Archive for category ロマン

Date: 4月 5th, 2018
Cate: ロマン

オーディオのロマン(ふとおもったこと)

EIICHI OHTAKI Song Book Ⅲ 大瀧詠一作品集Vol.3 「夢で逢えたら」(1976~2018)』も、
昨晩のaudio wednesdayでは、だから聴けなかった(鳴らせなかった)。

店主の福地さんに頼んで、喫茶室のスピーカーで鳴らしてもらった。
こちらの部屋に漏れてくる歌を聴いていて、ふとおもったことがある。

JBLで音楽を聴いている人は、ロマンティストなんだ、と。
もちろんJBLで聴いている人すべてがそうだとはいわないし、
現在のJBLのラインナップのすべてを、ここに含める気もさらさらないが、
私がJBLときいてイメージするスピーカーシステムで聴いている人は、
やはりロマンティストだ。

Date: 3月 18th, 2018
Cate: ロマン

オーディオのロマン(ソニー SS-R10・その1)

1996年だったか、ソニーからコンデンサー型スピーカーシステムSS-R10が登場した。
ペアで300万円という価格もそうだったが、それ以上にソニーからコンデンサー型、ということでも、
驚いた記憶があるし、ながくオーディオをやっている人ならば、
ソニーとコンデンサー型スピーカーとが結びつきにくかっただろう。

唐突に登場してきた感があった。
ソニーはコンデンサー型マイクロフォンは、それ以前から手がけていたのだから、
それほど唐突でもないだろう、といわれるかもしれないが、
ソニーのスピーカーの流れを知っていれば、唐突といえたし、
SS-R10の技術を活かした普及クラスの製品や、後継機種が登場したわけでもない。

唐突だな、は、いつしか唐突だったな……、に私の中では変っていた。

2010年秋、瀬川先生の文章を集中的に入力していた数ヵ月がある。
そのとき気づいた。
ステレオサウンド 5号、瀬川先生の「スピーカーシステムの選び方まとめ方」、
その中に、こう書いてあった。
     *
 コンデンサー型スピーカーについては、中〜高域の透明な美しさにくらべて、低音域の厚みが不足したり、力強さがないなどという意見がよく聞かれる。その当否は別として、QUADのスピーカーを中域から上で使うようにして、低域をふつうのコーン型のウーファーに分担させるという、ソニーの大賀氏のアイデアを実際に聴かせて頂いて仲々よい音質だったので、使いこなしのひとつのヒントとしてご紹介させて頂く。
     *
聴かせて頂いて、とあるから、大賀典雄氏のシステムだったのだろう。
つまり大賀氏は、この時期(1967年ごろ)、QUADのESLを鳴らされていたことになる。

これがSS-R10と結びついた。
私のなかでむすびついただけであって、事実かどうかはわからない。
けれど、SS-R10開発のゴーサインは、大賀氏が出されたのではないだろうか。

SS-R10はコンデンサー型とは思えない重量である。
スピーカー本体が78kg、別筐体のネットワークが18kg、100kg近い。
QUADのESLはネットワークは内蔵されていて、18kg。
ずいぶんと違う。
どちらも3ウェイである。

ソニーという会社とQUADという会社の規模の違いともいえそうな、
この重量の違い、いいかえれば物量投入の違いは、
QUADのESLを鳴らしながらも、
低音をコーン型ウーファーで補っていた大賀氏の不満から生じたもののような気もする。

Date: 12月 21st, 2017
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その14)

オーディオ店に行って、そこで鳴っていた音を聴いた、とする。
試聴ディスクを持っていき、店員にかけあって音を聴かせてもらう、とかではなく、
ただふらっと店に入って、そこで鳴っていた音を聴いただけである。

それでも、オーディオマニアの中には、音を聴いた、ということにしてしまう人がいる。
そこで、その人は、どうカウントするかというと、
スピーカーで一機種、当然、アンプとプレーヤーが必要になるから、
アンプで一機種、プレーヤーで一機種、
カートリッジは付属していないプレーヤーだったりすると、
そこに取り付けてあるカートリッジで一機種、
計四機種のオーディオ機器を聴いた、と数える。

