Archive for category 組合せ

Date: 9月 12th, 2017
Cate: ジャーナリズム, 組合せ

組合せという試聴(その9)

昔のステレオサウンドにはあったアンケートハガキ。
ベストバイ特集号の前号には、
読者の選ぶベストバイ・コンポーネントの投票用紙といえるハガキだった。

アナログプレーヤー、カートリッジ、トーンアームから
アンプ、チューナー、デッキ、スピーカーにいたるまで、
現用機種とともに記入されていた。

その8)で書いているように、
読者の選ぶベストバイ・コンポーネントの集計をやっていると、
ほんとうにそこに記入されている機種を組み合わせて音を出したら……、と思うものが少なくなかった。

意外性でおもしろいかも、と思う組合せ的ハガキもあった。
読者みなが組合せを意識して記入しているとはかぎらないのはわかっている。

それでも集計をする者からすれば、それぞれの項目だけを見て集計していても、
ハガキのすべての項目をまず見ることを忘れているわけではない。

返ってきたハガキを見ていると、
それまでのステレオサウンドの特集(総テスト)で評価の高かった機種が、
それぞれのジャンルで並んでいる、というものも少なくなかった。

その3)で書いた受動的試聴と能動的試聴。
組合せを考慮していないと感じるハガキからは、
受動的試聴での評価の高いモノが並んでいるだけの印象を感じていた。

実際のところはわからない。
私がそう感じたハガキであっても、記入した人は、組合せを考慮しての記入だったのかもしれない。

私がそのハガキから、そこのところを読みとれていなかった、という見方もできる。
それにすべての読者が、ステレオサウンドで取り上げた機種すべてを聴いているわけでもない。
どこに住んでいるのか、東京に住んでいても積極的に出掛ける人もいればそうでない人もいる。

オーディオ店での試聴は、単に聴いた、という程度と受け止めている人もいる。
ハガキを書いた人が、どの機種を聴いていて、それもどういう環境で、どの程度しっかり聴いているのか、
また聴いていない機種はどれなのか、
そういったことはまったくわからない。

聴ける機種よりも聴けない機種の方が多い人が多かったのではないか。
ならば受動的試聴の結果(試聴記)を参考にハガキを記入する。

Date: 7月 7th, 2017
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(813と4311・その6)

4310のことに話を戻そう。

JBLは4320、4310で、プロフェッショナル分野で、
それまでアルテックの牙城といえたスタジオモニターで成功をおさめた。

この成功を、JBLはコンシューマー用スピーカーにも活かそうとした。
その第一弾が、L100である。

L100は、いわば4310のコンシューマー版である。
アーノルド・ウォルフによるデザインの、
縦横に溝が刻まれたスポンジような素材のフロントグリルが特徴の……、
といえば、多くの人が、あのスピーカーか、と思い出すほどに、
インパクトの強いアピアランスをもっていた。

ちなみにフロントグリルの素材は、JBLが開発した、
音の透過性に優れたスカルプチャード・カドレックスと呼ばれるもの。

L100搭載ユニットは、ウーファーが123A-1、スコーカーがLE5-2、トゥイーターがLE20-1と、
4310と同じで、クロスオーバー周波数も同じ、
エンクロージュアの寸法も横幅と奥行きがわずかに違うものの、ほぼ同じといえるバスレフ型。

ユニットの配置は違う。
L100を特徴づけているフロントグリルをはずせばすぐにわかることは、
スコーカー、トゥイーターのレベルコントロールのパネルの向きと位置が、
4310とは違う。

上下逆さまの4310だから、L100では上下が反転しただけと思うがちだが、
L100は横向きで使うことを前提とした配置と向きになっている。

いうまでもなくL100はブックシェルフ型であり、
この当時(1971年)のブックシェルフ型スピーカーは、
本棚に収められることも前提の設計で、そのための横向きなのだろう。

フロントグリルのJBLのバッジは、確か向きがかえられたはずで、
縦置きでも使うことを考えている。
この場合の縦置きはウーファーが下にくる、一般的なユニット配置である。

