Date: 10月 8th, 2024
Cate: 電源

モバイルバッテリーという電源(その23)

五年前に、ホンダからLiB-AID E500 for Musicが発表された。

リチウムイオンバッテリーを搭載したポータブル電源で、
AC 100Vをオーディオ機器に供給するというモノ。

関心を持った人もけっこういたと思う。
私もそうだったけれど、三十万円近い価格に、
二百台という限定発売ということで、関心を持つだけで終ってしまった。

実際のところ、どうだったのだろうか。

同種のポータブル電源は、いまではけっこうな数が市場に出ている。
この項で取り上げているアンカーのPowerHouse 90も、
そういう製品の一つである。

アンカーからも同種の製品はいくつかある。
今日、あるところでアンカーの521 Portable Power Station (PowerHouse 256Wh)を聴いてきた。

PowerHouse 256Whとついていることからもわかるように、
PowerHouse 90の上級機だ。
といってもそれほど高価ではなく、三万円もしない。

PowerHouse 90ではパワーアンプへの供給は無理があるが、
PowerHouse 256Whならば、出力(消費電力)次第では、
パワーアンプでも使えたりする。

アクティヴ型スピーカーシステム搭載のパワーアンプは、
放熱の関係とあって、アイドリング電流をたっぷり流すモノはほぼない。
ならばPowerHouse 256Whでアクティヴ型スピーカーへの電源の供給は可能だし、
60Hzにもなる。効果は期待できる。

Date: 10月 7th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343・その2)

あの時代、JBLの4343はスターだった。
スーパースターといってもいい。

こんなことを書くと、あんなスピーカーが、という人がいる。
あの時代の空気を知らなければ、そんなことも言いたくなるだろう。

あの時代を経てきた人でも、同じことをいう人がいるのも知っている。

それはそれでいい。
そういう人たちを説得しようなんて、まったく思っていない。

映画俳優でも歌手でも、スーパースターと呼ばれていた人たちが、
すべての人からそう思われていたわけではないし、
アンチの人たちもいた。

むしろアンチがいることが、それだけ注目されていたことになるし、
アンチがまったくいないスターは、たぶんいないはず。

とにかく4343は、カッコよかった。

1976年に登場した4343は、
1974年に登場した4341の後継器である。

4343は4341よりも、ずっとカッコよかった。
もし4343が4341と同じデザインのままだったら、
あれほどの人気は獲得できなかっただろう。

そして4343には、瀬川先生の存在もあった。

Date: 10月 6th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – radio sessionを終えて(その3)

ラックスのMQ60は不調になったものの、
タンノイのユニットが生きていることは確認できた。
ネットワークも万全とはいえないまでも、使える状態にはある。

チェックで鳴らしたのはここまでで、当日。
アンプは真空管にするつもりだった。

今回の意図は、ラジオが高級品、贅沢品だったころ、
そんな時代を、少しでも味わいたい──である。

かなり贅沢な真空管ラジオの再現。
だからソースは、ストリーミングだけに絞る。

ラインナップは自然と決まってくる。
パワーアンプは、マッキントッシュのMC275、
それから今回はステレオ音源をモノーラルにするために、
コントロールアンプを使う。

ステレオをモノーラルにするだけなら簡単な加算回路を作れば、
コントロールアンプは不要となるが、
トーンコントロールも使うだろうと考えて、マランツのModel 7。

ストリーマーとD/Aコンバーターは、
メリディアンの210と218の組合せも考えはしたが、
あえてiPhone 14 ProとLotooのPAW S1。

ChordのMojoも用意して会の前に試聴もしたが、
TIDALでまだMQAが聴けるということもあって、前者を選択。

Date: 10月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – radio sessionを終えて(その2)

野口晴哉氏は、このタンノイのモノーラルのシステムを、
どういう組合せで鳴らされていたんだろうか。

高めの床の間のようになっているところには、扉がある。
ここを開けると、おそらくだが、野口晴哉氏が使われていたであろうシュアーの箱がある。
あとレコード・クリーナーもある。

シュアーのカートリッジは、この部屋だけでなく、
リスニングルームにも、何個かある。

野口晴哉氏が使われていたオーディオ機器は、大半が保管されている。
まだ全てを把握しているわけではないが、
デュアルの1219が、このタンノイがある部屋では使われたいなのでないのか。
カートリッジはシュアーで、だ。

ここに関しては自信があるが、まったくわからないのが、
アンプに関してだ。

野口晴哉氏のリスニングルームは、いくつかのオーディオ雑誌に紹介されているが、
この部屋については、私が知っている限りではない。

一枚でも写真があれば、ずいぶん助かるのだが、
今のところ手がかりはない。

先月、リスニングルームからアンプを運んできて、二回目のチェックを行った。
コントロールアンプはラックスのCL36uとマッキントッシュのC22。
パワーアンプは、ラックスのMQ60。

元々はCL35のはずなのに、
野口晴哉氏が亡くなられたあとに登場したCL36uがある。

C22とMQ60で鳴らした音は柔らかく甘く、
井上先生が言われていたように、日本での真空管アンプの音のイメージは、
ラックスのSQ38シリーズによって作られていった、
このことを証明するかのような音だった。