アンプがプリメインアンプではなくセパレートアンプだとしたら、二機種に増え、
トータルで五機種聴いたことに、その人の中では、なってしまう。

さらにアナログプレーヤーも、ターンテーブル単体とトーンアーム単体を組み合わせたモノだと、
カートリッジ、トーンアーム、ターンテーブルで三機種となり、
計六機種のオーディオ機器を聴いたことに、その人のなかでは、なってしまう。

そうやって聴いた総数を数えて、
千機種以上のオーディオ機器の音を聴いた、とか、
もっと多くのオーディオ機器の音を聴いた、と自慢している人が、
昔いたのを知っている。

聴いた、といえば、聴いている、ということになるのか。
そんなのは聴いたうちに入らない、と考える人もいる。
どんな条件であろうと、聴いたのだから、聴いた数にかぞえる、とする人もいる。

そうなると、どれだけのオーディオ機器を聴いていたのか、
一部のラーメン・ブロガーの水増しと変らない、というよりも、
もっとひどい、といえる。

オーディオ機器は、それ単品では音を聴けない。
スピーカーがあって、アンプ、プレーヤーがあって、はじめて音が鳴ってくる。

一口でも食べたラーメンを一杯とカウントするのと、
システムを構成するオーディオ機器をひとつひとつ数えて、
三機種なり四機種……、もっと多くカウントしてするのと、
どちらが水増し感がひどいかというと、後者である。

Date: 12月 21st, 2017
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その13)

東京にいると、ラーメン店はほんとうに多いな、と感じる。
ラーメン好きの人が多いのだろう。
私もラーメン好きである。

ラーメン好きの人の中には、ラーメンのブログを書いている人もいる。
ラーメン・ブロガーと呼ばれている人たちである。

ラーメンのことを毎日書いている人もいる。
毎日ラーメンを食べているのか、と感心する。
ラーメン・ブロガーの中には、一年で365杯は当然で、
500杯とか、それ以上食べている人もいる、という。

ラーメン・ブロガー同士でラーメン店に行くこともある、ときいている。
そのラーメン店で、それぞれが別々のラーメンを注文する。
四人で行って、そこに四種類のラーメンがあったとしたら、
みな別々のラーメンを注文する。

テーブルに置かれた四種類のラーメンを、
すこしずつもらって食べることもあるそうだ。

ラーメン・ブロガーのなかには、そうして食べたラーメンを、
四杯食べたとカウントする人がいる、らしい。

ほとんどの人は、自分が注文したラーメンのみ、
つまり一杯のラーメンを食べたと数えることだろう。
残り三種類のラーメンは、一口、二口もらっただけなのだから。

そんな数え方をすれば、年間500杯とか、それ以上のラーメンを食べた、
と書ける、といえば書けよう。

でも、どこか水増ししている感は残る。
昔、オーディオマニアにも、同じといえる人たちがいた。

Date: 11月 6th, 2017
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(妄想篇)

2016年3月のaudio wednesdayで、
「マッスルオーディオで聴くモノーラルCD」と題して、
JBLのホーン2397に、スロートアダプター2329を使って、
ドライバー2441をダブルにして取り付けたことがある。

2441は二本しか持っていない。
そのためモノーラル再生に特化させることで、
ウーファーもエンクロージュアを二台くっつけるようにセッティングしての、
2441のダブル使い(鳴らし)であった。

2441が四本あれば、ステレオ再生でもダブルにできる。
これはなかなか実現しそうにない、と思っていたが、
いま預かりモノの375がある。

そうだ、そうだ、と気づいた。
2441と375をパラって鳴らせば、ダブル・コンプレッションドライバーとなる。
もちろん375もしくは24414が四本あったほうがいいけれど、
375と2441の混成部隊でもやれる。

コンプレッションドライバーのダブル使いに批判的な意見をもつ人はいる。
まして375と2441という、基本的には同じであっても細部が違うドライバーでダブルなんて……、
と少なからぬ人がそう思うだろうが、
スピーカーばかりは実際に音を鳴らしてみないことには、何もいえない。

うまくいく可能性だってある。
頭で考えるよりも、試せるのであれば試してみるほうがいい。

audio wednesdayで、やる予定でいる。
(ただし運搬が大変なので、いつになるかは未定である)

Date: 6月 1st, 2017
Cate: ロマン

THE DIALOGUEと38W(対話における信号伝達)

