Archive for category ロマン

Date: 11月 4th, 2016
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その10)

その9)でふれた菅野先生実験のJBLの4ウェイは、
スイングジャーナル別冊「オーディオ・プラン’77」での組合せである。

このムックは手元にないけれど、
同じシステムを「モダン・ジャズ読本’78」でも鳴らされている。

「モダン・ジャズ読本’78」にはジャズ&オーディオ道場という企画がある。
ジャズ喫茶への道場破り的企画である。
ここで菅野先生は門前仲町に当時あったジャズ喫茶タカノに、同システムを持ち込まれている。

サンスイによるエンクロージュアは、おそらく4350のそれと同寸法と思われる。
バスレフダクトは両サイドに縦に三つならんでいるところも同じである。

このエンクロージュアに2220Bと2120をともに二発ずつおさめ、
蜂の巣ホーンにとりつけられた375は二発のウーファーよりもやや外側に配置。
このふたつのホーンのあいだに375が二発並ぶ。

見た印象でいえば、ミッドハイの375の距離が離れすぎのように感じる。
ユニットの数が多くなれば、それだけ配置の難しさは増していく。
これが最適の配置ではないだろう。

アンプはウーファー用がアキュフェーズのM60。
ミッドバス用がGASのAnpzilla、ミッドハイとトゥイーターはパイオニアのExclusive M4、
コントロールアンプはGASのThaedraだ。

「モダン・ジャズ読本’78」には編集部による原稿と、
タカノ店主高野亘氏の「わが抗戦の記」と菅野先生の「わが挑戦の記」が載っている。

こういう企画は、ステレオサウンドに望むのは無理なところがあった。
スイングジャーナルらしい企画であり、
こういう企画を行わなくなった(行えなくなった)から、
スイングジャーナルは消えていったのかもしれない。

Date: 10月 21st, 2016
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その9)

38Wといえば、菅野先生がスイングジャーナルでやられた実験的スピーカーもそうだった。
JBLのユニットを用いての4ウェイ、しかも全帯域ダブル使用である。
その時の音については、ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES-1にも書かれている。
     *
 先日も、ウーファー部分発展の手がかりにと思い、ある雑誌の企画で♯2220を二本入れたエンクロージュアをECシリーズのバリエイションとしてサンスイに試験的に作ってもらった。この♯2220二発入りの4ウェイシステム(♯2220×2、♯2120×2、375+HL88×2、075×2、クロスオーバーは100Hz、800Hz、7kHz)を聴いたときは、実に、この世のものとも思えない低音の圧倒的音圧感に狂喜した。とにかくバスドラムが鳴った時の音などは本当によだれが出てきそうなくらいで、腹の底から喜びがこみ上げてくる素晴らしい音だった。
     *
ここまでのシステムではないが、4350Aで菅野先生録音の「The Dialogue」を聴いた時、
そのバスドラムの音には驚いたことがある。
4343とはミッドバスもミッドハイも違うけれど、ウーファーがシングルかダブルかの違い、
それに加えてバイアンプ駆動のメリットもあって、
《喜びがこみ上げてくる》という感じは、菅野先生が聴かれた音ほどではないにせよ、
確実にあった。

それでも菅野先生の、この実験的システムはやや大袈裟だ。
ミッドバス以上もダブルにする必要が、どこまであったのだろうか。

2120は25cm口径のユニット。
ここは4350と同じ2202(30cm口径)一発で十分だし、
375も一本でいいと思う。075はダブルでスタックすれば、その面白さはあるようには思うけれど。

菅野先生自身、続けてこう書かれている。
     *
 ところが、家に帰って自分のウーファー一発のシステムを聴いてみると、あれはやはりオーバー・エクスプレッションだったと思うようになったのだ。部屋やアンプなども若干異なるので断定はできないが、二発入りだと、一人のベーシス手とが演奏しているにもかかわらず、あたかも巨人が演奏しているかのようで、パーソナリティが感じられないのである。そこが不満として感じられるようになってしまった。
     *
そうだろうと思いながらも、ウーファーだけダブルだったら……、とも思ってしまった。
全帯域ダブルの4ウェイシステムは、たしかにオーバー・エクスプレッションだろう。
それに片チャンネル八本のユニットとなると、その配置も格段に難しくなる。

それでも《この世のものとも思えない低音の圧倒的音圧感に狂喜した》、
ここのところに刺戟された(挑発された)人はきっといるはずだ。

Date: 9月 19th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(Car SOS)

