アナログディスク再生の一歩目(その2)
オルトフォンのMC20MKIIの内部インピーダンスは3Ω、
推奨負荷抵抗値は10Ω、出力電圧は0.09mV(5cm/sec)である。
エラックのSTS455Eの出力電圧は5.5mV(5cm/sec)である。
MC型とMM型だから、出力電圧の違いはしかたないとはいえ、
MC20MKIIの出力電圧は、ここまで低い。
だからヘッドシェルもオーディオクラフトのAS4PLにした。
シェルリード線は通常両端に接点があるわけだが、
AS4PLはシェル側はハンダ付けしてあった。
接点が一箇所減る。
これだけでも出力電圧が低いMC20MKIIには有利に働くはずだし、
それにシェルリード線も太めのモノだった。
シェルリード線の長さは短い。
それでも太ければ、それだけ細いリード線よりも低抵抗である。
その差はごくわずかであっても、なんとなく精神衛生上よく感じた。
MC20MKIIとAS4PLの組合せは、当時高校二年生だった私にとって、
なんだか誇らしく感じられた。
MC20MKIIには上級機のMC30があった。
99,000円していた。
当時としては、そうとうに高価なカートリッジだったし、
それだけでなく出力電圧がMC20MKIIよりも低かった。
0.08mV(5cm/sec)という値だった。
MC20MKIIとの差は0.01mVなのだから、誤差みたいなものという見方もできたけれど、
MC30は価格もだが、使いこなしという点でも高校生が手を出してはいけないモノ、
そんな感じがしていたので、高校生だった私にとって、
MC20MKIIは最良のカートリッジであった。
それだけに、ついに本格的なオーディオマニアの仲間入りができた──、
そんなふうにもおもっていたものだった。