Archive for category 終のスピーカー

Date: 4月 20th, 2025
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その16)

自作スピーカーのトゥイーターを別のモノに交換したり、
既製品のスピーカーシステムにスーパートゥイーターを足さなくても、
同じ音の変化、つまり高音域が変ると、低音域の鳴り方も変ってくるを体験できる。

グラフィックイコライザーを積極的に使っている人ならば、確かにそうだ、と頷かれるだろう。

グラフィックイコライザーの使い始めの頃は、
操作している周波数あたりの音の変化に意識が集中しがちになるだろうが、
使いこなしていくうちに、そしてグラフィックイコライザーによる補整がうまくいくにつれて、
高い周波数をいじることで、低音域の鳴り方が変化していることに気がつくようになる。

Date: 4月 8th, 2025
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その15)

スーパートゥイーターを足した場合、弦楽器ではヴァイオリン、
人の声では男声ではなく女声のディスクをかけた方が、
違いがよりはっきりするように、思いがちになるが、
実際に経験があれば、決してそうではないことを知っている。

今回かけた“John Coltrane & Johnny Hartman”のMQA-CDもそうである。

はじめ、エラックの4PI PLUS.2ありで一分ほど聴いて、結線を外した音を、同じく一分ほど聴いてもらった。
短い時間だが、違いは相当にはっきりと出る。

エラックなし、Ktêmaだけでも十分よく鳴っている。
これはこれでいい音なのだが、
ジョニー・ハートマンの歌い方を見事に再現してくれたのは、エラックありである。

歌唱方法を知りたい人、学びたい人は、絶対にエラックありを選ぶはず。
そのくらい違ってくる。

違いを聴いてもらった後は、もう一度最初から聴いてもらった。

Date: 4月 7th, 2025
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その14)

ずっと以前からトゥイーターを変えたり足したりしたら、
低音域の鳴り方が変る、と言われてきている。

自作スピーカーでマルチウェイシステムに取り組んでいる人、
既成スピーカーシステムでもスーパートゥイーターをつけている人、
トゥイーターを交換したことのある人にとっては、常識でもある。

とはいってもそういう経験のない人もいる。
ない人の方が多いのかもしれない。

知識として、トゥイーターが変る、
高音域の鳴り方が変れば、低音域の鳴り方も変化することは知っていても、
だからといって体験しているわけではない。

実際、エラックの4PI PLUS.2を足すことで、
低音域の鳴り方は良くなる。

言い方を変えれば、低音域の鳴り方が良くならなければ、
そのトゥイーターの質が良くないのか、調整が悪いのかであるともいえる。

4月2日のaudio wednesdsyで、エラック無しの音も聴かせてほしい、とリクエストがあった。
どのMQA-CDでエラックのあるなしを聴いてもらうか、
よく考えていたわけではなく、かけたいMQA-CDをかけて、
その鳴り方をきいたうえて、このディスクにしようと、いわば直感的に決めた。

“John Coltrane & Johnny Hartman”にした。

Date: 3月 15th, 2025
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その21)

別項で、
音は、オーディオはどこまで行っても通過点である、と書いたばかりだ。

このことは言い換えれば、ゴールはない、ということでもある。

オーディオマニアの中には、ゴールに最短距離で進んでいると豪語する人がいる。
その人はそれでいい。とやかくいうことでもない。
私とは、音、オーディオの捉え方がまるで違うのだろう。

くり返す、
音は、オーディオはどこまで行っても通過点である。
だからこそ「終のスピーカー」を求めていたのかもしれない。

Date: 1月 24th, 2025
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その13)

4月、アポジーのDuetta Signatureに、
5月、Western Electricの757Aレプリカに、
7月、メリディアンのDSP3200に、
12月、BOSEの901 Series Vに、
今年1月、JBLの4343に、
これまでこれらのスピーカーとエラック 4PI PLUS.2と組み合わせてきた。

まだまだ組み合わせてみたいスピーカーはある。
そんななかでいちばん聴いてみたいのが、JBLのParagonとの組合せである。

Paragonの両端に、4PI PLUS.2を置くことになるが、
その姿を、どう感じるだろうか。

その印象も出てくる音次第のところもある。
うまく鳴ってくれれば、いい感じじゃないか、と思うだろうから。

Paragonと4PI PLUS.2、どういう音を聴かせてくれるのか。
いまのところ想像するしかない。

Date: 1月 9th, 2025
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その12)

