Archive for category ユニバーサルウーファー

Date: 4月 21st, 2018
Cate: ユニバーサルウーファー

SLOT-LOADED DESIGN

The Slot Loaded Open Baffle Project
ネルソン・パスの動向に注目している人ならば、知っている人もいよう。

詳しいことはリンク先のPDFを読んでいただきたい。
当然英語だ。

The Slot Loaded Open Baffle Projectの記事は、
数年前のラジオ技術に日本語訳が掲載されていた。

いま書店に並んでいるラジオ技術 5月号には、
スロットローディッド型ウーファーの製作記事が載っている。
しかも巻末には、The Slot Loaded Open Baffle Projectの日本語訳が再掲載されている。

といってもラジオ技術 5月号はまだ読んでいないので、
どういう内容なのかは知らない。

The Slot Loaded Open Baffle Projectを読めばわかるように、
このプロジェクトは、もともとESSに在籍していたネルソン・パスが、
ハイルドライバー採用のスピーカーシステムのウーファーとして取り組んでいたものだ。

結局製品化はならなかった。
ATM3として開発されていた、このスピーカーシステムが登場していれば、
ハイルドライバーの評価は大きく変っていた可能性があった、と思う。

slot loadedということでは、
エド・メイがJBL時代に手がけていたSLOT-LOADED DESIGNがある。

この方式については、別項で触れている。
ネルソン・パスとエド・メイとでは、同じslot loadedであっても、少し違う。

コーン型ウーファーの前面に、振動板と凹凸の関係にある形状のLOADING PLUGがある。
ネルソン・パスのThe Slot Loaded Open Baffle ProjectにはLOADING PLUGはない。

Date: 1月 17th, 2018
Cate: ユニバーサルウーファー

電子制御の夢(ウーファーの場合・その1)

MFB(Motional Feedback)なしにカッティングできないくらいに、
アナログディスクをつくるうえでは不可欠の技術である。

再生側においては、MFBはおもにスピーカーに使われる。
フィリップスの小型スピーカー、RH541、RH545のウーファーにはMFBがかけられていたし、
ドイツのBackes & Müller(B&M)は全帯域にかけている。
それからインフィニティのIRSのウーファータワーもそうだ。

日本では、無線と実験やラジオ技術では、
私がオーディオに興味をもちはじめる前の時代、
かなりMFBの記事が載っていた、ときいている。

スピーカーの場合のMFBは、
振動系の運動に比例した信号を、駆動するアンプの入力にフィードバックすることで、
振動系の制御を積極的に行う技術である。

MFBを適切にかけることで、スピーカーの特性を改善できるわけだが、
それだけに振動系の動きをどう検出するか、
振動系の速度なのか、振幅なのか、加速度なのかも重要となる。

以前はMFBをかけることを前提として、ボイスコイルをふたつもつユニットもあった。
ひとつは通常のボイスコイルで、追加されたボイスコイルは検出用である。
この方式だと、ボイスコイルの振幅速度に比例した電圧が得られる。

けれど、これでは振動系の制御とはいえない。
振動系の駆動部分の制御といえよう。

振動系の動きをどう正確に検出するか。
MFBという技術があると知った時に、あれこれ考えた。
考えれば考えるほど、いかに難しい、ということになる。

そんなこともあって、MFBそのものに関心をもたなくなった。

Date: 10月 31st, 2012
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(続×六・低音再生とは)

空気中の音速は、秒速約340m。
人間の感覚からすると秒速340mは非常に速いわけだが、
スピーカーシステムを構成する、いくつもの材質の内部音速からすると、
空気中の音速は遅い方に属してしまう。

たいていのスピーカーシステムはエンクロージュアをもつ。
フロントバッフルにウーファーがとりつけられている。
ウーファーはコーン型だから前面だけでなく背面からも音を出している。
つまりエンクロージュア内に向けて音を出しているわけだ。

