Archive for 1月, 2024

Date: 1月 31st, 2024
Cate: MERIDIAN

メリディアン DSP3200のこと(その3)

メリディアンのDSP3200のユニット構成に疑問を抱く人も少なからずいよう。
DSP3200と同サイズの2ウェイのスピーカーシステムは、
16cm口径前後のウーファーとドーム型(もしくはATM型)が一般的といえる。

2022年のインターナショナルオーディオショウで聴いたYGアコースティクスのCAIRNは、
まさにこの構成だし、CAIRNの音は、この種のスピーカーシステムの完成形に、
いまのところいちばん近いのでは──、そんなふうに思わせるほど、
印象に残る音を聴かせてくれた。

それまでYGアコースティクスのスピーカーシステムの音に感心はすれば、
それ以上の感想をもつことはなかったけれど、CAIRNは違っていた。
(もっともそれだけの内容(実力)にふさわしい価格でもあるが……)

このCAIRNを、小型2ウェイのスピーカーシステムのリファレンスとしたうえで、
DSP3200を捉えるならば、トゥイーターのコーン型なんて時代遅れも甚だしい、とか、
理解できないユニット構成──、そんなふうに受けとる人に、何をいったらいいだろうか。

スピーカーというのは、これまで何度も書いてきているように、からくりである。
そのからくりのおもしろさをどう受けとめ理解し、鳴らしていくのか。

スピーカーシステムは忠実な変換機を目指していくべき──、なのは、
私だって同じ考えだが、だからといって、見識が狭すぎる人が少なくない、というか、
融通がきかないのか、スピーカーをからくりと捉えていないのか。

そういう人にとって、DSP3200のコーン型トゥイーターは指向特性ひとつとっても、
その採用を認めないことだろう。

確かにスピーカーユニットの指向特性は振動板の口径で決ってしまう。
可聴帯域すべて指向特性を同じするのはなかなか大変なことだし、
8cm口径の振動板ならば、数kHzから指向特性は狭まっていく。

そんなことは指摘されまでもなく、スピーカーを設計する人ならば知っている。
それでも8cm口径のコーン型ユニットを、トゥイーター的ポジションに選択している。
そのことを理解しようとしない人がいる。

Date: 1月 30th, 2024
Cate: ディスク/ブック

Bloom

おおたか静流の名前を知り、その歌を聴いたのは、
AXIAのカセットテープのコマーシャルだった。
「花」を歌っていた。

耳に残る歌であったし、耳に残る声でもあった。
CDを買った。
そのあと、別のCDも買って聴いていたけれど、
そこで止ってしまっていた。

「花」だけは、ふと聴きたくなることは何度かあったけれど、
聴くことはしなかった。
おおたか静流に関しては、「花」のままだった。

1月17日に、おおたか静流のアルバムを聴いた。
ある人がかけたのが、おおたか静流の「Bloom」だったからだ。

礼拝堂での録音とのこと。
聴いた印象では、プロプリウスのカンターテ・ドミノを連想した。
素直な録音である。

すぐさま注文した。
タワーレコードでは注文したけれど、取寄せで3日から7日と表示されていたけれど、
注文してから十日ほどして、まだ入荷しない、キャンセルも可能ということだったので、
amazonから購入することにした。

まだ手元には届いていないが、近日中に届く。
2月7日のaudio wednesday (next decade) – 第一夜でかける。

Date: 1月 30th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その23)

ファンレスのケースにおさめられたNUCは、
何も知らなければ、パソコンには見えないし、小型のパワーアンプに見える。

外観は、ほぼヒートシンクである。
こう書けば、どのファンレスのケースなのか、詳しい人ならばすぐにわかるだろう。

NUCはミニPCと呼ばれるように、手のひらサイズで軽い。
それがアルミのヒートシンクのかたまりのようなケースにおさめられているから、
容積的には三倍ほどか、重量はずしっと感じるほどになる。

このNUCを眺めていると、
TIDALはオーディオにおけるイノヴェーションなのか──、と考える。

TIDALと書いてしまったが、私のなかではTIDAL+roonのことである。
さらにMQAも加わっての、ここでのTIDALなのだ。

Date: 1月 29th, 2024
Cate: High Resolution

TIDALという書店(その22)

これまでroonは、Mac miniにアプリケーションをインストールして使っている。
けれど、よりよい音を求めるのであれば、 
ROCK(Roon Optimized Core Kit)の導入である。