イギリスのテレビ番組に”Car SOS”がある。
日本では「カー・SOS 蘇れ! 思い出の名車」というタイトルになっている。
車、オーディオの修理のことを書いていて、この番組について書きたくなった。

番組の存在は知っていたけど、私が見始めたのはシーズン4からである。
見事な修理がなされる。
文字通り、ボロボロだった車が新車かと思うほどに仕上がって、オーナーの元に帰ってくる。
いい番組だと思う。

シーズン4からしか見ていないので、
すでにそういう内容の回が放送されていたかもしれない。
私が、この番組で、ぜひとも見たい、と思うのは、
その後である。

番組自体も、「その後」である。購入後といえる。
なんらかの事情で、愛車が傷んでいくばかりの状態に置かれている。

これが新車同様になって戻ってくるわけだが、
私が知りたいのは、新車同様に戻ってきた車の「その後」である。

シーズン1の初回は2013年2月とある。
番組に登場して三年以上が経っている車もあるわけだ。
三年では、ちょっと短い気もする。
個人的には、もう少し経ってから、修理されて五年、十年後を見たい、と思うのだ、
ロマンについて考えるうえでも。

Date: 9月 19th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その12)

オーディオよりも自動車の世界の規模ははるかに大きい。
雑誌の数だけをみても、オーディオ雑誌と自動車雑誌とでは、後者の数が圧倒的に多い。

きく所によると、自動車雑誌ではリセールバリューについての特集が組まれることがあるそうだ。
私が20代前半のころに会った人、
オーディオ機器購入の際、手放すときのことを考えて、という人は車好きの人だった。

車が好きで、それこそ数年ごとに新しい車に乗り換えたい──、
そう考えて、それを楽しみにしている人にとっては、
購入時に、手放すときの価格について考慮するのは重要なことなのだろうし、
自然なことなのでもあろう。

頭では、そう理解できる。
理解できても共感はできない。

別項「価値か意味か」をここでも考える。

Date: 9月 18th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その11)

私が買ったオレンジ色のデ・ローザは、すでに組まれた状態だった。
もしフレーム単体で見て一目惚れして購入したのであれば、
パーツ類は、デ・ローザと同じイタリアのカンパニョーロにした、と思う。

でも完成車での一目惚れであった。
メインパーツはカンパニョーロではなく、日本のシマノのデュラエースで組まれていた。
シートピラー、ステム、ハンドルも日本製。
リムはフランスのマビックだった。

いまでこそデ・ローザもシマノで組まれることが増えてきたけれど、
いまから20年前はそうではなかった。
デ・ローザはカンパニョーロで組むべきモノという空気が、非常に濃かった。

それでも目の前にある自転車はシマノで組まれ、それに一目惚れしたのだし、
パーツをカンパニョーロに交換してもらえば、予算をさらにオーバーすることになる──、
そんなことは実は考えなかった。

もうこれがいい、という感じで決めてしまった。

私が買ったロードバイクを買い取ってもらうとすれば、
それほどの高値はつかないと思う。
パーツのほとんどが日本製であるからだ。
むしろフレームとパーツを、バラバラにして売った方がいいであろう。

でも買うときは、そんなことはまったく考えない。
目前にあるモノが欲しい! と思ったから買ったわけだ。

だがこれも人によって違う。
買うときに、常に手放すことを考えて買う、という人がいるのを知っている。
何もひとりではない。

オーディオ機器であっても、他の趣味に関するモノであって、
買取り、下取りで値が崩れないモノ、できれば高くなる可能性のあるモノを選ぶ人がいる。

20代前半のときに、はじめてそういう人に会った。
その人の口から直接聞いた。
さもあたりまえのように話していた。

年齢は彼の方がずっと上である。
それが大人の考えなのか──、とは思わなかった。
他に、こういう人がいるとも思わなかったが、その後、何人かいた。

ということはもっといるということである。

Date: 10月 27th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その8)

38Wにおける横に二発なのか縦に二発なのかは、
部屋の長辺にスピーカーを置くのか、短辺に置くのかに共通するところもあるように感じる。

これは同じ部屋に同じスピーカーだとしても、どちらを選ぶかは鳴らす人(設置する人)次第である。
私は原則として長辺に置く。左右のスピーカーの間隔を充分にとれるほうを選ぶのは、
もちろん瀬川先生の影響も強いからだが、
低音の鳴り方もこちらのほうがいい結果が得られやすいとも感じているからだ。

