muscle audio Boot Camp(その17)
半導体式パワーアンプの出力段は、
ほぼすべてといっていいくらいにSEPP(Single Ended Push-Pull)である。
いうまでもなくトランジスターならばNPN型とPNP型、
FETならばNチャンネル、Pチャンネルによるプッシュプルである。
もちろんそうでない回路を採用しているパワーアンプもないわけではないが、
ごくわずかであり、ほぼすべてSEPPといっても言い過ぎではない。
NPN型、PNP型トランジスターが、
完全に対になる特性を実現しているならばいいのだが、
現実はそうではない。
そこに出力段の動作方式が加わる。
A級動作とB級動作である。
実際は純B級といえるパワーアンプは存在しないといっていいだろう。
市販されている製品は、A級かAB級である。
どうも世の中には、AB級を勘違いしている人が少なからずいる。
オーディオ関係の出版社にもいるようで、
製品の解説で、小出力時はA級動作で、出力が増すとAB級動作に移行する──、
こんな感じのことを書いている。
小出力時がA級動作で、出力が増えるとB級動作に移行するのがAB級であるにもかかわらずだ。
こんな基本的な勘違いが、いまだ続いている、というか、昔ならばなかったことである。
そしてアンプに入力される信号は、交流である。
プラス側にもマイナス側には信号はふれるわけで、
プラスからマイナス、マイナスからプラスへとうつる際には、0Vの瞬間がある。
これら三つのことを考え合わせると、
パワーアンプの出力インピーダンスは変動していても不思議ではない、と考えられる。