妄想組合せの楽しみ(その26)
いま手もとにあるアルテックの604-8Gは、早瀬さん所有のものだった。
譲ってもらった、というよりも、いただいたものである。
瀬川先生が620Bの組合せをつくられ、
試聴の最後に「俺がほんとうに好きな音は、こういう音なのかもなぁ……」とぽつりとつぶれかれたとき、46歳。
あと数日で今年も終るが、1月生れの私は今年の大半を46歳で過ごした。
同じ46歳のときに、604-8Gが手もとにあることは、単なる偶然であろう。
それでも、そこになんらかの「意味」を見出したい。
それがこじつけであっても、他人には理解されなくても、「意味」があれば、それでいい。
オーディオから離れていた時期が、かなり長くあった。
いまのシステムは、再開したシステムが基になっている。誰にも聴かせてはいないし、
これから先、システムは変っていくが、私ひとりしか、その音を聴く人はいないということは変らない。
まだ先のことだが604-8Gを鳴らした時、
エリカ・ケートのAbendempfindungの一曲だけは、早瀬さんに聴いてもらおう。
これだけが唯一の例外となるはずだ。