Archive for category マッスルオーディオ

Date: 5月 11th, 2020
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その18)

実際にパワーアンプの動的な出力インピーダンスの変動を測定していないし、
そういう測定器データをみたことがないけれど、
おそらくA級動作とB級動作とでは変動の仕方に違いがある、と考えられる。

そしてA級動作のほうが、変動の幅も小さいはずだ。

そして、これも推測でしかないのだが、
出力段の回路構成だけではなく、電源によっても変動の仕方は変化しているはずだ。

さらに負荷インピーダンスの急激なインピーダンス変化でも、
出力インピーダンスは変化しているのではないだろうか。

そんな推測を立てて、ステレオサウンド 64号の測定データをみると、けっこう納得がいく。
これをこじつけと捉える人もいるだろうが、
だからといって、パワーアンプの出力インピーダンスが、
信号の変化、出力段の構成と動作、電源部の設計とコンストラクション、負荷インピーダンスの変化、
これらの要素によって、動的に変動しない、とはいえないはずだ。

ケンウッドのL02Aは、64号での測定で、もっとも優れていた。
ということは、L02Aは動的な出力インピーダンスが安定している、ということなのか。

Date: 4月 28th, 2020
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その17)

半導体式パワーアンプの出力段は、
ほぼすべてといっていいくらいにSEPP(Single Ended Push-Pull)である。
いうまでもなくトランジスターならばNPN型とPNP型、
FETならばNチャンネル、Pチャンネルによるプッシュプルである。

もちろんそうでない回路を採用しているパワーアンプもないわけではないが、
ごくわずかであり、ほぼすべてSEPPといっても言い過ぎではない。

NPN型、PNP型トランジスターが、
完全に対になる特性を実現しているならばいいのだが、
現実はそうではない。

そこに出力段の動作方式が加わる。
A級動作とB級動作である。

実際は純B級といえるパワーアンプは存在しないといっていいだろう。
市販されている製品は、A級かAB級である。

どうも世の中には、AB級を勘違いしている人が少なからずいる。
オーディオ関係の出版社にもいるようで、
製品の解説で、小出力時はA級動作で、出力が増すとAB級動作に移行する──、
こんな感じのことを書いている。

小出力時がA級動作で、出力が増えるとB級動作に移行するのがAB級であるにもかかわらずだ。
こんな基本的な勘違いが、いまだ続いている、というか、昔ならばなかったことである。

そしてアンプに入力される信号は、交流である。
プラス側にもマイナス側には信号はふれるわけで、
プラスからマイナス、マイナスからプラスへとうつる際には、0Vの瞬間がある。

これら三つのことを考え合わせると、
パワーアンプの出力インピーダンスは変動していても不思議ではない、と考えられる。

Date: 4月 26th, 2020
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その16)

動的なダンピングファクター、
つまり動的な出力インピーダンスについて考えるきっかけとなったのは、
ステレオサウンド 64号での長島先生によるパワーアンプの測定である。

パワーアンプの負荷を8Ωから1Ωに瞬時に切り替えた際の電流供給能力を測定し、
グラフと実際の波形で表している。

これとは別に参考データとして、
8Ω/4Ω瞬時切替THD測定データが、九機種分載っている。
こちらはあくまでも参考データということで機種名はふせてある。

この全高調波歪で、一機種のみ圧倒的に優れた特性を示している。
これがケンウッドのL02Aである。

そして瞬時電流供給能力の波形とグラフをみても、
L02Aが瞬時の負荷抵抗の変動に対応しているのがわかる。

64号をもっている人は、L02Aと、他の機種との比較してほしい。
L02Aは、もっと物量投入型のモデル、高価なモデルよりもきわめて優秀な特性である。

このころは、L02Aは電源が大容量なのだ、と最初は考えた。
けれど、64号ではプリメインアンプだけでなくパワーアンプの測定も行なっている。

電源の容量の大きさならば、L02Aよりも上のモデルがある。
それよりもL02Aは優れている。

単に電源の容量だけでなく、配線を含めての設定がうまいのか──、
次にそう考えた。

それでもL02Aだけが、ここまで測定結果が優れている理由の説明には足りない。
他にどんなことが考えられるか。
一年ほどあれこれ考えた結果が、出力インピーダンスの変動ではないか、だった。

