Archive for category SUMO

Date: 11月 30th, 2013
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その13)

パワーアンプにつきもののバイアス回路は音質に影響するだけでなく、
動的ウォームアップとも見摂津な関係をもつ。

だからこそ適切なバイアス回路の設計と温度補償のために、
ヒートシンクのどこにバイアス回路の一部のパーツの最適な取付け位置が重要となるわけ。

バイアス回路はそれだけ面倒な箇所ともいえる。
ならばバイアス回路をなくしてしまえないのか。
なくしてしまえば、バイアス回路に起因する問題は少なくともなくなってしまう。

ジェームズ・ボンジョルノがそう考えたのかどうかは、ボンジョルノが亡くなってしまったいまは確認もできないが、
SUMO時代のパワーアンプ、The Goldには、いわゆるバイアス回路がない。
AB級動作のThe Powerにはバイアス回路はもちろんあるけれど、
A級動作のThe Goldにはない。

これは片チャンネル当り二組のフローティング電源を必要とする、
The Gold独特の出力段の回路によって可能となっていて、
それでは出力トランジスターのバイアス電流はどうやって定めているのかといえば、
フローティング電源の他に、バイアス用の電源が用意されていて、
出力トランジスターのベース−エミッターを流れる電流を、ここで設定して、
出力トランジスターのバイアス電流は、このベース−エミッター間電流のhFE(直流電流増幅率)倍となるわけだ。

hFEは使用している出力トランジスター固有の値である。

Date: 7月 5th, 2013
Cate: SUMO, 終のスピーカー

終のスピーカー(続々続SUMOのThe Goldとのこと)

ステレオサウンド 187号の柳沢功力氏のふたつの記事を読まれた方ならば、
これから私が書こうとしていることはおおよそ想像がつくことと思う。

アンプの出力段の回路方式やスピーカーの能率、エンクロージュアの構造、
こういったことが共通するというだけで音がどれだけ判断できるか──、
ほとんど判断できない、ともいえるし、
バックロードホーンならばすべて同じ傾向の音がする、とか、
そういったことはいわば短絡的なことでしかないのだが、
それでもあえていえば、
D130という高能率のフルレンジユニットとバックロードホーンの組合せ、
その組合せからなるスピーカーシステムを、Circlotron回路のパワーアンプで鳴らす、
つまりSUMOのThe Goldで鳴らしてみたい、という私の直感は間違っていなかった、
そのことへの裏付けが、それもいわば他人からみれば、なかばこじつけによる裏付けにみえるだろうが、
本人にしてみれば確かに得られた、という感じなのである。

と同時に、VOXATIVのAmpeggio SignatureとアインシュタインのThe Light In The Dark Limited、
この組合せの音は、ぜひ聴いてみたい、と思うようになっている。

柳沢氏は、
「このような高感度ユニットはそうした違いに極めて敏感で、この音はまさに生きている。ことに声はじつに生々しく、そこに人がいる気配さえ感じとれる。」
とAmpeggio SignatureとThe Light In The Dark Limitedの音について書かれている。
聴きたくなるではないか。
それよりなによりもD130をおさめた「Harkness」をThe Light In The Dark Limitedで鳴らしてみたい。

The Light In The Dark Limited、いまもっとも聴きたいパワーアンプである。

やはり自分の手で「21世紀のThe Gold」をつくるべきなのか。

Date: 7月 5th, 2013
Cate: SUMO, 終のスピーカー

終のスピーカー(続々SUMOのThe Goldとのこと)

ローサーのスピーカーシステムも、またバックロードホーンの高能率型だった。

VOXATIVのスピーカーシステムも同じである。
柳沢功力氏の記事を読めば、
なぜユニットがローサーにそっくりなのかがわかる。
そして、VOXATIVの最初のスピーカーシステムのAmpeggio Signatureも、
ローサーと同じようにバックロードホーンである。

とはいえ21世紀に、新進メーカーのデビュー作と登場してきただけあって、
ローサーの単なる復刻でないことは記事からわかる。
詳細についてははっりきしたことはわかっていないものの、
バックロードホーンのエンクロージュアも昔ながらの設計とはそうとうに違っているようだ。

