Archive for category ロマン

Date: 11月 6th, 2017
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(妄想篇)

2016年3月のaudio wednesdayで、
「マッスルオーディオで聴くモノーラルCD」と題して、
JBLのホーン2397に、スロートアダプター2329を使って、
ドライバー2441をダブルにして取り付けたことがある。

2441は二本しか持っていない。
そのためモノーラル再生に特化させることで、
ウーファーもエンクロージュアを二台くっつけるようにセッティングしての、
2441のダブル使い(鳴らし)であった。

2441が四本あれば、ステレオ再生でもダブルにできる。
これはなかなか実現しそうにない、と思っていたが、
いま預かりモノの375がある。

そうだ、そうだ、と気づいた。
2441と375をパラって鳴らせば、ダブル・コンプレッションドライバーとなる。
もちろん375もしくは24414が四本あったほうがいいけれど、
375と2441の混成部隊でもやれる。

コンプレッションドライバーのダブル使いに批判的な意見をもつ人はいる。
まして375と2441という、基本的には同じであっても細部が違うドライバーでダブルなんて……、
と少なからぬ人がそう思うだろうが、
スピーカーばかりは実際に音を鳴らしてみないことには、何もいえない。

うまくいく可能性だってある。
頭で考えるよりも、試せるのであれば試してみるほうがいい。

audio wednesdayで、やる予定でいる。
(ただし運搬が大変なので、いつになるかは未定である)

Date: 6月 1st, 2017
Cate: ロマン

THE DIALOGUEと38W(対話における信号伝達)

誰かになにかを伝えたい時、ずっと以前は電話をするか、
直接会って話すかくらいだった。

現在は大きく変化してきている。
ちょっとしたことを伝えたいだけなら、電話でなく、メールをするようになった。
スマートフォンとSNSが一般的になってくると、
メールではなくSNSのメッセージ機能を利用することが増えてきた。

メールにしてもSNSのメッセージ、どちらも文字によって情報を相手に伝える。
手書きの文字ではなく、活字といっていい文字による伝達であり、
ここにおいては、信号伝達である。

信号伝達であり、送信側にも受信側には同じ情報が残る。
スマートフォンがあれば、いつでもどこでもその情報を確認できる意味でも、
信号伝達である。

電話、直接会っての対話は、信号伝達でもあるが、
それ以上にエネルギー伝達といえるのではないか。

声という、その人固有のエネルギーによってやりとりをする。
録音でもしないかぎり、そこでのやりとりはどちらにも残らない。
その意味でも、信号伝達ではなくエネルギー伝達である。

Date: 6月 1st, 2017
Cate: ロマン

THE DIALOGUEと38W(感覚論としてのエネルギー伝送と信号伝送)

これまでに何度か書いているように、
個人的な感覚論にしかすぎないことなのだが、
私にとってアナログディスクはエネルギー伝送、CDは信号伝送、というイメージへとつながっている。

「THE DIALOGUE」はLPで聴いてきた。
もちろん33 1/3回転盤である。
「THE DIALOGUE」は、オーディオラボのLPでもそうとうに売れたのだろう。
しばらくしてUHQR盤による78回転盤も登場した。

手離してしまって、もう手元にはないが、
片面に一曲ずつカッティングされていた、と記憶している。

「THE DIALOGUE」の78回転盤を聴けば、
アナログディスクはエネルギー伝送メディアだと実感する。
ここまでいかなくとも、45回転盤でも同じように感じる。

信号伝送という点からだけみれば、大口径ウーファーよりも小口径ウーファーとなろう。
小口径ウーファーよりもヘッドフォン、さらにはイヤフォンへといこう。

けれどエネルギー伝送メディアと、
感覚的にとらえられるアナログディスクからオーディオに入ってきた者にとって、
信号伝送よりもエネルギー伝送系としてのシステムの構築は,皮膚感覚として排除できない。

私はLPからだったが、SPの時代からオーディオにのめりこんできた人にとっては、
私以上にアナログディスクをエネルギー伝送メディアととらえていても不思議ではない。

もちろん最初に書いているように、あくまでも感覚論である。
アナログディスクを信号伝送メディアととらえても、間違いではない。

それでもオーディオショウなどで、ハイレゾリューション再生を聴いていると、
デジタルにおいて、ハイサンプリング、ハイビットとなることで記録できる情報量は増えるし、
その精度も向上しても、エネルギー量(感覚的には、ではある)が増しているようには、
いまのところ感じることはできていない。