だからというべきか、L100には4310にあったサブバッフルがない。

Date: 5月 21st, 2017
Cate: ワーグナー, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(カラヤンの「パルジファル」・その25)

その15)で黒田先生の、ステレオサウンド 59号の文章を引用している。

もう少し、別のところを引用したい。
     *
 なんといったらいいのでしょう。すくなくともぼくがきいた範囲でいうと、これまでマーク・レヴィンソンのコントロールアンプのきかせた音は、適度にナルシスト的に感じられました。自分がいい声だとわかっていて、そのことを意識しているアナウンサーの声に感じる嫌味のようなものが、これまでのマーク・レヴィンソンのコントロールアンプのきかせる音にはあるように思われました。針小棒大ないい方をしたらそういうことになるということでしかないのですが。
 アメリカの歴史学者クリストファー・ラッシュによれば、現代はナルシシズムの時代だそうですから、そうなると、マーク・レヴィンソンのアンプは、まさに時代の産物ということになるのかもしれません。
 それはともかく、これまでのマーク・レヴィンソンのコントロールアンプをぼくがよそよそしく感じていたことは、きみもしっての通りです。にもかかわらず、きみは、雨の中をわざわざもってきてくれたいくつかのコントロールアンプの中に、ML7Lをまぜていた。なぜですか? きみには読心術の心得があるとはしりませんでした。なぜきみが、ぼくのML7Lに対する興味を察知したのか、いまもってわかりません。そのことについてそれまでに誰にもいっていないのですから、理解に苦しみます。
(中略)
 ML7Lの音には、ぼくが「マーク・レヴィンソンの音」と思いこんでいた、あの、自分の姿を姿見にうつしてうっとりみとれている男の気配が、まるで感じられません。ひとことでいえば、すっきりしていて、さっぱりしていて、俗にいわれる男性的な音でした。それでいて、ひびきの微妙な色調の変化に対応できるしなやかさがありました。そのために、こだわりが解消され、満足を味ったということになります。
     *
黒田先生が、よそよそしく感じられたマークレビンソンのアンプとは、
LNP2やJC2のことである。

59号で聴かれているML7は、回路設計がジョン・カールからトム・コランジェロにかわっている。
JC2(ML1)とML7の外観はほぼ同じでも、
回路構成とともに内部も大きく変化している。

そこでの大きな変化は、とうぜん音への変化となっていあらわれている。
黒田先生が「マーク・レヴィンソンの音」と思いこまれていた
《自分の姿を姿見にうつしてうっとりみとれている男の気配》、
こういう音を出すアンプが、健康な心をもった聴き手に合うか(向いているか)といえば、
《すっきりしていて、さっぱりしていて、俗にいわれる男性的な音》のML7の方がぴったり合うし、
黒田先生がML7に惚れ込まれ購入されたのも、至極当然といえよう。

Date: 5月 20th, 2017
Cate: ワーグナー, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(カラヤンの「パルジファル」・その24)

小林利之氏の文章を読んですぐには、そうとは思えなかった。
カラヤン好きの知人がいて、彼を見ていると、どうにもそうは思えないことも関係していた。
数年後、1987年1月、ウィーン・フィルハーモニーのニューイヤーコンサートにカラヤンが登場した。

それまではマゼールだった。
ボスコフスキーが1979年秋にニューイヤーコンサートを辞退してからの七年間、マゼールだった。
私がNHK中継で見るようになったのも、マゼールの時代だった。

いつまでマゼールなのだろうか、と思いながら見ていた。
そこにカラヤンの、いきなりの登場だった。

このころのカラヤンは相当に体調が悪かったともきいている。
それでもカラヤンは登場している。
カラヤンのニューイヤーは、これ一回きりである。

カラヤンもそうなるとわかっていたのかもしれないし、
ウィーン・フィルハーモニーのメンバーもそう思っていたのかもしれない。

1987年のニューイヤーコンサートから、録音も再開されるようになったし、
毎年リリースされるようになった。

カラヤンのニューイヤーコンサートを聴いて、
小林利之氏の文章を思い出してもいた。
確かに、カラヤンの演奏が、健康な心を持った聴き手のため、ということに、
完全ではないものの同意できるようになった。