高能率のダブルコーンのフルレンジユニットをバックロードホーンにおさめている。
このスピーカーシステムの試聴に柳沢氏は、
ステレオサウンドのリファレンス機のアキュフェーズA200の他に、三つのアンプを用意されている。

「短時間の試聴のためぼく自身も結論には至っておらず、製品名を公表することで相性の善し悪しをより強く印象づけてしまいそうに思うからだ」
を理由に、アキュフェーズ以外のアンプにはついてはブランド、型番については書かれていない。

けれどどれがどのブランドのどの型番のアンプかは、すぐにわかる。
柳沢氏がアンプ『C』とされているアンプ、
これがアインシュタインのThe Light In The Dark Limitedである。

Date: 7月 5th, 2013
Cate: SUMO, 終のスピーカー

終のスピーカー(続SUMOのThe Goldとのこと)

Circlotron(サークロトン)という、この回路技術を、
ヤマハはプリメインアンプのA-S2000で採用している。

A-S2000の回路図は公表されていないし、いまのところ入手できていないから、
はっりきと断言はできないけれど、A-S2000の回路についての説明文や図から判断するに、
基本的には、そういえるはずである。

とはいえCirclotron(サークロトン)という、この回路技術を表す単語が登場することはなかった。
Circlotronが、いまのオーディオ雑誌に登場することはないだろうな、と思っていたら、
なんとステレオサウンドの187号に載っていた。

柳沢功力氏によるアインシュタインのパワーアンプ、The Light In The Dark Limitedの記事である。
電圧増幅段は真空管で、出力段はソリッドステートという構成。
おそらく出力段の回路はSUMOのThe Goldと基本的には同じ可能性が非常に高い。

これだけでも、私のThe Light In The Dark Limitedに対する注目度は高くなるわけだが、
今回のステレオサウンド 187号は、それだけではなかった。

やはり柳沢氏による記事で、ドイツのVOXATIV(ヴォクサティヴ)という新進メーカーの、
この時代にしては、先祖返りなのではと思いたくなる外観のスピーカーが紹介されている。

詳しくはステレオサウンド 187号を読んでいただくとして、
VOXATIVのスピーカー、Ampeggio Signatureには、
ダブルコーンのフルレンジユニットがついてる。
乳白色のコーン紙のそれは、ローサーそのもののようにも見える。

Date: 7月 5th, 2013
Cate: SUMO, 終のスピーカー

終のスピーカー(SUMOのThe Goldとのこと)

終のスピーカーは、JBLのD130という高能率で、
ナロウレンジで旧い時代に開発・設計されたユニットを、
音道6フィート(約1.8m)のバックロードホーン・エンクロージュアにおさめたものだから、
古典的なスピーカーの典型ともいえるものである。

こういうスピーカーを鳴らすためのパワーアンプに求められる条件について、
何か普遍的なことがいえるのだろうか。
それとも、そんな要素はまったくなくて、個人個人が鳴らしたいように鳴らすために、
アンプを選べばいいのであって、
高能率だから、といって小出力のアンプである必要はないし、
ハイパワーのアンプで鳴らすことだってあるし、
D級アンプという選択肢もある、と思っている。

これから、あれこれアンプに関しても確かめてみたいことがある。
そんなことのひとつに、いまは手離してしまったSUMOのThe Goldで鳴らしてみたら、
どんな音がするのか、それを想像するだけでも楽しい。

いまThe Goldの中古を探してきてということは、たぶん、やらない。
The Goldの回路図は持っているし、
実際に使っていたアンプだから、内部構造も徹底的に見ているし、
どういう造りだったのかも憶えている。

いつか、自分の手で「21世紀のThe Gold」を完成させたい、という考えも捨てきれずにいる。

The Goldの回路に関しては「SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ」で書いているところだ。
この項の(その5)、(その6)、(その7)で、
真空管アンプ時代にあったWiggins Circlotron Power Amplifierについてふれている。