横配置なのか縦配置なのかは、低音の風圧なのか音圧なのかにも関係しているような気がしている。
私が欲しいのは音圧としての低音ではなく、風圧としての低音なのかもしれない。

このふたつのバランスが、私にとっては耳で聴く低音と肌で感じる低音感とのバランスなのだろう。

そういえば岩崎先生が言われていた。
     *
本物の低音というのは、フーっという風みたいなもので、そういうものはもう音じゃないんですよね。耳で音として感じるんじゃないし、何か雰囲気で感じるというものでもない。振動にすらならないようなフーっとした、空気の動きというような低音を、そういう低音を出すユニットというのは、今なくなって来ています。
(ステレオのすべて ’77「海外スピーカーユニット紳士録」より)
     *
空気の振動としての低音(つまり音圧)ではなく、
空気の動きというような低音(つまり風圧)が、音の形としての音像につながっている。

Date: 10月 21st, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その7)

38Wといっても、二発のウーファーをどう配置するのかがある。
横に二発なのか、縦に二発なのか。

私にとって38Wの代名詞といえるJBLの4350Aは横に二発のシステムである。
1980年代ころまでは、ダブルウーファーといえば横に二発というイメージがあった。

それが変化してきたのは、
いわゆるヴァーチカルツイン(仮想同軸配置)と呼ばれるモノの登場によってだ。

レイオーディオのRMシリーズ、JBLのK2(38Wではないけれども)によって、
縦に二発のダブルウーファーが増えてきた。

そのころ同じダブルウーファーなら、縦と横、どちらが有利なのか、という記事をみかけたことがある。
そこにはこんなことが書いてあった。

ふたつの図があった。どちらの図もスピーカーと床との関係をあらわしたもので、
ひとつは横に二発のダブルウーファー、もうひとつは縦に二発のダブルウーファーである。

横に二発の場合、どちらのウーファーと床との距離は等しい。
一方、縦に二発の場合は、下側とウーファーと上側のウーファーとでは床との距離が違う。
そのため床からの影響を受けにくい、と説明するものだった。

その記事を書いていた人は、だから縦に二発のダブルウーファーがいい、と結論づけていた。
確かに床からの影響だけをみれば、そう捉えることはできる。

だが現実の部屋は床もあれば天井もあるし、左右の壁、前後の壁がある六面体である。
ほとんどの場合、天井と床、左右の壁、前後の壁は平行面である。
そういう空間において床だけからの反射を示して、
縦に二発のダブルウーファーが音的に有利という理屈は成り立たない。

スピーカーから見て横の壁に対してはどうなのか、となる。

どちらのウーファー配置がいいのかは、そう簡単には断言できない。
それでも横なのか縦なのか。
大まかな傾向はあるとは感じている。

私にとっての38Wは、やはり横に二発のダブルウーファーである。
38Wならではの音が得られるのは、横に二発なのではないだろうか。

だからといって横に二発の方が縦に二発よりも音が優れているというわけではない。
あくまでも私にとって38Wならではの音を聴かせてくれるのは、縦よりも横だというだけのことだ。

Date: 10月 20th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その6)

38Wを、どう読むのかはスイングジャーナルには書いてなかったはずだ。
38W(さんじゅうはちだぶりゅー)ではないと思う。
やはり38W(サンパチダブル)と読むはずだ。

他の口径、30cmのダブル(30W)、25cmのダブル(25W)、20cmのダブル(20W)を、どう読むか。
38Wほどのキマリの良さがない。

そんな読み方は、音には無関係のはずだ。けれど、決してそうじゃないと言い切れないものを感じる。
38Wには、他の口径のダブルウーファーでは味わえぬ、38Wならではの不思議な魅力がある。

もちろん、すべての38Wが素晴らしいとは言わないし、
私が38Wとして真っ先に思い浮かべるJBLの4350Aにしても、
角を矯めて牛を殺すような鳴らし方をしていては、38Wならではの不思議な魅力ある音は味わえない。

それでもうまく鳴ったときの「38Wならでは!!」と、つい口走りたくなる躍動感、
フォルティシモでの音の伸び、音楽としての表情の豊かさと深さ──、
一度でも体験すれば、いつかは38W……と思ってしまう。

