Archive for category ALTEC

Date: 4月 8th, 2012
Cate: 6041, ALTEC, Kingdom, TANNOY, ワイドレンジ

ワイドレンジ考(その76)

このあたりがJBLとアルテックの違いである、と思える。
どちらもアメリカ西海岸にあるプロ用のスピーカーを製造している会社でありながら、
JBLのスピーカーユニットの豊富さとは逆にアルテックのスピーカーユニットの数は少ない。
アルテックにはJBLのようにコーン型ユニットの口径のヴァリエーションが豊富ではない。

だからアルテックが4343と同等かもしくはそれを超えようとする4ウェイのシステムをつくろうとすれば、
604-8Hしかないというのは理解できる。
それに604をシステムの中核に使うからこそ、アルテックの色が濃くなる。

このスピーカーユニットの豊富さの違いは、メーカーの体質の違いでもある。
もしJBLが同軸型ユニットを核にした4ウェイ・システムを開発するのであれば、
現行ユニットだから、とか、会社の顔的な存在のユニットだから、といったような理由ではなく、
最適な口径のユニットがラインナップになければ、新たに開発するであろう。

それに、以前も書いているけれど、6041は急拵えのシステムだと思う。

そうはいいながらも6041には魅かれる。
だから、こうやってあれこれ書いているわけだ。
604-8Hを使い4ウェイ・システムを、完成度を高くまとめていくのであれば、
私ならばウーファーの口径はもっと大きなものにする。
黄金比的にいえばミッドバスが15インチなのだから、24インチ(60cm)口径となる。
現実に、この口径のウーファーとなるとハートレーの224HSがある。
マーク・レヴィンソンがHQDシステムにも採用したハートレーの、このウーファーは、
クラシックをメインに聴く私にとっては、
604と組み合わせる大口径ウーファーとしては、これしかないようにも思う。

とはいえ604-8H(もしくは604-8G)の下に224HS、となると、
エンクロージュアのサイズはかなりの大きさになる。

もうひとつ考えられるのは、18インチ口径のウーファーをダブルで使うことだ。
これもエンクロージュアのサイズはそうとうに大きくなる。

24インチ・ウーファーにするのか、18インチ・ウーファーのダブルか。
18インチ・ダブルの方は、604に合うと思えるユニットが頭に浮ばない。
現行製品だけでなくとも、18インチともなると製品の数も減ってくるし、過去の製品でも思い浮ばない。

604を使いながら4ウェイにしてワイドレンジを狙うのであれば、
私自身の好みをいれると、ハートレーの224HSということになる。
604と224HS──、もうバカげた構成ではあるけれど、試してみたい、と思いつつも、
現実的な構成としては、
タンノイのKingdomの12インチ口径同軸型ユニット18インチ口径ウーファーの組合せは、
うまくオーディオマニアの心をとらえた絶妙な、そしてぎりぎりのサイズ設定だと感じてしまう。

Date: 4月 7th, 2012
Cate: 6041, ALTEC, ワイドレンジ

ワイドレンジ考(その75)

4ウェイのスピーカーシステムにおいて、ウーファーとミッドバスの口径比が成功のカギになっている、
と実例から確信しているものの、なぜ黄金比に近い口径比がうまくいくのか、
その技術的な理由付けについては、いまのところ書いていけない。
ただ、そうだとしか、いまのところはいえない。

この観点からすると、アルテックの6041のウーファーは小さいということになってしまう。
ミッドバスとミッドハイを15インチ口径の604-8Hで受け持たせているわけだから、
ここにサブウーファーとして同口径のウーファーをもってきたとして、うまくいく可能性は低かろう。

もちろん604-8Hの低域をネットワークでカットすることなく、
追加したウーファーの高域のみカットして低域に関しては、
604-8Hのウーファー部とサブウーファーの416SWを並列にして鳴らす、という手段でなければ、
うまくいきそうにないと思えてくる。

そうなると15インチ口径のウーファーを2本おさめた形になるわけだから、
6041のエンクロージュア・サイズでは小さい、ということになってしまう。
6041のサイズで中核となるユニットに604-8Hを使うかぎりは、結局のところうまくいきっこない。

タンノイには同軸型ユニットに以前から現在まで3サイズある。
10インチ、12インチ、15インチがあるところが、同じ同軸型ユニットのアルテックと少し異る点である。
アルテックにも以前は12インチ口径の同軸型ユニットが存在していた。
けれど6041が登場するころには15インチの604のみになっていた。