MQ60はSQ38シリーズのパワー部を独立させたモノ。

ただし、この時の音はMQ60が不調になり、十分ほどしか聴けなかった。

Date: 10月 4th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その30)

Qobuzのサービスが実際に始まってみないことには、
はっきりしたことは言えないのだが、
それでもひとつだけ、どうなるんだろうか、と、思っているのは、
DSD音源の扱いだ。

海外のアカウントでQobuzを使っている人によれば、
QobuzはDSDのストリーミングもダウンロードも提供していない、とのことだから、
日本でも同じ扱いになる可能性は十部ある。

でも昨年、2023年のサービス開始を発表しながら、
ほぼ一年経ってのようやくのプレオープンになってしまったのは、
DSDに対応するためだったのでないか──、
そんなふうにも受け止められなくもない。

実際、DSD音源に関しては不透明と思っていた方がいい。
なのでe-onkyoでしか入手できないDSD音源は、
早めに購入した方が、少なくとも安心だ。

ここまで書いて公開した後、
PhileWebの記事をみたら、DSD、DXD音源のダウンロードは展開するとのこと。
いま購入できるDSD音源は、そのまま移行すると思われるけど、
気になってモノは、今のうちに購入するつもり。

Date: 10月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – radio sessionを終えて(その1)

10月2日の会は、予想していた以上に楽しかった。

鳴らしたスピーカーは、タンノイのMonitor Redの15インチ口径。
このユニットが、部屋のコーナーの天井に下向けに取り付けてある。
ただし天井裏をバックキャビティとするのではなく、
天井よりも1mほどの位置にあり、そこがバックキャビティとなっている。

スピーカーの対面となる床も、その部分だけ高めの床の間のようになっている。

そして、その間には拡散用の角錐状の木がある。
コーナーに木で作られた裾広がりの急斜面がある感じともいえる。

ここに反射した音を主に聴くことになる。

このタンノイも、かなり長いこと鳴らされてなかった。
昨年だったか、最初のチェックの時には鳴らなかった。
アンプは、中国製と思われるD級アンプが接続されていたが、
これが故障しているようだった。

野口晴哉氏が、このタンノイをどんなシステムで鳴らされていたのか、
まったく手がかりがない。

中国製アンプは、野口晴哉氏が亡くなられた後に用意されたモノ。

別項でも書いているように、野口晴哉氏のシステムは、氏が亡くなられたあと、
何人かの人によって手が加えられている。

このシステムもそうで、アンプだけでなくネットワークも、
Monitor Redのモノではなく、
1980年ごろに登場したSuper Red Monitorのそれになっていた。

Date: 10月 4th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その29)

e-onkyoからのメールが、先ほど届いた。
サービス終了のメールであり、Qobuzサービス開始のメールでもある。

メールには、こうある。
     *
2024年10月16日(水)正午
e-onkyo musicでの楽曲の販売、新規会員登録、登録情報変更の停止

2024年10月23日(水)
Qobuzプレオープン
※e-onkyo musicの会員の皆様限定のお知らせとなります。グランドオープンまで、会員の皆様は優先的にお楽しみください。

2024年11月30日(土)23:59
e-onkyo musicでの、購入済み楽曲の再ダウンロード終了
     *
10月23日に、ようやくプレオープン。
本格的サービス開始は、12月1日になるのか。

とにかくQobuzが日本でも始まる。

Date: 10月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十夜(43年目の4343・その1)

瀬川先生が亡くなられたのは、1981年11月7日。
次回のaudio wednesdayは、43回目の命日の前日。

単なる偶然だとしても、43である。
どうしてもJBLの4343を鳴らしたい。

なんとか鳴らせそうな目処がたった。
アンプはまだ決まっていないが、D/Aコンバーターは決まっている。
メリディアンのUltra DACだ。

Date: 10月 2nd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade ) – 第十夜と第十一夜

11月6日のaudio wednesdayは、すでに予告しているように、
瀬川先生の命日の前日ということも含めて、
JBLの4343を鳴らす予定で進めている。

12月4日の会は、今日(10月2日)に予定していたテーマをやる。
現代音楽をBOSEの901 Series Vで聴くわけだが、それにプラスひとつ面白いことを考えている。
うまくいくかどうかはなんともいえないが、
私自身はかなり楽しみにしている。

なんとか一年続けられる。

Date: 10月 1st, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – radio session(いよいよ明日)

明日(10月2日)は、audio wednesday だが、
今回は趣旨を少し変えての会となる。
部屋もいつものところではなく手前の和室で、
この天井に取り付けられているタンノイの15インチ・同軸型ユニットを鳴らす。

なのでモノーラル再生となる。
アンプはマッキントッシュのMC275を使う。
コントロールアンプはマランツのModel 7。

今回のシステムはできるだけ小型、そしてミニマルにしたいので、
コントロールアンプなしも考えたが、ステレオ音源をモノーラルにするためもあって使うことにした。

とはいえ、今回の会は軽い感じで進めていくし、
歌を中心していく。
音源はTIDALとApple Musicと、ストリーミングのみ。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として1000円いただく。
大学生以下は無料。