コーン型ウーファーの背面から放射された音がエンクロージュアのリアバッフルに反射して、
フロントバッフルに戻ってくる。
エンクロージュアの奥行きの深いプロポーションと浅いプロポーションとでは、
リアバッフルに反射して戻ってくる時間に差があり、
内容積が同じエンクロージュアであっても音に違いが生れる。

深いエンクロージュアの音の傾向を好む人もいれば、
浅いエンクロージュアの音の傾向を好む人もいる。

──こんなふうなことが昔からいわれてきている。
リアバッフルからの音は、たしかにフロントバッフルに戻ってくる。
けれど、この音はウーファーの背面から放射された音が戻ってくるよりも早く、
別の音がリアバッフルで生じて戻ってきている。

この現象については、ダイヤトーンがDS1000を開発したときに見つけ、
DS10000の記事がステレオサウンド 77号に掲載されたときにダイヤトーンの技術者が語っている。
     *
これまでの理論だと、ユニットの後面から出た音が裏板にはねかえって、ユニットに戻ってくることになっていて、我々もその説を信じて、実証することもなくすませていたんです。それがDS1000の開発過程で測定してみますと、ウーファーから音が出てから、その音が反射して戻ってくる時間がエンクロージュアの片道分しかない。つまりユニットの音が反射して戻ってくるのではなくて、ユニットから音が出る瞬間に裏板からすでに音が出ていることがわかりました。フレームとサイドパネルを通じて、振動が伝播して裏板が鳴っていたんです。
     *
スピーカーユニットのフレームの金属やエンクロージュアの材質である木の内部音速よりも、
空気中の音速が遅いために、こういうことがスピーカーの内部では起っている。
ということは当然スピーカーの外側でも同じ現象が起っているわけである。

Date: 8月 11th, 2012
Cate: トーラス, ユニバーサルウーファー

同軸型はトーラスなのか(空気砲のこと)

年に一度か二度、あてもなくインターネットであれこれ検索してみてはリンク先をクリックしてみる。
特になにか目的があっての行動ではなくて、
テレビのチャンネルを、おもしろい番組はやっていないのかとあれこれ変えていくのと似ている。

そうっていて今日見つけたのが、空気砲だった。
空気砲がどういうものかについては、米村でんじろう氏のサイトに載っている。
動画も検索すれば、すぐに見つかる。

ダンボール箱があれば誰でもすぐに実験できる。
原理は簡単なものであり、スピーカー(サブウーファー)への応用も可能だろう。

ダンボール箱の前面に開けられた丸い穴から空気の弾が飛び出す、とある。
しかも興味深いのは、その空気の弾の形状について、である。

空気の輪が回転しながら飛んでいく、とある。
つまり、この空気の輪はドーナツ状のはず。

空気砲はダンボール箱の側面を叩くことで内部の空気を穴から放出する。
この穴の空気の出入りはバスレフダクトとおそらく同じだろうから、
中心部の空気の流れと周辺部の空気の流れは逆方向のはず。
だからこそ空気の輪(トーラス)ができる、と考えられる。

空気砲はダンボール箱の側面を手で叩く──、
これをきちんとしたエンクロージュアにして両側面にスピーカーユニットをとりつける。
スピーカーユニットが手の代りになる。
スピーカーユニットの後部はなにかでふさぐ必要があるだろう。

はたしてサブウーファーとして、空気砲の原理がうまく動作するのかは試してみないことにはわからない。
でも、もしうまくいけば、おもしろい結果が得られそうな予感もある。

Date: 7月 24th, 2012
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(続×五・低音再生とは)

20Hzの低音は1秒間に20回の振幅をくりかえす、
20kHzの高音は1秒間に20000回の振幅をくりかえす。

つまり20Hzに対して20kHzは1000倍の振幅回数であり、その1波長に必要な時間は1/20000秒であり、
20Hzの1波長に必要な時間は1/20秒である、ということだ。

