Archive for category 終のスピーカー

Date: 3月 15th, 2025
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その21)

別項で、
音は、オーディオはどこまで行っても通過点である、と書いたばかりだ。

このことは言い換えれば、ゴールはない、ということでもある。

オーディオマニアの中には、ゴールに最短距離で進んでいると豪語する人がいる。
その人はそれでいい。とやかくいうことでもない。
私とは、音、オーディオの捉え方がまるで違うのだろう。

くり返す、
音は、オーディオはどこまで行っても通過点である。
だからこそ「終のスピーカー」を求めていたのかもしれない。

Date: 1月 24th, 2025
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その13)

4月、アポジーのDuetta Signatureに、
5月、Western Electricの757Aレプリカに、
7月、メリディアンのDSP3200に、
12月、BOSEの901 Series Vに、
今年1月、JBLの4343に、
これまでこれらのスピーカーとエラック 4PI PLUS.2と組み合わせてきた。

まだまだ組み合わせてみたいスピーカーはある。
そんななかでいちばん聴いてみたいのが、JBLのParagonとの組合せである。

Paragonの両端に、4PI PLUS.2を置くことになるが、
その姿を、どう感じるだろうか。

その印象も出てくる音次第のところもある。
うまく鳴ってくれれば、いい感じじゃないか、と思うだろうから。

Paragonと4PI PLUS.2、どういう音を聴かせてくれるのか。
いまのところ想像するしかない。

Date: 1月 9th, 2025
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その12)

昨晩のaudio wednesdayで、JBLの4343の上に、
4PI PLUS.2を乗せて鳴らした。

結果はうまくいった。
うまくいくとは思っていたけれど、
出てきた音を聴いていると、4PI PLUS.2はユニークなトゥイーターだというおもいが強くなる。

このリボン型トゥイーターがまったく合わないスピーカーはあるのだろか──、
そんなことを思ってしまうし、そういうスピーカーがあれば、
ぜひ試してみたいとも思っている。

ステレオサウンド 233号のベストバイではその他のコンポーネントの扱いで、
傅 信幸氏の星一つだけである。

現行製品は、4PI PLUS.2から4PI PLUS Vになっているが、
このトゥイーターの特長は、なんら変っていないはずだ。
けれど、星一つだけなのか。

Date: 12月 22nd, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その11)

audio wednesdayで再び音を出すようになった、この一年。
地味ながらも一番活躍してくれたのは、
エラックのリボン型トゥイーターの4PI PLUS.2かもしれない。

メリディアンのUltra DACも、本当に活躍してくれた。
その活躍ぶりは、これまでのことからも容易に予想できたことだから、
意外性という点では、それほどでもなかった。

この意外性という点を加味すると、
やはり4PI PLUS.2かな、と思っている。

自分で使っているわけだから、その能力の高さはわかっているつもりでも、
この一年で試せた、いくつかのスピーカーとの組合せから鳴ってきた音は、
楽しかっただけでなく、興味深く示唆に富んでもいた。

1月のaudio wednesdayでは、JBLの4343と組み合わせる。
この結果が、どうなるのか。楽しみにしているところ。

Date: 7月 9th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その10)

今年になってから、エラックの4PI PLUS.2を、
audio wednesdayでこれまで三度鳴らしている。

4月、アポジーのDuetta Signatureに、
5月、Western Electricの757Aレプリカに、
7月、メリディアンのDSP3200に足して鳴らしている。

こうやってタイプも音も、
その他のこともかなり違うスピーカーと組み合わせても、
こちらの期待を上廻る結果を聴かせてくれる。

だから鳴らすたびに感心している。
この水平方向無指向性のリボン型トゥイーターは、
どんなスピーカーにも合うような気さえしてくる。

どんなにやってもうまく鳴らない、
つまり相性の合わないスピーカーもあるだろうが、
そういうスピーカーは、いったいどういうスピーカーになるのか。

そのことを想像するのが、また、楽しくなるほど、
このエラックのトゥイーターは、よく出来ていると思うだけでなく、
高域の拡散が、ステレオフォニックの再生には不可欠な要素であることを、
聴くたびに実感するしかない。