カラヤン好きの知人は、そういえばクーベリックはほとんど聴いていなかったなぁ、と思い至った。
小林利之氏は、クーベリックの演奏もカラヤン同様に、と書かれていた。
カラヤンとクーベリックの演奏を、好んで聴く人は、健康な心を持っているのかもしれない。

ならば、ここでの組合せに選ぶアンプも、そういうアンプを持ってこよう。

Date: 5月 19th, 2017
Cate: ワーグナー, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(カラヤンの「パルジファル」・その23)

スピーカーは決った。
次に決めるのはアンプである。

何を持ってくるか。
スピーカーは現行モデルだから、妄想組合せとはいえ、
アンプも現行モデルの中から選びたい。

どのアンプがぴったりくるであろうか。
想像するしかないのだが、楽しい時間である。

昔、瀬川先生が、アンプ選びが難しいのは、
人にたとえればスピーカーはその人の外面であり、
アンプは人の内面に関係してくるようなものだから、といわれた。

そういうところは確かに、アンプの違いによる音の違いには、ある。
ここで、またふと思い出すのは、小林利之氏が書かれていたことだ。

ステレオサウンド 30号で、
クーベリック/ベルリンフィルハーモニーによるドヴォルザーク交響曲全集について書かれている。
その最後に、こうある。
     *
カラヤンと同様にクーベリックも健康な心を持ったファンに推めたい演奏をする指揮者である。ということは、心にかげりを持つタイプの聴き手には、あまりにもそれらは美しく優しいから屢屢たえがたい苦痛を覚えさかねないのである。そして音楽は、いつも健康な心の人のためだけあるものではないのだから、いろんなタイプの演奏が求められてしかるべきだ。クーベリックがあれば、あとはいらぬなどと言い切ることは、したがって不可能なことなのである。
     *
ずっと以前に読んでいて、記憶にのこっていた。
でもステレオサウンドの何号に載っているのか思い出せずにいた。
別項のために30号をひっぱり出していて、あぁ、ここだった、と、やっと続きを書けるようになった。

カラヤンの演奏が、健康な心を持った聴き手のため、ということに、
完全には同意できないけれど、なるほどそうかもしれない、と思う気持もある。

Date: 2月 13th, 2017
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(セレッションSL600・その4)

SL600が登場するころ、イギリスのオーディオ機器にはネクステル塗装が流行っていた。
メリディアンのMCA1やCDプレーヤーMCDなどがそうだった。

SL600もそうだった。
最初は流行っているからなのか、と思ったが、
(その3)で書いたことを試してみて、
実のところセレッションもエンクロージュアの素材であるアルミハニカムの欠点に気づいていたから、
ネクステル塗装にしたのではないか、とも思うようになった。

