Archive for 2月, 2020

Date: 2月 29th, 2020
Cate: アナログディスク再生

トーンアームに関するいくつかのこと(その2)

トーンアームには片持の部品が他にもある。
アームリフターの操作レバーも片持である。

昨晩(その1)へのコメントが、facebookであった。
海外のフォーラムにあったフィデリティ・リサーチのFR64Sの使いこなしに関するものだった。

コメントをくださった方がGoogle翻訳をベースに手直ししてくれものだった。
そこにはトーンアームの構造上、
アナログディスク再生に必要ない部品はすべて取り外した、とある。

具体的にはアームレスト、アームリフターである。
同じことをやっている人が海外にもいるんだな、と思いながら読んでいた。

アームレストにしてもアームリフターにしても、
取り外してしまえるのならば外してしまったほうが、
雑共振の元を減らすという意味でもより効果的である。

片持ということではヘッドシェルの指かけもそうである。
指かけの多くは外せる。
外した音を、一度聴いてほしい。
(もちろん外した場合、針圧の再調整は必要になる。)

他にも片持のところはある。
インサイドフォースキャンセラーに関するところだ。

ここは再生上必要になるので取り外してしまえ、と乱暴なことはいわないが、
影響を与えていることは間違いない。

そしてトーンアームの後部、
つまりメインウェイトが挿し込まれているシャフトも片持である。

基本片持になっている箇所は、雑共振という視点からは疑った方がいい。

そしてトーンアームで一番の片持はなにかといえば、
メインウェイト用のシャフトではなく、
リニアトラッキングアームに存在している。

Date: 2月 28th, 2020
Cate: audio wednesday

第110回audio wednesdayのお知らせ(ピアノ録音を聴こう)

3月4日のaudio wednesdayには、
アヴァンティ・クラシックから出ているドーラ・シュワルツベルグ(ヴァイオリン)、
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)によるフランク、ドヴュッシー、シューマンのSACDを持っていく。

この録音、あるトラックに奇妙な音がまぎれこんでいる。
どんな音なのかについては、あえて書かない。

2005年に出ているが、当時、その音のことは少し話題になっている。

奇妙な音のことは黙っていて、
このディスクのことも黙ってかけるつもりでいる。

喫茶茶会記のシステムで、この奇妙な音がどんなふうに鳴るのか。
悪趣味といわれるかもしれないが、以前から鳴らしたかった一枚である。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 2月 28th, 2020
Cate: アナログディスク再生

トーンアームに関するいくつかのこと(その1)

トーンアームの新製品が、いまの時代でも、というよりも、
いまの時代だからこそ出ている、といったほうがいいのか、
とにかく新製品が日本からも海外からも登場している。

いまでは単体トーンアームは、かなり高価である。
高価になってしまう理由もわからないではないが、
それにしても……、と思うところがある。

アームレストである。
単体トーンアームであれば、アームレストがある。

プレーヤーシステムとしてのトーンアームであれば、
アームレストはキャビネットに立てられていることがほとんどだ。

けれど単体トーンアームではそうはいかないから、
片持構造のアームレストがある。

さらにアームレストにパイプを固定するためには、
なんらかの部品がそこにはついている。

このアームレストが、音質上好ましくない存在である。
必要なアームレストであるわけだが、
音楽を聞いているとき、
つまりカートリッジがレコードの音溝をトレースしているとき、
アームレストはフリーな状態(アームを固定していない)である。

片持構造のアームレストは、この時振動している。
その振動は音質に影響をもたらしている。

どのトーンアームなのかは書かないが、
ずっと以前、アームレストにいくつか細工をしたことがある。
簡単にできることだが、見た目はひどくなる。

あくまでも実験的に行ったことだが、
アームレストになんらかの対策を施せば、
アームレストがどれだけ音に影響を与えているかが、音で確認できる。

アームレストの影響をなくすには、根元からポキッと折ってしまうことだろう。
そんなことをすれば、トーンアームは固定されず、カートリッジの破損につながる。

アームレストに関しては、
あまり注意を払っていないモデルが、高価なモノでもけっこう、というか、
そうとうに多い。

ここまでの価格にするのであれば、
アームレストに対して、そうとうに注意を払うべきだ。

Date: 2月 28th, 2020
Cate: audio wednesday

第110回audio wednesdayのお知らせ(ピアノ録音を聴こう)

