TIDALという書店(その38)
TIDAL、Qobuzといったストリーミングによる音楽鑑賞を、
瀬川先生は、どう言われただろうか。
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レコードのジャケットに、適合カートリッジや最適針圧をメモしていて、一枚ごとにカートリッジを変え、針圧を再調整して聴くというマニアも知っている。その人はそういう作業がめんどうなのでなく逆にとても楽しいらしい。
一枚かけるごとに、針先のゴミをていねいに除き、レコードのホコリを拭きとり、まるで宝ものを扱うようにレコードをかける愛好家もおおぜい知っている。だが私はおよそ逆だ。もしもそういう丁寧な人たちが私のレコードをかけるところをみていたら、びっくりするかもしれない。
レコードをジャケットからとり出す。ターンテーブルに乗せ、すぐに針を降ろす。レコードのホコリも、針先のゴミも拭いはしない。聴きないと思ってジャケットを探し出したとき、心はもうその音楽を聴きはじめている。そういう人間にとっては、ホコリをていねいに拭くという仕事自体、音楽を聴く気持の流れを中断させるような気がする。
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ステレオサウンド別冊「続コンポーネントステレオのすすめ」で、瀬川先生は、こう書かれていた。
だからストリーミングで音楽を聴くことを、少なくとも否定はされなかったはずだ。