Date: 4月 22nd, 2020
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その15)

オーディオにおいて、静的特性の優秀さだけでなく、
動的特性の優秀さが求められるようになってきたのは、
1970年代後半ぐらいからだろうか。

広告やカタログをみても、動的特性の重要性が謳われるようになってきたし、
よく知られるところではTIM歪も、いわば動的な歪である。

ステレオサウンドでの、長島先生による測定でも、
パワーアンプの測定には、一般的にダミー抵抗を用いられるが、
それだけでなく三菱電機製作のダミースピーカーを負荷とした測定も行われている。
さらに負荷のインピーダンスを急激に変化させた状態での測定も行われていた。

動的特性が、静的特性よりも重要とはいわれながらも、
浸透しているようで浸透していないと感じることも、いまだけっこうある。

この項で書いてきているダンピングファクターは、その代表例といえる。
いまだダンピングファクターがいくつか、高い、低い、
そんなことを気にしている人が、若い人だけでなく、
私と同世代、上の世代の人のなかにはけっこういる。

よくいわれるのが、スピーカーのインピーダンスの動的な変化だ。
カタログに載っているインピーダンスカーヴは、いわば静的な値である。
実際の音楽信号が送り込まれたときのインピーダンスが、どんなふうに変化しているのかは、
いまだ誰も測定していないのではないだろうか。

少なくとも、私はこれまで見たことがない。

スピーカーのインピーダンスが、動的にはかなり変化しているのであれば、
アンプの出力インピーダンスも同じなのかもしれない。

静的な出力インピーダンスと動的な出力インピーダンスは、同じではないはず──、
そういう想像がつく。

Date: 3月 7th, 2018
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その2についての補足)

muscle audio Boot Camp(その2)」で、
直列型のネットワークは、バイワイヤリングはできない、と書いている。

約二年前は、そう考えていた。
けれど昨年、気づいた。
こうすれば、直列型ネットワークでもバイワイヤリングが可能になるのではないか、と。

同時に、直列型ネットワークの配線において重要なポイントはどこなのかも、
はっきりと見えてきた。

まだ試していない。
今日のaudio wednesdayで、実験の予定である。
バイワイヤリングにすることで、直列型ネットワークの良さが活きるのか、
それともスポイルされる方向へと変化するのか。

音は出してみないことには、わからない。

Date: 6月 18th, 2017
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その14)

アンプのカタログに載っているダンピングファクターではなく、
スピーカーユニットからみた実効ダンピングファクターには、
スピーカーに内蔵されているLCネットワークの出力インピーダンスも関係してくる。

ウーファーの場合、6dB/octスロープのネットワークでは、コイルが直列に入る。
コイルのインピーダンスは高域にいくにしたがって高くなっていく。
こういう特性をもつコイルが関係してくるし、
コイルも銅線を巻いたものだから、そこには直流抵抗も存在する。

12dBスロープだと、コイルに対し並列にコンデンサーがあり、
コンデンサーのインピーダンスは高域にいくにしたがって低くなる。
18dBスロープだと、もうひとつコイルが直列に入る。

ネットワークの次数の違いは、スロープの違いだけでなく、
出力インピーダンスについても考える必要がある。

実効ダンピングファクターには、これらの要素も含めて考えなければならない。
さらにスピーカー内部配線の具合によっても、ダンピングファクターは変化する。

よくアンプで、新型になって内部配線を見直したり、
保護回路のリレーを交換したりすることで出力インピーダンスの、これらによる上昇を抑え、
ダンピングファクターの数値を向上させた、と謳うことがある。

確かにアンプの出力端子でのダンピングファクターは向上している。
このことは、そんなわずかなことでも影響を受けるということを暗に語っている。

にも関わらず、
スピーカーシステム内部の、もっともっと影響を与える要素について触れられることは稀である。

それにアンプ単体でみても、ダンピングファクターはそう簡単に語れるものではない。

Date: 5月 14th, 2017
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その13)