ROCKがインストールできる環境は限られている。
IntelのCPUを搭載していても、Macはできないことになっている。

けれど、最近見た情報では、Mac miniにインストールできた、とあった。
しかも私が使っているMac miniと同じ仕様のようである。

やはりできるのか、と喜んだけれど、できないケースもあるようで、
すなおにNUCを買ってきて、というのが確実である。

ただ、どの世代のNUCにするのか。
つい先日、14世代のNUCが発表になった。
最新のNUCが音がいいのであれば、迷うことはないのだが、
どうもそうではないようでもある。

8世代がいい、とか、11世代だ、とか。
調べれば調べるほど、迷うだけである。

どの世代のNUCを購入しても、ファンレスのケースに移し替えるつもりでいた。
ヤフオク!を眺めていたら、
私が予定していたファンレスケースにおさめられた8世代のNUCが出品されていた。

メモリーもSSDの容量も十分である。
待っていれば、もっといいモノが出品されるかもしれないが、
こういう買物はタイミングである。

なので落札した。
先ほど届いた。

Date: 1月 29th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第一夜・コンデンサー型スピーカーへの憧れ(その2)

いまもその傾向は残っているようだが、オーディオ店でコンデンサー型スピーカーを含む、
いわゆるプレナー型スピーカーをじっくり聴けるところは、そうそうない。

当時の熊本のオーディオ店では、聴けなかった。
けれど、コンデンサー型スピーカーへのおもいはつのる。

マーク・レヴィンソンがHQDシステムを発表したものだから、
よけいに、やはりコンデンサー型なのか──、そう思い込もうともしていた。

いつかはコンデンサー型(QUADのESL)と思っていた。
QUAD以外にも、コンデンサー型スピーカーをつくっているところはあった。

その一つがアクースタットだった。
アンプ内蔵のコンデンサー型だから、
一般的なコンデンサー型スピーカーよりも構成はシンプルになる。

このアクースタットのコンデンサー型は、もしかするとQUADよりもいいのではないか。
高校生だった私は、そんなふうに受けとっていた。

QUADのESLも聴けないのだから、アクースタットはますますそうである。
アクースタットのコンデンサー型スピーカーを聴く機会は、
ステレオサウンドで働くようになってから、ようやく訪れた。

以前、別項で書いているように、
ステレオサウンド別冊「サウンドコニサー(Sound Connoisseur)」での取材だった。

ここで黒田先生が、「これもかけてほしい」とリクエストされた一枚。
この一枚を聴いた時の衝撃は、いまでもはっきりと思い出せるほどだ。

“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”のアナログディスクだった。
当時は、まだCDは登場していなかった。

2月7日のaudio wednesday (next decade) – 第一夜での最初の曲は、
もちろん、“FRIDAY NIGHT IN SAN FRANCISCO”の一曲目だ。
SACDでかける。

Date: 1月 25th, 2024
Cate: きく

オイロダインを楽しむ会(その3)

1月20日に行ってきたオーディオ・ノートの試聴室での「オイロダインを楽しむ会」。
私が特に印象に残っているのは、音よりもオーディオ・ノートの社屋の綺麗さである。

とにかくすみずみまで掃除が行き届いている。
塵一つ落ちていない、この表現がぴったりくる。
しかも床も磨かれている。

とにかく感心した。
こういう環境で、オーディオ・ノートの製品は開発されうまれてくるのか、と。

Date: 1月 25th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第一夜・サウンドラボ 745を鳴らす

2月7日のaudio wednesday (next decade) – 第一夜のスピーカーシステムは、
サウンドラボのコンデンサー型スピーカー、745で確定である。

サウンドラボのコンデンサー型スピーカーは、1980年代後半、聴いている。
当時の輸入元は大場商事(現・太陽インターナショナル)だった。

かなり大型のコンデンサー型なのだが、能率はかなり低かった、と記憶している。
あれからほぼ四十年、かわらずサウンドラボはコンデンサー型スピーカーをつくり続けている。

少しは能率は高くなっているのか。
実をいうと、すでにサウンドラボの現行モデルは、17日に聴いている。
予想していた以上に、能率が低かった。
ここまで低かったのか──、とあらためて感じていた。

同時に、パワーアンプをどうするか。そのことも考えていた。
ステレオサウンド 229号の特集、ベストバイのパワーアンプのところをながめていても、
これで鳴らしてみたい、と思えるアンプがなかった。

仮にあったとしても、そのアンプを用意できるかといえば、まず無理だろう。
以前、別項で書いているが、2018年1月、杉並区の中央図書館の視聴覚室で、
オクタヴィア・レコードの江崎友淑氏による講演会「菅野録音の神髄」が行われた。