Date: 11月 28th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その11)

アンプの動的ウォームアップはスピーカーを接続して音を鳴らすことでしかすすまないものなのだが、
やっかいなのは電源を入れっ放しにしていて音楽を聴いていて充分に動的ウォームアップがすんで、
いい音で聴ける状態になってきた。

そこで音楽を聴くことを一休みする。
アンプの電源は入れたままで。

アンプによって、その時間は違うから一概にはいえないものの、
たとえば30分、1時間経過して音楽を聴きはじめると、また動的ウォームアップの時間を必要とするアンプがある。
このときの動的ウォームアップにかかる時間は、アンプによって異る。
わりと早く動的ウォームアップがすむアンプもあれば、なかなか目覚めてくれないアンプもある。

この動的ウォームアップは、やっかいというか、聴き手側にとっては面倒なことといおうか、
できれば静的なウォームアップだけで満足のいく音を聴かせてほしいところだが、
アンプの中身のことを考えると、そうもいかないこともわかっているので、
せめて一度動的ウォームアップがすんだら、できるだけ維持できるようにしてほしい。

ウォームアップに時間も手間もかかるアンプを、寝起きの悪いアンプという。
いい音を聴かせてくれるのであれば、寝起きが多少悪くてもがまんしよう。
そのかわり、いちど目覚めたら、ずっと起きていてほしいのだ。
音楽信号が流れてこないと、すぐに寝てしまうアンプ、そしてなかなかしゃきっと目覚めないアンプは、
その分、聴き手の時間を奪っているともいえる。

実際に動的ウォームアップによる音の変化は、はっきりと聴きとれるのか、と疑問に思われる方もいるだろう。
あるレベル以上の音を鳴らしているシステムであれば、はっきりと聴きとれることが多い。

いつ、どんなふうに音が変化するのか、と、まちかまえて聴いているよりも、
ゆったりと音楽に耳をすましている聴き方であれば、
あっ、変った、と感じられる瞬間があるのがわかる。

動的ウォームアップによって、どう音が変化するのかは、アンプによって変ってくる部分もあり、
ここがこんなふうに変りますとはいえない。

でも音楽の鳴り方が明瞭になる、と、これだけは確実にいえる。

Date: 11月 28th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その10)

パワーアンプのウォームアップには、
静的なウォームアップと動的なウォームアップとがあり、
静的なウォームアップに関しては電源スイッチをオンにしておけばそれで足りるわけだが、
動的なウォームアップとなると、実際に音を出しながら、ということになる。

オーディオには、このように静的なと動的な、と頭につけたくなることが意外にある。

音のクォリティにしてもそうだ。
静的なクォリティと動的なクォリティがある、といえる。

静的なクォリティと動的なクォリティは、いくつかの意味にわけられる、と考えている。
そのひとつとして、ここで書いておきたいのは、
静的な特性、動的な特性とほぼ同じ意味での、静的なクォリティ、動的なクォリティである。

簡単にいってしまえば、動的なクォリティは、ここでは音楽を聴いてのクォリティということになる。
では静的なクォリティとは、なにかといえば、
静的な特性の測定に使われるのがサインウェーヴがメインであるように、
そんな意味での静的なクォリティである。

ケーブルを変えても音は変化しない、と頑なに主張される人の中には、
よく測定結果を持ち出す人がいる。
そして、測定上の差はほんのわずかであり、そのわずかな差は人間の耳では感知できない、という、
非常に乱暴なこじつけでもって、音は変らない、と結論づけられる。

なぜ、わずかな差は人間は感知できない、と言われるのかが、まずわからない。
その人はわからない、のであれば、納得できても、なぜか、すべての人という意味で「人間は」と書かれる。

そしてもうひとつ不思議なのは、測定上の差はごくわずかといわれる、
その測定に使われるのはサインウェーヴがほとんどだということ。

音楽信号を使っての測定方法が確立されていない以上、サインウェーヴ、パルスを使うのはわかる。
でも、あくまでもそれらを使っての測定結果は、音楽を再生したときの結果を反映しているとは、
誰にもいえない、ということである。

