Date: 2月 26th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN
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218はWONDER DACをめざす(ENESCO PLAYS BACH SONATASを聴く)

五味先生の書かれたものを読んで育った私にとって、
エネスコのバッハの無伴奏ソナタとパルティータは、もう別格の存在である。

とはいえ、エネスコのバッハのオリジナルLPは、一度だけ見たことがあるだけだ。
オリジナル盤がいまほど騒がれていなかったずっと以前のことで、それでも驚くほどの価格だった。
手が届く──、そういう値段ではなかった(いまでは数倍の値段になっているようだが……)。

マスターテープ(アセテート盤)がなくなっている、ときいている。
CDはいくつか出ている。
すべては聴いていないが、いくつかは聴いた。

どれを聴いても、どうにもうまく鳴ってくれない。
エネスコの演奏まで、ダメにしてしまったような感じでしか鳴らない。

エネスコのバッハについては賛否ある。
ボロクソに貶す人もいる。
CDを聴いているだけでは、たしかにそんな評価をする人が出ても不思議ではない。

否定する人のなかには、エネスコのバッハを絶賛する人にもその矛先を向けることもある。
それもわからないわけではない。

でも五味先生の文章を読んできた私は、そんなふうに一刀両断に切り捨てることはできなかった。
機会があるごとに、ふと思い出して取り出して聴く。

そんなことを何度くり返してきたことか。
それでもエネスコの素晴らしさを、心底実感していたとはいえなかった。

オリジナル盤のLPで聴かなければならないのか。

なにかある──、
そんな予感はしている。
その予感は、僅かずつ近づいていっている気もしていた。
そう思い込もうとしていただけなのかもしれない。

今日、ほんとうにひさしぶりにエネスコのバッハを聴いた。
メリディアンの218で聴いていない。
どんな感じで鳴ってくれるのか。

大きな期待はしていなかった。
かけたのは、2000年ごろに入手したCONTINENTALのディスク番号CCD104/5の二枚組。

はじめて、エネスコの素晴らしさだけでなく、凄さを聴けた。

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