誰かになにかを伝えたい時、ずっと以前は電話をするか、
直接会って話すかくらいだった。

現在は大きく変化してきている。
ちょっとしたことを伝えたいだけなら、電話でなく、メールをするようになった。
スマートフォンとSNSが一般的になってくると、
メールではなくSNSのメッセージ機能を利用することが増えてきた。

メールにしてもSNSのメッセージ、どちらも文字によって情報を相手に伝える。
手書きの文字ではなく、活字といっていい文字による伝達であり、
ここにおいては、信号伝達である。

信号伝達であり、送信側にも受信側には同じ情報が残る。
スマートフォンがあれば、いつでもどこでもその情報を確認できる意味でも、
信号伝達である。

電話、直接会っての対話は、信号伝達でもあるが、
それ以上にエネルギー伝達といえるのではないか。

声という、その人固有のエネルギーによってやりとりをする。
録音でもしないかぎり、そこでのやりとりはどちらにも残らない。
その意味でも、信号伝達ではなくエネルギー伝達である。

Date: 6月 1st, 2017
Cate: ロマン

THE DIALOGUEと38W(感覚論としてのエネルギー伝送と信号伝送)

これまでに何度か書いているように、
個人的な感覚論にしかすぎないことなのだが、
私にとってアナログディスクはエネルギー伝送、CDは信号伝送、というイメージへとつながっている。

「THE DIALOGUE」はLPで聴いてきた。
もちろん33 1/3回転盤である。
「THE DIALOGUE」は、オーディオラボのLPでもそうとうに売れたのだろう。
しばらくしてUHQR盤による78回転盤も登場した。

手離してしまって、もう手元にはないが、
片面に一曲ずつカッティングされていた、と記憶している。

「THE DIALOGUE」の78回転盤を聴けば、
アナログディスクはエネルギー伝送メディアだと実感する。
ここまでいかなくとも、45回転盤でも同じように感じる。

信号伝送という点からだけみれば、大口径ウーファーよりも小口径ウーファーとなろう。
小口径ウーファーよりもヘッドフォン、さらにはイヤフォンへといこう。

けれどエネルギー伝送メディアと、
感覚的にとらえられるアナログディスクからオーディオに入ってきた者にとって、
信号伝送よりもエネルギー伝送系としてのシステムの構築は,皮膚感覚として排除できない。

私はLPからだったが、SPの時代からオーディオにのめりこんできた人にとっては、
私以上にアナログディスクをエネルギー伝送メディアととらえていても不思議ではない。

もちろん最初に書いているように、あくまでも感覚論である。
アナログディスクを信号伝送メディアととらえても、間違いではない。

それでもオーディオショウなどで、ハイレゾリューション再生を聴いていると、
デジタルにおいて、ハイサンプリング、ハイビットとなることで記録できる情報量は増えるし、
その精度も向上しても、エネルギー量(感覚的には、ではある)が増しているようには、
いまのところ感じることはできていない。

実のところ、自分のシステムでハイレゾリューション再生には取り組んでいないので、
あくまでもオーディオショウやオーディオ店で聴いたかぎりの感想にすぎない。

このへんは自分でやることによって印象は変化してくるであろうが、
それでもエネルギー伝送メディアとしてのアナログディスクの優位性のようなものは、
おそらく私のなかでは変らないかもしれない。

そんな私にとって38Wは、エネルギー伝送系の最後を担うわけだ。
78回転の「THE DIALOGUE」を聴いている私には、
このふたつを切り離して考えられないところがある。

Date: 5月 31st, 2017
Cate: ロマン

THE DIALOGUEと38W(体感する)

38Wとは,38cm口径のダブルウーファーのことである。
スイングジャーナルが使いはじめたように記憶している。

別項「ダブルウーファーはロマンといえるのか」でも、38Wについて書いている。
30cm口径ならば30W、25cm口径ならば25W、20cmならば20W……となるわけだが、
38Wは、他とははっきりと違う何かがあると感じてしまうのは、
そういう世代のオーディオマニアなんだよ、つまりは古いんだよ……、
そんなことをいってしまう人たちがいるのは知っているけれど、
ほんとうにそんなことなのだろうか。

以前、別項「サイズ考(その29)」に、
「本気で取り組むのなら、38cm口径ウーファーを片チャンネル当り2本、
30cm口径だったら4本ぐらい、用意するくらいじゃないと、ね」
という井上先生の言葉を書いた。
ステレオサウンドにも同じことを書かれていた。