来週末(3月6日)から、映画「ジュディ 虹の彼方に」が公開になる。

この映画のことは、以前ちょっと書いている。
レネー・ゼルウィガーが演じてのジュディ・ガーランド役で、
劇中の歌はレネー・ゼルウィガーが歌っている。

日本では、この映画の公開にあわせて、
“JUDY AT CARNEGIE HALL”が発売になる。
しばらく廃盤になっていた。

それから輸入盤ですでに発売されていたが、
国内盤でもサウンドトラック盤が、やっと出る。

e-onkyoでは、このサウンドトラック盤がMQAで配信されている。

3月4日のaudio wednesdayのテーマは、ビアノだ。
テーマに変更はないが、会の最初には“Over The Rainbow”を鳴らしたい。

レネー・ゼルウィガーの“Over The Rainbow”もかけたい。

Date: 2月 28th, 2020
Cate: アナログディスク再生

電子制御という夢(その34)

日本のオーディオの歴史をふりかえれば、
日本のメーカーのトーンアームはSMEのコピー(モノマネ)から始まった、といえる。

ほぼ日本だけの規格ともいえるところがあるヘッドシェルのコネクターも、
まさにそうだ。
このコネクターの採用により、カートリッジの交換が容易になり、
カートリッジを、レコードに応じて、音楽に応じて、ときには気分に応じて交換する──、
そういう楽しみ方が日本のオーディオマニアではごくあたりまえのことになっていた。

もちろんずっとSMEのトーンアームのコピーのままだったわけではないが、
SMEのトーンアームが日本のメーカーに与えた影響はそうとうに大きいものであった。

だからこそ日本のオーディオメーカーに、
日本独自といえる電子制御のトーンアームを、
完成形といえるレベルまで開発を継続してほしかった。

事実、(その5)でもふれているように、
SMEのロバートソン・アイクマンは1979年のオーディオフェアに来日して、
《ソニーの電子制御アーム。これも私にとって興味をいだかずにはいられないものでした》
と、ステレオサウンドのオーディオフェアの別冊でのインタヴューで語っている。

そのソニーの電子制御トーンアームは、洗練はされていなかった。
当時、広告や記事での写真を見てもカッコイイとは感じなかった。
いま見ても、そのへんの印象は変らない。

まだまだ登場したばかりの形という感じだった。

十年。
1990年ごろまで、日本のオーディオメーカー各社が、
電子制御トーンアームに積極的に取り組んでいれば、
そのカタチも洗練されていったはずだ。

そうなっていれば、日本独自の素晴らしいトーンアームが生れていたかもしれない。

Date: 2月 27th, 2020
Cate: アナログディスク再生

電子制御という夢(その33)

CDの登場が1982年ではなく、
1987年、五年遅れで登場していたら──、と妄想することがある。

ビクターやソニー、デンオンがてがけていた電子制御トーンアームは、
かなり進歩した性能になっていたのではないだろうか。

テクニクスも電子制御トーンアームを出してきた可能性も考えられる。
ヤマハもリニアトラッキング式に積極的だったから、
電子制御トーンアームの開発に取り組んだかもしれない。

CDの登場も、アナログディスク再生技術の進歩ということを考えると、
早かった、といっていい。
それにCDの普及も勢いがあった。

もう少しゆっくり普及していっていれば、
アナログディスク再生もおもしろい技術が出ていたであろう。

その分、CDの技術も進んでいったといえるのだから、
こんなことをいってもしかたないことだし、
誰かがどうにかできたことでもないだろう。

昨年、SAECのトーンアームのWE407/23が、WE4700として復活した。
最新の加工技術によって、WE407/23各部の精度を高めている、という。

それにWE407/23が販売されていたころと、いまとでは売れる台数に大きな開きがある。
それゆえ高価になるのはわかる。

でも、実際の価格をみると、ここまで高くなってしまうのか、と驚きもある。
他社のトーンアームも、そうとうに高価なモノがあるから、WE4700だけが飛び抜けて高価ともいえない。

だからよけいに、電子制御のトーンアームが、あの時代、もう少し進歩を遂げていたら、
現代の先端技術をうまく利用して、いまの時代に高性能に復活できたのではないだろうか。

Date: 2月 26th, 2020
Cate: pure audio

オーディオと偏愛(その2)