その12)に、
スピーカーのインピーダンスをアンプの出力インピーダンスで割った値がダンピングファクターだから、
ダンピングファクターが高いということは、アンプの出力インピーダンスが低いということである、
と書いた。

昔のオーディオの教科書にはそう書いてあるし、
いまでも、おそらくそう説明されている、と思う。

間違っているわけではない。
ただこれだけでは不十分なのだ。

スピーカーシステムがもつ直流抵抗分が抜けた状態でのダンピングファクターであるからだ。
実は、このことはずいぶん昔からJBLのエンジニアが指摘していたことであるにも関わらず、
なぜか、ほとんどのオーディオの教科書には載っていない。

スピーカーユニットにはボイスコイルがあり、
ボイスコイルは細い線で巻かれていることもあって、
たいていの場合、ユニットの公称インピーダンスが8Ωであれば、
60から70%の値の直流抵抗(4.8Ωから5.6Ω程度)をもつわけだ。

この直流抵抗分は、スピーカーユニットから見れば、
アンプの出力インピーダンスに加算されたかっこうとなる。

公称インピーダンスが8Ω、直流抵抗が6Ωのユニットだとしよう。
アンプの出力インピーダンスが8Ωであれば、
アンプのダンピングファクターとして発表される値は1であり、
直流抵抗を含めての実効ダンピングファクターは0.57となる。

アンプの出力インピーダンスが1Ωであれば、8と1.14、2Ωでは4と1、
0.5Ωでは16と1.23、0.1Ωでは80と1.31、0.05Ωでは160と1.32……、というふうになる。

アンプの出力インピーダンスが低ければ低いほど、
カタログに載るダンピングファクターは100、200、さらには1000という値にもなるが、
そこにユニットの直流抵抗を加算して、実効ダンピングファクターを計算してみると、
大きな違いではないことになる。

しかも実際のスピーカーシステムではアンプとユニットのあいだに、
LCネットワークが介在する。

Date: 5月 23rd, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その12)

スピーカーの振動板はアンプからの信号によって振動する。
この振動によって発電もしている。

フレミングの法則からいっても、そうである。
そうやって起る電気のことを逆起電力という。

この逆起電力がスピーカーの音に影響を与えている。
そのため逆起電力をアンプ側で吸収するために、
パワーアンプの出力インピーダンスは理想をいえば0(ゼロ)でなければならない、
ダンピングファクターは高くなければならない──、
そういったことが昔からいわれている。

いまもダンピングファクターの値を気にする人が少なくないのに、驚くことがある。
数年前のインターナショナルオーディオショウの、とあるブースでオーディオマニアが、
ブースのスタッフと会話されているのが聞こえてきた。

ダンピングファクターに関する内容だった。
かなり高価なアンプを使われていること、オーディオのキャリアも長いことがわかる。
だから、この人でも、いまだにダンピングファクターの値にとらわれているのか、と驚いた次第だ。

話はさらにスピーカーの能率とダンピングファクターと関係に進んでいった。
その話の最後がどうなったのかは知らない。
私は、そのブースで見たいモノを見て、すぐに出ていったからだ。

スピーカーの逆起電力は、オーディオに興味を持ち始めたばかりのころ、ないのが理想だと思っていた。
でもスピーカーの動作原理上発生するものだから、なんとかキャンセルできる方法はないものだろうか。
そんなことを考えていたこともある。

でも逆起電力をなんらかの方法で完全にキャンセル(打ち消す)ことができたとしたら、
スピーカーの動作はどうなるのだろうか。

モーターを使った実験がある。
乾電池をつなげばモーターは回転する。
乾電池を外せばモーターはすぐに止るからといえば、しばらく廻っている。

ではモーターを瞬時に止めるにはどうすればいいか。
モーターをショートさせる。するとモーターはぴたりと止る。
つまりモーターが発生させている逆起電力によってブレーキをかけるからである。

スピーカーのインピーダンスをアンプの出力インピーダンスで割った値がダンピングファクターだから、
ダンピングファクターが高いということは、アンプの出力インピーダンスが低いということである。
ダンピングファクターが高ければ高いほど、出力インピーダンスは0に近づく。
0Ωでショートされる状態に近づくことになる。