肌が合う、という。
38Wの音は、まさに肌が合う。
耳で聴く低音と肌で感じる低音感とのバランスがうまくいっているからこそなのかもしれない。

肌が合う、とは、あくまでも感覚的なものだから、
私に賛同してくれる人もいれば、そうでない人もいる。

そうでないという人の中には、肌が合う、というようなことを再生音に求めていない人もいるように思う。

Date: 10月 19th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その5)

その1)で、私にとっての「ダブルウーファー」とは15インチ口径のウーファーが二発のこと、と書いた。

38cmよりも小口径のウーファー、
それが30cm口径のダブルであっても、38cmのダブルに感じるものからすると、
なにかひとまわりもふたまわりもスケールダウンしたように感じてしまう。

ましてもっと小口径のダブルウーファーとなると……、書くまでもないだろう。
そういうダブルウーファーのスピーカーシステムを否定はしないし、
そういう仕様のシステムでもいいスピーカーはある。

けれど、そこには38cm口径のダブルウーファーに感じる凄みがない。
だから、まったく別種のダブルウーファーのスピーカーシステムのように感じる。

これはなぜなのだろうか。

よく井上先生はいわれていた。
低音とは、耳で聴く低音と肌で感じる低音感、
このふたつのバランスが巧みにとれていることが、低音再生(低音感)にとって大事である、と。

私には、このふたつのバランスが破綻をきたすぎりぎりのところでバランスがとれるのが、
38cm口径のダブルウーファーのような気がしている。

これは私だけが感じていることはないと思う。
少なからぬ人が感じていることではないのだろうか。

そういえば昔スイングジャーナルでは、38cm口径のダブルウーファーのことを、
38Wと表記していた。

古くからのオーディオマニアだと、
エレクトロボイスの30Wという30インチ(76cm)口径のウーファーがあったから、
38Wとあると38インチ口径のウーファーと思わないわけではないが、
それでもあえて38Wという表記を使うスイングジャーナル編集部の気持はわからないわけではない。

38Wには、2トラ38(ツートラサンパチ)に通じるところがある。

Date: 7月 20th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その4)

そういえばUREIのModel 813もダブルウーファーである。
メインとなるユニットはアルテックの604-8G。

あらためて説明するまでもないが15インチ口径ウーファーとホーン型トゥイーターとの同軸型。
これに同口径のサブウーファーをつけ加えている。

このサブウーファーの特性が604-8Gのウーファー部よりも、
より低域の再生限界の拡充した設計であるのかどうか。

UREIの資料からだけは、はっきりしたことは読みとれないが、
ステレオサウンド 47号の「物理特性面から世界のモニタースピーカーの実力をさぐる」をみれば、
はっきりとしたことが実測データから読みとれる。

47号の前号の特集で取り上げられたモニタースピーカーを中心に、
三菱電機郡山製作所の協力で測定を行なっている。

アルテックの620AもあればModel 813も含まれている。
そして測定データには近接周波数特性が載っている。
これはウーファー部分の周波数特性のグラフであり、
バスレフ型ではポートの特性、パッシヴラジエーターを採用しているものはそのデータも測定している。

620AとModel 813の近接周波数特性を比較してみると、
まずウーファーのカットオフ周波数が異っていることがわかる。

620Aのクロスオーバー周波数は1.5kHzと発表されている。
近接周波数特性をみても1kHzあたりから減衰している。
下は100Hzあたりから減衰がはじまり、バスレフポートの共振周波数は40Hzあたりにある。

Model 813はクロスオーバー周波数は発表されていない。
少なくとも私が知っている範囲ではなかった。

近接周波数特性をみてわかるのは、900Hzより少し低い周波数から減衰が始まり、
その減衰カーヴも急峻であることが読みとれる。

サブウーファーの特性はどうだろうか。
これが見事なくらい604-8Gのウーファー特性と似ている。
よくこれだけ似た特性のウーファーがあったものだ(見つけてきたものだ)と感心してしまうくらいだ。

サブウーファーは200Hz以上で減衰している。
Model 813のバスレフポートは単なる開口部ではなく、
UREIが疑似密閉型と称する音響抵抗をかけたタイプである。

そのためポート出力はゆるやかな山を描いている。
共振周波数は620Aとほぼ同じ40Hzあたりにある。

620AとModel 813の低域の周波数特性を比較すると、
後者のほうがより低いところまでフラットではある。
けれどこれはダブルウーファー仕様だからというよりも、
疑似密閉型のバスレフポートの設計のうまさとみるべきだ。

