Archive for 12月, 2009

Date: 12月 31st, 2009
Cate: Friedrich Gulda

eとhのあいだにあるもの(その2)

the GULDA MOZART tapes のI集とII集、あわせて5枚をこの二日で聴いていた。
少し大きめの音量で、この時季に聴いていて確信したのは、グルダのモーツァルトが鳴っていると、
部屋が暖かく感じられるようになる、ということ。

エアコンをつけていても部屋は暖かくなるが、それとは種類の違う温かさで、
陽当りのいい部屋にいると、陽射しによって直接からだがあたたまっていくのと、
あきらかに同じ感じのものということ。

そんな聴き方をしているのか、と怒られそうだが、スピーカーに背をむけて、
グルダのモーツァルトを背中に浴びていると、つよく実感できる。
グルダのモーツァルトには「光がある」と。

Date: 12月 31st, 2009
Cate: 音楽性

「音楽性」とは(その5)

ヨゼフ・ホフマンが語っている。

Perfect sincerity plus perfect simplicity equals perfect achievement.
完璧な誠実さに完璧な単純さを加えることで、完璧な達成にいたる。

工業製品であるスピーカーに、完璧な誠実さ、完璧な単純さは、いまのところ求められないが、
十分な誠実さに十分な単純さを加えることで、十分な達成にいたることはできる。
欠点はあっても、十分なスピーカーシステムはつくることはできる。

誠実さはあっても十分な単純さがなければ、不十分なスピーカーとなろう。
誠実さもなく、単純さもないスピーカーがある。「欠陥」スピーカーのことだ。

Date: 12月 30th, 2009
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(その22)

SUMOのThe Gold、The Powerのマニュアルには「ELECTROSTATIC SPEAKERS」の項目がある。

While both amplifiers (The Power and The Gold) are fully capable of driving electrostatic speaker, we feel that the Gold is more suited to this kind of application. Also, please be aware that “The Power” may have far too much output VOLTAGE potential under certain circumstances with most electrostatic devices. Such would be the case for example, in attempting to drive the QUAD electrostatics. Under NO CIRCUMSTANCES would you ever attempt to use either of these amplifiers to drive the QUADs as virtual destruction is assured for the speaker. We feel that due to its restricted output voltage capabilities, the forthcoming “NINE” 70 watt Class A amplifier will be ideally suited for driving the QUAD.

SUMOのラインナップは、The Powerとその半分の出力のThe Half、
The Goldとその半分の出力のThe Nineがあり、
QUADのESLを鳴らすのであれば、70Wの出力のA級アンプのNINEを使え、ということだ。
他の3機種ではESLを壊してしまう、という注意書きだが、
QUADのESLを、The Goldで、私は鳴らしていた。

The Goldだったから、あんなに狭い部屋でもESLが鳴った。
よけいな苦労を背負い込まなくてすんだ。

Date: 12月 30th, 2009
Cate: 使いこなし, 岩崎千明

使いこなしのこと(その21)

岩崎先生が書かれている。
     *
高価な高級品ほどよく鳴らすのがむずかしいものである。わが家には昔作られた、昔の価格で1000ドル級の海外製高級システムから、今日3000ドルもする超大型システムまで、いくつもの大型スピーカーシステムがある。こうした大型システムは中々いい音で鳴ってくれない。トーンコントロールをあれこれ動かしたり、スピーカーの位置を変えたり。ところが、不思議なのは本当に優れた良いアンプで鳴らすと、ぴたりと良くなる。この良いアンプの筆頭がパイオニアのM4だ。このアンプをつなぐと本当に生まれかわったように深々とした落ちつきと風格のある音で、どんなスピーカーも鳴ってくれる。その違いは、高級スピーカーほど著しくどうにも鳴らなかったのが俄然すばらしく鳴る。昔の管球式であるものは、こうした良いアンプだが、現代の製品で求めるとしたらM4だ。A級アンプがなぜ良いか判らないが、M4だけは確かにずばぬけて良い。
     *
同じ経験は、私もあるし、他の方もお持ちであろう。
良いパワーアンプで鳴らしてみると、それまではスピーカーのせい、セッティングのせいにしていたことが、
パワーアンプがスピーカーを十全にドライブしていなかったことに起因していたことがはっきりとする。

(その11)で書いているが、基本的に井上先生も同じことを言われている。

QUADのESLが、パワーアンプの進化とともに、その評価を増していったことを思い出してほしい。

Date: 12月 30th, 2009
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(その20)

欲しいと想い続けてきたスピーカーを手に入れて、すぐに音を出したくなる気持は、私にだってある。
だが、手に入れるまでに、なんらかの苦労があったスピーカーであればあるほど、
できるだけ最初の音出しから、いい環境で、と思う。