Date: 5月 18th, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その11)

もちろん6dB直列型の音が、バイアンプの音をすべての点で超えているわけではない。
バイアンプでなければ鳴らない(鳴らしにくい)音があるのは確かだ。

それでも6dB直列型ネットワークにしたときの音は、
これはこれでいい、といえるだけの説得力が確かにあった。
だからこそ「バイアンプにしましょう」という声があがらなかった、
と私は勝手に解釈している。

バイアンプの良さは、まずウーファーとアンプが直結されることにある。
クロスオーバー周波数が低いほど、コイルの値は大きくなり、
コイルのサイズも大きくなっていく。コイルの直流抵抗もその分増えていく。

コイルは銅線を巻いたもの。
値によって変るが銅線の長さはすぐに10mをこえる。
数10mになることも珍しいことではないし、場合によっては100mほどになることだってある(空芯の場合)。

よく言われることだが、
スピーカーの入力端子まで、スピーカーケーブルにどんなに高価なケーブルを使おうと、
もしくはできるかぎりスピーカーケーブルを短くしても、
スピーカー端子の裏側には、長い長い銅線をぐるぐるに巻いたコイルが、
ウーファーであれば直列に入っている。

それでもスピーカーケーブルを交換すれば、
スピーカーケーブルを短くすれば、音は変るけれど、
バイアンプ駆動にしてコイルを省けば、音の変化はもっと大きい。

一度コイルなしのウーファーの音を聴いてしまうと、やはりバイアンプ(マルチアンプ)か、と思う。
でも6dB直列型の音を聴いていると、そうは思わなかった。

この音が出るのなら、もっともっとこまかくチューニングを施していけば……、
そう期待できる音だった。

最終的にはバイアンプに目指すことになろうとも、
この音は、この音としていつでも鳴らせるようにしておきたい。

Date: 5月 18th, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その10)

3月のaudio sharing例会で「マッスルオーディオで聴くモノーラルCD」をやった。
ここでは、マッキントッシュのMA2275の左チャンネルを低域に、右チャンネルを高域に割り当てた。
つまりバイアンプ駆動でネットワークは、アンプとユニットの間に介在していない。

ユニット構成はそのままでステレオにする場合、アンプをどうするのか。
もう一台ステレオアンプを用意して、モノーラル時と同じにバイアンプにするのか。
それともLCネットワークでいくのか。

理屈でいけば、もう一台アンプを用意してバイアンプ駆動にしたほうがいい。
それでも今回試したかったのは、
モノーラルからステレオへの移行期にオーディオをやっていたという仮定の元で、
どうステレオ化していくか、である。

LCネットワークで満足のいく結果が得られれば、それにこしたことはない。
けれどバイアンプとLCネットワークとでは経済的負担も違えば、
得られる結果も当然違う。

同じ結果が得られると考えること自体が間違っているわけで、
LCネットワークならではの良さがあますところなく発揮されれば、
どちらがいいということではなく、バイアンプもLCネットワーク、どちらもいいということになるし、
そういう結果をめざしていたからこそ、6dB直列型を試してみた。

結論をいえば、12dB並列型ネットワークの音だけを聴いていると、
やはりバイアンプにしたい、と思う。
一ヵ月前に、同じシステム(スピーカーの配置は違うが)で、その音を聴いているだけに、
よけいにそう思ってしまう。

6dB並列型にした音は、12db並列型よりもよかった。
それでも前回鳴らしたバイアンプの音を聴いていた人から「バイアンプにしましょう」という声があがった。

私もそれは同じだった。
けれどまだ6dB直列型の音が残っている。
この音を聴いてからである、バイアンプにするのかしないのかも。
実をいうと、バイアンプにするためのケーブル(フィルター内蔵)も用意していた。

このケーブルの出番はなかった。
6dB直列型の音は、そのくらいいい感じで鳴ってくれたからだ。
この音には、「バイアンプにしましょう」という声はあがらなかった。

Date: 5月 11th, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(余談)

5月のmuscle audio Boot Campで、直列型ネットワークの音を聴かれた方が、
自分のシステムを、6dB直列型ネットワークにしたい、ということになった。

