Archive for category High Resolution

Date: 1月 21st, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、オーディオのこと(その2)

「比較ではなく没頭を」──フルトヴェングラーの言葉である。

同じ書き出しで、しかも「比較ではなく没頭を」をタイトルにしたものを、
2008年9月に書いている。

オーディオには比較する楽しみが、はっきりとある。
いろんなモノを比較する。

スピーカーの比較もあれば、ほんのわずかな長さのケーブルの比較もある。
それからセッティングの違いの比較もある。

何かをかえれば音はかわるのだから、そこでどうしても比較という行為がいやおうなしにはいってくる。
それを面倒だ、と思うのか、楽しめるのかが、オーディオマニアかどうかなのかもしれない。

それでも「比較ではなく没頭を」を忘れてはならない。
比較することに没頭するのではなく、
没頭できるようになるための比較である。

MQAを、あいかわらず否定する人がいる。
MQAで音楽を聴いていて感じていることが、「比較ではなく没頭を」である。

いまでは、あるアルバムを複数のフォーマットで聴ける。
以前もそうだったけれど、いまの方が数は多くなってきている。

こっちがいい、あっちがいい。
そんなことが、いろんなところで書かれたり、いわれたりしている。

世評が高いのがどれでもいいじゃないか、となれないのだろうか。
自分で聴ける範囲で、もっとも没頭できるのを見つければいいだけである。

Date: 1月 19th, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、MQA-CDのこと(その7)

ユニバーサルミュージックのMQA-CDのサンプリング周波数が、
帯に記載してある196kHzではなく、出荷されたMQA-CDは352.8kHzだったこと、
変更理由は、音質的優位が認められたから、らしい、と(その6)に書いた。

196kHzと352.8kHzとでは、後者のほうが音がよくて当然と受け止められがちだ。
私もそう思う。

けれど、このユニバーサルミュージックのMQA-CDで考えたいことは、
マスターには2.8MHzのDSDが使われている、ということだ。

2.8MHzと表記されることが一般的だが、
正確には2.8224MHzである。
CDのサンプリング周波数の44.1kHzの64倍である。

196kHzは48kHzの4倍であって、44.1kHzの4.444…倍である。
48kHzの整数倍であっても、44.1kHzの整数倍ではない。

352.8kHzは、44.1kHzの8倍(整数倍)である。
2.8224MHzは352.8kHzの8倍だから整数倍の関係でもある。

なので私が聴いてみたいのは、
DSDマスターからつくられた176.4kHzのMQA-CDと196kHzのMQA-CDの比較試聴である。

数値的には後者のほうが上だが、音は前者のほうが上かもしれない。
ここにも、別項「Hi-Resについて(その14)」で引用したジョン・デイヴィスの、
《時々オーディエンスは数字が大きいほど良い音だと誤解している》があらわれている、
といえそうだ。

Date: 1月 18th, 2020
Cate: High Resolution

Hi-Resについて(その14)

ジョン・デイヴィス特別インタビュー 英メトロポリスのエンジニアが語ったマスタリングのトレンド。スマホやインスタ対応が必須に」という記事が、
PHILE WEBで公開されている。

おもしろい記事だ。
たとえば、次のようなことが語られている。
《スタジオに要求されるいろんな工程があるけれど、今一番重要なのはインスタグラム向けのマスタリングだ。つまりスマホ向けのマスタリング。かつてはCDとヴァイナル(アナログ・レコード)の二つだけだったけど、今はそれに加えSpotify、Apple Music、TIDAL、そしてInstagramがある。》

スマートフォン向けのマスタリングは《流行りというよりトレンド》ということだ。
さらに《ターゲットが18歳以下と18歳以上の場合とで、マスタリングのEQ(イコライズ)を変えている。18歳以下はダイナミックス(音の強弱)を忘れて音量を大きく、ブライトネス(高域)を上げる。18歳以上はダイナミックスとブライトネスは普通に。ま、50歳以上はどちらも必要ないかもしれないがね(笑)。》

