Archive for category 「ネットワーク」

Date: 7月 17th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その12)

直列型ネットワークについての記述例は、
昔の技術書をめくっていっても、ほとんどみかけない。

一昨日、OさんのところにBeymaの12GA50を聴きに行っていた。
このことについては別項で書こうと思っているが、
Oさんは私よりも若いのに、昔のことをよく調べられている。

1960年代前半のラジオ技術が、彼の書棚にはあったりする。
その中の一冊をめくっていた。

1957年10月に、「30年来のレコード愛好家のために……」という記事がある。
瀬川先生が書かれているものだ。
     *
 本誌のレコード表に毎月健筆をふるっておられる西条卓夫氏から、氏の旧い盤友である松村夫人のために、LP装置を作るようにとのご依頼を受けたのは、また北風の残っている季節でした。お話を聴いて、私は少々ためらいました。夫人は遠く福岡にお住まいですが、その感覚の鋭さ、耳の良さには、〝盤鬼〟をもって自他ともに許す西条氏でさえ、一目おいておられるのだそうで、LPの貧弱な演奏に耐えきれず、未だに戦前のHMVの名盤を、クレデンザーで愛聴しておられるというのです。〝懐古趣味〟と笑ってはきけません。同じレコードを愛する私には、そのお気持が良く判るのでした。
 とにかく、限られた予算と、短かい期日の中で、全力を尽くしてみようと思いました。
     *
この記事のことは、ステレオサウンド 62号、63号掲載の瀬川先生の追悼記事にも出ている。

スピーカーシステムも自作である。
3ウェイのスピーカーシステムのネットワークが直列型なのである。
スロープは6dB/oct.。

この記事は、かなり以前に読んでいる。
その時は直列型ネットワークにさほど興味がなかったこともあって、
ネットワークの回路図も見ていたにも関らず、そのことを見落していた。

瀬川先生も本文には、直列型であることに触れられていない。
おそらく並列型も試されたうえでの直列型の選択なのだろう、と思っている。

松村夫人の装置のネットワークは直列型。

Date: 7月 3rd, 2018
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(モニター機の評価・その5)

déjà vuを公開していたMさんは、私よりも10ほど若かったはずだ。
一方、スピーカーのネットワークで議論(のような)をやっていた二人は、
私よりも10ほど上であるから、Mさんよりも20ほど上なわけだ。

そんな人たちに向って、掲示板上とはいえ、諌めることは難しかった、と思う。
遠慮もあっただろうし、どうしたらいいのかわからないこともあったと思う。

同様のことで、録音で揉めていた二人もいた。
こちらは互いに面識もない人たちのようで、
かなりひどいやりとりになっていった、と記憶している。

録音の、それもマイクロフォンのセッティングについては、Mさんはほとんど知らなかったはずだ。
そこでの口出しは、さらに難しかったであろう。
このやりとりはどちらも感情的になっていった。

掲示板の運営・管理は、この例だけでも大変だな、と思う。
荒れるにまかせきった掲示板なら、それはそれでいいだろうが、
個人サイトの、しかもある思い入れをもって公開されているサイトでの掲示板は、
そういうわけにはいかない。

しかも皮肉なことに、掲示板がそういう意味で多少荒れた方が人が集まってくる傾向もあるようだ。
ここでも自由と勝手が勘違いされている。

掲示板とは、見知らぬ者同士の情報交換の場でもあるはずだ。
ここにも一週間ほどの
黒田恭一氏のこと(「黒恭の感動道場」より)」で引用した黒田先生のいわんとされていることが関係してくる。

Date: 6月 27th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(モニター機の評価・その3)

掲示板のことを忘れるところだった。
audio sharingをつくる以前からオーディオの掲示板はいくつかあった。
ときどきアクセスするくらいだったが、
掲示板を自分のサイトに設けようとは最初から思っていなかった。

人がそれほど集まっていない掲示板ならそれほどではないが、
人が多く集まっている掲示板では、その管理者の苦労は想像するだけでしかなかったが、
かなり大変だったはずだ。

活発な掲示板は、急に人気が出始めるときがある。
そうなると、それまでの常連の人たち以外にも、
多くの、さまざまな人たちが書き込みをするようになる。

そのことは基本的には歓迎すべきことなのだろうが、
実情はそうとはいえない例をいくつも見てきている。

オーディオの個人サイトの掲示板は、大変なだけではないか、と私の目には映っていた。
掲示板で記憶に残っているのは、déjà vu(デジャヴ)というサイトのそれである。