その方は熱心なジャズの聴き手。
JBLのD130、LE85+2345、075というシステムである。
現在使用されているネットワークはもちろんJBL製で、N1200とN7000である。

2345はカットオフ周波数800Hzのラジアルホーンだ。
LE85のクロスオーバー周波数は500Hz以上となっている。

N1200は型番からわかるように1200Hzのクロスオーバーである。
今回、これも変更してみたい、ということである。
800Hzの6dB直列型にしたい、という要望だ。

2ウェイであるならば、今回muscle audio Boot Campで使用したネットワークで、
そのままいけるわけだが、3ウェイである。

3ウェイの6dB直列型にするという手もあるし、
D130とLE85を直列型ネットワークでまとめあげ、
この2ウェイに対して075を、コンデンサーで低域をカットするという手で追加するという案もある。

JBLの純正ネットワークとつねに比較することができるだけに、
この依頼はひじょうに楽しみである。

結果については、何ヵ月後かに書く予定だ。

Date: 5月 9th, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その9)

4月のaudio sharing例会では、まず喫茶茶会記で使用しているネットワークを使った。
12dB/oct.の800Hzのクロスオーバー周波数のものである。市販品だ。

アンプはマッキントッシュのMA2275のあとに、
First WattのコントロールアンプB1、パワーアンプSIT2に交換するなどの試聴の手順は、
(その1)に書いたとおりだ。

12dBの並列型ネットワークから6dB並列型ネットワークに変更。
このときの音の変化も大きく、
聴いていた人から「明るくなった」という声があった。

6dB直列型ネットワークは、どんな音を聴かせてくれたのか。
まず声がいい。これはみんなが感じていたことで、
5月のaudio sharing例会でも12dB並列型から6dB直列型にかえて、
声がよくなった、という感想が聴けた。

4月のaudio sharing例会では下がアルテックに上がJBLというシステム。
このシステムにも関わらず、聴いていて、ほんとうにJBLが鳴っているのか? と思っていた。

アルテックのA7やA5は、”The Voice of the Theatre System”の愛称で呼ばれる。
上がJBLなのに、これも”The Voice of the Theatre System”ではないか、とさえ思っていた。

短い時間での調整だから、下のアルテックと上のJBLがまったく違和感なく鳴ってくれるとは、
鳴らす前から考えてはいなかった。

12dB並列型から6dB並列型にネットワークをかえても、
少しは改善されてはいたが、この点に関しては気になってくる。
けれど6dB直列型では、ここが大きく変ってきた。

もちろん上はJBLだから、純正アルテックの”The Voice of the Theatre System”の音とはいわないが、
下のアルテックと上のJBLの馴染みが、いい感じで鳴ってくれるのだ。

たとえ同じブランドのユニットであっても、
ウーファーは紙の振動板でコーン型、
上はホーン型でアルミニウムの振動板で、形状はドーム型なのだから、
理屈で考えれば、ふたつのユニットがすんなりつながってくれるはずがない、といえる。

それでも時には、マルチウェイがひとつのユニットかのように鳴ることがあるのもわかっている。
6dB直列型ネットワークにすると、
ふたつのユニットのつながりが、有機的になったかのようにさえ感じられる。

音を出す前から、直列型ネットワークの良さは各ユニットのつながりにあると予想はしていた。
実際には私の予想以上のつながりの良さだった。

Date: 5月 1st, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(余談・その2)

JBL・4311のネットワークを並列型から直列型に変えるとしたら……。
スピーカーの教科書に載っているとおりにやる方法がまずある。

もうひとつウーファーだけを別に考える手もある。
4311のウーファーはネットワーク・スルーなのだから、
ネットワークを介しているスコーカーとトゥイーターを直列型にして、
ウーファーは、上ふたつのユニットと並列に接続する、というものだ。

どちらがいい結果を得られるかは、やってみないことにはわからないが、
スピーカーシステムのネットワークを考えていくのであれば、
並列型、直列型の優劣を決めてかかってしまうのではなく、
ふたつの方式を、うまく融合できるのであれば、そういう手もある、ということだ。

