからのメールで知ったばかりだからだ。

わかるなぁ、とメールを読んでいて思う。Fさんのところに行けば、この組合せの音を再び聴けるのか。

自分で程度のいいモノを手に入れない限り、もう聴けないと思っていた組合せを聴ける。

人と会う。
そのことで生じるコト。
今年もそうだった、といえる。

Date: 11月 19th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その5)

小林秀雄が「様々な意匠」のなかで語っていた《粉飾した心のみが粉飾に動かされる》、
丸山健二の「新・作庭記」にある《優しさを装って肯定してくれる》、
このことを、オーディオに限ってのことで強く実感した一年でもあった。

具体的なことは書かないけれど、そういうものなのか……としか言いようのないことがあった。

それだけのことだ。

Date: 11月 16th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その4)

この時期になると、ここ数年、一年をふりかえって、思い出したことを書くようにしている。

この項を書く書かないに関係なく、11月になると、
もう少しで11月7日だ、
今日が11月7日だ、
今年も11月7日が過ぎていった……、とおもう。

来年も再来年も、これから先ずっとそうなのだろう。
呆けてしまわない限り、もしかすると呆けてしまっても、
11月7日がどういう日なのかを思い出せなくなっても、
そろそろ11月7日だなぁ、今日が11月7日だなぁ、
今年も11月7日が過ぎていったなぁ、とひとりごとを言ってるかもしれない。

Date: 11月 12th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その3)

2008年9月から書き始めた、このブログ。
書き続けているから出会える人がいる。

今年も何人の方と出会えた。
つい先日(11月10日)も会っていた。

六年ほど前からメールをくださっている方なのだが、なかなか会う機会がなかった。
audio wednesdayに機会をつくって行きたいです、と連絡があったのに、
audio wednesdayが終りになってしまった。

そうやって会える人もいれば、疎遠になっていく人もいる。
それでいい、と思っている。

Date: 11月 4th, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その2)

一年をふりかえると、今年もけっこうイヤなことがあったと思っても、
今年もいいアルバムが聴けたな、とそのことをおもい返すと、
結局は、今年もいい一年だったな、となる。

Date: 11月 2nd, 2025
Cate: 1年の終りに……

2025年をふりかえって(その1)

2020年は11月8日から、
2021年は11月1日から、
2022年は11月10日から、
2023年は11月1日から、
2024年は11月2日から、それぞれこの項を書き始めている。

今年は今日(11月2日)から。

昨年の(その4)で書いたことを、コピーしておく。

オーディオのプロフェッショナルとは、どういうことなのか。
今年は、そのことについて、いつも以上に考えさせられることが、
いくつか重なった。

結局、オーディオ業界にいて、お金を稼いでいれば、
その人はオーディオのプロフェッショナルということになる──。

もちろん、そういうレベルの低い人ばかりではないことはわかっている。
それでも、オーディオのプロフェッショナルを自称している人の中には、
そういうレベルの人が、決して少なくないことを、
今年は目の当たりにすることが何回かあった。

おそらく、ではなく、きっと来年も、そういう人を目の当たりにするであろう。

以上のことを書いているけど、今年も残念なことに同じだった。
オーディオのプロフェッショナルを自称している人の中には、オーディオの商売屋としてのプロフェッショナルがいる。

仕事なのだから、オーディオで稼いでいっているわけで、全ての人を、オーディオの商売屋と見ているわけではないし、
そんな人は少数だと感じていても、
オーディオの商売屋としてのプロフェッショナルは、目立つ。

そんな人は昔からいたのだろうか。
残念なことに、そんなことを感じさせられた一年であった。

Date: 12月 31st, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年の最後に

今年は、十数年ぶりに引越しをした。
それから27歳の時に骨折した左膝を、2月に痛めた。
かなり良くなってきたと思っていたら、9月ごろからひどくなってきて、
10月、11月は、けっこう難儀した。
まだ万全とは言えないけど、収まってきている。
後遺症とは、こういうことなのか、と思った。

12月になったら、今度は声が出なくなった。
声がひどくかすれてしまって、人と話すのが辛かった。

最近の飲食店ではタブレットで注文するところが増えてきている。
声がほとんど出ない状態だと、こういう店がありがたいと感じる。
声もようやく出るようになってきたが、それでもまだかすれている。

11月に父が九十になった。その二日後に倒れて入院。病院で年を越す。

そんなふうにばたばたしていたけれど、
今年はaudio wednesdayで音を鳴らせるようになった。
新しい人との出会いもあった。
いい一年だった。

Date: 12月 31st, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その17)

別項「2024年ショウ雑感(その13)」で、土方久明氏をオーディオ評論家(仕事人)と書いた。

いまもそう思っている。
それゆえに土方久明氏の書かれたものを、楽しく読んだとか、
面白かったと感じたことはなかった。

いま書店に並んでいるアナログ vol.86で、
フェーズメーションのCM1500が取り上げられている。
土方久明氏が担当だ。

CM1500のことは、信頼できる耳の持ち主から聞いていた。
かなりいい、と聞いているものの、私はCM1500の音は聴いていない。

ステレオサウンド 233号の新製品紹介記事でも取り上げられている。
こちらの担当は小野寺弘滋氏。モノクロで1ページでの紹介。
その文章は、あっさりしたものだ。

一方、アナログでの土方久明氏の文章からは、熱っぽさが伝わってくる。
おそらくだが、土方久明氏は本音で、このCM1500に惚れ込んでいるのだろう。
そのことが伝わってくる。
聴いてみたい、とも思う。

小野寺弘滋氏の文章では、そんな気持は湧いてこなかった。

ステレオサウンドと、音元出版のオーディオアクセサリーとアナログ。
どちらがどうとかは言わない。それでも時々ではあるが、
ジャーマン・フィジックスのHRS1300の記事でも同じことを感じていた。

ステレオサウンドでは山之内正氏、
オーディオアクセサリーは石原俊氏。
別項で、このことは触れているように、
山之内正氏の文章は、CM1500の小野寺弘滋氏の文章と同じだった。

あっさりしたものでしかなかった。
聴いた人が、そこでの音に何か感じるものがなかったのだろうから、
それ以上のことを、その文章に求めたところで肩すかしを喰らうだけだ。

それでもHRS1300の石原俊氏の文章、
CM1500の土方久明氏の文章が、一方にある。

ウエスギのU·BROS333OTLとともに、
今年の新製品で聴いてみたいと思ったCM1500である。

Date: 12月 29th, 2024
Cate: 1年の終りに……

2024年をふりかえって(その16)

オーディオの才能について、考えるきっかけがいくつかあった一年。
このオーディオの才能と関係してくることで、「音は人なり」を実感するとともに、
以前から書いてきている「人は音なり」もまた実感していた。