少なくとも基本的な素性のいいもの、スピーカーの品格と同等とまでいかなくても、
最低限、このくらいはあってほしいと思えるだけの品格をもっているもので鳴らしたい。

他人が鳴らしたスピーカーは、鳴らしていた人の癖が残っているのと同じように、
優れたスピーカーであれば、粗雑なアンプやプレーヤーで鳴らしていた日が長ければ長いだけ、
悪い癖が残ってしまうようなところが、確実にある。

それに破鍋に綴蓋的な使いこなしの癖が、鳴らしている本人にも滲みついてしまう……。

誰しも、最初から理想的な組合せを用意できるわけではない。
だからこそ、スピーカーが最低限求めているクォリティを有したアンプなりプレーヤーを用意できないのであれば、
しばらくがまんすることも必要ではないのだろうか。

がまんしていた時間は無駄にはならない。
むしろ使いこなしに関しては、正しい選択だと思う。

Date: 12月 30th, 2009
Cate: Kathleen Ferrier, 楽しみ方

オーディオの楽しみ方(余談)

月曜日の忘年会で話題になったことで知ったのだが、資生堂のCMをおさめたDVDが発売されている。
テレビなしの生活のほうが、「あり」の生活よりも長くなってしまっているから、この手の情報には、疎い。
サントリーのCMものが最初に出て、好評だったこともあり、資生堂版が出たとのこと。

Vol.1とVol.2が出ている。
収録CMのなかに、見たいものはなかった。
INOUI(インウイ)のCMである。「美術館からブラウンが盗まれました」と最後に出てくる。

このCMを制作された方が誰なのかは知らない。
それでも、音楽好きな方であることは伝わってくる。

YouTubeで見ることができる。
ここで流れているのは、カスリーン・フェリアーの歌である。

Date: 12月 29th, 2009
Cate: 選択

オーディオ機器を選ぶということ(その2)

天秤の計量皿の一方には「偶然」、他方には「必然」も乗っていよう。

川崎先生は、「四季感覚」が日本人のバランス感覚を育んでいる、と書かれている。
井上先生は、季節感を大事にしろ、とことあるごとに言われていた。

日本人として、日本で暮らしていくなかで、オーディオ機器を選ぶということは、
四季を感じとりながらの行為であろう。

Date: 12月 29th, 2009
Cate: 楽しみ方

オーディオの楽しみ方

昨夜は忘年会だった。
私を含めて10人集まり、7時から4時間、みんな話しっぱなしだった。

参加してくださったのは、イルンゴ・オーディオの楠本さん、「幻聴日記」の町田さん、
任三郎日記」のYさんと友人のDOLONさん、「喫茶茶会記」の福地さんと友人のTさん、
管球+αに魅せられた者ども」の小栗さん、数学を教えられているKさん、
川崎先生と13年、デザインの仕事をされてきたプロダクトデザイナーの坂野さん

ひとりは女性の方で、年齢的には、下は(おそらく)30代なかばから、上は50代後半の幅があっても、
DOLONさん、Tさん、坂野さんは、初参加だったけれど、
話題が途切れるなんてことはなく、オーディオ機器の固有名詞はほとんど出ることもなく、盛り上がっていた。

オーディオには、「聴く」楽しみがある。「いじる」楽しみもある。「選ぶ」楽しみ、そしてそれを「買う」楽しみ、
「待つ」楽しみもあるだろう。

所有するオーディオに関係する楽しみ以外にも、「妄想」する楽しみがあって、「読む」楽しみがあり、
昨夜の「語る」楽しみがある。

一対一で、会って話したり電話で話すことは、今年は、とくに多かったが、
何人もの人と「語る」ことは、昨夜を含めて3回だった。少なかったと感じている。
来年は、もうすこし増やしていこう。

Date: 12月 29th, 2009
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(その19)

いざマイクロのRX5000+RY5500に取り付けてみると、そんなに悪くないことに気づく。
砲金製のターンテーブルは金色、ベースは黒。武骨で素っ気無い雰囲気が、
3012-R Specialの品格を引き立ててくれる感じもする。

信頼できる、とまでいかなくても信用できる音の入口を確保できたという手ごたえはあった。
これがハタチの時である。無理はしていたが、これでロジャースのPM510を鳴らすスタートに立てた。

この時の組合せは、コントロールアンプはJBLのSG520、パワーアンプはEL34プッシュプルのオルソン型。
惚れ込んでいたスピーカーだから、ハタチの若造だったけれど、ここまでのシステムを揃えることができたし、
ここまで揃えるまではPM510を鳴らそうとは思わなかった。