12インチの601シリーズは、604の原型である601と型番は同じだが、
604の原型である601は604と同じ15インチだが、1950年代なかばに登場した601A以降は、
601シリーズは12インチ口径となっている。

601シリーズは、601A、601B、601C、601D、601-8D、601-8Eと変遷をとげ終ってしまっているが、
この後も続いて、601-8Gとか601-8Hといったモデルがもしも存在していたら、
6041はユニット構成は604ではなく601になっていた可能性もあっただろう。
そうだったら6041という型番ではなく、6011となっていた(?)。

ワイドレンジ考(その64・補足)

6041のトゥイーターには、6041STという型番がついている。
3000Hはあったものの、本格的なトゥイーターとしては、アルテック初のものといえるけれど、
残念ながらアルテックによるトゥイーターではない。

作っていたのは日本のあるメーカーである。
それでも、この6041STが優れたトゥイーターであれば、OEMであったことは特に問題とすることではない。
でもお世辞にも、6041のトゥイーターは優秀なものとはいいにくい、と感じていた人はけっこういる。

たとえば瀬川先生は、ステレオサウンド53号で、
♯6041用の新開発といわれるスーパートゥーイーターも、たとえばJBL♯2405などと比較すると、多少聴き劣りするように、私には思える。これのかわりに♯2405をつけてみたらどうなるか。これもひとつの興味である。
──と書かれていて、6041のトゥイーターがOEMだと知った後で読むと、意味深な書き方だと思ってしまう。

当時の、この文章を読んだときは、アルテックの604にJBLの2405なんて、悪い冗談のようにも感じていた。
瀬川先生が、こんなことを冗談で書かれるわけはないから、ほんとうにそう思われているんだろう、と思いながらも、
それでもアルテックにJBLの2405を組み合わせて、果してうまくいくのだろうか、と疑問だった。

1997年に、ステレオサウンドから「トゥイーター/サブウーファー徹底研究」が出た。
井上先生監修の本だ。
この本で、トゥイーターの試聴には使われたスピーカーシステムはアルテックのMilestone 604だ。
トゥイーター17機種のなかに、JBLの2405Hが含まれている。

2405Hの試聴記を引用しよう。
     *
このトゥイーターを加えると、マイルストーン604の音が、大きく変りました。まず、全体の鳴り方が、表情ゆたかに、生き生きとした感じになります。604システムそのものが、「604って、こんないい音がしていたかな?」というような変り方なんです。
(中略)TADのET703の場合には、もう少し精密工作の産物という感じの精妙さがあり、システム全体の音に少し厳しさが感じられるようになり、アルテックらしさというよりは、昔のイメージのJBLというか、現代的な音の傾向にもっていく。
ところが、2405Hでは、アルテックらしいところを残しながら、一段と広帯域型になり、音色も明るく、すっきりと、ヌケのよい音になり、表現力もナチュラルな感じです。
(中略)全体として、アルテックの良さを保ちながら、細部の質感や音場感、空間の広がりなどの情報量を大幅に向上させる、非常にレベルの高いトゥイーターです。
     *
6041に2405をつけてみたら、好結果が得られた可能性は高かったようだ。

Date: 6月 2nd, 2011
Cate: 6041, ALTEC, ワイドレンジ

ワイドレンジ考(その67)

アルテックの6041は完成度を高めていくことなく消えてしまった。
これはほんとうに残念なことだと思う。

6041につづいてアルテックが発表していったスピーカーシステム──、
たとえば6041のトゥイーターをそのままつけ加えただけのA7-XS、
A7を、ヴァイタヴォックスのバイトーンメイジャーのようにして、3ウェイにした9861、
30cm口径のミッドバスをもつ4ウェイの9862、
これらは、どれも大型フロアー型であるにも関わらず、ごく短期間にアルテックは開発していった。

開発、という言葉をあえて使ったが、ほんとうに開発なんのだろうか、という疑問はある。
なにか資金繰りのための自転車操業という印象さえ受ける。

当時は、なぜアルテックが、こういうことをやっているのかは理解できなかった。
2006年秋にステレオサウンドから出たJBLの別冊の210ページを読むと、なぜだったか、がはっきりとする。
アルテックは、1959年に、リング・テムコ・ヴォートというコングロマリットに買収され、
この会社が、1972年に親会社本体の収支決算の改善のためにアルテックに大きな負債を負わせた、とある。
それによりアルテックは財政的な縛りを受け、十分な製品開発・市場開拓ができなかった、と。

