オーディオ機器の付加価値(その1)
デザインは付加価値といっている人は昔からいて、いまもいる。
オーディオの世界にもいる。
いつまで、こんなことがいわれつづけていくのか、と思うと、うんざりする。
それにしてもオーディオにおける付加価値というのはあるのだろうか。
昔から、そんなことを思っていた。
あるようには思えないのだが、
オーディオ機器の資産価値をけっこう気にする人がいるのを、
ステレオサウンドで働くようになって知った。
意外だった。
自分が所有しているオーディオ機器の資産価値など、
それまで一度も考えたことはなかったし、
資産価値を選択基準にしたこともなかったからだ。
なるほど、そういう考えをする人もいるのだ、ぐらいに思っていた。
けれど、はっきりと資産価値を口にするわけではないが、
オリジナル至上主義の人の中には、この資産価値をとにかく気にしての人がいることも知った。
オリジナルと違う部品を使うと、そのオーディオ機器の資産価値が下がる、とはっきりと口にした人もいた。
先日、ゴールドムンドの価格改定が発表になった。
いまは円安だし、ゴールドムンドはスイスの会社でありスイスフランの高騰を考えれば、
価格改定はしかたないこと。
どのくらい価格がアップするのか。
ゴールドムンドのパワーアンプのフラッグシップモデルであるTELOS 2500+。
現在の価格は16,500,000円。これでもすごい価格なのに、価格改定後は33,500,000円となる。
二倍になる。
購入を検討している人は、価格改定前になんとか手に入れるしかない。
けれどすでに所有している人にとって、この価格の上昇は資産価値の上昇でもある。
10%、20%くらいの価格上昇でも資産価値の上昇といえなくはないが、
そんなのはごくわずかである。
けれど一千六百万円が三千三百万円ともなれば、
この資産価値の上昇は立派な付加価値といえるのではないか。