このくらいになると、低音再生は別次元の音を聴かせるし、
次元の違う世界を展開してくれる、といわれた。
音の躍動感、音の表情の豊かさにおいて、38W(もしくは30cm四発)は、
独自の魅力(オーディオならではの不思議な魅力といってもいいだろう)を持っている、と。

大口径ウーファーを忌諱する人は、いまでは少なくないようである。
大口径ウーファーの魅力を、それもダブルウーファーの魅力を語るのは、
遅れた人たちのように蔑む人たちがいて、
自分たちこそ、オーディオの本質を理解していていて、最先端にいるんだ、と。

おそらく、うまく鳴った38Wの音を聴いていない人たちなのだろう。
聴いていない、ともいえるし、体感していない、ともいえる。

「THE DIALOGUE」こそ38Wで聴きたい一枚である。
いまはまだ無理だが、audio wednesdayで一度38Wを鳴らしてみたい。
もちろん「THE DIALOGUE」を。

Date: 11月 4th, 2016
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その10)

その9)でふれた菅野先生実験のJBLの4ウェイは、
スイングジャーナル別冊「オーディオ・プラン’77」での組合せである。

このムックは手元にないけれど、
同じシステムを「モダン・ジャズ読本’78」でも鳴らされている。

「モダン・ジャズ読本’78」にはジャズ&オーディオ道場という企画がある。
ジャズ喫茶への道場破り的企画である。
ここで菅野先生は門前仲町に当時あったジャズ喫茶タカノに、同システムを持ち込まれている。

サンスイによるエンクロージュアは、おそらく4350のそれと同寸法と思われる。
バスレフダクトは両サイドに縦に三つならんでいるところも同じである。

このエンクロージュアに2220Bと2120をともに二発ずつおさめ、
蜂の巣ホーンにとりつけられた375は二発のウーファーよりもやや外側に配置。
このふたつのホーンのあいだに375が二発並ぶ。

見た印象でいえば、ミッドハイの375の距離が離れすぎのように感じる。
ユニットの数が多くなれば、それだけ配置の難しさは増していく。
これが最適の配置ではないだろう。

アンプはウーファー用がアキュフェーズのM60。
ミッドバス用がGASのAnpzilla、ミッドハイとトゥイーターはパイオニアのExclusive M4、
コントロールアンプはGASのThaedraだ。

「モダン・ジャズ読本’78」には編集部による原稿と、
タカノ店主高野亘氏の「わが抗戦の記」と菅野先生の「わが挑戦の記」が載っている。

こういう企画は、ステレオサウンドに望むのは無理なところがあった。
スイングジャーナルらしい企画であり、
こういう企画を行わなくなった(行えなくなった)から、
スイングジャーナルは消えていったのかもしれない。

Date: 10月 21st, 2016
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その9)

38Wといえば、菅野先生がスイングジャーナルでやられた実験的スピーカーもそうだった。
JBLのユニットを用いての4ウェイ、しかも全帯域ダブル使用である。
その時の音については、ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES-1にも書かれている。
     *
 先日も、ウーファー部分発展の手がかりにと思い、ある雑誌の企画で♯2220を二本入れたエンクロージュアをECシリーズのバリエイションとしてサンスイに試験的に作ってもらった。この♯2220二発入りの4ウェイシステム(♯2220×2、♯2120×2、375+HL88×2、075×2、クロスオーバーは100Hz、800Hz、7kHz)を聴いたときは、実に、この世のものとも思えない低音の圧倒的音圧感に狂喜した。とにかくバスドラムが鳴った時の音などは本当によだれが出てきそうなくらいで、腹の底から喜びがこみ上げてくる素晴らしい音だった。
     *
ここまでのシステムではないが、4350Aで菅野先生録音の「The Dialogue」を聴いた時、
そのバスドラムの音には驚いたことがある。
4343とはミッドバスもミッドハイも違うけれど、ウーファーがシングルかダブルかの違い、
それに加えてバイアンプ駆動のメリットもあって、
《喜びがこみ上げてくる》という感じは、菅野先生が聴かれた音ほどではないにせよ、
確実にあった。

それでも菅野先生の、この実験的システムはやや大袈裟だ。
ミッドバス以上もダブルにする必要が、どこまであったのだろうか。

2120は25cm口径のユニット。
ここは4350と同じ2202(30cm口径)一発で十分だし、
375も一本でいいと思う。075はダブルでスタックすれば、その面白さはあるようには思うけれど。