つまり波長が長いということは、
その1波長がスピーカーから出てくるまでにそれだけの時間がかかるということでもある。
20Hzの低音の1波長がスピーカーから放射される時間(1/20秒)あれば、
20kHzの音は、じつに1000波長放射できる。

つまり低音は高音に比べて、遅い。
もちろん音速は、どんな周波数においても同じであるのはいうまでもない。
だからこそ、低音は高音よりも遅い、ということになるわけだ。

20Hzと20kHzの比較は、それほどプログラムソースに含まれているわけでもないし、
20kHzの音といえば、楽器の基音ではなく、倍音、それも高次倍音やノイズてあったりする。
20Hzの基音も、実際にはそう多くはないだろう。

だから下は40Hz、上は基音の最高音域として、4kHzぐらいまでとしても、
40Hzは1/40秒、4kHzでは1/4000秒、それぞれ1波長が放射されるまでに必要とする時間である。
20Hzと20kHzの比較の1/10になったとはいえ、
低音が成り立つ時間がどのくらい必要か、ということでいえば、低音が遅いことには変りはない。

ただこれはあくまでもサインウェーヴの話であって、
実際の音楽の信号がスピーカーに加わり振動板が動き空気の振動へと変換されるときは、
実際にどうなのかは、正直、いまところうまく説明できない。

それでもオーケストラにおいて低音楽器の扱いは、
ほんのわずか、このタイムラグをうまく合わせるために早めに演奏するように指示できるのが一流の指揮者であり、
一流のオーケストラである、ということは昔からいわれている。

またマイルス・デイヴィスも、同じことを語っている、とジャズ好きの知人からきいたことがある。

あとピアノがある。
フェルトハンマーがミュージックワイヤーと呼ばれる鋼線(弦)を叩くことで音を発するわけだが、
低音域と高音域とでは弦の長さは異る。低音域は長い。しかも質量を増すために銅線を巻きつけてある。
この長くて重い低音域の弦と、短くて軽い高音域の弦が同時にハンマーで叩かれたとして、
それぞれの弦の振動の振幅が最大になる(つまり最大音量になる)のにかかる時間は、
低音域の弦のほうが、それはわずかであっても長い。

やはり、低音は遅い、といえよう。
そして、低音が音楽のベースになる。

Date: 7月 21st, 2012
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(続々続々・低音再生とは)

低音再生の難しさは、どこにあるのだろうか。

よくいわれることに低音は波長が長いから、ということがある。
音速を340mとした場合、20Hzの波長は340÷20だから17mにもなる。
40Hzでも8.5mという長さである。

これが周波数が高くなっていくと、100Hzでは3.4m、1kHzでは34cm、10kHzでは3.4cm、20kHzでは1.7cm。
20Hzと20kHzとでは、こんなにも違ってくる。

波長の長さは部屋の広さとは関係している、ともいわれている。
つまり20Hzの低音を完全に再生するには部屋の一辺が最低でも、半波長分(8.5m)は必要で、
できれば1波長分(17m)欲しい、ということになっている。

一辺が17mとれる部屋はそうとうに広い部屋で、
これだけの空間をオーディオのために用意できる人は、多くはない。

ただ、ほんとうに20Hzを再生するには最低でも半波長の一辺がとれる部屋が必要なのか、については、
たしかに20Hzのサインウェーヴを再現するには部屋の広さが深く関係してくるとは思っているが、
実際にわれわれがスピーカーから聴いているのは音楽であって、
音楽を構成している要素のひとつとしての低音再生となると、
必ずしも再生したい最低域の半波長(できれば1波長)の長さが要求されるわけではない、と思っている。

もちろん広い、十分な空間があればそれにこしたことはない。
けれど、それだけの広さがとれないからといって、低音再生をあきらめることはない、と思うのは、
そこまでの広さの部屋でなくとも、見事な低音を実現されている音を聴いてきた体験があるからだ。