エンクロージュアの塗装は、音に大きく影響する。
ピアノ仕上げのスピーカーは見映えのためだけではない。
光沢のある仕上げもそうである。

でも個人的には光沢のある仕上げだと、
スピーカーのバッフルに自分の顔が映ってしまう。
これが苦手だ。

音楽を聴いている自分の顔を、私は見たいとは思わない。
中には、音楽に真剣に向きあう己の姿にうっとりする人もいるけれど、
私はそんな人種ではない。

セレッションが私と同じことに気づいてのネクステル塗装を選択したのかはなんともいえないが、
別の塗装であれば、音は違ったものになっているのは確かである。

アルミハニカムは軽くて剛性も高い。
内部にエネルギーを蓄積しないという点では、SL600の開発意図に添う素材である。

アルミハニカムは蜂の巣と同じ構造となっている。
同じ大きさの六角形が隙間なくきっちりと並んでいる。

テクニクスは六角形の大きさを外周にいくにしたがって大きくなるように工夫していたが、
SL600のアルミハニカムはそうはなっていないはずだ。

この構造が軽くて高い剛性を両立させているわけだが、
同時に聴感上のS/N比を悪くもしている。

同じ大きさの六角形とは、同じ大きさの空洞である。
その空洞を塞ぐようにスキン材が両側に張られている。

この空洞を、何かで埋めない限り、
アルミハニカムで良好な聴感上のS/N比を得るのは無理なのではないか。

具体的にはウールのような天然素材を、
すべての空洞に軽く詰めていく。
ぎゅうぎゅうに詰める必要はないばずだ。

これは試してみたかった。
けれどSL600のスキン材をきれいに剥してすべての空洞をうめたうえで、
もう一度スキン材を張ることができるわけがなくて、あきらぬていた。

それでもときどき思い出しては、
アルミハニカムそのものが入手できるのであれば、
SL600と同じコンセプトのスピーカーを自作できるのに……、と、
インターネットで検索をしていた。

Date: 2月 13th, 2017
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(セレッションSL600・その3)

セレッションSL600のフロントバッフルの下部中央に、ロゴプレートがある。
これは両面テープで貼られている。

このプレートを指で弾いてみると、いい感じの音はしない。
これを外す。

聴感上のS/N比の優れたスピーカーシステムで、
聴感上のS/N比に充分な配慮をしたセッティングをしていれば、
このプレートを外しただけでも、音ははっきりと変る。

もっとも外した理由は音を良くしたいからではなく、
ロゴプレートのデザインに気に入らなくて、視覚的に外したかっただけである。

けれどSL600での変化は予想に反して鈍い。
同じことは他の個所についてもいえた。

ウーファーの周囲には金属製のプレートがある。
これはネジ止めされている。
これも外してみた。

外したSL600はみっともない。
それでも一度は外した音を確かめておく。

ここでの変化は鈍かった。
ここまで来ると、SL600はもしかすると聴感上のS/N比があまり良くないことに気づく。

他にも試している。
ウーファーのプレートを止めている六角ボルトの頭にゴムキャップをとりつけてみた。
レンチが入るところを埋め、ボルトの頭からの不要輻射を抑えるためである。
同じことをトゥイーターのボルトにやる。

これは当時のダイヤトーンのスピーカーシステムに採用されていた手法である。
ダイヤトーンのスピーカーでは、このキャップがあるとないとでは、はっきりと音の変化がある。

SL600は変化しないわけではないが、変化量が小さい。
これは聴感上のS/N比を大きく疎外している要因があるわけで、
それを抑えてみるために(その2)で書いている方法を採った。

この手法を採った上で、もう一度上記のことをくり返し試す。
あきらかに変化量に違いが出てくる。

これはもうエンクロージュアの素材に起因しているものと判断した。

Date: 11月 23rd, 2016
Cate: ワーグナー, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(カラヤンの「パルジファル」・その22)

BBCモニターのLS3/5Aは好きなスピーカーである。
いまも好きなスピーカーといえる。

私にとってのLS3/5Aとは、ロジャース製の15ΩインピーダンスのLS3/5Aである。
そのLS3/5Aを初めて聴いた時から、
この音のまま、サイズが大きくなってくれたら……、
そんな無理なことを考えたし、LS3/5Aと共通する音色を聴かせてくれるスピーカーが登場すると、
これはLS3/5Aの延長線上にあるスピーカーかどうかを判断するようになっていた。

メリディアンのM20。
LS3/5Aと同じ口径のウーファーを上下二発配し、中間にトゥイーター。
ユニットのそのものはLS3/5Aのそれと近い。

M20はパワーアンプを内蔵していたアクティヴ型だった。
専用スタンド(脚)が最初からついていた。

M20をメリディアンのCDプレーヤーと接いで鳴ってきた音には、ころっとまいってしまった。
私には、LS3/5Aの延長線上にはっきりとあるスピーカーと感じた。

LS3/5Aよりも音量も出せるし、その分スケールもある。
反面、小さなスケールから感じる精度の高さはやや薄れたように感じても、
音色は共通するところがあり、この種の音色に当時の私は弱かった。