菅野先生自身、続けてこう書かれている。
     *
 ところが、家に帰って自分のウーファー一発のシステムを聴いてみると、あれはやはりオーバー・エクスプレッションだったと思うようになったのだ。部屋やアンプなども若干異なるので断定はできないが、二発入りだと、一人のベーシストが演奏しているにもかかわらず、あたかも巨人が演奏しているかのようで、パーソナリティが感じられないのである。そこが不満として感じられるようになってしまった。
     *
そうだろうと思いながらも、ウーファーだけダブルだったら……、とも思ってしまった。
全帯域ダブルの4ウェイシステムは、たしかにオーバー・エクスプレッションだろう。
それに片チャンネル八本のユニットとなると、その配置も格段に難しくなる。

それでも《この世のものとも思えない低音の圧倒的音圧感に狂喜した》、
ここのところに刺戟された(挑発された)人はきっといるはずだ。

Date: 9月 19th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(Car SOS)

イギリスのテレビ番組に”Car SOS”がある。
日本では「カー・SOS 蘇れ! 思い出の名車」というタイトルになっている。
車、オーディオの修理のことを書いていて、この番組について書きたくなった。

番組の存在は知っていたけど、私が見始めたのはシーズン4からである。
見事な修理がなされる。
文字通り、ボロボロだった車が新車かと思うほどに仕上がって、オーナーの元に帰ってくる。
いい番組だと思う。

シーズン4からしか見ていないので、
すでにそういう内容の回が放送されていたかもしれない。
私が、この番組で、ぜひとも見たい、と思うのは、
その後である。

番組自体も、「その後」である。購入後といえる。
なんらかの事情で、愛車が傷んでいくばかりの状態に置かれている。

これが新車同様になって戻ってくるわけだが、
私が知りたいのは、新車同様に戻ってきた車の「その後」である。

シーズン1の初回は2013年2月とある。
番組に登場して三年以上が経っている車もあるわけだ。
三年では、ちょっと短い気もする。
個人的には、もう少し経ってから、修理されて五年、十年後を見たい、と思うのだ、
ロマンについて考えるうえでも。

Date: 9月 19th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その12)

オーディオよりも自動車の世界の規模ははるかに大きい。
雑誌の数だけをみても、オーディオ雑誌と自動車雑誌とでは、後者の数が圧倒的に多い。

きく所によると、自動車雑誌ではリセールバリューについての特集が組まれることがあるそうだ。
私が20代前半のころに会った人、
オーディオ機器購入の際、手放すときのことを考えて、という人は車好きの人だった。

車が好きで、それこそ数年ごとに新しい車に乗り換えたい──、
そう考えて、それを楽しみにしている人にとっては、
購入時に、手放すときの価格について考慮するのは重要なことなのだろうし、
自然なことなのでもあろう。

頭では、そう理解できる。
理解できても共感はできない。

別項「価値か意味か」をここでも考える。

Date: 9月 18th, 2016
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その11)

私が買ったオレンジ色のデ・ローザは、すでに組まれた状態だった。
もしフレーム単体で見て一目惚れして購入したのであれば、
パーツ類は、デ・ローザと同じイタリアのカンパニョーロにした、と思う。

でも完成車での一目惚れであった。
メインパーツはカンパニョーロではなく、日本のシマノのデュラエースで組まれていた。
シートピラー、ステム、ハンドルも日本製。
リムはフランスのマビックだった。

いまでこそデ・ローザもシマノで組まれることが増えてきたけれど、
いまから20年前はそうではなかった。
デ・ローザはカンパニョーロで組むべきモノという空気が、非常に濃かった。

それでも目の前にある自転車はシマノで組まれ、それに一目惚れしたのだし、
パーツをカンパニョーロに交換してもらえば、予算をさらにオーバーすることになる──、
そんなことは実は考えなかった。

もうこれがいい、という感じで決めてしまった。

私が買ったロードバイクを買い取ってもらうとすれば、
それほどの高値はつかないと思う。
パーツのほとんどが日本製であるからだ。
むしろフレームとパーツを、バラバラにして売った方がいいであろう。