Mさんという若い方がやられていた。
当時のステレオサウンドにも読者代表のような形で登場されたこともある。

詳しく調べたわけではなく、単なる印象にすぎないが、
2005年ごろが、インターネットにそれまであまり関心をもっていなかった、
やっていなかった世代が、急にやりはじめた時期にあたるような気がしている。

déjà vuの掲示板にも、そういう世代のオーディオマニアと思われる人たちが、
多く集まるようになった。

当時、オーディオ雑誌に書いていた人も数人参加していたし、
ステレオサウンドに登場したことのあるオーディオマニアの人たちもいたようだ。

déjà vuの掲示板は、賑わっていた。
けれど、長くは続かず、サイトごと閉鎖している。

Date: 6月 27th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(モニター機の評価・その2)

当時の口コミは、文字通りの口コミであり、
友人知人のあいだでなされる範囲にとどまっていた、といえる。

あるオーディオ機器をモニター試聴したオーディオマニア全員が、
モニター機に対し、肯定的な感想をもつと限らないし、
否定的な感想をもって、友人知人にそのことを伝える人だっていたはずだ。

それでも、当時の口コミは、いわば非公開ともいえる。
狭い範囲内においてのそれは、互いに相手を知っている、ということが前提となっている。

この人が、こういう評価をするということは、
私にとっては、少し修正して、おそらくこんな評価になるだろうな、
──そんなことが友人知人のあいだでの口コミでは、自然と行われていたのではないだろうか。

そこでは、誤解は生じなかったように思う。

その口コミは、ずっとそういう感じで行われてきたのが、
インターネットの普及によって、変りはじめている。

個人サイトの制作・公開が比較的に簡単になって、
オーディオの個人サイトは、いったいどれだけあるのだろうか、と、
数え切れないほどある。

私がaudio sharingを公開した2000年は、ヤフーの検索はディレクトリだった。
そこに登録されるかどうかは、サイトのアクセス数に大きく関係していた。

Googleの登場・躍進が、そこを大きく変えた。
そしてブログが普及して、より簡単に個人の情報発信が行えるようになった。
次はSNSの普及である。

日本ではmixiがまずあった。
私も一時期やっていた。

それからtwitter、facebookの普及。
これにはスマートフォンの普及も絡んでいる。

いまや電車の中からでも、それこそトイレの個室からでも、
やろうと思えば情報発信はできる。

これだけの変化によって、口コミも変っていった。
これからもさらに変っていくのかもしれない。

Date: 6月 25th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

オーディオと「ネットワーク」(モニター機の評価・その1)

メーカーがオーディオマニアにモニター機を貸し出すというサービスは、
以前から行われていた。

インターネットがない時代は、広告に、そのことが謳われていた。
モニター機を、自分のシステムで、自分の部屋で聴いてみたいオーディオマニアは、
ハガキで申し込む。
当選した人にモニター機が送られてくる。

当選したオーディオマニアは一定期間モニター機を試聴して、
その感想を書いて、メーカーに伝えるとともにモニター機を返却する。

その際、モニター機を気に入ったオーディオマニアは、
そのまま購入できる、というところもあった。

そうやって集められた感想は、ごく一部は、
その後、そのメーカーの広告に使われることもあった。
40年ほど前は、そんなことが行われていた時代だった。

オーディオはコンポーネントであるから、
クルマとは違い試乗して、かなりのことが掴めるわけではない。

クルマは一台で完結しているが、
オーディオ機器は、他の機器と組み合わされてのモノである。

評判のいいオーディオ機器を、自分の部屋で聴いてみたい、
という理由でモニターに申し込む人もいただろうし、
購入を考えていて、最終的な判断を自分のシステム、部屋で聴いて判断したくて、
申し込む人もいたはずだ。

購入する人、しない人がいても、
モニターしたオーディオマニアの周りには、何人かのオーディオマニアがたいていはいる。
モニターした人の多くは、周りのオーディオマニアに、
モニターしたオーディオ機器について語る──、いわゆる口コミである。

Date: 6月 9th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その11)

audio wednesdayでは、いわば実験をやっている。
この実験で心掛けているのは、誰もが追試できる、という点である。

アクロバティックな技術を必要とすることはやっていない。
ハンダ付けを数箇所できるくらいの技術があれば、
audio wednesdayが来られた方が、自分もやってみようと思われれば、
いくつかの注意は必要ではあるが、実験としての再現性は高い、と思っている。