サインウェーヴで測定したら、ケーブルを変えた差はごくわずか。
だから音楽を聴いても音は変らない、は、理屈として通らない。
この場合、理屈として通るのは、
サインウェーヴを再生して聴いたら、ケーブルの違いはわからない、ということでしかない。

それならば、私も納得できる。
私だって、サインウェーヴ(たとえば1kHzのみのサインウェーヴ)のみを音源として、
ケーブルの違いを聴き分けろ、といわれたら、自信がない。

だが何度でも書くが、聴くのは(聴きたいのは)音楽である。

Date: 10月 30th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その9)

なぜなのか? は、当時からもあれこれいわれていた。

ちょうどそのころからアンプの電源部のコンデンサーの容量が増えはじめたころでもあった。
だから、電源部のコンデンサーに電荷がたまるまでの時間が、それだけ必要だ、という説があった。
そうかもしれない。
でも、そうだとしたら電源を入れておくだけですむはずであって、
鳴らしておかなければウォームアップにはならない、ということはないはず。

実際は違う。鳴らさなければならないし、
やっかいなのは鳴らしておいて、しばらく聴かずにそのままにしておいて、
ふたたび聴こうとしたら、またウォームアップの時間が、短いとは必要となることもある。
電源は落としていないにもかかわらず、こういうことが起きる。
となると、電源部のコンデンサーだけの問題ではないことは、はっきりする。

いまのところ、ウォームアップの挙動にはバイアス回路が深く関係している、という一応の決着がついている。

ふたつのアンプがある、とする。
どちらも同じ回路、同じ部品、同じコンストラクションで組み立てられている。
バイアス回路もまったく同じ設計なのだが、その取付け位置だけが異る、というアンプでは、
ウォームアップの挙動に違いがあらわれる。

バイアス回路は出力段の温度補償も行っている。
トランジスターは温度が上昇すればバイアス電流が多く流れる性質がある。
電流が増えれば温度はさらに上昇する。上昇すれば電流はさらに多く流れる……。
そして熱暴走を起すのを防ぐためにも、バイアス回路は大事な役割を担っている。

バイアス回路を構成する一部の素子はヒートシンクに取り付けられる。
問題は、その取付け位置と取付け方法であり、
これによりウォームアップの挙動が大きく変ってくる。

Date: 10月 29th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その8)

ソリッドステートアンプの大半をしめる
NPN型トランジスターとPNP型トランジスターのペアによるプッシュプル回路、
正確にはSEPP(Single Ended Push-Pull)回路では、
ドライバー段のNPN型トランジスターとPNP型トランジスターのベース間にバイアス回路が設けられている。

バイアス回路が出力段の動作を決めるとともに、
出力段のトランジスターのアイドリング電流をコントロールしているわけで、
このバイアス回路が音質に影響しないのであれば、パワーアンプの設計はどれほど楽になるのわからないほど、
バイアス回路の設計、そしてその取付け位置は難しい、といわれている。

1970年代の後半からパワーアンプのウォーミングアップによる音質の変化が顕在化してきた。
電源をいれたばかりのときの音と、1時間、2時間、さらにはもっと長い時間鳴らしていることによって、
音質が明らかに良くなるアンプがある、といわれるようになってきた。

国産アンプでは、トリオのL07Mがそういわれていたし、
海外製のアンプではSAEのMark2500がそうだった。
これら2機種は、私自身が興味をもっていたこともあって、すぐ名前が浮んできたから、
こうやって書いているけれども、これら以外にもかなりの数のパワーアンプの、
いわゆる寝起きの悪さが、問題となりつつあった時期である。

しかもやっかいなのは電源をいれているだけではだめで、
実際に鳴らしていなければウォーミングアップは終らない、ということもあった。

仕事を終えて帰宅して、レコードを聴こうとする。
電源を入れてアンプがあたまって調子を出してきたころには、夜遅くになっている。
独身であれば帰宅後の時間は、ほぼすべて自由にできるだろうが、
家族をもっている人だと、そうもいかない。