そして聴くたびに、ベストバイ・コンポーネントだとも思っている。

Date: 5月 15th, 2024
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その20)

終のスピーカーとは直接関係ないようなことかもしれないが、
特別なスピーカーを持たない人がいてもかまわないと思っている──、
けれど、それがオーディオ評論家となると違ってくる。

これも人によって違ってくることなのはわかっている。
それでも特別なスピーカーを持たない(持っていないであろう)オーディオ評論家の
いっていること書いていることは、私は信用できないと感じている。

信用できない──、がいいすぎならば、薄っぺらだと感じている。

Date: 5月 14th, 2024
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その19)

より完璧に近いスピーカー、最高といえるスピーカーが、
終のスピーカーとなることは絶対にない、といいきる。

その人にとって特別なスピーカーだけが、
終のスピーカーとして選ばれる(なっていく)ものなのだろう。

瀬川先生にとって特別なスピーカーは、やはりAXIOM 80だったはずだ。

Date: 4月 14th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その9)

アポジーのDuetta Signatureに、
エラックの4PI PLUS.2を追加したことの静かな昂奮はいまも残っていて、
あれこれ妄想している。

瀬川先生の砧のリスニングルームが、
FM fanに掲載されたカラー写真では、KEFのLS5/1Aの上にパイオニアのPT-R7があった。

ただ置かれていただけなのか、試されているところだったのか、
本気に導入されようとされていたのか、
そのへんのことははっきりとしないが、とにかくPT-R7がLS5/1Aの上にあった。

いまだったら、エラックだっただろうな、とおもっている。

Date: 4月 6th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その8)

いわゆる箱型のスピーカーシステムであれば、
エラックの4PI PLUS.2を置く位置は、まずエンクロージュアの天板の上となる。
けれどアポジーのDuetta Signatureの場合、そうはいかない。

板のような形状のスピーカーなだけに、スピーカーの上に置くことはできない。
なんらかのスタンドを用意して、ということになるが、
とはいっても小型スピーカー用のスタンドだと低すぎる。

できれば120cm以上の高さのスタンドが欲しいところなのだが、
すぐには用意できない。

ではどうしたのか、というと、棚の上に置いた。
スタンドがなければ、そこしか置くところがない。

高さ的にはちょうどいい感じなのだが、
左右の4PI PLUS.2の間隔は、110cmほどしか確保できなかった。

Duetta Signatureは左右にいっぱいにひろげて設置していることもあって、
Duetta Signatureのトゥイーターよりも、4PI PLUS.2はかなり内側になった。
しかもDuetta Signatureよりも100cm以上後方である。

スーパートゥイーターの置き方として、あまりこういうことはやらないと思う。
しかも左右の4PI PLUS.2の条件は多少違う。

つまり音を聴きながら設置場所を選んだのではなく、
そんなので好結果が期待できるのか──、そう疑問に思う人もいるはず。

音は鳴らしてみないことには、何もいえない。
今回、そのことをあらためて実感していた。

今回の設置場所よりも、もっといいポイントはあるだろう。
それでも今回の設置位置がもたらした効果と結果は、興味深いと受けとめている。

Date: 4月 5th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その7)

4月3日のaudio wednesdayでは、
ユッカ=ペッカ・サラステ指揮トロント交響楽団による
シベリウスのレンミンカイネン組曲をかけた。
TIDALではMQAで聴くことができる。

会途中の休憩でも、会終了後にも、
シベリウスがとてもよかった、といってくれた。
たしかに、この日のシベリウスはよかった。

ここまで鳴ってくれるのか、と思うほどによかった。
別項で書いているように、サラステによるシベリウスは、
菅野先生のリスニングルームで、ジャーマン・フィジックスを中心としたシステムで聴いている。