Date: 10月 1st, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その28)

可能性としては低いんだろうな……、思いながらも、
TIDALやQobuzは、
Netflixやamazon、Appleのように、
オリジナルの作品を作って配信していくようになるのか。

そんなことをおもったりしている。

Date: 9月 30th, 2024
Cate: 表現する

自己表現と仏像(その13)

自尊心を満たすためだけのオーディオであるならば、
それは確かに「自己表現」といえよう。
そして、そんなオーディオは、自分のためだけのオーディオともいえる。

オーディオは音楽を聴くため、
つまりは自分のためのものであることはそうなのだが、
自分のためだけのものなのか、と問いたい。

誰かのためなのか。
これも、はっきりそうとは言えない。

自分のため、誰かのため、その狭間にあるのだろうか──、思いつつも、なぜ仏像なのかに、もう一度還ることになる。

Date: 9月 29th, 2024
Cate: デザイン

オーディオ・システムのデザインの中心(その33)

誰かのリスニングルームに入る。
たいていの場合、最初に目に留まるのはスピーカーだろう。

オーディオというシステムの主役は、やはりスピーカーである。
オーディオマニアすべてが、そう考えているわけでないことは知っている。

今も昔も、このアンプに合うスピーカーはなんですか、ということが言われている。
オーディオ雑誌の記事でも、いまもそうである。
そこにオーディオ雑誌の編集部のポリシーは感じられない。

主役はスピーカーだからこそ、
別項で「終のスピーカー」をテーマとして書いている。

主役であるスピーカーが、
ここでのテーマであるオーディオ・システムのデザインの中心か、言えば、
私はシステムのデザインの中心は、コントロールアンプと考える。

セパレートアンプならばコントロールアンプで、
プリメインアンプならば、そのプリメインアンプである。

そう考えているからこそ、ずんぐりむっくりのプロポーションのアンプは、
何を考えての、このずんぐりむっくりなのか、と問い詰めたくなる。

Date: 9月 28th, 2024
Cate: スピーカーとのつきあい

BOSE 901というスピーカーのこと(その3)

《いわばシグナル・トランスデューサーの概念に対してアコースティック・トランスデューサーの概念で作られたものなのだ。》

スイングジャーナル 1977年7月号のSJ選定新製品で、
菅野先生が901 Series IIIについて、そう書かれている。

シグナル・トランスデューサーの概念、
アコースティック・トランスデューサーの概念、
いまでは、というよりも、いまもなのだが、
世の中の大半のスピーカーシステムは、シグナル・トランスデューサーの概念によるモノであり、
アコースティック・トランスデューサーの概念によるモノは、
どれだけあるだろうか。

BOSEの901は、その型番が示すように9基のユニットからなるスピーカーシステム。
101MMは、フルレンジ型ユニットが1基のみだから、型番は101である。

901と101の共通点は使用ユニットだ。
どちらも口径11.5cmのフルレンジ型で、基本的には同じといえる。

101MMではインピーダンスは8Ω、
901のユニットは9基すべて直列接続の状態で、一般的な8Ωにするため、
個々のユニットのインピーダンスは0.9Ωとなっている。

901では9基のユニットを、前面に1基、後面に8期と、
比率的に1:8になるように配置されている。

901は間接音重視のため、間接放射型のスピーカーとして受け止めている人もけっこういる。
本当にそうだろうか。

間接放射型のスピーカーシステムは、以前から数はそれほど多くはないものの、
いくつかあったし、いまも製品としてある。

だからといって、それら間接放射型スピーカーすべてを、
アコースティック・トランスデューサーの概念によるモノとして括っていいのか。
901と同じと捉えていいのか。

ここのところが曖昧のまま、901は市場から姿を消してしまった。

Date: 9月 27th, 2024
Cate: スピーカーとのつきあい

BOSE 901というスピーカーのこと(その2)

昨日の昼に入った飲食店でも、BOSEの101MMが鳴っていた。
101MMは2010年ごろに製造中止になっている。
発売は1982年ごろだから、かなりのロングラン《ロングセラー》でもある。
BOSEの定番モデルであったわけだ。

昨日、久しぶりに耳にした101MMの音は良かった。
飲食店のスピーカーが何なのか、常に気にしているわけではない。
いい感じで鳴っているな、と感じた時は、どのスピーカーなのかを確認する程度なのだが、
昨日の音は、そんな感じだった。

たぶん店主の好きな音楽をかけているんだろう、と思ったのは、
少しBGMとしては音量が大きめだったから。

一昨日に901 Series Vを運んで、昨日101MMが鳴っていた飲食店にたまたま入った。
それだけのことだけど、早く901 Series Vの音を聴きたくなっている。

101MMの音は、どこかで耳にしているはず。
そのくらい売れていたスピーカーであり、
BOSEの名を広めたモデルでもある。

けれどBOSEのフラッグシップモデルは、901である。
なのに901がどんなスピーカーなのかは知っているけど、
聴いたことはないし、関心もない──、
なんともったいないことか、と私は思っているし、
そのおもいは少しずつ大きくなってきてもいる。