Date: 7月 7th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(JBL 4520と4530)

JBLのバックロードホーン・エンクロージュアとして、以前4520と4530という、
ふたつのモデルがあった。

4520はダブルウーファー用で、4530はシングルウーファー用。
価格は、1978年当時、4520が166000円、4530が78000円。
4520は4530の約二倍だった。

ダブルウーファー仕様とシングルウーファー仕様だから、この価格差は当然と思われるだろうが、
このふたつのエンクロージュアの違いを知る人からすれば、4520の方が安いと思ってしまう。

4520と4530の違いは、単にウーファーを二発か一発かの違いだけではない。
4530に15インチ・ウーファーを横に二発取りつけられるように横幅を延ばしただけではない。
エンクロージュアのサイズ(プロポーション)、それに伴うホーンロード長が違う。

4530の外形寸法はW60.3×H121.3×D60.3cm、重量は54kg。
4520の外形寸法はW90.8×H127.6×D75.6cm、重量は98kg。

4530では150Hz以上は搭載したウーファーから直接放射され、
それ以下の周波数になるとホーンが受け持つ。
4530のホーン長は2mと発表されていて、再生可能な低域は50Hzまでとなっている。

4520は、エンクロージュアの奥行きが15cm増していること、
それから高さも5cm増し、ホーン開口部の底辺の位置が4530よりも低い位置になっている。
ホーン長も当然長くなっている。

JBLの公称値は4mとなっているが、さすがにそこまで長くはない。
もう少し短いはずだ。

とはいえ4520の低域の再生限界は30Hzまで伸びている。
42Hzまでホーンロードがかかると発表されている。
ウーファーから直接放射されるのは150Hz以上なのは4530と同じである。

4530と4520、
ダブルウーファーとはこういうものだということを強烈に感じさせてくれる。

Date: 7月 6th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その3)

ごく初期のJBLの4435のように、ダブルウーファーでも、
片側は2234H、もう片方は2234Hにマスコントロールリングを装着した仕様の2235Hであり、
2235Hは2234Hよもf0が低く、
この場合、シングルウーファーよりもダブルウーファーとすることで低域の再生下限はのびる。

低域の再生下限をのばしたければ、
同口径でもよりf0の低いウーファーを使うか、より大口径のウーファーを用意した方がいい。

ではなぜダブルウーファーとするのか。
単純に同じユニットを二発使えば音圧は3dB上昇する。
これはメリットではあるものの、
最大出力音圧レベルに不足を感じていない、
パワーアンプにより出力の大きなモノをもってこれるのであれば、さほどメリットとはいえなくなる。

そんなことはわかっていても、ダブルウーファーにする人がいるし、ダブルウーファーに憧れる人がいる。
その理由は頭で考えるよりも、ダブルウーファーがよく鳴っている音を一度でも体験してみればわかる。

ダブルウーファーがうまくいけば、エネルギーの再生において、あきらかなものがある。
低域の再生において、エネルギー的にシングルウーファーとダブルウーファーは、
音圧の3dB上昇以上に、感覚的には6dBほどの違いがあるといえる。

この低域のエネルギーは、音のリアリティと直結しているようにも、
ダブルウーファーのシステムを聴けば、そう感じられる。

ナマより生々しい音──。
ナマの楽器の実体感、リアリティが、シングルウーファーよりもグンと増すというよりも、
シングルウーファーでは越えられなかった領域を聴かせてくれる。

Date: 6月 8th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その2)

JBLの4350Aと同時代のダブルウーファー(それ以上)のスピーカーシステムは、いくつかあった。
国産スピーカーシステムては、デンオンのSC107(25cm口径二発)、
サンスイのSP-G2300(25cm口径二発)、SP-G300(30.5cm口径二発)、
テクニクスのSB9500(35cm口径四発)、
海外スピーカーシステムでは、アリソンのAlison:Two(20cm口径二発)、Alison;one(25cm口径二発)、
B&MのMonitor 5(16cm口径六発)、
BOSEの601(20cm口径二発)、
ボザークのB4000A(30cm口径二発)、B410(30cm口径四発)、
ダイナコのA50(25cm口径二発)、
エレクトロボイスのSentry iV(30cm口径二発)、
ESSのHD13(30cm口径二発)……、これら以外にもまだまだあるが、このへんにしておく。