その時の衝撃が強かっただけに、私にとって宿題としての一枚になっているだけでなく、
こういう場でかけよう、という気にはまずならない。

CDしかない時代であれば、持参することすらしなかっただろう。
でも、いまの時代、インターネットがあれば聴くことができる。

この音ならば、けっこううまく鳴ってくれるかも──、という期待が生まれていた。

菅野先生のところでの音には、まだまだ及ばない。
それは鳴らす前からわかっていたことで、私にとって大事なのは、
同じところを目指しているかどうか、である。

アポジー単体で鳴らしていたら、おそらくかけなかっただろう。
4PI PLUS.2があったからこその選曲だった。

Date: 4月 4th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その6)

昨晩(4月3日)のaudio wednesdayでは、
アポジーのDuetta Signatureだけでなく、
エラックのリボン型トゥイーター 4PI PLUS.2をつけ加えた。

どちらもリボン型とはいえ、リボンの形状が大きく違うことによって、
放射パターンもはっきりと違う。

アポジーは、いわゆるダイボール型で前面と後面の音は極性が逆なのに対し、
エラックは水平方向の無指向性なのだから、
アポジーの後面に放射された音とエラックからの音とでは、
単純に考えれば打ち消しが、かなり生じることにもなるだろう。

実際のところ、どんなふうになっているのか。
音を聴いてみるしかない。
うまくいかなければエラックを外すだけ。

18時開場の前に、エラックを加えて鳴らしてみた。
うまくいきそうな感触だった。

しばらく鳴らしてみて、とくに違和感のようなものは感じなかったから、
そのまま鳴らすことにした。

結果は成功といえた。

Date: 2月 23rd, 2024
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その18)

これこそが自分にとっての終のスピーカーだ、といったところで、
そうやって思い込もうとしたところで、
心に近い音を求めない人には、永遠に終のスピーカーは存在しない。

終のスピーカーとは、そういう存在のはずだ。

Date: 7月 9th, 2023
Cate: 終のスピーカー

ベンディングウェーヴとアンプのこと(その2)

別項「2023年ショウ雑感」で書いているように、
ジャーマン・フィジックスのHRS130を、
カノア・オーディオの管球式プリメインアンプ、AI 1.10で鳴らした音は、
単にいい音であっただけでなく、
Troubadour 40を終のスピーカーとして認めている私にとっては、
いろいろと、改めて考えさせる「音」でもあった。

(その1)で、こんなことを書いている。
ピストニックモーションのスピーカーを定電圧駆動があり、
ベンディングウェーヴのスピーカーを定電圧駆動、
ピストニックモーションのスピーカーを定電流駆動、
ベンディングウェーヴのスピーカーを定電流駆動、
──この4つのマトリクスがある、と。

AI 1.10で鳴らしたHRS130の音を聴いただけで、
ベンディングウェーヴ型スピーカーと管球式アンプの相性はいい──、
と断言するつもりはないが、少なくとも相性の悪さは感じられなかった。

管球式アンプとひとくくりにできないこともわかったうえで書いている。
それでもジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットの振動膜は、わずか3gである。

この軽い振動膜を、ピストニックモーションではなく、
ベンディングウェーヴで動作させるのだから、パワーアンプに求められることすべてが、
まったく同じとは考えにくい。

共通することもあれば、そうでないこともあるはず。

Date: 6月 11th, 2023
Cate: 終のスピーカー, 組合せ

終の組合せ(その6)

(その5)まで書いてきて、ふと思い出したのがJBLのB460だ。
1982年に登場したB460は、その型番が示すように43cm口径のウーファー、
2245Hを搭載したサブウーファーである。

エンクロージュアはバスレフ型の横置きのスタイル。

ウーファーが取りつけられているバッフルは垂直だが、
このバッフル面は一段奥にあり、ウーファーの右側は傾斜している。
サランネットを取りつけた状態でも傾斜したスタイルで、
瀬川先生の提唱されていたエンクロージュアに似ている。