スピーカーシステムはB&OのBeoLab 90、
SACDプレーヤー、コントロールアンプはアキュフェーズのフラッグシップモデルが用意されていた。

これらの器材についての説明があった。
エレクトリとハーマンインターナショナルに依頼したところ、ことわられた、
もしくは有償だったら貸し出せる、ということだったそうだ。

そんなふうになってしまったのかと思った。
そんな世知辛い世の中なのだ。

何を用意できるのか。何を用意したいのか。
これが一致するとは限らない。

17日にサウンドラボの音を聴きながら、あのアンプならば──、と思い浮べていたのは、
クレルのKMA200である。A級200Wのモノーラルアンプである。

それも初期型のKMA200が用意できれば、その組合せは個人的にも聴いてみたい。
KMA200を持っている人がいる。

2月7日の第一夜は、サウンドラボの大型コンデンサー型スピーカーを、
クレルのKMA200(初期型)で鳴らす。

鳴らす場は、野口晴哉記念音楽室となりの和室である。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

野口晴哉記念音楽室の住所は、
東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2500円いただく(ワンドリンク付き)。

Date: 1月 21st, 2024
Cate: きく

オイロダインを楽しむ会(その2)

昨日、オーディオ・ノートの試聴室で行われた「オイロダインを楽しむ会」に行ってきた。
久しぶりに聴くオイロダインだった。

昨日は雨が降っていて寒かった。
そのせいだろうが、私が行った回は六人だけだった。

オイロダインの音は、なかなか聴く機会がない、と思う。
六人のうち、初めてオイロダインを聴くという人も、きっといたはずだ。

オイロダインが、どう鳴っていたのかについては書かないが、今回ひとつ気づいたことがあった。
これまで数回、オイロダインを聴く機会はあったが、
ライヴ録音を聴いたのは、今回が初めてだった。

聴いていて、五味先生の「オーディオ巡礼」を思い出していた。
     *
森氏は次にもう一枚、クナッパーツブッシュのバイロイト録音の〝パルシファル〟をかけてくれたが、もう私は陶然と聴き惚れるばかりだった。クナッパーツブッシュのワグナーは、フルトヴェングラーとともにワグネリアンには最高のものというのが定説だが、クナッパーツブッシュ最晩年の録音によるこのフィリップス盤はまことに厄介なレコードで、じつのところ拙宅でも余りうまく鳴ってくれない。空前絶後の演奏なのはわかるが、時々、マイクセッティングがわるいとしか思えぬ鳴り方をする個所がある。
 しかるに森家の〝オイロダイン〟は、実況録音盤の人の咳払いや衣ずれの音などがバッフルの手前から奥にさざ波のようにひろがり、ひめやかなそんなざわめきの彼方に〝聖餐の動機〟が湧いてくる。好むと否とに関わりなくワグナー畢生の楽劇——バイロイトの舞台が、仄暗い照明で眼前に彷彿する。
     *
クナッパーツブッシュがかけられたわけではないが、数枚のライヴ録音がかけられた。
ライヴ録音ならではのざわめきが、その盤におさめられている音楽を引き立てていたように感じられた。

このことは、小さいけれどひとつの発見のようにも感じていた。

それがたまたまだったのか、ほんとうにそうなのか。
それは自分で鳴らしてみないことには断言できないことでもあるが、
そう遠くないうちに、確かめられる日も来よう。

Date: 1月 21st, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第一夜・コンデンサー型スピーカーへの憧れ(その1)

コンデンサー型スピーカーに、いちどは憧れるものだろう。
私はそうだった。

オーディオに興味を持ち始めたころ、
コンデンサー型スピーカーといえばQUADのESLとスタックスの製品ぐらいだった。
その少しあとに、アメリカからアクースタットが登場した。

コンデンサー型スピーカーの動作原理以上に、
コンデンサー型スピーカーに惹かれたのは、その音だった。

とはいえ当時、すぐにコンデンサー型スピーカーの音を聴けたわけではない。
あくまでもオーディオ雑誌に載るコンデンサー型スピーカーの評価を読んでのものだった。

ステレオサウンド 43号で、瀬川先生はこう書かれていた。
     *
 いまのところは置き場所がないから考えないが、もしも製造中止になるというような噂をチラとでも耳にしたら、すぐにでもひと組購入するぞ、と宣言してある。部屋や置き方や組み合わせなど条件を整えて聴くときのQUAD・ESLのみずみずしい音質は実にチャーミングだ。最適位置にぴたりと坐ったが最後、眼前に展開する一種独特のクリアーな音像の魅力から抜け出すことが難しくなる。このデザインの似合う部屋が欲しい!
     *
当時読んだESL評のすべてを引用はしないが、他にもいくつもあって、
そのどれもがESLならではの魅力を伝えてくれていた。

