メリディアン DSP3200のこと(その3)
メリディアンのDSP3200のユニット構成に疑問を抱く人も少なからずいよう。
DSP3200と同サイズの2ウェイのスピーカーシステムは、
16cm口径前後のウーファーとドーム型(もしくはATM型)が一般的といえる。
2022年のインターナショナルオーディオショウで聴いたYGアコースティクスのCAIRNは、
まさにこの構成だし、CAIRNの音は、この種のスピーカーシステムの完成形に、
いまのところいちばん近いのでは──、そんなふうに思わせるほど、
印象に残る音を聴かせてくれた。
それまでYGアコースティクスのスピーカーシステムの音に感心はすれば、
それ以上の感想をもつことはなかったけれど、CAIRNは違っていた。
(もっともそれだけの内容(実力)にふさわしい価格でもあるが……)
このCAIRNを、小型2ウェイのスピーカーシステムのリファレンスとしたうえで、
DSP3200を捉えるならば、トゥイーターのコーン型なんて時代遅れも甚だしい、とか、
理解できないユニット構成──、そんなふうに受けとる人に、何をいったらいいだろうか。
スピーカーというのは、これまで何度も書いてきているように、からくりである。
そのからくりのおもしろさをどう受けとめ理解し、鳴らしていくのか。
スピーカーシステムは忠実な変換機を目指していくべき──、なのは、
私だって同じ考えだが、だからといって、見識が狭すぎる人が少なくない、というか、
融通がきかないのか、スピーカーをからくりと捉えていないのか。
そういう人にとって、DSP3200のコーン型トゥイーターは指向特性ひとつとっても、
その採用を認めないことだろう。
確かにスピーカーユニットの指向特性は振動板の口径で決ってしまう。
可聴帯域すべて指向特性を同じするのはなかなか大変なことだし、
8cm口径の振動板ならば、数kHzから指向特性は狭まっていく。
そんなことは指摘されまでもなく、スピーカーを設計する人ならば知っている。
それでも8cm口径のコーン型ユニットを、トゥイーター的ポジションに選択している。
そのことを理解しようとしない人がいる。