マスタリングは、いまではこんなふうにたいへんなことになっているのか、と驚く。

《ちなみに近頃のレーベルのA&Rは、スマホを使ってサウンドチェックをしているって話だ》、
ずっと以前、ヤマハのNS10Mを使ってサウンドチェックしている、とうい話はよくきいた。
その十年後ぐらいには、ラジカセでチェックしている、という話があたりまえになってきたように感じた。

そういえば少し前のテレビで、若い世代を対象に死語を調査したところ、
一位はLD(レーザーディスク)だったのを、 SNSで見た。
LDといっても、まったく通用しない、らしい。

二位は、コンポだった。コンポーネント、つまりオーディオ・コンポーネントのことだ。
そういう時代だから、スマートフォンでのサウンドチェックもあたりまえになっていくのか。

この記事がさらにおもしろいのは、2ページ目である。
     *
ーーメトロポリスはDA/ADにプリズム・サウンドを使っていますが、192kHzで収録したアーカイブと異なり、96kHzでマスターを作ったのは何故ですか。

ジョン・デイヴィス アーカイブはジミー・ペイジに何かあっても困らないように192kHzで細心の注意を払って作り上げた。これはビートルズのジャイルズ・マーティンのケースでも全く同じ。しかし、ツェッペリンのリマスタリング・プロジェクトのマスター・テープは96kHzにしている。DA/ADに使ったプリズム・サウンドの真価は96kHzで発揮されるからだ。聴き比べても96kHzの方がずっと良い音がする。

ーーレッド・ツェッペリンのリマスタリング・プロジェクトの場合、96kHzがベストのソリューションというわけですね。

ジョン・デイヴィス 時々オーディエンスは数字が大きいほど良い音だと誤解しているようだが、ツェッペリンのアルバムが集中的に録音された60年代末から70年代前半の録音機材に192kHzは明らかにオーバースペック。ファイルは倍以上に大きくなるし、DAWの負荷も半端ない。192kHzは不要だ。
     *
ここのところを読んで、首を傾げる人、頷く人、どちらもいるはずだ。

Date: 1月 16th, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、音の量感のこと(その9)

時間軸の精度の高さだけでは、どうもみずみずしい音はえられそうにないようだ。
MQAも時間軸の精度の高さを謳っているとともに、
時間軸のぼけのなさ(少なさ)も、そこに加えている。

この「ぼけ」が具体的にどういう現象を示すものなのか、
私には完全に理解できているわけではないが、
感覚的には「ぼけ」という表現は、直感的ともいえる。

たとえばアンプの歪には、いくつもの種類の歪がある。
それと同じようにデジタルにおける時間軸に関する歪(揺れ、不正確さ)のようなものにも、
いくつかの種類が存在しているのではないだろうか。

そんなことを考えると同時に思いだすこともある。
以前書いていることだ。

サウンドボーイの編集長のOさんが話してくれたことだ。

ウェスターン・エレクトリックの真空管の音は、ぼけている。
トランジスターアンプのほうが、音の輪郭はぼけずに鮮明である。
けれど、ウェスターン・エレクトリックの音は、芯がきちんとあるし、
そこはぼけていない。
トランジスターアンプの鮮明な音は、反対に音の芯がぼけていることが多い──、
ということだった。

なるほどな、と思ってきいていた。
もう四十年近く前の話で、そのころのトランジスターアンプと、
その後のトランジスターアンプとでは変ってきているところも少なくないから、
そのままいまのアンプに当てはめようとは思っていないが、
音のどの部分がぼけているのか、どこがぼけていないのかは、重要なところだ。

時間軸の「芯」とのところがぼけていないのが、MQAだ、
といいたいところなのだが、
だからといって時間軸の「芯」とはこういうものだ、といえるわけでもない。

時間軸のぼけという表現から、感覚的にこういうことではないのか、と感じているし、
経験論からいえば時間軸のぼけこそがみずみずしい音を失わせるようだ、とはいえる。

Date: 1月 9th, 2020
Cate: High Resolution

MQAのこと、MQA-CDのこと(その6)

その5)で、MQAでも、e-onkyoでの配信、MQA-CD、
それからユニバーサルミュージックのサンプラー盤で、
サンプリング周波数が違う場合がある、と書いた。