ステレオサウンド 53号の編集後記で、Oさんが六本木のL洋菓子店のことを書かれている。
ルコントのことだ。

Oさんからルコントを教えてもらってからの私の偏愛ぶりはひどかった。
一週間は会社が休みの日以外は毎日通っていた。

Oさんの編集後記に出てくるレアチーズケーキ、
それからシャルロットポワールのフランポワーズのソース添え、
この二つは必ず注文していた。

レアチーズケーキというのが世の中にあるということは、
53号の編集後記で知っていた。
そのころ田舎暮しだった私にとって、
チーズケーキとは焼いたチーズケーキのことしか知らなくて、
レアチーズケーキ? という感じだった。

レアチーズケーキを食べたのは、東京に出てから、
それもステレオサウンドで働くようになってからだった。
ルコントのレアチーズケーキが最初ではなかった。

誰かのみやげで、赤坂のトップスのレアチーズケーキが最初だった。
これがレアチーズケーキなのか、
初めて見るケーキでもあったし、こんなに美味しいものなのか、と感激もした。

ルコントのことを教えてくれたのは、それからしばらくしてのことだった。
六本木のルコントは二階が喫茶室だった。

別項で書いている西新宿にあった珈琲屋という喫茶店には一人で行っていたけれど、
ケーキ店に一人で行くのは初めてだった。

それでもルコントのレアチーズケーキは、トップスのなんて目じゃない、
そう聞かされていたから、恥ずかしいという気持よりも、
ルコントのレアチーズケーキを食べたい、という気持のほうがずっとずっと強かった。

Date: 2月 26th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(ENESCO PLAYS BACH SONATASを聴く)

五味先生の書かれたものを読んで育った私にとって、
エネスコのバッハの無伴奏ソナタとパルティータは、もう別格の存在である。

とはいえ、エネスコのバッハのオリジナルLPは、一度だけ見たことがあるだけだ。
オリジナル盤がいまだ騒がれていなかったずっと以前のことで、それでも驚くほどの価格だった。
手が届く──、そういう値段ではなかった(いまでは数倍の値段になっているようだが……)。

マスターテープがなくなっている、ときいている。
CDはいくつか出ている。
すべては聴いていないが、いくつかは聴いた。

どれを聴いても、どうにもうまく鳴ってくれない。
エネスコの演奏まで、ダメにしてしまったような感じでしか鳴らない。

エネスコのバッハについては賛否ある。
ボロクソに貶す人もいる。
CDを聴いているだけでは、たしかにそんな評価をする人が出ても不思議ではない。

否定する人のなかには、エネスコのバッハを絶賛する人にもその矛先を向けることもある。
それもわからないわけではない。

でも五味先生の文章を読んできた私は、そんなふうに一刀両断に切り捨てることはできなかった。
機会があるごとに、ふと思い出して取り出して聴く。

そんなことを何度くり返してきたことか。
それでもエネスコの素晴らしさを、心底実感していたとはいえなかった。

オリジナル盤のLPで聴けなければならないのか。

なにかある──、
そんな予感はしている。
その予感は、僅かずつ近づいていっている気もしていた。
そう思い込もうとしていただけなのかもしれない。

今日、ほんとうにひさしぶりにエネスコのバッハを聴いた。
メリディアンの218で聴いていない。
どんな感じで鳴ってくれるのか。

大きな期待はしていなかった。
かけたのは、2000年ごろに入手したCONTINENTALのディスク番号CCD104/5の二枚組。

はじめて、エネスコの素晴らしさだけでなく、凄さを聴けた。

Date: 2月 26th, 2020
Cate: audio wednesday

第110回audio wednesdayのお知らせ(ピアノ録音を聴こう)

3月4日のaudio wednesdayには、
ポリーニとアバド/シカゴ交響楽団によるバルトークも持っていく──、
前回書いた。

ポリーニとアバドのバルトークを、3月のaudio wednesdayの最後にかけようと思っている。

最初にかけるのは、
アルゲリッチとコンドラシン/バイエルン放送交響楽団によるチャイコフスキーにするかもしれない。

アルゲリッチとコンドラシンのチャイコフスキーのピアノ協奏曲は、
これまで何度か鳴らしているが、その時は通常のCDだった。
つまり、まだ喫茶茶会記にマッキントッシュのMCD350が導入される前だった。

今回は、タワーレコード独自のSACDをもっていく。
コンドラシンによるリムスキー=コルサコフのシェエラザードとのカップリング。
どちらもずっと昔よく聴いていたことがある。

シェエラザードは、瀬川先生が、熊本のオーディオ店でかけられたことがある。
実を言うと、リムスキー=コルサコフのシェエラザードの、
コンドラシン/コンセルトヘボウ管弦楽団のこの一枚しかもっていない。

