アナログディスク再生の一歩目(その6)
高二の時に手に入れたオルトフォンのMC20MKIIと、
オーディオクラフトのヘッドシェル、AS4PLの組合せは、
私にとっての本格的なアナログディスク再生の一歩目と、
いまふりかえってみても、そういえる。
とはいっても、この時、プレーヤーは国産のダイレクトドライヴの普及クラスのモノだった。
もちろん、その上、つまりグレードアップを考えてたりはしていても、
そうそう簡単に、はっきりとグレードアップというかたちとなると、
高校生のアルバイトとこづかいでどうにかできるわけではなかった。
あれこれ、次のステップは──、そんなことを毎日のように思っていた。
あの頃の、ひとつの目標はマイクロの糸ドライヴだった。
RX5000+RY5500に、トーンアームにはオーディオクラフトのAC3000MC、
この組合せが目標だった。
あくまでも目標であって、現実的には、その下のモデルあたりとなるわけだが、
それだってすぐに手が届くわけではなかった。
マイクロの糸ドライヴ型はたしかに目標であったけれど、
同時に、いつかはEMTというおもいもずっと持っていた。
930stを、いつか手に入れる。
そんなことをおもっている日々が続いていた。
そこに登場したのが、トーレンスの“Reference”だった。
ステレオサウンド 56号の瀬川先生の文章に触れた者、
その時代に読んできた者にとっては、リファレンスは衝撃だったはずだ。
私には、そうとうに大きい衝撃だったし、
別項で触れているように、瀬川先生の熊本に来られた時に、
その音をかなりの時間を聴くことができた。
うちのめされた、とは、この時のことだった。