低音は波長が長い。
このことが再生において重要になってくるのは、もうすこし違うところにある。
つまり低音が低音として鳴るためには、それだけの時間が必要だということである。

Date: 12月 1st, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その21)

この「スーパーウーファーについて」のカテゴリーは、ユニバーサルウーファー、としている。
それにこの「スーパーウーファーについて」の他に、
同じカテゴリーとして「ユニバーサルウーファー考」も書いている。

ユニバーサルウーファーという名称を思いついたのは、菅野先生の音を聴いた体験からである。
これはしつこいくらいくり返して書いているし、これから先も書いていくだろうけど、
JBLのウーファー2205をパイオニアのエンクロージュアLE38AにおさめたモノとヤマハのYST-SW1000の組合せで、
JBLのシステムもジャーマン・フィジックスのシステムも、どちらにも対応されている。
これは見事としか言いようがないことである。
これはもう、ユニバーサルウーファーと呼んでいいのでは、と思う。

正確にはユニバーサルウーファーではなく、
Universal Bass(ユニバーサルベース、ユニバーサルバス)と呼ぶべきこと。

Universal Bassは、それが鳴らされる環境において、時間と手間と知恵をかけて形成されるものである。

Date: 11月 28th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その20)

自分自身に言い聞かせるためもあるから、あえて酷な書き方をするが、
コンデンサー型やリボン型にはコーン型ウーファーは合わない、うまくいかない、のは、
結局、低音域の再生が未熟だからだ。

己の未熟さから目をそらして、
従来から云われてきていることだから、とか、そんなふうに捉えていては、
いつまでたっても変らないまま、である。

Date: 11月 28th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その19)

JBLの375+537-500とジャーマン・フィジックスのTrobadour80(最初の頃はTrobadour40)、
このふたつは比べれば較べるほど大きく異るスピーカーユニットである。

振動板の形状がまず大きく違う。
そして375は剛性をもたせたものにたいしてTrobadour80は振動板ではなく振動膜であり、
さわればぷにょぷにょした感触だ。
しかも発音原理がまったく違う。
375はピストニックモーションなのにたいしてTrobadour80はベンディングウェーヴである。
それに375にはホーンがつく。

あえて共通しているところをあげればどちらも拡散する方向のユニットであることだが、
その指向性は大きく違うことは、Trobadour80の形状、537-500のホーンの形状を見ればわかる。

なのに菅野先生は、どちらにも同じ低音域を組み合わされている。
このことの凄さは、オーディオ歴が長い人ほど理解される、と思う。

菅野先生がJBLの2205にされたのが正確にいつなのかは知らないが、1980年より少し前のことだろう。
それからずっと同じユニット、同じエンクロージュアを使いつづけて20年以上。
なにを、その間求められてきたのか──、
それは菅野先生のリスニングルームにおいての理想的な低音再生ではないか、と思う。

ヤマハのスーパーウーファーYST-SW1000も導入されている。
こういう目に見える変化もあれば、そうでない変化もある。
そうとうにいろいろなことをやられてこられたのだ、と思う。
そうやって音楽を鳴らすオーディオのための土台・基礎としての理想的な低音域を、
リスニングルーム内にかなりの高いレベルで実現されている。
だからこそ、その上にJBLの375+537-500であろうと、ジャーマン・フィジックスのTrobadour80であろうと、
菅野先生が気に入られたスピーカーユニットであれば、うまくいった、と受けとめるべきではなかろうか。

この項の(その14)に書いたことだが、
コンデンサー型スピーカーやリボン型スピーカーに、コーン型ウーファーを足してもうまくいかない、
そんなふうに広く思われているし、実際に既製品で成功例はない、といえる。
けれど、それはあくまでも上にのる、
つまり、まず中高域ありきで、そこにウーファーを足して低音域を伸ばしていこう、という発想のはず。