実のところ、自分のシステムでハイレゾリューション再生には取り組んでいないので、
あくまでもオーディオショウやオーディオ店で聴いたかぎりの感想にすぎない。

このへんは自分でやることによって印象は変化してくるであろうが、
それでもエネルギー伝送メディアとしてのアナログディスクの優位性のようなものは、
おそらく私のなかでは変らないかもしれない。

そんな私にとって38Wは、エネルギー伝送系の最後を担うわけだ。
78回転の「THE DIALOGUE」を聴いている私には、
このふたつを切り離して考えられないところがある。

Date: 5月 31st, 2017
Cate: ロマン

THE DIALOGUEと38W(体感する)

38Wとは,38cm口径のダブルウーファーのことである。
スイングジャーナルが使いはじめたように記憶している。

別項「ダブルウーファーはロマンといえるのか」でも、38Wについて書いている。
30cm口径ならば30W、25cm口径ならば25W、20cmならば20W……となるわけだが、
38Wは、他とははっきりと違う何かがあると感じてしまうのは、
そういう世代のオーディオマニアなんだよ、つまりは古いんだよ……、
そんなことをいってしまう人たちがいるのは知っているけれど、
ほんとうにそんなことなのだろうか。

以前、別項「サイズ考(その29)」に、
「本気で取り組むのなら、38cm口径ウーファーを方チャンネル当り2本、
30cm口径だったら4本ぐらい、用意するくらいじゃないと、ね」
という井上先生の言葉を書いた。
ステレオサウンドにも同じことを書かれていた。

このくらいになると、低音再生は別次元の音を聴かせるし、
次元の違う世界を展開してくれる、といわれた。
音の躍動感、音の表情の豊かさにおいて、38W(もしくは30cm四発)は、
独自の魅力(オーディオならではの不思議な魅力といってもいいだろう)を持っている、と。

大口径ウーファーを忌諱する人は、いまでは少なくないようである。
大口径ウーファーの魅力を、それもダブルウーファーの魅力を語るのは、
遅れた人たちのように蔑む人たちがいて、
自分たちこそ、オーディオの本質を理解していていて、最先端にいるんだ、と。

おそらく、うまく鳴った38Wの音を聴いていない人たちなのだろう。
聴いていない、ともいえるし、体感していない、ともいえる。

「THE DIALOGUE」こそ38Wで聴きたい一枚である。
いまはまだ無理だが、audio wednesdayで一度38Wを鳴らしてみたい。
もちろん「THE DIALOGUE」を。

Date: 11月 4th, 2016
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その10)

その9)でふれた菅野先生実験のJBLの4ウェイは、
スイングジャーナル別冊「オーディオ・プラン’77」での組合せである。

このムックは手元にないけれど、
同じシステムを「モダン・ジャズ読本’78」でも鳴らされている。

「モダン・ジャズ読本’78」にはジャズ&オーディオ道場という企画がある。
ジャズ喫茶への道場破り的企画である。
ここで菅野先生は門前仲町に当時あったジャズ喫茶タカノに、同システムを持ち込まれている。

サンスイによるエンクロージュアは、おそらく4350のそれと同寸法と思われる。
バスレフダクトは両サイドに縦に三つならんでいるところも同じである。

このエンクロージュアに2220Bと2120をともに二発ずつおさめ、
蜂の巣ホーンにとりつけられた375は二発のウーファーよりもやや外側に配置。
このふたつのホーンのあいだに375が二発並ぶ。

見た印象でいえば、ミッドハイの375の距離が離れすぎのように感じる。
ユニットの数が多くなれば、それだけ配置の難しさは増していく。
これが最適の配置ではないだろう。

アンプはウーファー用がアキュフェーズのM60。
ミッドバス用がGASのAnpzilla、ミッドハイとトゥイーターはパイオニアのExclusive M4、
コントロールアンプはGASのThaedraだ。

「モダン・ジャズ読本’78」には編集部による原稿と、
タカノ店主高野亘氏の「わが抗戦の記」と菅野先生の「わが挑戦の記」が載っている。

こういう企画は、ステレオサウンドに望むのは無理なところがあった。
スイングジャーナルらしい企画であり、
こういう企画を行わなくなった(行えなくなった)から、
スイングジャーナルは消えていったのかもしれない。

Date: 10月 21st, 2016
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その9)