しかもB460のバスレフポートは三つ。
瀬川先生が「華麗なる4ウェイシステムの音世界」で提唱されているのも、
バスレフポートは三つである。

瀬川先生の案ではバスレフポートはフロントバッフルに縦に並んでいるのに対し、
B460ではエンクロージュアのサイドに縦に並んでいる。

このB460を思い出しながら、
こういうスタイルのエンクロージュアは、やっぱりいい感じだな、と思っているところだ。

Date: 6月 4th, 2023
Cate: 終のスピーカー, 組合せ

終の組合せ(その5)

「華麗なる4ウェイシステムの音世界」を引用しておく。
     *
 JBLのプロシリーズユニットを中心にマーク・レビンソンのアンプを使ってマルチドライブするという贅沢な組合せ。ユニット構成は片チャンネル当りウーファーに2231Aを2本、中域用にドライバー2420に2397ホーンの組合せ、トゥイーターには2405、さらに超高域にテクニクス10TH1000を加えた4ウェイ構成だ。アンプ類はマーク・レビンソンの最新製品を使って徹底的にマルチ化を図る。パワーアンプは低音用、中音用にそれぞれモノ構成のML2Lを2台ずつ使い、高音用、超高音用にステレオ構成のML3を1台ずつ使う、計6台という夢の組合せだ。ML2LはA級動作で出力25W、ML3はAB級動作で250W×2だが、実際に比較して聴いてみると、ML2Lの方が音の輪郭が明解でML3の方が少し甘いという印象がある。したがって、好みに応じてマルチ帯域分担を交換してもかまわない。この6台のパワーアンプをもっと凝って使うなら、低音用にML2Lをブリッジ接続にして計4台使い、中音用と高音用にML3を1台ずつ、超高域はLCネットワークで分割するという方法もある。8Ωの2231Aは並列接続で4Ωになり、ブリッジ接続のML2Lからは200Wのパワーが供給できる。ML2Lは実際には公称出力の倍以上の実力があり、これは事実上400Wクラスに相当するといってよい。エレクトロニック・クロスオーバーはLNC2Lを2台使い、クロスオーバーは800Hzと8kHz近辺でうまくいくはずだ。LNC2Lは2チャンネル型だが、別売のOCSモジュール組込みの3ウェイ型にすると、高域は15kHz近辺でクロスさせれば゛4ウェイマルチドライブとなる。コントロールアンプのML6は、輸入元への注文によりフォノイコライザーのゲインやインピーダンス値をEMT・TSD15カートリッジ用に調整してもらう。プレーヤーは、DD型全盛時代にあえてマイクロのRX5000/RY5500の糸ドライブを選ぶ。このプリミティブな方式により安定した音が再生できるので、ハイエンドのユーザーにも十分価値のある製品といってよい。アームはオーディオクラフトのAC3000MCで、アームパイプをEMT・TSD15用とする。取りつけるカートリッジの最適ポイントに合わせた音はすばらしい。
     *
マルチアンプ駆動による4ウェイ・システムだから、かなり大がかりなシステムであり、
このシステムの規模からすると、瀬川先生が提案されているリスニングルームとしてのスペースも、
かなり広いものだと想像されるかもしれないが、
瀬川先生が、この組合せで想定されているのは10畳ほどの空間だ。

ウーファー用のエンクロージュアは、
HIGH-TECHNIC SERIES-1と「華麗なる4ウェイシステムの音世界」とでは、基本的に同じである。

フロントバッフルが傾斜している形状の横に長いエンクロージュアである。
寸法比には気を配られている。
そのくらいで、特別なエンクロージュアとはいえない。

HIGH-TECHNIC SERIES-1、「華麗なる4ウェイシステムの音世界」の記事は、
どちらも1970年代後半であり、それから四十年以上が過ぎ、
エンクロージュアは形状も材質も仕上げも、実に多彩になってきた。

それらエンクロージュアを見慣れた目には、
瀬川先生提案のエンクロージュアは、際立った特徴はないといえる。
何の変哲もないエンクロージュアだけれども、
凝ることのみにこだわってしまい、先に進めない状況を自らつくりだすよりも、
まず、このエンクロージュアでいい。

そうなるとウーファーユニットの選定だ。