いったいどんな音なのか。その音を想像するだけで楽しかった。
けれど、なかなか聴く機会は得られなかった。

Date: 1月 21st, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第一夜・コンデンサー型スピーカーで聴く

2月7日のaudio wednesday (next decade) – 第一夜では、
サウンドラボのコンデンサー型スピーカーを鳴らす予定だ。
まだ確定ではないため、直前になって変更(別のスピーカー)になる場合もあるが、
いまのところMajesticシリーズの645か745のどちらかだ。

野口晴哉氏のリスニングルームには、いまもスタックスのESS6Aが置いてある。
1976年に出た「世界のステレオ」に掲載された写真には、QUADのESLも写っている。
それにスタックスのヘッドフォンもある。

コンデンサー型スピーカーの音に、惹かれるものを感じておられたのだろうから、
audio wednesdayで、一度はコンデンサー型スピーカーを鳴らしてみたい、と考えていた。

意外にもその機会は早く訪れそうだ。
詳細は確定してからになるが、今回はストリーミングではなく、SACDを中心に鳴らすつもりだ。

Date: 1月 16th, 2024
Cate: MERIDIAN

メリディアン DSP3200のこと(その2)

メリディアンのDSP3200のサランネットは、
トゥイーター、ウーファーぞれぞれについていることもあって、円の形をしている。

この状態のDSP3200を、何も知らずに見れば、
小口径ウーファーとドーム型トゥイーターによる2ウェイだと思いがちである。

実際は16cm口径のウーファーと8cm口径のトゥイーターであり、
この口径からも推測できるように、どちらもコーン型ユニットとなっている。

同サイズの他のスピーカーシステムとは、この点が大きく違うところであり、
DSP3200の特徴ともいえる。

トゥイーターというよりも、小口径フルレンジにウーファーを足したかっこうである。
だから岩崎先生の文章を思い出したわけだ。

8cmのフルレンジユニットの振動板はアルミである。
といってもカチカチのアルミ振動板ではない。

メリディアンのウェブサイトをみても、クロスオーバー周波数は発表されていない。
同サイズのコーン型ウーファーとドーム型トゥイーターのスピーカーシステムでは、
数kHzあたりに設定されているが、DSP3200ではおそらくかなり低いクロスオーバー周波数のはずだ。

しかもDSP3200はアクティヴ型であり、
このユニット構成のメリットを最大限に活かしている、と私は捉えている。

Date: 1月 16th, 2024
Cate: audio wednesday, ディスク/ブック

Biko [Live At Blossom Music Centre, Cleveland](その2)

1月10日のaudio wednesdayでの一曲目は、
“Biko [Live At Blossom Music Centre, Cleveland]”。

ピーター・ガブリエルの“Biko”は、いくつかの録音がある。
三枚目のアルバムに収められているスタジオ録音、そのドイツ語版、
リミックスもある。ライヴ録音もいくつかある。

今回かけたクリーヴランドでのライヴは、1987年7月27日のものだ。

この曲をにしたのかについて詳しくは書かないが、
ガザの惨状がなければ別の曲を選んでいた。

Date: 1月 14th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 序夜を終えて(その2)

そんなふうに鳴らしてみたいスピーカーを頭のなかに挙げながら、
もうひとつ考えていたのは、瀬川先生の砧のリスニングルームの響きのことだ。

部屋のプロポーションは違うし、洋室と和室という違いもある。
私は、瀬川先生の自宅の音を聴くことは叶わなかった。
だから想像するしかないのだが、
おそらく余韻の美しさということでは共通するところがあったのではないのか。

部屋の印象としてのスペクトラムはおそらく違うのだろうが、
どちらも余韻は美しいはず、とおもっている。

1月10日は瀬川先生の誕生日でもあった。
なのでバルバラもかけた。
ヨッフムのモーツァルトのレクィエムもかけた。
モーツァルト生誕200年、1955年のライヴ録音である。

冒頭に鐘の音が入っている盤であり、これもTIDALで聴くことができる。
残念なことにMQAではないけれど。

聴いていると(鳴らしていると)、あれこれおもってしまう。
ここで、瀬川先生がお好きだったスピーカーを鳴らしてみたい。

実現するのはたいへんだし、もしかすると一つも実現できないかもしれないが、
とにかくこの空間で一年間(十二回)、鳴らしていけるのは大きな楽しみである。

Date: 1月 14th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 序夜を終えて(その1)