ずっと手に入れたかったスピーカーを、苦労して自分のものにした時、とにもかくにも音を出してみたい、
早くその音を聴きたい、という強い衝動をあえて抑えて、
少なくともその惚れ込んだスピーカーにふさわしい環境を用意できるまでは鳴らさないということが、
スピーカーと良好な関係を作ってくれることになることもある。

あきらかにそのスピーカーの水準に遠く及ばないアンプやプレーヤーを接いで、
最初の出てきた音に失望するくらいなら、私はがまんする、がまんできる。

Date: 12月 29th, 2009
Cate: 複雑な幼稚性

「複雑な幼稚性」(その4)

人は騙されやすい。
騙されることに、実は無抵抗なのかもしれない。

なのに理屈を並べ立て、騙されていないと思い込もうとしている。

Date: 12月 28th, 2009
Cate: 使いこなし

使いこなしのこと(その18)

アイクマンがテクニクスのSP10を使っているのを見て、ふっきれたところがある。
3012-R Specialを取り付けたターンテーブルは、マイクロのRX5000+RY5500だった。

ヘッドシェルのことも、じつはあった。
3012-R Specialにっもともよく似合うのは、やはりオリジナルの、あの穴あきのモノ。
オルトフォンのGシェルと基本的に同じ形のこのS2シェルは、音がいいヘッドシェルとはいえない。
ヘッドシェルは、オーディオクラフトのAS4PLを使っていたし、これをそのまま使うつもりでいたけれど、
デザイン的なことでいえば、3012-R Specialにお似合いなわけではない。
だからといって、S2シェルは……。

SPU-Gシリーズを使えば解決なのだが、ユニバーサルトーンアームといえる3012-R Specialでは、
いくつかのカートリッジを交換していきたいと思っていた。

3012-R Specialとのデザイン的な組合せを細部まで追求しようとすることに、
当時は無理を感じてもいた。

だからマイクロでいこう、と決めた。

Date: 12月 27th, 2009
Cate: ESL, QUAD

QUAD・ESLについて(その27)

技術的知識は「有機的に体系化」できなければ、
害をもたらすことが多いということを肝に銘じてほしい。

Date: 12月 26th, 2009
Cate: 音楽性

「音楽性」とは(その4)

「音楽性のない音」を別の言葉で言い表すとしたら、「肉体のない音」であろう。

Date: 12月 25th, 2009
Cate: ユニバーサルウーファー

ユニバーサルウーファー考(その3)

小型スピーカーをメインとしている人で、サブウーファーの導入を検討されている、
もしくはすでに導入されあれこれ試されているのであれば、ぜひサブウーファーの位置を、
メインスピーカーと同軸的な位置関係になるよう、数10cm、思い切って持ち上げた音を聴いてもらいたい。

あえてどのように変化するのかは書かない。
私もまだひとつのケースでしか試していないし、条件が変われば、細かいところの変化は異ってくるから、
音の変化を縷々書いても、参考にならないところも出てくるだろうし、
できれば期待だけふくらませて、その音を聴いてほしいと思っているからだ。

なかなか適当な、そのぐらいの高さの台が見つからないという人もいるだろう。
私も、使っていないエンクロージュアを使っている。
決してサブウーファーの置き台として向いているものではない。
それでも、試してみる価値はあった。
苦労して、というよりも気合いを入れて持ち上げた甲斐があった。

置き台をさらに検討して、よりよいものを用意できれば、どんな台がいいだろうか、と考えている。

この実験で、確信が得られた。
604-8Gのワイドレンジ化をはかる時、やはりサブウーファーは、604-8Gと同じ高さまでもってくるつもりだ。

Date: 12月 24th, 2009
Cate: 瀬川冬樹, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その26)

いま手もとにあるアルテックの604-8Gは、早瀬さん所有のものだった。
譲ってもらった、というよりも、いただいたものである。

瀬川先生が620Bの組合せをつくられ、
試聴の最後に「俺がほんとうに好きな音は、こういう音なのかもなぁ……」とぽつりとつぶれかれたとき、46歳。

あと数日で今年も終るが、1月生れの私は今年の大半を46歳で過ごした。
同じ46歳のときに、604-8Gが手もとにあることは、単なる偶然であろう。
それでも、そこになんらかの「意味」を見出したい。
それがこじつけであっても、他人には理解されなくても、「意味」があれば、それでいい。

オーディオから離れていた時期が、かなり長くあった。
いまのシステムは、再開したシステムが基になっている。誰にも聴かせてはいないし、
これから先、システムは変っていくが、私ひとりしか、その音を聴く人はいないということは変らない。

まだ先のことだが604-8Gを鳴らした時、
エリカ・ケートのAbendempfindungの一曲だけは、早瀬さんに聴いてもらおう。
これだけが唯一の例外となるはずだ。