昨晩のaudio wednesdayで、JBLの4343の上に、
4PI PLUS.2を乗せて鳴らした。

結果はうまくいった。
うまくいくとは思っていたけれど、
出てきた音を聴いていると、4PI PLUS.2はユニークなトゥイーターだというおもいが強くなる。

このリボン型トゥイーターがまったく合わないスピーカーはあるのだろか──、
そんなことを思ってしまうし、そういうスピーカーがあれば、
ぜひ試してみたいとも思っている。

ステレオサウンド 233号のベストバイではその他のコンポーネントの扱いで、
傅 信幸氏の星一つだけである。

現行製品は、4PI PLUS.2から4PI PLUS Vになっているが、
このトゥイーターの特長は、なんら変っていないはずだ。
けれど、星一つだけなのか。

Date: 12月 22nd, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その11)

audio wednesdayで再び音を出すようになった、この一年。
地味ながらも一番活躍してくれたのは、
エラックのリボン型トゥイーターの4PI PLUS.2かもしれない。

メリディアンのUltra DACも、本当に活躍してくれた。
その活躍ぶりは、これまでのことからも容易に予想できたことだから、
意外性という点では、それほどでもなかった。

この意外性という点を加味すると、
やはり4PI PLUS.2かな、と思っている。

自分で使っているわけだから、その能力の高さはわかっているつもりでも、
この一年で試せた、いくつかのスピーカーとの組合せから鳴ってきた音は、
楽しかっただけでなく、興味深く示唆に富んでもいた。

1月のaudio wednesdayでは、JBLの4343と組み合わせる。
この結果が、どうなるのか。楽しみにしているところ。

Date: 7月 9th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その10)

今年になってから、エラックの4PI PLUS.2を、
audio wednesdayでこれまで三度鳴らしている。

4月、アポジーのDuetta Signatureに、
5月、Western Electricの757Aレプリカに、
7月、メリディアンのDSP3200に足して鳴らしている。

こうやってタイプも音も、
その他のこともかなり違うスピーカーと組み合わせても、
こちらの期待を上廻る結果を聴かせてくれる。

だから鳴らすたびに感心している。
この水平方向無指向性のリボン型トゥイーターは、
どんなスピーカーにも合うような気さえしてくる。

どんなにやってもうまく鳴らない、
つまり相性の合わないスピーカーもあるだろうが、
そういうスピーカーは、いったいどういうスピーカーになるのか。

そのことを想像するのが、また、楽しくなるほど、
このエラックのトゥイーターは、よく出来ていると思うだけでなく、
高域の拡散が、ステレオフォニックの再生には不可欠な要素であることを、
聴くたびに実感するしかない。

そして聴くたびに、ベストバイ・コンポーネントだとも思っている。

Date: 5月 15th, 2024
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その20)

終のスピーカーとは直接関係ないようなことかもしれないが、
特別なスピーカーを持たない人がいてもかまわないと思っている──、
けれど、それがオーディオ評論家となると違ってくる。

これも人によって違ってくることなのはわかっている。
それでも特別なスピーカーを持たない(持っていないであろう)オーディオ評論家の
いっていること書いていることは、私は信用できないと感じている。

信用できない──、がいいすぎならば、薄っぺらだと感じている。

Date: 5月 14th, 2024
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その19)

より完璧に近いスピーカー、最高といえるスピーカーが、
終のスピーカーとなることは絶対にない、といいきる。

その人にとって特別なスピーカーだけが、
終のスピーカーとして選ばれる(なっていく)ものなのだろう。

瀬川先生にとって特別なスピーカーは、やはりAXIOM 80だったはずだ。

Date: 4月 14th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その9)

アポジーのDuetta Signatureに、
エラックの4PI PLUS.2を追加したことの静かな昂奮はいまも残っていて、
あれこれ妄想している。

瀬川先生の砧のリスニングルームが、
FM fanに掲載されたカラー写真では、KEFのLS5/1Aの上にパイオニアのPT-R7があった。

ただ置かれていただけなのか、試されているところだったのか、
本気に導入されようとされていたのか、
そのへんのことははっきりとしないが、とにかくPT-R7がLS5/1Aの上にあった。