今回の件も、何をやったのかは隠すことなく伝えている。
両チャンネルでハンダ付けは六箇所。
これだけやれるのであれば、追試可能である。

ただし同程度の効果が得られるかどうかは、
どれだけシステムのセッティングが、聴感上のS/N比を重視しているかにかかっている。

これにしても、特別なことは何もない。
特別高価なラックを使っているわけでもないし、
ケーブルに関しても、むしろ一般のオーディオマニアが使われているのより、
ずっと安いモノしか使っていない。

原則として喫茶茶会記にあるものを利用してのセッティングである。
何も特別なこと、高度な技術を要することはない。
ただただ細かなことの積み重ねである。

Date: 6月 8th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その10)

「Moanin’」の前に「FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO」をかけていた。
以前、JBLの2441+2397で、「FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO」のCDを鳴らしたとき、
かなりいい感じだったのに比べ、
先月と今月、SACDで、アルテックの806+811Bで鳴らすと、
ギターの音色の違いが判然としない。

これはちょっと意外なほど、うまく鳴らない。
先月、ネットワークを変えていっても、そう大きくは変化しなかった。
今回も、そうだった。

けれど、ほんのちょっとしたことをネットワークのコイルに施すことで、
この大きな不満が、ずいぶんと改善された。

6dBのネットワークのコイルだから、ウーファーに対してのみ変化が生じるわけだが、
低音が変れば中音、高音の印象が変化する(その逆もある)ように、
音色の再現性が全体に高まってくる。

コイルにどんなことをしたのかは、audio wednesdayに来られた方には伝えている。
このブログをきちんと読まれている方は、あれか、と気づかれるはずだ。

試す前から、音の変化は小さくないであろうという予測はしていた。
それがいい方向に向くのか、それとも逆なのかは、実際にやってみないとわからないことで、
今回はうまく働いてくれた。

私だけでなく、他の方も、ここでの音の変化の大きさには驚かれていた。
こううまくいくと、この状態でドライバーとホーンを、
以前のJBLの組合せにしてみたら……、と思ってしまう。

とはいっても、2441+2397を、また喫茶茶会記に持ってくるのは大変だし、
また持って帰ることを考えると、その音を聴いてもらいたい気持と、
億劫な気持とがさめぎあう。

Date: 6月 7th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その9)

昨晩(6月6日)のaudio wednesdayでは、
最初の音出しからスロープ6dBの直列型ネットワークを使った。

5月のaudio wednesdayのテーマ「ネットワークの試み」では、
6dBの並列型と直列型、両方の音を聴いてもらうために、
バラックでの実験(音出し)だった。

今回は木のベースにコイル、コンデンサー、抵抗を固定、配線し仕上げている。
前回までは喫茶茶会記常用のスピーカーケーブルが、
カナレのスターカッド構造なのを利用して、
四芯構造を利用しての、いわゆるバイワイアリング接続していた。

そのままにしたほうが、今回の変更による音の違いははっきりするわけだが、
何度も作り直すのが面倒に思えて、
もう一組、カナレの同じケーブルを購入してきて、
ウーファー、ドライバー、トゥイーター、
すべて独立したスターカッド構造のスピーカーケーブルになっている。

つまりトライワイアリングにしている。

昨晩は16時くらいから準備にとりかかっていたが、
そのうちの大半はネットワーク作りだった。
使用した部品そのものは5月に使っているものである。

数枚ディスクを鳴らしたあとに、今回のテーマであるアート・ブレイキーの「Moanin’」を鳴らす。
悪くない感じの音ではあったし、おっ、と感じるところもあったが、
どうもピアノの鳴り方が、イメージにあるものと若干違っているようにも感じた。

とはいえ前回「Moanin’」をきちんとしたシステムで聴いたのは、ずいぶん前である。
けれど、鳴らし終ってから、聴かれていた人が「ピアノの音の印象が……」とのことだった。

それで、もう数枚ディスクを鳴らした後に試すことを、すぐさまやってみた。
ものの数分で終る作業である。

もう一度「Moanin’」をかける。
もう冒頭の音からして違う。
イメージにあるピアノの音で、鳴りはじめた。

Date: 5月 19th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その8)