4ウェイのスピーカーシステムがあるとする。
このシステムのネットワークを、すべて直列型にしてしまう手もあるが、
直感的に思うのは、直列型の良さは2ウェイのときほど発揮されないような気もする。

もちろん試していないのだから、4ウェイ直列型ネットワークもいい結果を生む可能性はある。
それでも4ウェイのような大がかりなシステムとなると、
システムそのもののまとめ方も柔軟に対処していくことが求められるのではないだろうか。

例えば4ウェイのスピーカーシステムの代名詞といえば、
やはりJBLの4343である。

4343のネットワークを自分で設計するのであれば、どうしたいのか(試してみたいのか)。
4311のユニットはすべてコーン型だった。
4343は上のふたつの帯域はホーン型、下ふたつはコーン型。
振動板の材質も上ふたつはアルミ、下ふたつは紙。

こういうユニット構成だからこそミッドバスが重要なポイントであり、
コーン型ウーファーとホーン型とのあいだをとりもつ、ともいえる。

だからミッドハイとミッドバス、このふたつのユニットのネットワークを直列型とする。
ウーファーとトゥイーターは並列型ネットワーク。

つまりミッドハイ、ミッドバスをひとつのユニット(スコーカー)とみなして、
そこにウーファーとトゥイーターを並列型ネットワークで加え、レンジを拡大する。
こういうやり方も考えられる。

もうひとつ、ミッドハイとミッドバスの直列型は変えずに、
ウーファーとトゥイーターの関係を変えた上で、加える。

ウーファーとトゥイーターを直列型ネットワークでつなぐ。
ウーファーは300Hz、トゥイーターは9.5kHzをそれぞれのカットオフ周波数とする。
当然中抜けの、変則的な2ウェイである。

この中抜けを直列型ネットワークのミッドハイとミッドバスを受け持つ。
つまりミッドハイとミッドバスの直列型、
ウーファーとトゥイーターの直列型、
このふたつの2ウェイを並列にして接続する、というものだ。

Date: 4月 29th, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(余談・その1)

実際に同じ部品、同じ定数で、並列型と直列型ネットワークの音を聴き、
こうやってそのことについて書いていると、
あのスピーカーのネットワークを直列型にしたら……、となんてことを夢想している。

なにもすべてのユニット構成において直列型ネットワークが、
いい結果を得られるとは考えていない。
そのうえで、あのスピーカーだったら、どのように直列型にしていくのか。
そういった細かなことも夢想している。

たとえばJBLの4311。
このスピーカーはよく知られるように、
ネットワークの部品点数をこれ以上減らせないところまで省略している。

ウーファーはネットワーク・スルー、
スコーカーはコンデンサーだけのローカット、ハイカットは省略している。
トゥイーターもスコーカー同様、コンデンサーだけのローカット。

ネットワークの部品点数はコンデンサー二つとレベルコントロールだけである。

この4311のネットワークを並列型ではなく直列型にしたら、
どういう音がしてくるのか。

こんなことを夢想しているとけっこう楽しいものであるし、
4311は特に楽しい。

Date: 4月 26th, 2016
Cate: マッスルオーディオ

muscle audio Boot Camp(その8)

直列型ネットワークは、文字通りスピーカーユニットを直列に接続する。
つまり2ウェイのスピーカーの場合、
ウーファーとトゥイーターのどちらを上側にするのか、ということになる。

上側(アンプ出力のプラス側)にウーファー、下側にトゥイーターとするのか、
上側にトゥイーター、下側にウーファーとするのか。

もちろん、これもバイワイヤリングと同じように最終的には音を聴いた上で判断する。
でも、ここでもその音を聴くためにはまず音を出さなければ、何も始まらないわけで、
ウーファーかトゥイーターのどちらかを上にしなければならない。

何を優先するのかが問われる、ともいえる。
同時に、バイワイヤリング対応のシングルワイヤリングにおいて、
片側(プラス側)をウーファー、反対側(マイナス側)をトゥイーターといった、
たすき掛けのような接続方法をとる人、
いいかえれば何かを優先するということができない人にとっては、
直列型ネットワークは眼中にない回路となるであろう。