それならばそれで、あれこれスピーカーシステムを乱発せずに、
可能性をもっていた6041をじっくりと改良していって欲しかった。
6041の中心となっている604が、そうやってきて長い歴史を持つユニットであっただけに、
よけいにそう思ってしまう。

6041は消えてしまう。

Date: 12月 8th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その23)

この項の(その18)でふれているが、同軸型ユニットにおいて、
ウーファー用とトゥイーター用のマグネットが独立していた方がいいのか、
それともひとつで兼ねた方がいいのか、どちらが技術的には優れているのか、もうひとつはっきりしない。

タンノイのリビングストンは、ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」のタンノイ号で、
アルテックの604との比較、それにマグネットを兼用していることについて語っている(聞き手は瀬川先生)。
     *
これ(604のこと)に比べてタンノイのデュアル・コンセントリックは全く違います。まず、ホーンでの不連続性はみられません。第二にコーンの前に障害物が全くないということです。第三に、マグネティックシャントが二つの磁束の間にあるということです。結局、タンノイは一つのマグネットで二つのユニットをドライブしているわけですが、アルテックは二つのマグネットで二つのドライバーユニットを操作しているわけで、この差が大きなものになっています。
     *
第三の理由として語られていることについては、正直、もうすこし解説がほしい。
これだけではなんともいえないけれど、
少なくともタンノイとしては、リビングストンとしては、
マグネットを兼用していることをメリットとして考えていることは確実なことだ。

そのタンノイが、同軸型ユニットなのに、
ウーファーとトゥイーターのマグネットを独立させたものも作っている。

そのヒントとなるリビングストンの発言がある。
     *
スピーカーの基本設計の面で大事なことは、使われているエレメントが、それぞれ独立した思想で作られていたのでは、けっしていいスピーカーを作り上げることはできないと思うのです。サスペンションもコーンもマグネットも、すべて一体となって、それぞれがかかわり合って一つのシステムを作り上げるところに、スピーカーの本来の姿があるわけです。例えば、ボイスコイルを研究しているエンジニアが、それだけを取り上げてやっていると、トータルな相関関係が崩れてしまう。ボイスコイルだけの特性を高めても、コーンがそれに十分対応しなかったり、磁束密度の大きいマグネットにしても、それに対応するサスペンションがなかったりするわけで、そこでスピーカーの一体感というものが損なわれてしまう。やはりスピーカーを作る場合には各エレメントがそれぞれお互いに影響し合い、作用し合って一つのものを作り上げているんだ、ということを十分考えに入れながら作る必要があると思います。
     *
「一体」「一体感」「相関関係」──、
これらの言葉が、いうまでもなく重要である。

Date: 7月 7th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その22)

タンノイの創始者、ガイ・R・ファウンテンと、
チーフエンジニアのロナルド・H・ラッカムのふたりが音楽再生においてめざしたものは、調和だった気がする。
それも有機的な調和なのではなかろうか。

Date: 2月 21st, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その21)

キングダムのユニット構成は、同軸型ユニットを中心として、低域にサブウーファーを、
高域にスーパートゥイーターを追加した4ウェイである。

ここまで書けば、察しのいい方ならば気がつかれるだろうが、
タンノイのスピーカーづくりのありかたとして、同軸型ユニットだけでシステムを構築する場合には、
従来からのウーファーとトゥイーターのマグネットを兼用させたものが、
そしてレンジ拡大のためにウーファーやトゥイーターが追加されるときには、
マグネットが独立したタイプが使われる。

このことから推測されるのは、重視する要素が、システム構成によって違いがあるということだ。

それぞれの同軸型ユニットが重視している要素は、調和か明晰か、ではなかろうか。
このことは、エンクロージュアの構造、つくりの違いにも顕れている。

Date: 2月 21st, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その20)

タンノイの同軸型ユニットは、必ずしもマグネットがひとつだけ、とは限らない。
1977年ごろ登場したバッキンガム、ウィンザー、このふたつのシステムに搭載されているユニット2508は、
フェライトマグネットを、高音域、低音域用とにわかれている。

バッキンガムも、ウィンザーも、ウーファーユニットを追加したモデルだ。
このときのタンノイの主力スピーカーシステムは、アーデン、バークレイなどの、いわゆるABCシリーズで、
使用ユニットはアルニコマグネットのHPDシリーズ。いうまでもなくマグネットはひとつだけ。
さらに同時期登場したメイフェアー、チェスター、ドーセット、アスコットには、2528DUALが使われている。
このユニットもフェライトマグネットだが、低音、高音で兼用している。