そういう人にとっては、パワーアンプの長すぎるウォームアップの時間は、大きな問題である。

理想をいえば、電源をいれてものの数分で本調子になってほしい。
それが無理なことはわかっている。でも、できれば30分程度で、長くても1時間で本調子になってくれなければ、
家庭で音楽を聴く、ということ、つまりは生活の中で音楽をいい音で聴くには、
このウォームアップの問題はしんどすぎる。

Date: 10月 6th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その7)

Wiggins Circlotron Power Amplifierの回路が具体的にどうなっているのかは、
私がここで文章だけで説明するよりも、
Googleで検索すると、回路図がダウンロードできるサイトがすぐに見つかる。

Circlotron History Pageというサイトで、
このサイトのトップに表示されている概略図は、AUDIO CYCLOPEDIAにも掲載されていた。

この図の真空管をトランジスターに置き換えて、
出力トランスをスピーカーに置き換えてみる。

もちろんスピーカーには、プッシュプル用の出力トランスのようにセンタータップはないので、
そのまま置き換えはできないけれど、
実際のWiggins Circlotron Power Amplifierの回路図をみて、
そしてアンプの回路に関する知識のある人ならば、難しいことではない。

いまGoogleで検索すると、過去のアンプの回路図が入手できる。
なかには回路図だけではなくサービスマニュアルもダウンロードできる。

けれど、SUMOの、他のアンプの回路図は入手できるけれど、
The Goldに関しては,私の探し方がたりないのか(回路図そのものをもっているためもあろう)、
まだネットで見たことはない。

ただThe Powerには、出力が半分のThe Halfが用意されていたように、
The GoldにはThe Nineというモデルがあった。
このThe Nineの回路図は、検索してみれば見つけることができる。

電圧増幅部はThe Goldではディスクリート構成(FETは使わずすべてトランジスター)に対し、
The NineはOPアンプに置き換えられているものの、
出力段の基本構成は、当然ながらThe Goldの考え方を受け継いでいる。

Date: 10月 1st, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その6)

Wiggins Circlotron Power Amplifierというものがある、ということはを知ったのは、
19歳のとき、AUDIO CYCLOPEDIAを購入したからだ。

まだこのころは真空管アンプの回路にそう詳しかったわけではない。
だから2ページ見開きで、回路図が載っているWiggins Circlotron Power Amplifierには惹かれたものの、
正直、動作に関して理解していたわけではなかった。

もちろんAUDO CYCLOPEDIAには解説文は載っている、英語で。
だから、もっぱら回路図を眺めるしか、理解の手はない。

ほとんどの場合、海図は片チャンネルだけ記載されることが多い。
AUDIO CYCLOPEDIAにも片チャンネル(1チャンネル)分の回路図が載っている。

Wiggins Circlotron Power Amplifierの回路図でまず目を引くのは、
整流管(6X4)が2本使われていること。
真空管アンプで、ステレオ仕様であっても整流管は通常1本のみということが多い。
2本使われていたとしても、左右チャンネル独立というものもあるけれど、
容量を増すための並列使用も、また多い。

Wiggins Circlotron Power Amplifierは、ステレオだと整流管を4本使用することになる。
なぜ、こんな大がかりなことをするのか。
電源ラインをおっていくと、通常のプッシュプルの真空管アンプとは電源のかけ方が異ることは、
AUDIO CYCLOPEDIAの他のページに載っている真空管アンプの回路図と見較べると、すぐにわかる。

Wiggins Circlotron Power Amplifierの回路図が載っている見開きの次のページには、
Wiggins Circlotron Power Amplifierの概略図も載っていた。

なにか違う……、
そのときは、ここまでの理解だった。
そして、しばらくこの回路のことは忘れていた。

Wiggins Circlotron Power Amplifierの存在を思い出したのは、
SUMOのThe Goldを手に入れて、
回路図も入手でき、The Goldの出力段の動作の解析を自分なりに行って、
自分なりに理解できて、ボンジョルノの天才性に感心していたときだった。