ポリーニとアバドのバルトークもそうだが、
アルゲリッチとコンドラシンのチャイコフスキーも、
以前鳴らしていた時と、喫茶茶会記の音は違っている。

だから、アルゲリッチのチャイコフスキーも、いまここで鳴らしたい、という気持が強い。

場所はいつものとおり四谷三丁目のジャズ喫茶・喫茶茶会記のスペースをお借りして行いますので、
1000円、喫茶茶会記にお支払いいただくことになります。ワンドリンク付きです。

Date: 2月 26th, 2020
Cate: 会うこと・話すこと

店で買うと云うこと

本もCDも、できるだけ店に行って買うようにしたい、と思っていても、
タワーレコード、HMVのサイトを眺めていると、
結局、インターネットを使って買った方が安くなることが多いので、
ついそちらを利用してしまう。

とはいえ新宿のタワーレコードにはときどき行くようにはしている。
渋谷のタワーレコードのほうが規模は大きいのだが、
渋谷駅からタワーレコード渋谷店までが人が多すぎるように感じてしまう。

それでつい億劫に思い、新宿を利用することが私の場合、多い。

日本のCDの売上げが世界一とかいわれている。
でもタワーレコードの渋谷店、新宿店にずっと行っている人ならばわかっているはずだ。

クラシック、ジャズの売場は、どちらも狭くなっている。
どちらの店舗も、できたころと較べると、クラシックとジャズの売場はかなり狭くなっている。

ポップス/ロックの売場も、クラシック、ジャズほどではないが狭くなっている。
かわりに広くなっているのは、J-POPとK-POPの売場である。

クラシック、ジャズ売場は人が少ない。
以前はもっと人がいたのに……、と思うほどに少なく感じる。

日本のCDの売上げが世界一といっても、
クラシック、ジャズは減ってきているのではないのか。
もしかすると店舗には行かずにインターネットで買う人の割合が増えているだけのことであって、
クラシックのCDもジャズのCDも、売場の狭さほどには縮小していないことも考えられる。

でも店舗に行くと、やっぱりいいな、と思う。
タワーレコードは若い店員が多い。

髪をいろんな色に染めている人、
ピアスをいくつつけているんだろうか、とつい数えたくなる人もいる。
そうでない人もいる。

でも、みな対応がいい。
タワーレコードでイヤな思いをしたことは記憶にない。

今日も行っていた。
2フロアー、いろいろ眺めて、数枚のCDを買った。

どちらのフロアーの店員も気持いい接客である。
タワーレコードで働くのが好きだからなのか。

私が行くのは新宿店と渋谷店ぐらいだ。
ほかの店舗がどうなのかは知らないが、
タワーレコードに行くと、また来よう、といつも思う。

Date: 2月 25th, 2020
Cate: High Resolution

MQAで聴きたいシゲティの無伴奏ソナタとパルティータ

シゲティの、バッハの無伴奏ソナタとパルティータが、
3月下旬にLPで復刻されるのを、タワーレコードのページで知った。

《VANGUARD社所蔵のオリジナル・マスターテープからの最新リマスタリング》とある。
さらにマスタリングエンジニア、マスタリングに使われた器材の表記もある。

これを見て気づくのは、一度デジタルに変換してのマスタリングである、ということだ。
これを批判する人も少なからずいるだろうが、
私はむしろ、同じマスターでMQAで配信、もしくはMQA-CDで出してくれないか、
そういうことを思ってしまう。

いまのところシゲティは、MQA-CDもないし、e-onkyoでも配信されていない。
今回のLP復刻を機に出てこないものか、とちょっぴり期待している。

Date: 2月 25th, 2020
Cate: 「オーディオ」考

「音は人なり」を、いまいちど考える(その18)

「音は人なり」

オーディオを介してスピーカーから鳴ってくる音は、
まぎれもなく、そのスピーカーを鳴らしている人の表現である。

だからといって、自己表現ということばは使いたくない。
それでも己の、なんらかの表現であることは確かである。

「無音はあらゆる華麗な音を内蔵している」

13歳で出逢った「五味オーディオ教室」に、そう書いてあった。
他にもいくつか深く心に刻まれたことばはある。
その中でも、この「無音はあらゆる華麗な音を内蔵している」は、
オーディオの最終解答のようにも感じた。

「音は人なり」に「無音はあらゆる華麗な音を内蔵している」をあてはめようではないか。
そうすると、ここでの無音とは己の表現を無にした音なのではないか。
そうおもえてくる。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: ベートーヴェン

