Date: 11月 5th, 2025
Cate: オーディオの「美」
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人工知能が聴く音とは……(その10)

人工知能は、いい音いい音楽を聴いて感動できるのか。
これから先、どんどん進歩し進化していけば、いい音の聴き分けも可能になっていくことだろう。

それこそスマートフォンで音を捉えて、音の良否だけではなく、
どういうところがダメなのか、それを解消するにはどういう手があるのか。
そういったことまで提案してくる日が、いつの日かあるだろう。

そこまでのレベルに到った時、人工知能は、人と同じようにいい音いい音楽に感動できるのか。

どんなに進歩進化しても無理という考えが一般的かもしれない。
けれど、本当にそうなのか──、とも思う。

フルトヴェングラーは、
「感動とは人間の中にではなく、人と人の間にあるものだ」を語っている。

感動とは、そこに存在しているわけではない。
確かなものとして、どこかにある存在でもなく、
うまれてくるもののはずだ。

音楽の場合、演奏家と聴き手の間にあるものであり、
人工知能が感動するいい音いい音楽とは、人が感動するのとはまるで違うのかもしれない。

同じ音楽、演奏を同じ場で聴いても、聴いた人皆が感動するわけではない。
私が深く感動した音楽を聴いても、退屈だと感じる人もいるし、その反対のことだってある。

それに同じく感動したと複数の人が言っても、その感動が同じだとは誰にもわからない。

人工知能が感動するいい音いい音楽が、私が聴いても感動するのか、それとも全く違うのか。
どちらであったとしても、そういう音、音楽は聴いてみたい。

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