BBCモニター考(LS3/5Aのこと・その31)
LS3/5Aをダブルスタックで鳴らすのは、いまもやっている人はいるようだ。
LS3/5Aをダブルスタック(つまり計四本)で聴くのは、邪道だ──、
そういいたくなる人のほうがきっと多いだろうし、
同じ気持をもっていないわけでもない。
けれど同時に、スタックにしてでも鳴らしたい──、という気持もわかる。
LS3/5Aの音(その世界)に惚れ込んだ人ならば、
このままあとすこしスケールアップしてくれたなら──、
そんなことは一度も思ったことはない、と言い切れる人はどのぐらいいるだろうか。
LS/3/5A用のウーファーはいくつか出ていた。
瀬川先生は、ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」で、
JBLの15インチ・ウーファー136A、
エンクロージュアにはサンスイとJBLが共同開発したECシリーズの中からEC10とを組み合わせ、
LS3/5A用のサブウーファーとする組合せをつくられている。
これらすべての音を聴いているわけではないが、聴いている音もある。
けれど、LS3/5Aの魅力そのままに、スケールアップに成功した音とは思えなかった。
そういう耳の私にとって、メリディアンのM20はまさしくLS3/5Aの音をスケールアップした音が、
いまここで鳴っている──、と感じたし、
その事実に、とにかく嬉しくなったものだ。
M20はLS3/5Aの延長線上にある音であり、スピーカーシステムである。
M20を聴いた、いまから四十年近く前から、そう感じていた。
けれど、そんなふうに感じる人はいなかった──、と感じていた。
誰もそんなことを書いたりしていない。
昨日、別項で書いている野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会に行ってきた。
そこで、Mさんという初対面の方から声をかけられた。
このブログで、以前、書いている。
LS3/5Aの延長線上にあるM20だ、と。
MさんはLS3/5Aを計五回買ってしまうほど、惚れ込んでいる人だ。
そのMさんは、私の書いたものを読んでM20を買った。
その音を聴いて、ほんとうにLS3/5Aの延長線上の音だった、と話してくださった。
そうだろう、そうだろう、と思いながら聞いていた。