1月10日の序夜の場となったのは、野口整体の稽古場である。
野口晴哉氏のリスニングルームの隣にあるこの空間は、
もともとはリビングルームで洋室だった、とのこと。
いまは畳を敷いて和室となっている。

昨年、何度か訪れていたので、この稽古場(和室)の響きの良さはなんとなく感じていた。
デッドではなくライヴなのだ。

このことはいいのだけれど、部屋のプロポーションとしては横に長い。
こういうプロポーションの部屋だと、多くの人が縦長に使うことだろう。
短辺側にスピーカーを配置すると思う。

けれど私は最初から横長で使う、と決めていた。
前列の人は、かなりスピーカーと近距離になるけれど、
左右のスピーカーの間隔は拡げたい。

このことに迷いはなかったけれど、
それでも実際に鳴らしてみないことには音だけはわからない。
どうしようもない音がしてきたら、縦長に使うことも考えてはいた。

あとひとつ。
音を鳴らしてみないとなんともいえないのが、畳である。
いい畳なのは歩いた感触でわかっていた。
それでも畳だ。がっしりした木の床ほどの期待はできないようにも思っていた。

それでも実際にメリディアンのDSP3200を持ち込んで鳴らしてみると、
そんな心配は微塵も感じなかった。
横長で正解だと思ったし、畳に関してもDSP3200を設置していて、
ほんとうにいい畳だと感じていた。

中身がぎっしりとしている、といったらいいのか。
中途半端なフローリングの床よりも安定して設置できた。

そうやって鳴ってきた音は、ほんとうに響きが美しかった。
特に余韻が美しい。音が鳴りやむ、とはこういうことなのだと実感していた。

これまでもリスニングルームとして設計され建てられた、いくつかの空間で音を聴いている。
それでも、余韻が美しいと感じたことは残念なことになかった。

だから、余韻の美しさに驚いていた。
その美しい余韻によって、聴いた音楽はよけいに耳に、心にのこる。

この空間ならば──、とおもっていた。
今回はメリディアンのDSP3200だった。
できればもう一度DSP3200を鳴らしてみたい、と思っているのは、
今回ネットワーク(インターネット)関係の小さなトラブルで、
安定するのに時間を費やしていて、開場時間ぎりぎりまでかかってしまった。

そのためチューニング的なことはいっさいやっていない。
ACの極性もまったくチェックしていないから、
もう一度鳴らせる機会があるのなら、もっとよく鳴らせるからだ。

DSP32000の他にも鳴らしてみたいスピーカーが、音を聴いていると浮んでくる。
やはりジャーマン・フィジックスのスピーカーは鳴らしたい。

BBCモニター系列のスピーカーも、響きの美しさによりいっそう磨きがかかることだろう。
それにJBLの4320、4343といったスタジオモニターも、
この部屋の響き、余韻の美しさに助けられて、かなりいい感じで鳴ってくれそうだ。

Date: 1月 14th, 2024
Cate: MERIDIAN

メリディアン DSP3200のこと(その1)

三年ぶりに再開したaudio wednesdayでの音出し。
1月10日の序夜では、メリディアンのDSP3200を鳴らした。

DSP3200を聴く(鳴らす)のは、今回で二回目。
9月に一度聴いている。
この時も、自分でセッティングして、その音を聴いている。

そして今回。
部屋は大きく違っている。
造りも大きさも、ずいぶん違う。

今回のほうが広い。天井もかなり高い。
容積的に、DSP3200で大丈夫だろうか……、とちょっと心配もしていた。

DSP3200は小型の2ウェイである。
小型スピーカーといっても、
LS3/5Aの時代とはずいぶん鳴り方が進歩している面があるのはわかっているといっても、
今回の部屋は、かなり大きい。
そこに十人以上の人が入ったら──、そんなふうにいくつかのことを心配していた。

2020年まで、喫茶茶会記でやっていたころは、
菅野先生録音の「THE DIALOGUE」をかけていた。

9月に聴いた印象では、「THE DIALOGUE」はちょっと無理かな、と思っていた。
なので鳴らすことはなかったのだが、これは鳴らせるな、と考えを改めた。
そのくらいDSP3200の鳴りが違っていた。

DSP3200のユニット構成は、いわゆる小型2ウェイのモデルとはちょっと違う。
そこで思い出すのは、岩崎先生がステレオサウンド 35号に書かれていることだ。
     *
 これをフルレンジとしてまず使い、次なるステップでウーファーを追加し、最後に高音用を加えて3ウェイとして完成、という道を拓いてくれるのが何よりも大きな魅力だ。
     *
パイオニアのPM12Fについての文章である。
コーン型のスコーカーであり、いわば小口径フルレンジともいえるユニットである。