いまだったら、エラックだっただろうな、とおもっている。

Date: 4月 6th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その8)

いわゆる箱型のスピーカーシステムであれば、
エラックの4PI PLUS.2を置く位置は、まずエンクロージュアの天板の上となる。
けれどアポジーのDuetta Signatureの場合、そうはいかない。

板のような形状のスピーカーなだけに、スピーカーの上に置くことはできない。
なんらかのスタンドを用意して、ということになるが、
とはいっても小型スピーカー用のスタンドだと低すぎる。

できれば120cm以上の高さのスタンドが欲しいところなのだが、
すぐには用意できない。

ではどうしたのか、というと、棚の上に置いた。
スタンドがなければ、そこしか置くところがない。

高さ的にはちょうどいい感じなのだが、
左右の4PI PLUS.2の間隔は、110cmほどしか確保できなかった。

Duetta Signatureは左右にいっぱいにひろげて設置していることもあって、
Duetta Signatureのトゥイーターよりも、4PI PLUS.2はかなり内側になった。
しかもDuetta Signatureよりも100cm以上後方である。

スーパートゥイーターの置き方として、あまりこういうことはやらないと思う。
しかも左右の4PI PLUS.2の条件は多少違う。

つまり音を聴きながら設置場所を選んだのではなく、
そんなので好結果が期待できるのか──、そう疑問に思う人もいるはず。

音は鳴らしてみないことには、何もいえない。
今回、そのことをあらためて実感していた。

今回の設置場所よりも、もっといいポイントはあるだろう。
それでも今回の設置位置がもたらした効果と結果は、興味深いと受けとめている。

Date: 4月 5th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その7)

4月3日のaudio wednesdayでは、
ユッカ=ペッカ・サラステ指揮トロント交響楽団による
シベリウスのレンミンカイネン組曲をかけた。
TIDALではMQAで聴くことができる。

会途中の休憩でも、会終了後にも、
シベリウスがとてもよかった、といってくれた。
たしかに、この日のシベリウスはよかった。

ここまで鳴ってくれるのか、と思うほどによかった。
別項で書いているように、サラステによるシベリウスは、
菅野先生のリスニングルームで、ジャーマン・フィジックスを中心としたシステムで聴いている。

その時の衝撃が強かっただけに、私にとって宿題としての一枚になっているだけでなく、
こういう場でかけよう、という気にはまずならない。

CDしかない時代であれば、持参することすらしなかっただろう。
でも、いまの時代、インターネットがあれば聴くことができる。

この音ならば、けっこううまく鳴ってくれるかも──、という期待が生まれていた。

菅野先生のところでの音には、まだまだ及ばない。
それは鳴らす前からわかっていたことで、私にとって大事なのは、
同じところを目指しているかどうか、である。

アポジー単体で鳴らしていたら、おそらくかけなかっただろう。
4PI PLUS.2があったからこその選曲だった。

Date: 4月 4th, 2024
Cate: 終のスピーカー

エラック 4PI PLUS.2のこと(その6)

昨晩(4月3日)のaudio wednesdayでは、
アポジーのDuetta Signatureだけでなく、
エラックのリボン型トゥイーター 4PI PLUS.2をつけ加えた。

どちらもリボン型とはいえ、リボンの形状が大きく違うことによって、
放射パターンもはっきりと違う。

アポジーは、いわゆるダイボール型で前面と後面の音は極性が逆なのに対し、
エラックは水平方向の無指向性なのだから、
アポジーの後面に放射された音とエラックからの音とでは、
単純に考えれば打ち消しが、かなり生じることにもなるだろう。

実際のところ、どんなふうになっているのか。
音を聴いてみるしかない。
うまくいかなければエラックを外すだけ。

18時開場の前に、エラックを加えて鳴らしてみた。
うまくいきそうな感触だった。

しばらく鳴らしてみて、とくに違和感のようなものは感じなかったから、
そのまま鳴らすことにした。

結果は成功といえた。

Date: 2月 23rd, 2024
Cate: 終のスピーカー

終のスピーカー(その18)

これこそが自分にとっての終のスピーカーだ、といったところで、
そうやって思い込もうとしたところで、
心に近い音を求めない人には、永遠に終のスピーカーは存在しない。

終のスピーカーとは、そういう存在のはずだ。