HPDシリーズはのちにフェライトマグネット使用のKシリーズに換っていくが、
Kシリーズも、マグネットひとつだけ、である。
2508のマグネットがふたつあるのはフェライトマグネットだからではないことが、このことからわかるだろう。

1996年、キングダムが登場する。
このキングダムに搭載されている同軸型ユニットも、またマグネットを2組持っている。

Date: 2月 19th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その19)

振動板の駆動源といえるマグネットが兼用されているため、
節倹の精神によってタンノイはつくられている、ともいえるし、
口の悪いひとならば、ケチくさいつくり、とか、しみったれたつくり、というかもしれない。

けれどオートグラフという、あれだけ意を尽くし贅を尽くしたスピーカーシステムをつくりあげたタンノイが、
その音源となるユニットに、節倹の精神だけで、ウーファーのコーン紙のカーブを、
トゥイーターのホーンの延長として利用したり、マグネットをひとつにしたとは、私は思っていない。

ボイスコイルがひとつだけの純粋のフルレンジユニットでは、ワイドレンジ再生は不可能。
かといって安易に2ウェイにしてしまうと、タンノイが追い求めていた、
家庭での音楽鑑賞にもっとも大切と思われるものが希薄になってしまう。
そのデメリットをおさえるために、できるかぎりの知恵を出し、
コーン型のウーファーとホーン型のトゥイーターを融合させてようとした結果が、
タンノイ独自のデュアルコンセントリックといっていいだろう。

これは、外観からも伺えないだろうか。
アルテックの604の外観が、同軸型2ウェイであることを顕示しているのに対し、
タンノイのデュアルコンセントリックは、何も知らずにみれば、大口径のフルレンジに見えないこともない。

Date: 2月 17th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その18)

アルテック、タンノイといった古典的な同軸型ユニットで、
ウーファー部の磁気回路とホーン型トゥイーター(もしくはスコーカー)の磁気回路が完全に独立しているのは、
長島先生が愛用されてきたジェンセンのG610シリーズがそうである。

完全独立、ときくと、マニアとしてはうれしいことではあるが、
ふたつ以上のマグネットが近距離にあれば干渉しあう。

干渉を防ぐには、距離を離すことが手っとり早い解決法だが、同軸型ユニットではそうもいかない。
ならばひとつのマグネットでウーファー用とトゥイーター用を兼ねよう、という発想が、
タンノイのデュアルコンセントリックの開発に当たっては、あったのかもしれない。

もっともマグネットは直流磁界で、ボイスコイルが発する交流磁界の変化によって、
磁束密度が影響を受ける、それに2次高調波歪がおこることは、
いくつかのスピーカーメーカーの解析によってはっきりとした事実であるから、
一つのマグネット(ひとつの直流磁界)に、二つの交流磁界が干渉するタンノイのデュアルコンセントリックでは、
音楽信号再生時に、どういう状態になっているのかは、専門家の話をうかがいたいと思っている。

Date: 2月 16th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その17)

Uni-Qをもってして、同軸型ユニットは完成した、とはいわないが、
Uni-Qからみると、ホーン型トゥイーターのアルテックやタンノイの同軸型は、あきらかに旧型といえるだろう。

ただ、オーディオマニア的、といおうか、モノマニア的には、
アルテックやタンノイのほうに、魅力を強く感じる面があることは否定できない。
Uni-Qの優秀性は素直に認めても、個人的に応援したくなるのは、アルテックだったり、タンノイだったりする。

空想してもしかたのないことではあるが、もしJBLがUni-Qを開発していたら、
モノとしての魅力は、マニア心をくすぐるモノとして仕上っていただろう。

Uni-Qは、あたりまえのことだけど、あくまでもイギリス的に仕上りすぎている。
もっといえば、いかにもKEFらしく仕上がっている。
そこが魅力でもあるのは重々承知した上で、やはりもの足りなさも感じる。

すこし話はそれるが、アルテックとタンノイの同軸型ユニットを比較するときに、磁気回路の話がある。
タンノイはウーファーとトゥイーターでひとつのマグネットを兼用している、
アルテックはそれぞれ独立している、と。

たしかに604や605などのアルテックの同軸型ユニットにおいて、
ウーファーとトゥイーターのマグネットは独立している。
が、磁気回路が完全に独立しているかという、そうではない。

604の構造図をみればすぐにわかることだが、ウーファー磁気回路のバックプレートと、
トゥイーターのバックプレートは兼用していることに気がつくはずだ。

Date: 2月 16th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その16)