38Wといえば、菅野先生がスイングジャーナルでやられた実験的スピーカーもそうだった。
JBLのユニットを用いての4ウェイ、しかも全帯域ダブル使用である。
その時の音については、ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES-1にも書かれている。
     *
 先日も、ウーファー部分発展の手がかりにと思い、ある雑誌の企画で♯2220を二本入れたエンクロージュアをECシリーズのバリエイションとしてサンスイに試験的に作ってもらった。この♯2220二発入りの4ウェイシステム(♯2220×2、♯2120×2、375+HL88×2、075×2、クロスオーバーは100Hz、800Hz、7kHz)を聴いたときは、実に、この世のものとも思えない低音の圧倒的音圧感に狂喜した。とにかくバスドラムが鳴った時の音などは本当によだれが出てきそうなくらいで、腹の底から喜びがこみ上げてくる素晴らしい音だった。
     *
ここまでのシステムではないが、4350Aで菅野先生録音の「The Dialogue」を聴いた時、
そのバスドラムの音には驚いたことがある。
4343とはミッドバスもミッドハイも違うけれど、ウーファーがシングルかダブルかの違い、
それに加えてバイアンプ駆動のメリットもあって、
《喜びがこみ上げてくる》という感じは、菅野先生が聴かれた音ほどではないにせよ、
確実にあった。

それでも菅野先生の、この実験的システムはやや大袈裟だ。
ミッドバス以上もダブルにする必要が、どこまであったのだろうか。

2120は25cm口径のユニット。
ここは4350と同じ2202(30cm口径)一発で十分だし、
375も一本でいいと思う。075はダブルでスタックすれば、その面白さはあるようには思うけれど。

菅野先生自身、続けてこう書かれている。
     *
 ところが、家に帰って自分のウーファー一発のシステムを聴いてみると、あれはやはりオーバー・エクスプレッションだったと思うようになったのだ。部屋やアンプなども若干異なるので断定はできないが、二発入りだと、一人のベーシス手とが演奏しているにもかかわらず、あたかも巨人が演奏しているかのようで、パーソナリティが感じられないのである。そこが不満として感じられるようになってしまった。
     *
そうだろうと思いながらも、ウーファーだけダブルだったら……、とも思ってしまった。
全帯域ダブルの4ウェイシステムは、たしかにオーバー・エクスプレッションだろう。
それに片チャンネル八本のユニットとなると、その配置も格段に難しくなる。

それでも《この世のものとも思えない低音の圧倒的音圧感に狂喜した》、
ここのところに刺戟された(挑発された)人はきっといるはずだ。

Date: 9月 19th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(Car SOS)

イギリスのテレビ番組に”Car SOS”がある。
日本では「カー・SOS 蘇れ! 思い出の名車」というタイトルになっている。
車、オーディオの修理のことを書いていて、この番組について書きたくなった。

番組の存在は知っていたけど、私が見始めたのはシーズン4からである。
見事な修理がなされる。
文字通り、ボロボロだった車が新車かと思うほどに仕上がって、オーナーの元に帰ってくる。
いい番組だと思う。

シーズン4からしか見ていないので、
すでにそういう内容の回が放送されていたかもしれない。
私が、この番組で、ぜひとも見たい、と思うのは、
その後である。

番組自体も、「その後」である。購入後といえる。
なんらかの事情で、愛車が傷んでいくばかりの状態に置かれている。

これが新車同様になって戻ってくるわけだが、
私が知りたいのは、新車同様に戻ってきた車の「その後」である。

シーズン1の初回は2013年2月とある。
番組に登場して三年以上が経っている車もあるわけだ。
三年では、ちょっと短い気もする。
個人的には、もう少し経ってから、修理されて五年、十年後を見たい、と思うのだ、
ロマンについて考えるうえでも。

Date: 9月 19th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その12)

オーディオよりも自動車の世界の規模ははるかに大きい。
雑誌の数だけをみても、オーディオ雑誌と自動車雑誌とでは、後者の数が圧倒的に多い。

きく所によると、自動車雑誌ではリセールバリューについての特集が組まれることがあるそうだ。
私が20代前半のころに会った人、
オーディオ機器購入の際、手放すときのことを考えて、という人は車好きの人だった。

車が好きで、それこそ数年ごとに新しい車に乗り換えたい──、
そう考えて、それを楽しみにしている人にとっては、
購入時に、手放すときの価格について考慮するのは重要なことなのだろうし、
自然なことなのでもあろう。