M20はずいぶん迷った。
買いたい、と本気で考えていた。
買っておけばよかったかな、と思ったこともある。

その後、数多くのスピーカーが登場し、そのすべてを聴いたわけではないが、
めぼしいモノは聴いてきた。
LS3/5A、M20、ふたつのスピーカーがつくる線上に位置するスピーカーは、
私にとってはひさしく登場しなかった。

同じLS3/5AとM20がつくる線上であっても、
人によって感じる良さは共通しながらも違ってくるだろうから、
あのスピーカーは延長線上にある、という人がいても、
私にとってはベーゼンドルファーのVC7まではなかった。

VC7を初めて聴いた時、LS3/5A、M20の延長線上にある。
しかもずいぶん時間がかかったおかげか、
LS3/5AとM20の距離よりもずっと離れた位置にVC7はいるように感じた。

Date: 10月 26th, 2016
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(813と4311・その5)

(その5)としているが、完全に余談である。

オーディオユニオンが4343、4311タイプのエンクロージュアを製品化していたころ、
オーディオユニオンの店舗は原宿にもあった。

原宿の店舗を憶えている人もいるだろうが、
その店舗の前の話で、当時はラフォーレ原宿の四階と五階にあった。
新宿ももう一店舗あり、マイシティ(現在のルミネエスト)にもあった。

ダイナミックオーディオも六本木と青山にも店舗があった。
ダイナミックオーディオの六本木店の隣にロシア料理の食品店があった。
水曜日か木曜日にピロシキが売られていた。
揚げたてのピロシキがおいしかったことを憶えている。

この店のことは、ステレオサウンド 53号の編集後記で、Oさんが少し触れられている。
六本木のE食品店である。
たしかに、ここのレアチーズケーキはおいしかったが、
それは素朴なおいしさだった。

Oさんの編集後記はL洋菓子店のことを書かれている。
ルコントのことだ。
ルコントのレアチーズケーキを、E食品店の前に食べていた。
順番が逆だったら、違うおいしさを感じたのかもしれない。

E食品店はとっくになくなった。
ルコントも六本木からなくなり、すべての店舗が閉店した。
でも数年前に復活していて、広尾と銀座と三越日本橋店にいまもある。

オーディオユニオンはその後、吉祥寺と国立にも店舗ができた。
国立店は閉店している。

なくなった店舗もあれば、新たな店舗もあって、
店舗数としては大きく変っているとはいえないわけだが、
どこにあったのかは、大きく変ってしまった。

Date: 10月 25th, 2016
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(813と4311・その4)

1980年か1981年ごろ、まだまだスピーカーの自作熱が高かったころ、
オーディオユニオンがエンクロージュアを製品化していた。

4343のエンクロージュアのコピーを出していた。
4343のエンクロージュアのコピーは、他のエンクロージュアメーカーも出していたので、
特に珍しいことではなかったが、オーディオユニオンは4311のそれも出していた。

EN4311WXという型番で、35,200円(一本)。
ユニットはついていないが、ネットワークとレベルコントロール、それに銘板はついていた。
JBLのロゴはaudio unionになっていたけれど、
写真でみるかぎり4311っぽい感じは出ていた。

推奨ユニットとしては、
ウーファーは2213H(これは4311Bと同じ)、
スコーカーは2105H(4311B搭載のLE5-2のプロ用ユニット)、
トゥイーターはフォステクスのFT90HかJBLの2405(4311Bはコーン型のLE25-2)。

どんな音がしたのかはわからない。
こういう製品なので、その評価がオーディオ雑誌に載っているのも見たこともない。
私の周りには、使っている人、使ったことのある人、聴いたことのある人もいない。

2405搭載版は聴いてみたい気もする。
それに、このオーディオユニオン版4311も、
JBLの4311同様、ウーファーを下側にもってくる設置をしたら、うまく鳴らないのか。

このところだけでも知りたいのだが、無理であろう。

Date: 9月 29th, 2016
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(その5)