ベートーヴェンの「第九」(その23)

その10)で書いたことを、またおもいだす。
「第九」を聴いて号泣した受刑者は、
ベートーヴェンの「第九」を待っていたのだろうか、と。

コンサート会場に足を運ぶ人、
スピーカーの前にすわっている人、
どちらも音楽が鳴ってくるのを待っている、といえる。

もっといえば芸術作品を望んでいる、といえる。

そして、どちらも客といえる。
コンサートに行くにはチケットを買う必要がある。
スピーカーの前にすわっている人も、
音楽を聴くためにはレコード(録音物)を買う必要がある。

どちらも音楽家にとって客である。

「第九」を聴いて号泣した受刑者はどうだろうか。
客ではない。

「第九」を聴いていたら、罪を犯しはしなかっただろう……、と、
その記事にはあったと記憶している。

「第九」を、だから待っていた人でもない。
知らなかったようにも思える。

コンサート会場にいる人とも、スピーカーの前にいる人とも違う。
一般社会とは隔絶された空間で、刑務官にうながされてスピーカーの前にいたはずだ。

「第九」を聴きたいとは思っていなかった人である。
音楽の聴き手としてスピーカーの前にいたわけではなかった。

そういう人の前で「第九」は鳴ったのだ。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その8)

イギリスのCHORDは、スイッチング電源に最も友意欲的・積極的なメーカーである。
CHORDのD/Aコンバーターやコントロールアンプといった、
消費電力の少ない製品に関しては、90Vから250Vまで対応している。

消費電力の大きいパワーアンプではどうかというと、各国の電源事情にあわせている。
日本の輸入元タイムロードのウェブサイトには100Vのみが記載されている。

本国のCHORDのサイトでは、D/Aコンバーター、コントロールアンプなどでは、
90v AC-250v AC auto switchingとある。

パワーアンプのところには、電源電圧に関する項目がない。
スイッチング電源の専門メーカーともいえるCHORDだから、
パワーアンプにおいては、auto switchingでは電源電圧の低い国では、
音質的に不利になることを理解しているのだろう。

ジェフ・ロゥランドも、スイッチング電源を採用している。
プリメインアンプのDaemonのリアパネルをみると、85-265 VACとある。

パワーアンプのリアパネルには、スイッチング電源であっても100Vとあったりする。

このあたり、ジェフ・ロゥランドが、
スイッチング電源と電源電圧の関係による音の変化をどう考えているのか知りたいところだ。

スイッチング電源を搭載しているオーディオ機器は何も使っていない──、
そういう人もいる。
そういう人でも、パソコンを使って再生しているのであれば、
そのパソコンに使われている電源は、メーカー製であるならばスイッチング電源である。

ノート型で、音楽再生時にはバッテリー駆動しているというのであればいいが、
AC電源を使う場合、電源電圧は高いほど有利になるのは同じだ。

Date: 2月 24th, 2020
Cate: 電源

スイッチング電源のこと(その7)

メーカーは100Vの電源電圧であっても、
十分な容量のコンデンサーを搭載している、というはずだ。

けれど、このことは240Vで使用すれば、
コンデンサーの容量にかなりの余裕がある、ということになる。

平滑後のスイッチング電源でリップルは抑えている、と、またメーカーはいうだろう。
たしかにそうだろうが、それでも音は変らない、といえるだろうか。

でも、それは整流・平滑のあとに定電圧回路を入れているから、
電源トランス、ダイオード、コンデンサーなどによって音は変らない、というのと同じことだ。

スイッチング電源では、入力される電源電圧によって音は変化しない──、
そうであってほしい、といちばん願っているのはオーディオマニアなのかもしれないが、
現実には音は変ってくる。

音が変る──、ということで喜ぶオーディオマニアも意外に多いのかもしれないが、
私は変ってほしくない、と思う側だ。

でも変る以上はなんとかする必要がある。

自分で設計し自作するのであれば、
スイッチング電源の場合、最初から100Vに限定しておくのがいい。

けれどメーカー製の場合はそうはいかない。
メリディアンの218も、平滑コンデンサーの耐圧は450Vとなっている。
100Vに限定すれば、耐圧は半分以下におとせる。

そして、その分、同サイズのコンデンサーならば容量は増える。
218(version 10)とは、このコンデンサーの交換のことである。

でも別項「218はWONDER DACをめざす」で書いているように、
部品の交換はやらないと決めている。

ならばどうするか。
電源電圧を昇圧するわけだ。