不思議だったのは、同じユニバーサルミュージックのMQA-CDでも、
サンプラー盤の方がサンプリング周波数が高い場恣意があるのか、ということだった。

サンプラー盤には、352.8kHz/24ビットとある。
なのにいくつかのMQA-CDのアルバムでは、196kHz/24ビットとある。

メリディアンの218は、MQA再生時にはフロントパネルのLEDが点灯する。
けれどディスプレイをもたない218では、サンプリング周波数を表示することはできない。

けれどiPhone用のIP Controlを使えば、サンプリング周波数が表示される。
なんとういことはない、サンプラー盤だけでなく、それぞれのアルバムも352.8kHz/24ビットである。

どうも帯を制作時点では196kHz/24ビットだったらしいのだが、
352.8kHz/24ビットに音質的優位性を認めて変更になった、らしい。

とにかく聴き手にとってはうれしい仕様変更である。

けれどe-onkyoとMQA-CDではサンプリング周波数が違うアルバムは少なからずある。

Date: 1月 3rd, 2020
Cate: High Resolution

MQAで聴けるミケランジェリのドビュッシー

ミケランジェリの録音は、アナログディスクのころから聴いている。
なのに最後まで聴き通すことが、私にとってこれほど難しいと感じさせるピアニストは他にいない。

どうでもいい存在のピアニストならばそれでいいけれど、
ミケランジェリはそうではないどころか、素晴らしいピアニストだと思っている。

なのに、どこか苦手意識が、初めて聴いた時からつきまとい続けている。
ミケランジェリのピアノの音は美しい。
完璧主義者といわれるのも頷ける美しいピアノの音なのだが、
そこにミケランジェリというピアニストの肉体をほとんど感じない。

それでも、スピーカーから鳴ってくるピアノの音は、
まさしくミケランジェリによるピアノの音である。

このことがふとしたきっかけで頭か心のどちらかにひっかかってくると、もういけない。
気になってしまい、途中でボリュウムを絞ってしまう。

そうであっても、ミケランジェリをMQAで聴きたい、と思うのは、
どこか確認したい気持も強いからなのかもしれない。

e-onkyoにはショパンとベートーヴェンのピアノ協奏曲(ジュリーニの指揮)があった。
ミケランジェリのドビュッシーを、まずMQAで聴きたい、と思っていた。

いつの出るのだろうか、と思っていたら、今日出ていた。
Préludes IImages 1 & 2; Children’s Cornerがあった。

どちらも192kHz、24ビットである。
ショパンとベートーヴェンは96kHzだっただけに、このこともあわせて嬉しい。

まだ聴いていない。
MQAならば、素直に素晴らしい──、
そう思えるようになるのだろうか。

Date: 1月 2nd, 2020
Cate: High Resolution

UACDという妄想

CDの登場が1982年、
SACDの登場が1999年。
この間、十七年。

昨年(2019年)は、SACD登場から二十年。
何か新たな発表があるかもしれない、と期待していた。
結果、何もなかった。

それでもまだちょっとだけ期待はしている。
来週にはCESが始まる。

そこで、もしかするとSACD(Super Audio Compact Disk)を上を行く、
UACD(Ultra Audio Compact Disk)が登場(発表)されるのでは……、と妄想している。

UACDという名称ではないだろうが、
そろそろ何か登場してきても不思議ではない、と感じている。

Date: 12月 30th, 2019
Cate: High Resolution

MQAで聴くピーター・ガブリエル

ピーター・ガブリエルのSACDが登場したのは、十数年前か。
買ったなかで、“PASSION”には驚かされた。

ピーター・ガブリエルのSACDのすべてを聴いているわけではないが、
SACDのよさがもっともいきているのは“PASSION”ではないだろうか。
そのくらいに“PASSION”のSACDは良かった。

残念なのは、とっくに廃盤になっていることだ。
いまはMQAで聴ける。

MQAでの“PASSION”とSACDでの“PASSION”の比較試聴はやっていない。
私のシステムでは、同じ条件での再生ができないからである。

MQAの“PASSION”も、やはりいい。
MQAでの“PASSION”を聴いていて、ふと思ったことがある。
SACDでの“PASSION”を聴いていた時には、一度も思わなかったことだ。