直列型ネットワークにおける、
トゥイーターとウーファーを結ぶ50cmほどのケーブルは、
アナログプレーヤーならば、シェルリード線にあたるような予感がある。

シェルリード線はわずか数cm。
トーンアームのパイプ内配線、出力ケーブルあわせてのトータルの長さからすれば、
ほんの僅かとはいえ、そこでの音の変化は意外にも大きい。
だから1970年代後半からは、各社からさまざまなシェルリード線が登場してきた。

直列型ネットワークでの50cmほどのケーブルが、
シェルリード線と同じくらいの音の変化を聴かせてくれるのであれば、
そうとうに楽しいことができそうである。

(その7)で1:16と書いたが、実際にはネットワークのコイル、
スピーカーユニットのボイスコイルの長さも全体に含まれるわけだから、
1:16どころか、もっと差は大きくなる。

50cmほどだから両チャンネルで1mあればいい。
実際にはスピーカーケーブルはプラスとマイナスとがあるわけだから、
市販のスピーカーケーブルをバラしてしまえば、50cmでも足りるわけだ。

市販のスピーカーケーブルではなく、配線用として売られているモノを買ってきてもいい。
例えば、ここに銀線を使ってみたい、と考えている。
単線もあれば撚り線もある。
かなり細い銀線も使ってみたいし、太めの銀線も試したい。
いくつかのケーブルを合せて使うこともできる。

常識にとらわれることなく、思いつくかぎり試してみたい。

この部分に関しては、正面からは見えないわけだから、
実際の実験は、audio wednesdayに来られた人に内緒でできる。

どういう結果、どういう反応が得られるのか、楽しみである。

Date: 5月 18th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その7)

スピーカーを一種の仕掛け(ギミック)として捉えれば、
ある種の常識から解放されていくのではないだろうか。

基本を無視しろ、とはいわない。
ただ常識は、一旦無視してもいいではないか、そう言いたいのである。

その常識もオーディオマニアすべてに共通していることなんて、ないといえばない。
オーディオについてまわっている常識なんて、
世代によっても、周りにいる人たちからの影響によっても、違ってこよう。

私にとっての常識が、私以外の人には新鮮なことだったりして、驚かれたりしたことは、
これまでに何度もある。

それだけ常識とは、ちょっとしたことで違うもの。
ならば、そんな常識から自由になるにはーー、
そんなふうに考えて、スピーカーの自作(構築)に取りかかった方がいい、と私は思う。

例えば、直列型ネットワークではウーファーとトゥイーターとを直列にする。
つまりトゥイーターのマイナス端子とウーファーのプラス端子を結線する。

これまではスピーカーケーブル(喫茶茶会記使用のカナレ製)の端材を使っていた。
長さはせいぜい50cmほど。
スピーカーケーブルの長さは8m弱。

1:16の関係だが、おそらく、この50cmのケーブルの音への影響は、
1:16程度の変化ではないはずだ。

Date: 5月 10th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その6)

瀬川先生は、ネットワークについて、こんなことを書かれている。
     *
 LCネットワークひとつとりあげてみても、こうした多くの問題が現実にたくさん待ち受けているのだ。それらをひとつひとつ正しく解決するためには、相当に高度の理論を身につけた上で、周波数特性やインピーダンス特性や位相特性や、さらに音響エネルギー特性など、多くの項目にわたる精密な測定設備をもたなくてはとうてい無理だ。測定器ばかりでなく無響室や残響室が必要で、つまたは個人の力ではとうてい無理、という結論になる。
 だからスピーカーなどアマチュアがいじるな……などと単純かつ乱暴な結論を言いたいのではない。全くその逆を私は言いたい。
 測定設備を持たないアマチュアでも、基本的な原則を一応守った上で、長い年月をかけて聴きながら、少しずつカットアンドトライしてまとめ上げたスピーカーシステムから、現実に素晴らしい音が再生されるのを、私は過去にも現在にも、多くの例で知っている。大切なことは、理論値を実現させることではなく、自分であれこれと計画を立て、実行に移し、年月をかけ模索しながら、自分独自の音の世界を築きあげること、ではないか。自分の努力で完成させたスピーカーシステム(に限らず再生装置ぜんたい)こそ、既製品では得られないかけがえのない満足感を与えてくれるのではないか。そのためにこそ、目先の一面のみの理論にとらわれたり迷わされたりせず、失敗を怖れず、まず実行してみるところにこそ、価値がある。ハイテクニックシリーズの刊行の真の意図もそこにある。……などとステレオサウンド編集部の代弁みたいになってしまったが、ともかく私の言いたかったのは、理論を一面からだけとらえる愚かさを避け、現実をしっかり踏まえた上で、自分の耳を研ぎ澄まして、自分ひとりのための良い音を目ざして、大胆にスピーカーシステムにトライしよう、ということだ。
     *
マルチウェイにすると、どうしてもネットワークが介在し、
そのことによる問題が生じてくる。