結局、この発想ではうまくいきっこない、といいたい。

なんども書いているように低音こそが音楽の土台・基礎である。
ここを完璧とまではいかなくても、高いレベルにもっていくことで、
その上にさらに音を築いていく、という発想であればきっとうまくいくはずである。
それは製品という形ではうまくいかないのかもしれない。

あくまでもそのスピーカーシステムを鳴らす部屋込みでの問題であるから、
どんなに高性能なウーファーを持ってきたとしても、
ただ鳴らしていくだけでは理想的な低音域に近づけることは、ほぼ無理といえよう。

Date: 11月 28th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その18)

一部では、菅野先生の低音再生へのアプローチは、
そのほとんどがグラフィックイコライザーの調整だと思われている方がいる。
たしかにグラフィックイコライザーを積極的に活用されているのは事実だが、決してそれだけではない。

そうやって築き上げられた「低音」のうえに、JBLの375+537-500だけでなく、
ジャーマン・フィジックスのDDD型ユニットがのることになったのが数年前のこと。

それまでの菅野先生のJBLの3ウェイのシステムの中心は、
視覚的にも375+537-500だと、私は思ってきた。そう思われている方も少ないと思う。
ウーファーはこれまでにも書いたように変遷がある。
しかし中域に関しては375+537-500のままである。
ほんの一時期、375を2445に換えられたことがあったが、すぐに375に戻されている。

そういうこともあって375+537-500が中心であって、
あくまでも低音的に関しては375+-537-500とのつながり、相性ということを重視しながら調整されてきた、
とそう思い込んでいたわけだ。

それが間違っていたことに気づかされたが、DDD型ユニットの導入である。
もし菅野先生が、375+537-500を中心にシステムをまとめあげてこられていたのであれば、
同じ低音域の上に、375+537-500とはまったく異るスピーカーユニットのジャーマン・フィジックスをのせて、
うまく鳴るはずがない、からだ。
ところが、菅野先生のリスニングルームでは、低音的はまったく同じなのに、
JBLのシステムとしても、ジャーマン・フィジックスのシステムとしても、実に見事に鳴っている。

もちろんジャーマン・フィジックスの導入に当っては、さらなるチューニングをされているはずだ。
それでもジャーマン・フィジックス用に新たな低音域を用意されたわけではない。

Date: 11月 28th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その17)

私がステレオサウンドで働くようになったのは1982年1月からなので、
私が聴いてきた菅野先生のJBLのシステムのウーファーは、ずっと2205ということになる。
それ以前のウーファーを使われていた時の音は聴いていない。

2205に決められてからの音しか聴いていないわけだが、
それでも菅野先生のリスニングルームでの低音の鳴り方は良くなってきている、と表現するよりも、
成長してきている、といったほうが、ぴったりかもしれない。

2205はマルチアンプで鳴らされているわけで、
パワーアンプとエレクトロニック・クロスオーバー・ネットワークのあいだに
グラフィックイコライザーを挿入されているのはよく知られていることだ。
このことがステレオサウンド 60号に載ったことで、
ウーファーのみにグラフィックイコライザーを使われていると思われている方も少なくないようだが、
これとは別に全帯域にも使っている、ということも聞いている。

グラフィックイコライザーを使うことで、電気的に低域を補整されている。
それだけではない。エンクロージュアと床の間にある台もあれこれ試されているのは話で聞いているし、
パイオニア製のエンクロージュアLE38Aも、以前の写真と比較的最近の写真を比較すると、
はっきりとした違いがみてとれる。
それに、その違いに気づかれた方は、そのまま使われていると思われるかもしれないが、
おそらくそこには、もう一工夫されているはずだ。
それはマッキントッシュのXRT20の写真も、導入時の写真とこれも比較的最近の写真を比較すると、
そこにパイオニアのLE38Aになされたことと同じことに気づかれるはずだ。

これについては菅野先生から直接聞いている。
だから、目に見えるそのままではない、と断言できる。
あれこれいくつものものを試されての一工夫(これは写真を穴が開くほどながめてもわからないこと)をされている。