意外にダブルウーファーのシステムはあった。
それに加え、1970年代後半はドロンコーン(パッシヴラジエーター)方式のモノも多かった。
ウーファーユニットよりも大口径のパッシヴラジエーターのモノもあれば、
同口径で見た目もウーファーと同じで、一見ダブルウーファーを思わせるモノもあった。

視覚的には同じように見えることもあるダブルウーファーとパッシヴラジエーター方式だが、
低域の拡張を図っているのは、ダブルウーファーではなくパッシヴラジエーターの方である。

意外に思われる方がいるかもしれない。
4350Aは15インチ(38cm)口径の2231Aを二発収めている。
4343は一発だけである。

二発と一発。
同じユニットを使っている限り、基本的には低域の再生帯域の下限をより低くすることはできない。
ダブルウーファーにしたからといって、同じユニットを使っている場合は、
一発では30Hzどまりだった低音の再生下限が20Hzになることはない。

もちろんエンクロージュアの容積が変り、バスレフ型ならばバスレフポートのチューニングも変えれば、
もう少し下まで延ばすことは可能だが、
同じユニットで、ウーファーに対する容積、バスレフのチューニングが同じであれば、
無響室での周波数特性的には一発も二発も変化があるわけではない。

Date: 6月 7th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その1)

ダブルウーファーときいて、反応する人としない人とがいる。
前者がさしずめ肉食系オーディオマニアとでもいおうか、
後者はそうなると草食系オーディオマニア……。

あえて分けるとすると、こんなことを思いつく。

私にとってダブルウーファーのスピーカーシステムとして最初に強烈な印象を受けたのは、
やはりJBLの4350Aである。

ステレオサウンド 41号で見た4350Aが、
ダブルウーファーのスピーカーシステムは凄い、
こころときめかすものを感じていた。

つまり私にとっての「ダブルウーファー」とは、
15インチ口径のウーファーが二発ということでもある。

いつのころからか大口径ウーファーに対するアレルギーのようなものをもつ人が増えてきた。
少なくとも私はそう感じている。

15インチなどという大口径のウーファーを求めるのは、
知的とはいえない、野蛮な行為でもあるかのようにいう人が増えている。

小口径ウーファーのスピーカーを鳴らすことが、
知的な行為であるかといわんばかりの人が増えているような気がする。

低音を出すのに、大きさに走ってしまうのは、
あまり知的とは言い難いのかもしれない。
それもダブルにするとは、ますますもって知的とは言い難い。

大口径ウーファーを使うくらいならば、小口径ウーファーを複数使用したほうがいい──、
そんな風潮もいつのころからか強くなってきている。

大口径ウーファーを鳴らせば、
低音再生の問題は解決するほど単純で簡単なものではないことはわかっているし、
小口径ならではの良さがあり、大口径ゆえに発生しやすい悪さがあるのもわかったうえで、
それでもダブルウーファーは、オーディオのロマンの最もはっきりとあらわれたカタチといいたくなる。

Date: 4月 3rd, 2015
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その10)

モノの蒐集にはふたつの楽しみがある、といえる。
ひとつはモノそのものの蒐集であり、もうひとつはそのモノに関する情報の蒐集である。

オーディオも自転車も魅力的なモノであり、
どちらも昔よりも現在の方が、情報蒐集はしやすくなっているし、情報の量も多くなってきている。

欲しいモノ、気になっているモノの情報を集めてくるのは、実に楽しい。
これだけでひとつの趣味といえるほど楽しく感じている人も少なくないだろう。
私も、そのひとりである。

より正確な情報を、しかもあまり知られていない情報を求めようとしているし、
そんな情報が入ってくれば、同好の士に教えたくもなる。
そうすれば、同好の士から情報を得ることもある。

そうやってさまざまな情報をあつめる。
そして試聴(自転車では試乗)する。
これも、ひとつの情報蒐集といえなくもない。

けれど、そうやって得た情報をもとに、
実際に購入するモノ選びにどれだけ役立つか、直結しているのか、といえば、
私の場合は、間接的には役立っているとはいえても、直結しているとはいえないところがある。

デ・ローザのオレンジ色のフレームがそうであったように、
結局のところ、「これだ!」と瞬間的に感じられるかどうかが決め手であり、
他のことは、買うための口実として機能するだけである。

そんな選び方は絶対にしない、という人もいる。
それはそれでいい。
ただ私はそうやって自転車を選んだし、オーディオも選んできている。