The Goldの購入は22歳のときだったから、3年以上の月日が、
Wiggins Circlotron Power Amplifierの理解に必要だったことになる。

Date: 9月 24th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その5)

フローティング電源はその名の通り、電源ラインの片側がアースに接続されていない。
そのためフローティング電源を採用するのであれば、
フローティング電源の数だけの電源トランスの巻線が必要となる。

アースに片側が接続されている通常の電源であれば、
トランスの巻線は左右チャンネルで共通化できる。
セパレーション向上のために巻線を独立することも多く見受けられるが、
独立させなくてもアンプは動作するのに対して、
フローティング電源はそうはいかない。必ず独立させていなければならない。

だからSUMOのThe GoldもヤマハのA-S2000、A-S1000も、
フローティング電源のため、出力段用の巻線を4つ用意している。

The Goldもヤマハのプリメインアンプも、
出力段のNPN型トランジスターへの電源供給ラインは、
一種のタスキ掛けといえる結線になっている。
フローティング電源の片方のラインが+側のトランジスターのコレクターに、
もう片方は−側のトランジスターのエミッターへと接がっている。
片チャンネルあたりフローティング電源は2つ必要なので、
もうひとつのフローティング電源は、
+側のトランジスターのエミッターと−側のトランジスターのコレクター、というふうになっている。

このところが真空管の一般的なプッシュプル動作と異るわけだが、
真空管アンプに、こういう回路のアンプがなかったかというと、そうでもない。

エレクトロボイスのアンプに、出力管に6V6、EL84、6BG6などを採用したプッシュプルアンプ、
Wiggins Circlotron Power Amplifierがある。

Date: 9月 17th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その4)

プッシュプルといっても、真空管アンプのそれとトランジスターアンプのそれとは、
微妙に異るところがある。

トランジスター、FETといった半導体にはNPN型とPNP型、N型とP型とがあるのに対して、
真空管にはNPN型、PNP型に相当するものは存在しない。
真空管に相当するのはトランジスターでいえばNPN型であって、
つまりPNP型トランジスター的な真空管はない。

そのためトランジスターアンプでのプッシュプルといえば、
NPN型トランジスターとPNP型トランジスター、
このふたつのトランジスターを組み合わせた回路ということになるが、
真空管アンプでのプッシュプルは、同一の真空管を2本使用することになる。
つまり真空管アンプのプッシュプルをトランジスターでつくるとなると、
NPN型トランジスターのみを使う、ということになるわけだ。

このことはトランジスターアンプのプッシュプルはアンバランス増幅であるのに対し、
真空管アンプのプッシュプルは、いわゆるバランス増幅ということになる。

だから真空管のプッシュプルアンプには、原則として位相反転回路が必要となる。
コンシューマー用アンプでは、いまでこそバランス接続が装備されるものが増えてきているが、
1980年代以前はほぼすべてアンバランス接続であった。
アンバランスによって送られてきた信号をそのまま増幅しただけではシングル動作になってしまう。
プッシュプルを形成する下側の真空管には位相を反転した信号を加えなければならない。
もちろんバランス信号を受けてそのまま増幅する回路であれば位相反転回路は要らない。

一方トランジスターのプッシュプルアンプには位相反転回路は要らない。
NPN型トランジスターとPNP型トランジスターからなるプッシュプルは真空管のプッシュプルと違い、
実際にはバイアス回路が必要であっても、信号の位相は同じである。

トランジスターアンプでのブリッジ構成(バランス回路)は、
出力段はNPN型トランジスターとPNP型トランジスターによるプッシュプル回路を、
+側と−側用にそれぞれ用意して、−側には位相を反転した信号が加えられる。

SUMOのThe GoldとヤマハのA-S2000、A-S1000は、
いま説明したようなトランジスターアンプのプッシュプルではなく、
真空管アンプのプッシュプル的な回路といえる。

もちろん出力トランスは必要としないし、
プッシュプルの真空管アンプの真空管をNPN型トランジスターにそのまま置き換えた回路ではない。
真空管アンプのプッシュプルと違う点は、出力段用にフローティング電源を用意している点にある。