頭では、そう理解できる。
理解できても共感はできない。

別項「価値か意味か」をここでも考える。

Date: 9月 18th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その11)

私が買ったオレンジ色のデ・ローザは、すでに組まれた状態だった。
もしフレーム単体で見て一目惚れして購入したのであれば、
パーツ類は、デ・ローザと同じイタリアのカンパニョーロにした、と思う。

でも完成車での一目惚れであった。
メインパーツはカンパニョーロではなく、日本のシマノのデュラエースで組まれていた。
シートピラー、ステム、ハンドルも日本製。
リムはフランスのマビックだった。

いまでこそデ・ローザもシマノで組まれることが増えてきたけれど、
いまから20年前はそうではなかった。
デ・ローザはカンパニョーロで組むべきモノという空気が、非常に濃かった。

それでも目の前にある自転車はシマノで組まれ、それに一目惚れしたのだし、
パーツをカンパニョーロに交換してもらえば、予算をさらにオーバーすることになる──、
そんなことは実は考えなかった。

もうこれがいい、という感じで決めてしまった。

私が買ったロードバイクを買い取ってもらうとすれば、
それほどの高値はつかないと思う。
パーツのほとんどが日本製であるからだ。
むしろフレームとパーツを、バラバラにして売った方がいいであろう。

でも買うときは、そんなことはまったく考えない。
目前にあるモノが欲しい! と思ったから買ったわけだ。

だがこれも人によって違う。
買うときに、常に手放すことを考えて買う、という人がいるのを知っている。
何もひとりではない。

オーディオ機器であっても、他の趣味に関するモノであって、
買取り、下取りで値が崩れないモノ、できれば高くなる可能性のあるモノを選ぶ人がいる。

20代前半のときに、はじめてそういう人に会った。
その人の口から直接聞いた。
さもあたりまえのように話していた。

年齢は彼の方がずっと上である。
それが大人の考えなのか──、とは思わなかった。
他に、こういう人がいるとも思わなかったが、その後、何人かいた。

ということはもっといるということである。

Date: 10月 27th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その8)

38Wにおける横に二発なのか縦に二発なのかは、
部屋の長辺にスピーカーを置くのか、短辺に置くのかに共通するところもあるように感じる。

これは同じ部屋に同じスピーカーだとしても、どちらを選ぶかは鳴らす人(設置する人)次第である。
私は原則として長辺に置く。左右のスピーカーの間隔を充分にとれるほうを選ぶのは、
もちろん瀬川先生の影響も強いからだが、
低音の鳴り方もこちらのほうがいい結果が得られやすいとも感じているからだ。

横配置なのか縦配置なのかは、低音の風圧なのか音圧なのかにも関係しているような気がしている。
私が欲しいのは音圧としての低音ではなく、風圧としての低音なのかもしれない。

このふたつのバランスが、私にとっては耳で聴く低音と肌で感じる低音感とのバランスなのだろう。

そういえば岩崎先生が言われていた。
     *
本物の低音というのは、フーっという風みたいなもので、そういうものはもう音じゃないんですよね。耳で音として感じるんじゃないし、何か雰囲気で感じるというものでもない。振動にすらならないようなフーっとした、空気の動きというような低音を、そういう低音を出すユニットというのは、今なくなって来ています。
(ステレオのすべて ’77「海外スピーカーユニット紳士録」より)
     *
空気の振動としての低音(つまり音圧)ではなく、
空気の動きというような低音(つまり風圧)が、音の形としての音像につながっている。

Date: 10月 21st, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その7)

38Wといっても、二発のウーファーをどう配置するのかがある。
横に二発なのか、縦に二発なのか。

私にとって38Wの代名詞といえるJBLの4350Aは横に二発のシステムである。
1980年代ころまでは、ダブルウーファーといえば横に二発というイメージがあった。

それが変化してきたのは、
いわゆるヴァーチカルツイン(仮想同軸配置)と呼ばれるモノの登場によってだ。

レイオーディオのRMシリーズ、JBLのK2(38Wではないけれども)によって、
縦に二発のダブルウーファーが増えてきた。

そのころ同じダブルウーファーなら、縦と横、どちらが有利なのか、という記事をみかけたことがある。
そこにはこんなことが書いてあった。

ふたつの図があった。どちらの図もスピーカーと床との関係をあらわしたもので、
ひとつは横に二発のダブルウーファー、もうひとつは縦に二発のダブルウーファーである。

横に二発の場合、どちらのウーファーと床との距離は等しい。
一方、縦に二発の場合は、下側とウーファーと上側のウーファーとでは床との距離が違う。
そのため床からの影響を受けにくい、と説明するものだった。