でも買うときは、そんなことはまったく考えない。
目前にあるモノが欲しい! と思ったから買ったわけだ。

だがこれも人によって違う。
買うときに、常に手放すことを考えて買う、という人がいるのを知っている。
何もひとりではない。

オーディオ機器であっても、他の趣味に関するモノであって、
買取り、下取りで値が崩れないモノ、できれば高くなる可能性のあるモノを選ぶ人がいる。

20代前半のときに、はじめてそういう人に会った。
その人の口から直接聞いた。
さもあたりまえのように話していた。

年齢は彼の方がずっと上である。
それが大人の考えなのか──、とは思わなかった。
他に、こういう人がいるとも思わなかったが、その後、何人かいた。

ということはもっといるということである。

Date: 10月 27th, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その8)

38Wにおける横に二発なのか縦に二発なのかは、
部屋の長辺にスピーカーを置くのか、短辺に置くのかに共通するところもあるように感じる。

これは同じ部屋に同じスピーカーだとしても、どちらを選ぶかは鳴らす人(設置する人)次第である。
私は原則として長辺に置く。左右のスピーカーの間隔を充分にとれるほうを選ぶのは、
もちろん瀬川先生の影響も強いからだが、
低音の鳴り方もこちらのほうがいい結果が得られやすいとも感じているからだ。

横配置なのか縦配置なのかは、低音の風圧なのか音圧なのかにも関係しているような気がしている。
私が欲しいのは音圧としての低音ではなく、風圧としての低音なのかもしれない。

このふたつのバランスが、私にとっては耳で聴く低音と肌で感じる低音感とのバランスなのだろう。

そういえば岩崎先生が言われていた。
     *
本物の低音というのは、フーっという風みたいなもので、そういうものはもう音じゃないんですよね。耳で音として感じるんじゃないし、何か雰囲気で感じるというものでもない。振動にすらならないようなフーっとした、空気の動きというような低音を、そういう低音を出すユニットというのは、今なくなって来ています。
(ステレオのすべて ’77「海外スピーカーユニット紳士録」より)
     *
空気の振動としての低音(つまり音圧)ではなく、
空気の動きというような低音(つまり風圧)が、音の形としての音像につながっている。

Date: 10月 21st, 2015
Cate: ロマン

ダブルウーファーはロマンといえるのか(その7)

38Wといっても、二発のウーファーをどう配置するのかがある。
横に二発なのか、縦に二発なのか。

私にとって38Wの代名詞といえるJBLの4350Aは横に二発のシステムである。
1980年代ころまでは、ダブルウーファーといえば横に二発というイメージがあった。

それが変化してきたのは、
いわゆるヴァーチカルツイン(仮想同軸配置)と呼ばれるモノの登場によってだ。

レイオーディオのRMシリーズ、JBLのK2(38Wではないけれども)によって、
縦に二発のダブルウーファーが増えてきた。

そのころ同じダブルウーファーなら、縦と横、どちらが有利なのか、という記事をみかけたことがある。
そこにはこんなことが書いてあった。

ふたつの図があった。どちらの図もスピーカーと床との関係をあらわしたもので、
ひとつは横に二発のダブルウーファー、もうひとつは縦に二発のダブルウーファーである。

横に二発の場合、どちらのウーファーと床との距離は等しい。
一方、縦に二発の場合は、下側とウーファーと上側のウーファーとでは床との距離が違う。
そのため床からの影響を受けにくい、と説明するものだった。

その記事を書いていた人は、だから縦に二発のダブルウーファーがいい、と結論づけていた。
確かに床からの影響だけをみれば、そう捉えることはできる。

だが現実の部屋は床もあれば天井もあるし、左右の壁、前後の壁がある六面体である。
ほとんどの場合、天井と床、左右の壁、前後の壁は平行面である。
そういう空間において床だけからの反射を示して、
縦に二発のダブルウーファーが音的に有利という理屈は成り立たない。

スピーカーから見て横の壁に対してはどうなのか、となる。

どちらのウーファー配置がいいのかは、そう簡単には断言できない。
それでも横なのか縦なのか。
大まかな傾向はあるとは感じている。

私にとっての38Wは、やはり横に二発のダブルウーファーである。
38Wならではの音が得られるのは、横に二発なのではないだろうか。

だからといって横に二発の方が縦に二発よりも音が優れているというわけではない。
あくまでも私にとって38Wならではの音を聴かせてくれるのは、縦よりも横だというだけのことだ。