パスラボが2004年に発表した4ウェイのアクティヴ型スピーカー、Rushmoreもそうだったと記憶している。
どの帯域だったのかまでは記憶していないが、
カットオフ周波数をあえて離すことをやっている。

長年アンプを手がけてきたネルソン・パス初めてのスピーカーシステムにおいて、
この手法をとっていることに、相当に聴き込んで調整していったものだと想像できる。

アンプのエンジニア(電気屋)がつくるスピーカーは特性はいいけど……、
ずっとずっと以前はそんなことがいわれていた。
そういう出来のスピーカーシステムも、昔は少なかったのだろう。

でもアンプのエンジニアであっても、
魅力的なスピーカーシステムをつく上げられる。

ソウル・バーナード・マランツは1968年に、
マランツの社長職をしりぞいている。
よく知られるように、マランツ初のチューナーModel 10Bの開発が長引いてしまったことで、
開発費がかさみすぎて、1964年にスーパースコープの傘下に入っている。

ソウル・バーナード・マランツは1970年にダルクィストの創立に協力するとともに、
製品開発のコンサルタントをシドニー・スミスとともに手がけている。

ということはダルクィストのスピーカーシステムDQ10のネットワークはどうなっているのか。
このことに関心がわく。
DQ10はある種アヴァンギャルド的な要素を持っていた。

あえてQUADのESLのアピアランスに似せている。
そういうスピーカーシステムだから、ネットワークが教科書通りの設計とは思えない。

Date: 9月 29th, 2016
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(その4)

マランツの管球式のModel 3は、1957年に出ている。
真空管はECC83を三本使った2ウェイ用で、スロープ特性は12dB/oct.。

カットオフ周波数は、
100Hz、150Hz、220Hz、350Hz、500Hz、700Hz、1kHz、1.5kHz、2.2kHz、3.5kHz、5kHz、7kHz。
この12ポイントから、低域側/高域側のカットオフ周波数を選べる。

つまり低域側のカットオフ周波数を350Hzにして高域側を500Hzにするということも可能である。
このことは意外にも重要視されていない節があるが、
スピーカーシステムを構築していく上では、ありがたい機能である。

エレクトリックデヴァイダーはスイッチ、もしくはカードの差し替えで、
クロスオーバー周波数を変更できる。
けれど多くは低域側と高域側のカットオフ周波数を同時に変更する。

つまり低域側を350Hzにしら、高域側も350Hzになってしまうわけだ。
それで何が不都合なのか、と思う人は、
一度低域側と高域側のカットオフ周波数を個別に変更できるようにした音を試してみたらいい。
(なかなかそういう機会はないと思うけれども)

マルチアンプシステムは、LCネットワークよりも計算通りのスロープが得やすい。
スロープ特性がスピーカーユニットのインピーダンス特性とその変動に影響を受けることはない。
それでもスピーカーシステムを構築していくということは、
そう理論通りにはいかないもので、
時として低域側と高域側のカットオフ周波数を離したほうが好結果が得られたりもする。

井上先生は、Model 3のこの仕様を評して、
ソウル・マランツはスピーカーのことがわかっている男だ、といわれていた。

ただModel 3の、この仕様は、ソウル・マランツによるものなのだろうか、
それとも1954年にマランツに入社してModel 2をデザインしたシドニー・スミスによるものなのか、
そのへんははっきりしない。

Date: 9月 17th, 2016
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(セレッションSL600・その2)

セレッションのSL6という小型スピーカーシステムが登場したときのことは、
いまもはっきりと憶えている。

ステレオサウンドの試聴室で、山中先生の新製品の試聴がそうだった。
それまでの小型スピーカーのイメージは、
良くも悪くもロジャースのLS3/5Aによってつくられていた。
すくなくとも私はそうだった。

それを覆したのがSL6であり、
さらにクレルのKMA200(モノーラルで、A級動作200Wのパワーアンプ)で鳴らした音は、
低音域の相当に低いところにおいても見事としかいいようがなかった。