マルチウェイなどにせずに、フルレンジでやっていれば……、という意見もある。
確かにフルレンジならば、ネットワークは要らない。
要らない存在に頭を悩ます必要はない。

フルレンジにはフルレンジの良さがあり、
マルチウェイにはマルチウェイならではの世界があって、
優劣をつける必要はない、と私は考えている。

マルチウェイでも、LCネットワークではなしにマルチアンプシステムにすれば……、という声もある。
確かにマルチアンプシステムは、LCネットワークに起因する問題は、ほぼ解消する。
けれどだからといって理想のシステムかというと、必ずしもそうとは言い切れないし、
すべての人にとってそうだともいえないのが、マルチアンプである。

スピーカー(システム)は、ある種のからくり(ギミック)である。
LCネットワークは、その仕掛けのひとつであり、要ともいえよう。

Date: 5月 9th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その5)

ボリュウムは、いつもの「THE DIALOGUE」の音量よりも絞っていた。
といってもほんのわずかなのだが、それでも絞っていたのだから、
わずかとはいえ、スピーカーからの音量は厳密には下っているのに、
聴感上はむしろ少し大きく聴こえてきた。

直列型の場合、並列型とは違い、
配線上、ウーファーとトゥイーター、どちらを上にするのか下にするのか、でも、
音は違ってくる。

スピーカーの教科書的な書籍で、直列型ネットワークの回路図を載せている例でも、
ウーファーが上の例もあれば、トゥイーターが上の例もある。

何度か試して結果からいえば、ウーファーを下側にしたほうがいい。
さらに今回試した配線方法では、それまでの配線とは違ってきて、
ある一点で三本の配線を集中させるようにしている。

本来ならば従来の配線での直列型ネットワークの音を聴いた後で、
新しい配線での直列型ネットワークにすべきなのだが、
並列型ネットワークの音を聴いていて、それがひとつの比較の基準になっているともいえ、
時間も都合も考えて、やってはいない。

このへんによる音の違いは、直列型ネットワークに興味を持った人が、
実際に自身で試して、自身の耳で確認したらいいことでもある。

三本の配線を集中させた一点は、もう一箇所、別のところでも動作する。
試していないが、音は変ってくるはずだ。
これに関しては、audio wednesdayで、黙って実験してみようと思っている。

ここまで読まれた方の中には、直列型の方がいいのか、と思われるかもしれない。
確かに6dBスロープで、2ウェイという限られた枠内では、好結果が得られた。

これが3ウェイ、4ウェイ、
さらには12dBスロープとなってくるとどうなるのかは、試してないのでなんともいえない。
それに並列型だから、やれることもある。

だから決めつけはしない。
それでも、自作スピーカーで自作ネットワークで鳴らされている方は、
一度直列型ネットワークに興味をもってほしい、と思う。

Date: 5月 8th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その4)

同じコンデンサーとコイルを使って並列型から直列型へと変更する。
二年前に試したときよりも、直列型の音の印象がいい。

それに音量がわずかとはいえ増したよう聴こえる。
二年前の直列型とは、配線の仕方を変更している。
スピーカーケーブルは同じカナレのスターカッド型を使っている。

音量が増したように聴こえるのは、音のピントが以前よりも合っているからかもしれない。
二年前の音だし、アンプも二年前とは違っているし、CDプレーヤーも違う。
それでも並列型と直列型の比較をして、直列型の音を私はとる。

厳密な意味では、並列型と直列型の正しい比較試聴とはいえない面もある。
本来ならば並列型であっても直列型であっても、
微調整をしていき最適化していったうえで比較試聴であるべき、とは思っている。

とはいえ、それだけの時間をかけてやれるのは自分のシステムにおいてであって、
こういう場での実験としての音出しでは、そこまでは無理である。

なので細部の比較ではなく、素姓の比較といえる聴き方だ。

ただ最初から今回の直列型がうまく鳴ったわけではない。
試したことのない配線ということもあって、こちらの頭がすこしこんがらがった。
そのため手間どった。
そのあいだアンプの電源は落したままである。

