以前のグラフィックイコライザーの素子数は少なかった。
もちろん素子数の多いプロ用機器はあったけれど、
コンシューマー用とくらべると価格がずいぶんと違っていた。
そのころは10バンド、11バンドという素子数が標準だった。
可聴帯域は20Hzから20kHzまでの10オクターヴだから、
10バンドであれば1バンドあたり1オクターヴということになる。
いまでは1/3オクターヴが当り前の時代である。
つまりグラフィックイコライザーの精度は三倍になったと考えることができる。
精度が三倍になるということは、どういうことなのか。
使い馴れていない人にとっては、
どこから手をつけていいのかとまどうことにつながるかもしれないが、
グラフィックイコライザーの精度があがるということは、フィッティングの精度のあがることである。
そのプログラムソースが録音された現場で再生できるのであれば、
音響的なフィッティングを考慮する必要はなくなるのかもしれないが、
現実にはそういうことはないのだから、音響的なフィッティングを考える必要がある。
グラフィックイコライザーをどう捉えるかは人によって違ってくるし、
どういう状況によって使うかによっても変ってきたとしても、
オーディオマニアがグラフィックイコライザーを導入するということは、
電子的コントロールで、音響特性の補整を行う意味においてである。
適切に使えれば、多素子のグラフィックイコライザーは、よりフィットした補整カーヴをつくれる。
グラフィックイコライザーの調整を自動化することは、dbxの20/20から始まった、といえる。
いまではずいぶんと進歩しているし、精度も高くなってきている。
グラフィックイコライザーは電子的に処理する者だが、
音響特性を音響的に補整するアクセサリーも市場にはいくつも登場している。
グラフィックイコライザーや音響アクセサリーだけであく、
ケーブルやインシュレーターといったアクセサリーも、
自分の部屋によりフィットする状態をつくりあげていくためのモノ、という見方もできる。
結局のところ、自分がおかれている環境にどフィットさせるかを、
オーディオマニアは違う表現で行ってきているともいえよう。
アクセサリーやイコライザーを導入しなくとも、
スピーカーの置き位置を変えていくことも、
その部屋にフィットする位置をさがしての行為であり、
理想のリスニングルームを実現できない以上、なんらかのフィッティングの手法は必要となり、
その手法を導入し、使いこなしていくことになる。