Date: 9月 16th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインアンプ(その3)

SUMOが登場したとき、最初のパワーアンプはThe Powerだった。
AB級動作で出力は400W+400W。
このThe PowerのA級動作のThe Goldが用意されていることは、同時に告知されていた。

このとき私は単純にThe PowerをそのままA級動作させたアンプだと思っていた。
ヤマハのCA2000がそうであったようにA級動作とAB級動作を切替えられるアンプはいくつかあったし、
出力段にかかる電圧をさげて、バイアス電流を増すことで、
回路構成はそのままでAB級アンプをA級アンプとすることができるからだ。

The Goldはステレオサウンド 55号の新製品紹介のページに登場した。
そこには「出力段はユニークで、独立した2組のフローティングパワーサプライによって」とある。
これ以上の詳細な技術的な解説はなかったため、
The Goldの出力段が具体的にはThe Powerとどう異るかはわからなかったものの、
すくなくとも単にThe PowerをベースにA級動作化しただけのアンプではないことだけは伝わった。

それからしばらくしてSUMOのカタログを見る機会があった。
The Goldの回路の概略図が小さく載っていた。
あくまでも概略図だから、細かいところまではわからないのだが、
すくなくともNPNトランジスターとPNPトランジスターによるプッシュプルの出力段を、
ブリッジ回路としただけではないことは、その概略図にNPNトランジスターしか書かれていないことからもわかる。

しかもカタログには、The Goldには音質に大きな影響を与えるバイアス回路が省かれている、ともあった。
いったいThe Goldはどういうアンプなのか、この時点では私の頭では理解できなかった。

The Goldがどういうアンプなのか、がはっきりとしたのは、その数年後。
実際にThe Goldを中古で手に入れて、回路図を入手したときだった。

Date: 9月 16th, 2012
Cate: SUMO

SUMOのThe Goldとヤマハのプリメインプアンプ(その2)

1970年代、オーディオ用に半導体まで開発していたメーカーだったヤマハも、
一時期、オーディオへの積極的な関わり合いから離れていた。
それがA-S2000の開発により、またヤマハが戻ってきてくれた、という印象は多くの人が受けたことと思う。

CA2000に憧れていた中学生は30年以上経ったいま、
A-S2000に期待しながらも、その憧れは、残念なデザインによって消え去ってしまった。
それ以上の関心を、A-S2000には持てなかった。

そういうことなので、A-S2000がオーディオ雑誌でどういう評価を受けていたのかも知らない。
ただステレオサウンド 181号、
つまり昨年の暮れに出たステレオサウンド・グランプリとベストバリューが特集の号では、
掲載されてはいるけれども、それほど高い評価とはいえない。

A-S1000とともに20万円未満の価格帯にはいるA-S2000を推薦しているのは、三浦氏と和田氏のふたりだけ。
A-S1000は柳沢氏だけである。
この価格帯で評価が高いのは、オーラのvita、マランツのPM15S2、デノンのPMA2000SEなどである。
vitaは6人、PM15S2は5人、PMA2000SEは4人による推選である。

正直、私も、この評価に納得していたところがある。
デザインだけで関心を失い、それ以上、どういうアンプなのかについて調べもせずに、
だから音を聴くこともなく、ステレオサウンドの評価に同意していたわけだ。

そんなプリメインアンプを、こうやって取り上げているのは、
つい先日調べものをしていたら、A-S2000、A-S1000のパワーアンプ部に採用された回路が、
SUMOのThe Goldと基本的に同じことに気がついたからである。

ヤマハのサイトには、A-S2000のパワーアンプの回路を、フローティング&バランス式と名付けている。
そして概略図が載っている。
詳細な回路図を見ないことには、どこまでThe Goldと同じなのかははっきりしないが、
パワーアンプの出力段にフローティング電源を片チャンネルあたり2組用意しているところ、
そして一般的なプッシュプルがNPN型トランジスターとPNP型トランジスターを使うのに対し、
NPN型トランジスターのみを使っている点も、The Goldそのままである。