だから、おそらくLE38Aに関しても、XRT20と同じ一工夫がなされているはずだ。

Date: 11月 2nd, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(その15・続×五 余談)

低音は土台であり基本である。
そして「型」だとも思う。

型(かた)は、武道や芸道、スポーツなどで規範とされる一定の体勢や動作であり、
これを身につけることから、武道、芸道、スポーツははじまる。

型を身につけるための精進を怠れば、結果はみえている。
武道の達人による型と、素人が見様見真似でそっくりにまねた型とでは、
それにだまされる人もいるかもしれないが、見る人がみれば歴然とした違いがあり、
見様見真似の型はすぐに見破られることになる。

構えという型であっても、つまり静止している型であっても、それほど違う。
そこに動作が加わった型であれば、違いはさらに歴然となり、大きく隔たったものになってくる。

武道で型を身につけずに技を身につけることは無理なはず。

オーディオにおける低音は、この「型」でもある。

型の完成というのがあるのかどうかは私にはわからない。
けれど必要なレベルの型を身につけなければ(これが基礎)、
そこから先は存在しないことと同じではないだろうか。

型を身につけ技を身につけ、型をさらに磨いていく。
型をこえていくためには型を身につけなければならない。

結局、型に始まり型に終る、ということなのだろうか。
そうだとしたら、低音に始まり低音に終る、ということになる。

Date: 10月 10th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(続々続・低音再生とは)

ようするに自分の部屋で自分のスピーカーシステムで、いい音が出せればそれでいい。
そこでの手法がほかの人のところではまったく参考にならない、役に立たなくても、それでいい。

オーディオのプロフェッショナルになってそれで喰っていこう、というのであれば、
自分にとっての最適解を出すだけではなく、
普遍解(これが存在するのかは、また別項でいつか書いてみたい)、
もしくはいくつも最適解を出していくことが求められていくけれど、
オーディオのプロフェッショナルではないのだから、
自分にとっての、自分の部屋での、自分のスピーカーシステムにとっての最適解を出していけばいい。
プロならば(仕事ならば)〆切があるが、
いい音を求め出していくのに、〆切はない。じっくりと腰をすえて取り組んでいけばいい。

だからスピーカーシステムの置き台にしても、いろいろなものを試してみたほうがいい。
重くて硬い材質の置き台が必ずしもいい結果につながるわけではない。
むしろそういうもののほうが、固有の音が強すぎる面を顕にすることさえある。
それをだめだととらえることも出来るし、あえてそれを利用することも手のひとつでもある。

とにかく思いつく限りのもの、手法をやってみる。
音が良くなることもあれば、悪くなることもある。
ここで気をつけたいのは、音が良くなった、と感じたときでも、すべての面で音が良くなっているとはかぎらない。
どこか悪くなっているところもある。そこを聴き逃さないようにしたい。
それは音が悪くなった、と感じたときにもいえる。すべてが悪くなっているわけではないはずだ。
良くなっているところも、変化量が小さくて聴き逃してしまいそうになるかもしれないけれど、
必ず良くなっているところはある。

つまりトータルのとしての音の結果だけを聴き取るのではなく、
音の変化量(変化傾向と変化幅)を聴き取っていく。
だから、まずはとにかく思いつくかぎりあらゆるもの、手法を試していく。
そこで聴き取った変化量を自分の中にためこんでいく。
できればメモを残していったほうがいい。
そうやって自分のなかに経験値を増やしていけば、それらがいつか結びつき最適解を得られるはずだ。

もちろん部屋の広さによっては、スピーカーシステムの置き場所はほぼ固定されてしまい、移動できないこともある。
そういう制約の中でも、知恵を絞っていけば、そして誰かの最適解を参考にしていけば、
やれることは次々に出てくる。

Date: 10月 10th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(続々・低音再生とは)