その記事を書いていた人は、だから縦に二発のダブルウーファーがいい、と結論づけていた。
確かに床からの影響だけをみれば、そう捉えることはできる。

だが現実の部屋は床もあれば天井もあるし、左右の壁、前後の壁がある六面体である。
ほとんどの場合、天井と床、左右の壁、前後の壁は平行面である。
そういう空間において床だけからの反射を示して、
縦に二発のダブルウーファーが音的に有利という理屈は成り立たない。

スピーカーから見て横の壁に対してはどうなのか、となる。

どちらのウーファー配置がいいのかは、そう簡単には断言できない。
それでも横なのか縦なのか。
大まかな傾向はあるとは感じている。

私にとっての38Wは、やはり横に二発のダブルウーファーである。
38Wならではの音が得られるのは、横に二発なのではないだろうか。

だからといって横に二発の方が縦に二発よりも音が優れているというわけではない。
あくまでも私にとって38Wならではの音を聴かせてくれるのは、縦よりも横だというだけのことだ。

Date: 10月 20th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その6)

38Wを、どう読むのかはスイングジャーナルには書いてなかったはずだ。
38W(さんじゅうはちだぶりゅー)ではないと思う。
やはり38W(サンパチダブル)と読むはずだ。

他の口径、30cmのダブル(30W)、25cmのダブル(25W)、20cmのダブル(20W)を、どう読むか。
38Wほどのキマリの良さがない。

そんな読み方は、音には無関係のはずだ。けれど、決してそうじゃないと言い切れないものを感じる。
38Wには、他の口径のダブルウーファーでは味わえぬ、38Wならではの不思議な魅力がある。

もちろん、すべての38Wが素晴らしいとは言わないし、
私が38Wとして真っ先に思い浮かべるJBLの4350Aにしても、
角を矯めて牛を殺すような鳴らし方をしていては、38Wならではの不思議な魅力ある音は味わえない。

それでもうまく鳴ったときの「38Wならでは!!」と、つい口走りたくなる躍動感、
フォルティシモでの音の伸び、音楽としての表情の豊かさと深さ──、
一度でも体験すれば、いつかは38W……と思ってしまう。

肌が合う、という。
38Wの音は、まさに肌が合う。
耳で聴く低音と肌で感じる低音感とのバランスがうまくいっているからこそなのかもしれない。

肌が合う、とは、あくまでも感覚的なものだから、
私に賛同してくれる人もいれば、そうでない人もいる。

そうでないという人の中には、肌が合う、というようなことを再生音に求めていない人もいるように思う。

Date: 10月 19th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その5)

その1)で、私にとっての「ダブルウーファー」とは15インチ口径のウーファーが二発のこと、と書いた。

38cmよりも小口径のウーファー、
それが30cm口径のダブルであっても、38cmのダブルに感じるものからすると、
なにかひとまわりもふたまわりもスケールダウンしたように感じてしまう。

ましてもっと小口径のダブルウーファーとなると……、書くまでもないだろう。
そういうダブルウーファーのスピーカーシステムを否定はしないし、
そういう仕様のシステムでもいいスピーカーはある。

けれど、そこには38cm口径のダブルウーファーに感じる凄みがない。
だから、まったく別種のダブルウーファーのスピーカーシステムのように感じる。

これはなぜなのだろうか。

よく井上先生はいわれていた。
低音とは、耳で聴く低音と肌で感じる低音感、
このふたつのバランスが巧みにとれていることが、低音再生(低音感)にとって大事である、と。

私には、このふたつのバランスが破綻をきたすぎりぎりのところでバランスがとれるのが、
38cm口径のダブルウーファーのような気がしている。

これは私だけが感じていることはないと思う。
少なからぬ人が感じていることではないのだろうか。

そういえば昔スイングジャーナルでは、38cm口径のダブルウーファーのことを、
38Wと表記していた。

古くからのオーディオマニアだと、
エレクトロボイスの30Wという30インチ(76cm)口径のウーファーがあったから、
38Wとあると38インチ口径のウーファーと思わないわけではないが、
それでもあえて38Wという表記を使うスイングジャーナル編集部の気持はわからないわけではない。