SL6は、だから売れた。
セレッションはエンクロージュアのみアルミハニカムに変更したSL600を続いて登場させた。
SL600は、すぐに購入した。

購入してわかるのは、以前も書いているように、
SL600にはある種の聴感上のS/N比の悪さがある。

いろいろ試してみた結果、
エンクロージュアの材質であるアルミハニカムに起因するものだ、といえる。

SL600を聴感上のS/N比の悪いスピーカーというと、
逆だろう、と思われるかもしれない。

確かによくなっているところはある。
アルミハニカム・エンクロージュアの特質といえる音があるのは確かだ。

でもそれは良い面ばかりでなく悪い面もある、というだけの話で、
それはSL600だけに限った話ではなく、すべてのどんな材質、方式にもいえる。

アルミハニカム・エンクロージュアの可能性は、SL600を鳴らしていて感じていた。
でも、そのままではどうしようもない欠点も感じていた、ということだ。

見た目をまったく気にしないのであれば解決法はある。
けれど、それではあまりにもみっともない見た目になってしまう。

SL600の欠点をはっりきと確認するためには、実験としてそういうことをやっても、
そのままの状態で聴き続けることはしない。

それではどうするのか。
こうすれば解決するのではないか、という方法は考えていた。
でも、それを試すには、当時は無理だった。

Date: 9月 17th, 2016
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(セレッションSL600・その1)

いまの時代、スピーカーの自作は、昔と比べてどうなのか、と思うことがある。
ここでいう昔とは、私にとっては1970年代後半から1980年代前半ぐらいのことを指す。

JBLのユニットはコンシューマー用、プロフェッショナル用ともに充実していた。
アルテックも、そのころは健在だった。
タンノイもユニットを単売してくれていた。

私が好きなフィリップスのフルレンジユニットも現役だった。
ジョーダン・ワッツのModule Unitもあった。
他にも使ってみたい、鳴らしてみたいユニットが、いくつもあった。

エンクロージュアをつくってくれるところもいくつもあった。
いまはみななくなってしまったが、エンクロージャー、インペリアル、進工社などがあった。
他にもいくつかあった。

その時代のHI-FI STEREO GUIDEをめくっていると、
おもしろかった時代だったな、と思う。

ある時期、昔より自作には向いていないことがあったのは確かだ。
でもいまの時代はどうだろうか。
昔とは違うのはインターネットがあり、さまざまな情報を得られるようになり、
同時にインターネットの普及がサービスを大きく変えていっていることも考え合わせると、
いまの時代、昔よりもスピーカーの自作がおもしろいといえるようにもなってきている、
そのことに気づかされる。

もちろんすべての面で……、とはいわないが、
いまの時代がおもしろいといえることがいくつもある。

Date: 9月 1st, 2016
Cate: 組合せ

スピーカーシステムという組合せ(813と4311・その3)

JBLの4311には4310というモデルが、先に存在していた。
基本的には4310と4311は同じだが、外観ではっきりとした違いは、
トゥイーター、スコーカー、バスレフポートをサブバッフルに取り付けているのが4310で、
4311では一枚のフロントバッフルに三つのユニットとポートが取り付けられている。

4310の写真を見て最初は、このサブバッフルはデザイン的なものだと思った。
ハタチになるかならないかのころだった。

けれどウーファーをバッフル上部に配置することでの加重のかかり方を考えると、
このサブバッフルは、ウーファーを上にもってきたために生じる加重の変化に対応するための、
いわば補強であったのではないか。

三つのユニットの中でウーファーがいちばん重い。
そのウーファーが上にあれば、トゥイーター、スコーカーまわりのバッフルへの加重は、
ウーファーが下にある場合よりも増すことになる。
ならば、この部分の強度を増すことも必要となる。

4310の実物に触れたことはないので、
トゥイーター、スコーカー周りの強度が、
ウーファー周りよりも増しているのか確認できていない。

それでも4310のサブバッフルは音質上不可欠なものだったと考えている。