低音再生は、部屋との兼ね合い・折り合いのなかでやっていくものである。
自分の部屋でいい音・いい低音を出せればいい、ということである。
つまり、自分のとっての、自分の部屋、スピーカーシステムにとっての最適解を求めていくこと、である。

だから、他の人がその人の部屋で好結果を得られた手法が、
そのまま自分の部屋でも好結果を出してくれる、とは限らない。
あくまでも、それはその人、その人の部屋、その人のスピーカーシステムなど、
いくつもの要素に対しての最適解なのだから、
それを、自分にとっての最適解とすることには無理がある。

もちろん熱心に取り組まれている人が出した最適解から学べること、参考にできることはある。
それでも、それはあくまでもその人にとっての最適解であって、自分にとっての最適解では決してない。

自分のとっての最適解は、自分の部屋で、自分のスピーカーシステムで、しかも自分で出していくしかない。

だからスピーカーシステムの下に敷く置き台に関しても、すべての人にとっての最適解、
いいかえれば普遍解、そういうものは存在しない、と思っていたほうがいい。

よくスピーカーのシステムの置き台に関して、断言的な口調で、
あれがいい、とか、これはダメだ、とか、そんなことを軽々しく口にする人がいる。
もちろん、その人はその人なり、自分の部屋、自分のスピーカーシステムで、
自分が納得できる音を出した手法であるから、
それがそのまま他の人、他の部屋、他のスピーカーシステムにもあてはまることだ、とつい思ってしまうのだろう。

でもくり返すが、あくまでもそれはその人によって、その人の環境においての最適解であって、普遍解ではない。
だから、ある人にとっての最適解は、
あくまでもそういう手法がある、という参考例として受けとめておいたほうがいい。

Date: 10月 9th, 2011
Cate: ユニバーサルウーファー

スーパーウーファーについて(続・低音再生とは)

スピーカーのセッティングに定石はない、と瀬川先生はよくいわれていた。
たしかにそうで、与えられた部屋の中で、少しでもいい音をスピーカーから引き出すためには、
思いつくかぎりのことをやってみたらいい、と私も思っている。

低音再生に関しても、というより、低音再生のほうがスピーカーのセッティング以上に定石はない、と思って、
取り組んだ方がいいと思っている。

アクースティック楽器にはピストニックモーションで音を発しているものはひとつもない。
だがスピーカーはベンディングスピーカー以外は、ほぼすべてピストニックモーションで音を出す。
このことがオーディオの難しさであり、面白さであり、
本来は部屋の広さが低音の最下限の周波数の半波長分の長さを必要とするはずなのに、
実際には狭い空間でも、ごく低い周波数の再生は決して不可能ではないことにも関係している、と考えている。

つまりピストニックモーションだから、ある程度、無理が通る。そんなふうにも受けとめている。
だからというわけではないが、いわばオーディオの正攻法だけではうまくいかない、
いいかえれば常識にとらわれていては、突破できない領域が出てくる。

たとえばスピーカーの置き台。
私がオーディオに関心をもち始めたころ(1976年)は、
ブックシェルフ型スピーカーシステムの置き台は、まずコンクリート・ブロックだった。
ちょっとつよい力でひっかくと、端のほうがぽろぽろ欠けてくる。これが標準だった。
音に配慮したスピーカーの置き台がメーカーから発売されるようになるのは、もっと後のことだ。

いまの若い人は、そんなコンクリート・ブロックを使ったことのある人はいないだろうが、
私と同じ、そして私より上の世代の方ならば、いちどはコンクリート・ブロックを使われた経験をお持ちだろう。

いまオーディオ店には、いろんな材質の、高価な置き台がいくつもある。
もうコンクリート・ブロックを使っている人なんていない、かもしれない。
それにコンクリート・ブロック、と聞いただけで、そんなもの音を悪くするだけ! と切って捨てる人もいる。

そんな扱いを受けているコンクリート・ブロックだが……。