38Wには、2トラ38(ツートラサンパチ)に通じるところがある。

Date: 7月 20th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その4)

そういえばUREIのModel 813もダブルウーファーである。
メインとなるユニットはアルテックの604-8G。

あらためて説明するまでもないが15インチ口径ウーファーとホーン型トゥイーターとの同軸型。
これに同口径のサブウーファーをつけ加えている。

このサブウーファーの特性が604-8Gのウーファー部よりも、
より低域の再生限界の拡充した設計であるのかどうか。

UREIの資料からだけは、はっきりしたことは読みとれないが、
ステレオサウンド 47号の「物理特性面から世界のモニタースピーカーの実力をさぐる」をみれば、
はっきりとしたことが実測データから読みとれる。

47号の前号の特集で取り上げられたモニタースピーカーを中心に、
三菱電機郡山製作所の協力で測定を行なっている。

アルテックの620AもあればModel 813も含まれている。
そして測定データには近接周波数特性が載っている。
これはウーファー部分の周波数特性のグラフであり、
バスレフ型ではポートの特性、パッシヴラジエーターを採用しているものはそのデータも測定している。

620AとModel 813の近接周波数特性を比較してみると、
まずウーファーのカットオフ周波数が異っていることがわかる。

620Aのクロスオーバー周波数は1.5kHzと発表されている。
近接周波数特性をみても1kHzあたりから減衰している。
下は100Hzあたりから減衰がはじまり、バスレフポートの共振周波数は40Hzあたりにある。

Model 813はクロスオーバー周波数は発表されていない。
少なくとも私が知っている範囲ではなかった。

近接周波数特性をみてわかるのは、900Hzより少し低い周波数から減衰が始まり、
その減衰カーヴも急峻であることが読みとれる。

サブウーファーの特性はどうだろうか。
これが見事なくらい604-8Gのウーファー特性と似ている。
よくこれだけ似た特性のウーファーがあったものだ(見つけてきたものだ)と感心してしまうくらいだ。

サブウーファーは200Hz以上で減衰している。
Model 813のバスレフポートは単なる開口部ではなく、
UREIが疑似密閉型と称する音響抵抗をかけたタイプである。

そのためポート出力はゆるやかな山を描いている。
共振周波数は620Aとほぼ同じ40Hzあたりにある。

620AとModel 813の低域の周波数特性を比較すると、
後者のほうがより低いところまでフラットではある。
けれどこれはダブルウーファー仕様だからというよりも、
疑似密閉型のバスレフポートの設計のうまさとみるべきだ。

Date: 7月 7th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(JBL 4520と4530)

JBLのバックロードホーン・エンクロージュアとして、以前4520と4530という、
ふたつのモデルがあった。

4520はダブルウーファー用で、4530はシングルウーファー用。
価格は、1978年当時、4520が166000円、4530が78000円。
4520は4530の約二倍だった。

ダブルウーファー仕様とシングルウーファー仕様だから、この価格差は当然と思われるだろうが、
このふたつのエンクロージュアの違いを知る人からすれば、4520の方が安いと思ってしまう。

4520と4530の違いは、単にウーファーを二発か一発かの違いだけではない。
4530に15インチ・ウーファーを横に二発取りつけられるように横幅を延ばしただけではない。
エンクロージュアのサイズ(プロポーション)、それに伴うホーンロード長が違う。

4530の外形寸法はW60.3×H121.3×D60.3cm、重量は54kg。
4520の外形寸法はW90.8×H127.6×D75.6cm、重量は98kg。

4530では150Hz以上は搭載したウーファーから直接放射され、
それ以下の周波数になるとホーンが受け持つ。
4530のホーン長は2mと発表されていて、再生可能な低域は50Hzまでとなっている。

4520は、エンクロージュアの奥行きが15cm増していること、
それから高さも5cm増し、ホーン開口部の底辺の位置が4530よりも低い位置になっている。
ホーン長も当然長くなっている。

JBLの公称値は4mとなっているが、さすがにそこまで長くはない。
もう少し短いはずだ。

とはいえ4520の低域の再生限界は30Hzまで伸びている。
42Hzまでホーンロードがかかると発表されている。
ウーファーから直接放射されるのは150Hz以上なのは4530と同じである。

4530と4520、
ダブルウーファーとはこういうものだということを強烈に感じさせてくれる。