“PASSION”のアナログディスクは、こんなふうに鳴ってくれるのだろうか──、
ということをMQAでの“PASSION”を聴いていて、ふと思った。

“PASSION”には、当時アナログディスクもあったはずだ。
いままたアナログディスクで発売されている。

どちらも聴いていないが、MQAでの“PASSION”は、
アナログディスクの音の延長線上にあるような気がする。

Date: 12月 28th, 2019
Cate: High Resolution

MQAのこと、透明ではなく澄明ということ

メリディアンのULTRA DAC、218でMQAの音を聴いていて、
透明な音というよりも、澄明な音と表現したい──、
これまでに何度か書いてきている。

瀬川先生は透明よりも澄明という表現を使われることが多かった。
とはいえ、透明ではなく澄明なのか、その理由について書かれているのは見たことがないし、
瀬川先生に直接訊ねることも、もうできない。

想像していくしかないわけで、
澄明な音とは、細部のグラデーションの表現に秀でた音のような気がしている。

ディテールがクッキリハッキリと見えるように聴こえる音は透明なのではないか。
一見するとクッキリハッキリとはしていないように感じるが、
階調表現が自然で豊かであることに気づかされる音こそが、澄明な音だと思う。

瀬川先生が、そのへんのところをどう考えておられたのかはわからない。

MQAの音を聴いていると、そう感じるし、
そうであると確信してしまう。

Date: 12月 27th, 2019
Cate: High Resolution

MQAで聴きたい“the GULDA MOZART tapes”

ユニバーサルミュージックがMQA-CDの発売にあたって、
体験サンプラー盤も同時に発売した。

2018年秋、audio wednesdayでメリディアンのULTRA DACを初めて聴いた日、
通常のCDとMQA-CDの比較試聴のために、これらサンプラー盤も聴いた。

クラシックのサンプラー盤には、カラヤン指揮の「ツァラトゥストラはかく語りき」があった。
もう30年ほど聴いていない「ツァラトゥストラはかく語りき」なのだが、
試しに、と鳴らしてみた。

通常CDでは、かなりテープヒスに耳につく。
録音年代を考慮すると、このくらいのテープヒスはあたりまえのレベルといえる。

MQA-CDにしてみる。
まず驚いたのはテープヒスの鳴り方だ。

プログラムソースが同じでも、優れたアンプとそうでないアンプとでは、
ノイズの聴こえ方、散らばり方がそうとうに違う。

耳障りに聴こえてしまうアンプと、
音楽が鳴りはじめるとノイズはバックグラウンドになってしまい、
さほど耳につかないアンプとがある。

MQA-CDは、まさにそうだった。
優秀なアンプの鳴り方に共通するところがある。

MQA-CDにノイズリダクション作用が備わっているわけではない。
それでも、なんらかのノイズリダクションを持っているのでは? と疑いたくなるほど、
見事にノイズが音楽の背景となるレベルまで下ってしまった。

ずいぶん以前に別項で書いているグルダの“the GULDA MOZART tapes”。
これがMQAで出てくれたならば、とだから思ってしまう。

マスターテープがカセットテープの“the GULDA MOZART tapes”は、
テープヒスがかなりひどい。
それでも、“the GULDA MOZART tapes”で聴けるモーツァルトは、
まさしくグルダのモーツァルトであり、最上のモーツァルトの、数少ない一つである。

MQAで聴けるようになったら、どれほど素晴らしいことか。

Date: 12月 26th, 2019
Cate: High Resolution

MQAのこと、音の量感のこと(その8)

MQAは時間軸の精度のい高さを謳っている。
けれど、時間軸の精度の高さということでは、
これまでは精度が高くなればなるほど、みずみずしい音は失われつつあった──、
個人的にはそう感じている。