ウーファーとトゥイーターの中心軸を揃えた同軸型ユニットは、
その構造ゆえの欠点も生じても、マルチウェイスピーカーの構成法としては、
ひとつの理想にちかいものを実現している。

同軸型ユニットは、単体のウーファーやトゥイーターなどにくらべ、
構造はどうしても複雑になるし、制約も生じてくる。
それでも、各スピーカーメーカーのいくつかが、いまも同軸型ユニットを、新たな技術で開発しているのをみても、
スピーカーの開発者にとって、魅力的な存在なのかもしれない。

KEFは1980年代の終りに、Uni-Qという同軸型ユニットを発表した。
それまで市場に現れた同軸型ユニットとあきらかに異り、優位と考えられる点は、
ウーファーとトゥイーターのボイスコイルの位置を揃えたことにある。

アルテックの604シリーズ、タンノイのデュアルコンセントリック・ユニットが、
トゥイーターにホーン型を採用したため、ウーファーとトゥイーターの音源の位置のズレは避けられない。

パイオニアのS-F1は、世界初の平面振動板の同軸型、しかも4ウェイと、規模も世界最大だったが、
記憶に間違いがなければ、ウーファー、ミッドバス、ミッドハイ、
トゥイーターのボイスコイルの位置は、同一線上にはなかったはずだ。

ユニットの構造として、Uni-Qは、他の同軸型ユニットを超えているし、
同軸型ユニットを、スピーカーユニットの理想の形として、さらに一歩進めたものともいえる。

Date: 2月 15th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その15)

ステレオサウンド 47号の測定結果で比較したいのは、
アルテック620AとUREI・813であることはいうまでもない。

813のネットワークの効果がはっきりと出ているのは、
インパルスレスポンス、群遅延特性、エネルギータイムレスポンスにおいてである。

620Aのエネルギータイムレスポンスは、まず-40dB程度のゆるやかな山があらわれたあとに、
高く鋭く、レベルの高い山が続く。
最初の山がウーファーからのエネルギーの到達を示し、それに続く山がトゥイーターからのものである。

813はどうかというと、ゆるやかなウーファーの山の中ほどに、トゥイーターからの鋭い山が入りこんでいる。
ふたつの山の中心が、ほぼ重なり合っている形になっている。

620Aでのウーファーの山のはじまりと、813でのはじまりを比較すると、
813のほうがあきらかに遅れて放射されていることがわかる。
インパルスレスポンスの波形をみても、このことは読み取れる。

620Aでは、やはりゆるやかな低い山がまずあらわれたあとに鋭い、レベルの高い山が続く。
813では、ゆるやかな山の始まりが遅れることで、鋭い山とほぼ重なり合う。

群遅延特性も、同じアルテックの604-8Gを使用しているのに、813はかなり優秀な特性となっている。

Date: 1月 6th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その14)

UREIの813のネットワーク(TIME ALIGN NETWORK)は、回路図から判断するに、
ウーファー部のハイカットフィルターは、6次のベッセル型である。

ベッセル型フィルターの通過帯域内の群遅延特性はフラットであると前に書いているが、
そううまくウーファーの音だけに遅延がかかって、トゥイーターからの音と時間的な整合がとれているのか、
と疑われる方もおられるだろう。
メーカーの言い分だけでは信じられない、コイルとコンデンサーだけのネットワークで、
タイムアライメントをとることが、ほんとうに可能なのか、と疑問を持たれても不思議ではない。

ステレオサウンドの46号の特集記事はモニタースピーカーだった。
その次の47号で、46号で登場したモニタースピーカーを、三菱電機郡山製作所にての測定結果が載っている。

アルテックの620A、JBLの4343、4333A、ダイヤトーンのMonitor1、キャバスのブリガンタン、
K+Hの092、OL10、ヤマハのNS1000M、そしてUREIの813の、
無響室と2π空間での周波数特性、ウーファー、バスレフポート、パッシヴラジエーターに対する近接周波数特性、
超高域周波数特性、高次高調波歪特性、混変調歪特性と混変調歪差周波掃引、
インパルスレスポンス、群遅延特性、エネルギータイムレスポンス、累積スペクトラム、
裏板振動特性、デジタル計測による混変調歪が載っている。

Date: 12月 18th, 2009
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その13)

川崎先生は「プレゼンテーションの極意」のなかで、特徴と特長について語られている。
     *
「特徴」とは、物事を決定づけている特色ある徴のこと。
「特長」とは、その物事からこそ特別な長所となっている特徴。
     *
ベッセル型フィルターの「特徴」が、同軸型ユニットと組み合わせることで「特長」となる。