その影響が、直列型ネットワークにした際にモロに音に出てきた。
音場があまり拡がらないのだ。
常連のHさんは不思議がって、珍しく席を移動して音を確認されていた。

私は待つしかないことがわかっていたので、アンプが目覚めてくれるのを待っていた。
それまで鳴らしていたわけだから、それほど時間は必要としない。
数分経ったころから、音は拡がりはじめた。

アンプがきちんと目覚めたな、と思えたところで、「THE DIALOGUE」を鳴らす。
黙っていたけれど、実はいつもよりほんの少しだけボリュウムは絞っていた。

Date: 5月 8th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その3)

直列型ネットワークは、2016年に数回試している。
並列型6dBスロープと直列型6dBスロープの比較も行っている。

なのでコイズミ無線の12dBスロープネットワークから、
いきなり直列型6dBスロープにしてみてもよかったし、その方が手間も省けるが、
やはり確認の意味をこめて並列型6dBスロープの音も出すことにした。

私の中にある6dBスロープのネットワークらしい音がしてくる。
この音は、ひとつの標準になりうる音だと思っている。

自作スピーカーであれば、なんらかの形でネットワークも自作しなければならない。
計算通りに作って、それでうまくいくという保証はどこにもない。

カットアンドトライをくり返しやっていくしかない。
その場合、泥沼にハマってしまわぬように、リファレンスとなるネットワークをひとつ作っておいたほうがいい。
なにも最高のモノである必要はない。

私なら、しっかり巻かれた空芯コイルとASCのコンデンサーの、
並列型6dBスロープを基準(リファレンス)とする。

ネットワークをいじっているといろいろと思いつくことが出てくるだろう。
あれをやってみたら、あれに交換してみたら、といろいろと出てくるはずだ。
試していくのは実におもしろい。

目的の音に近づいたかと思うと、遠ざかっていることもある。
判断に迷うことだってある。
そういうときに基準となるネットワークがあれば、
その音と常に比較することで、方向の修正ができよう。

6dBスロープで2ウェイなら、片チャンネルあたりコンデンサーとコイルがひとつずつで済む。
実際にはコンデンサーの容量を調整するために、
いくつかのコンデンサーを並列接続することになるが、
12dBや、それ以上の高次のスロープとは違い、部品は最低限でいいということは、
部品配置に特に頭を悩ます必要もない。

いろいろ試したあとで6dBスロープに戻ってきてしまうことだってある。
そのときでも、クロスオーバー周波数のカットアンドトライをすることになる。
基準があれば、その判断もしやすくなるし、しっかりしたものになる。

今回も並列型6dBスロープの音を聴いた後に、
直列型、それも以前試したのとは違う配線による直列型ネットワークに移って、
ひとつ確認できたことがあった。

Date: 5月 6th, 2018
Cate: 「ネットワーク」

ネットワークの試み(その2)

私がこれまで読んできたオーディオ関係の本で、
並列型と直列型ネットワークの音について記述してあったのは、ほんの数例で、
ラジオ技術での石塚峻氏、それから無線と実験の金田明彦氏くらいである。

石塚峻氏は並列型よりも直列型を評価されていたと記憶している。
金田明彦氏は、6dBスロープのネットワークにおいて、
直列型よりも並列型のほうが音質的に優っている、と書かれている。

私がこれまで試してきた並列型と直列型の比較、
それも6dBスロープにおいてのみの結果では、直列型を、いまのところとる。

今回のaudio wednesdayでは、
喫茶茶会記の標準仕様であるコイズミ無線の12dBネットワークから、
6dB並列型、それから6dB直列型へと変えていった。

とはいっても、厳密な意味での比較試聴ではない。
コイズミ無線のネットワークは、コア入りのコイルであり、
コンデンサーも私がよく使うASCのものではない。

6dBのネットワークでは、ASCのコンデンサーに空芯コイルを使っている。
この時点で、音が違ってくるわけで、
厳密な比較試聴ということでは、6dBスロープにおける並列型と直列型ということになる。

それに来られた方にも黙っていたが、
6dBスロープでは、ウーファーとドライバーのカットオフ周波数が、
コイズミ無線のネットワークとは違っている。
クロスオーバー周波数も、だから800Hzではなく、少し上の方へ移動している。

それでもコイズミ無線(12dBスロープ)から6dBスロープ並列型に変えると、
私の耳には6dBスロープのネットワークが、やはり好ましく聴こえる。