ベルトドライヴ、アイドラードライヴからダイレクトドライヴ型プレーヤーが主流になり、
さらに回転精度を高めるためにサーボ回路が搭載され、
より高精度にするためにクォーツロックも採用されたわけだが、
それらすべてのプレーヤーがそうだった、とまではいわないものの、
大きな傾向として、やはりずみずしい音は失われていった。

CDが登場し、回転精度は水晶の精度となるわけだから、
アナログプレーヤーにつきもののワウ・フラッターは測定限界値以下となった。
そしてみずみずしい音は、さらに失われていった。

回転精度が高くなるということは、
時間軸の精度が高くなる、ということである。

つまり時間軸の精度をあげていくだけでは、みずみずしい音は得られないのかもしれない。
なのにMQAの音を聴いていると、
アナログディスク再生の理想形といいたくなるほどである。

ここでのアナログディスク再生におけるプレーヤーとは、
EMTの930st、927Dst、トーレンスのアナログ全盛時代のベルトドライヴ型、
他にもいくつか挙げられるが、いずれもダイレクトドライヴ型ではない。

これらのプレーヤーのワフ・フラッターは、
ダイレクトドライヴ型の普及クラスのモノよりも、カタログスペック上は悪かったりする。
それでも、音を聴けば、そんなスペック的なことは逆転する。

安定感のある音を聴かせてくれるのは、
総じてカタログスペックで低い値のプレーヤーであった。

つまり、カタログスペック上の回転精度、
静特性としての回転精度の高さは、音楽再生においてはほとんど意味をもたない。

Date: 12月 26th, 2019
Cate: High Resolution

MQAのこと、音の量感のこと(その7)

私が好きな音は、みずみずしい音である。
とはいえ、この「みずみずしい」音の正体がよくわかっているわけでもない。

なぜ、みずみずしい音とそうでない音とがあるのか。
それからヨーロッパのオーディオ機器にみずみらずしい音を感じることが多いのはなぜなのか。

アナログディスクからCDへと移行して、みずみずしい音が、
それまでみずみずしい音を出してくれるスピーカーだと思っていたのに、
あきらかにみずみずしさが減じた音がしてきた。

これはなぜなのか。
デジタルになったからみずみずしい音ではなくなってきたのか。
そうともいえるだろうし、それだけではないはずだとも思ってきた。

MQAの音を聴いて、みずみずしいと私は感じている。
ということはデジタルだから、とはいえないわけである。

そういえば、と思い出すのは、
アナログディスクにおいても、ダイレクトドライヴ型プレーヤーが主流になって、
みずみずしい音は失われつつあったのではないだろうか。

すべてのダイレクトドライヴ型ではみずみずしい音が出ない──、
とまではいわないものの、総じてダイレクトドライヴ型からはみずみずしい音が感じとりにくい。

私がダイレクトドライヴ型以外のアナログプレーヤーを使ってきたのも、
無意識のうちにそのへんのことを感じとっていたからなのか。

Date: 12月 25th, 2019
Cate: High Resolution

MQAで聴けるディヌ・リパッティ

2018年9月、ウルトラセブン最終回50周年を記念して、
劇中で使われたリパッティ、カラヤン/フィルハーモニーによるシューマンのピアノ協奏曲が、
11.2MHzマスターによるSACDが限定で発売になった。

話題になっていたし、
リパッティとウルトラセブンのイラストが描かれたジャケットは、
レコード店では目立つから、記憶されている方も多いだろう。

このSACDには、ダウンロードキーがついているヴァージョンもあった。
DSDの11.2MHz、5.6MHz、PCMの192kHz、96kHzが選べた。

ウルトラセブンの最終回は二週に渡っての放送だった。
モロボシ・ダンがアンヌに、自らがウルトラセブンであることう告白するシーンで、
リパッティの演奏が使われていた。

ウルトラセブンをみていたのは、51年前だからまだ小学校にもあがっていなかった。
それでもウルトラセブンの最終回は、強烈だった。

もちろんシューマンのピアノ協奏曲だったことは、当時はなんにもわかっていなかった。
ましてリパッティの演奏だ、ということもわかっていなかった。

こういう特撮ものを子供だましとか、見もせずにバカにする人を知っている。
ほんとうにそうだろうか、と思う。
制作側が、そんな気持でいたら、
ウルトラセブンの最終回で、シューマンのピアノ協奏曲を使うだろうか。
しかもリパッティの演奏を使うだろうか。

e-onkyoで、11.2MHzのDSDは配信されている。PCMでも配信されている。
でも、いつのまにか、MQAでの配信も始まっていた。

いつからなのかはわからないが、192kHz/24ビットでのMQAでの配信である。
リパッティのピアノがMQAで聴ける。

MQAのよさが、リパッティの演奏をひときわひきたててくれる、はずだ。

Date: 12月 25th, 2019
Cate: High Resolution

MQAのこと、MQA-CDのこと(その5)

MQA-CDは2020年1月にも、ユニバーサルミュージックから発売が予定されている。
e-onkyoでも、MQAでの配信はしっかりとやってくれている。

MQA-CDで発売されいてるタイトルは、大半がe-onkyoでも購入できる。
なのでMQA-CDをあせって買う必要はない、とつい考えがちになるが、
e-onkyoでの配信は、サンプリング周波数がMQA-CDとは違う場合がある。

たとえばバーンスタイン/ベルリンフィルハーモニーによるマーラーの交響曲第九番。
MQA-CDは352.8kHz/24ビット、e-onkyoでは192kHz/24ビットである。
価格は……、というと、MQA-CDは税抜きで3,000円だから3,300円。
e-onkyoでは3,748円となっている。

もうひとつ例をあげると、バド・パウエルの“the scene changes”。
こちらはMQA-CD、e-onkyoともに192kHz/24ビットである。

ただし、というか、なぜだか、といったほうがいいのだが、
e-onkyoには96kHz/24ビットも用意されている。
しかも96kHz版は3,871円、196kHz版が3,046円、MQA-CDは3,300円(税込み)である。

さらに“the scene changes”から“Cleopatra’s Dream”は、
体験サンプラー盤にも収録されている。

ユニバーサルミュージックがCDとMQA-CDの音を比較試聴・体験できるように、
クラシック、ジャズ、洋楽、邦楽の二枚組のサンプラーを発売している。
二枚組で1,000円(税抜き)という低価格だ。

このサンプラー盤は、352.8kHz/24ビットである。
つまり“Cleopatra’s Dream”に関しては、このサンプラー盤がいちばんサンプリング周波数が高い。
となると、サンプラー盤といって無視することはできない。

Date: 12月 13th, 2019
Cate: High Resolution

MQAで聴きたいウラッハのクラリネット

e-onkyoのサイトをほぼ毎日チェックするようになってしまった。
チェックしては、この人のMQAQは出ていないのかなぁ、と検索もしている。

今日、そんなふうにして思い出したのが、レオポルト・ウラッハだ。
クラリネット奏者である。
ウエストミンスター・レーベルから、ウラッハのレコードは出ていたが、
私がウラッハを知った1980年代、LPは国内盤のみだった。

クラリネットという楽器から、こういう音色を響かせるのか、はウラッハを聴いて、
その柔らかく、ほのかに哀愁の漂う(といったら少し陳腐かなと思いつつも)音色は、
それまでクラリネットという楽器にいだいていた音色の認識をくつがえしてくれた。

それだけに輸入盤がないのか、と思った。
ウエストミンスター・レーベルのマスターテープは本国で行方不明なため、
日本盤しかない、とのこと。

それゆえウラッハのオリジナル盤は、そのころでもひじょうに高価だった。
マスターテープが見つかった、というニュースがあったのは、1990年代になってからだった。

いまウエストミンスター・レーベルはユニバーサルミュージックが発売している。
ということは、ウラッハのMQA-CD、もしくはMQAでの配信の可能性は低くはない……、
勝手にそう期待している。

ウラッハのクラリネットは、主情的すぎるかな、と思うところもあるし、
前時代的という人もいよう。

それでもウラッハのクラリネットの音色は、そんなことどうでもよくなる。
だからこそ、MQAで聴きたい。
これはDSDよりも、MQAに向いているはず、と確信している。