Archive for category ディスク/ブック

Date: 1月 20th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Sylvia Sass sings Dramatic Arias(その3)

シルヴィア・シャシュのLPは、あのころ、
いくつかのシステム(けっこういろんな音)で聴いているが、
いまも強く印象に残っているのは、
ステレオサウンドの試聴室で、
サウンドコニサーの取材でのアクースタットのコンデンサー型スピーカー、
Model 3で聴いたのが、まず挙げられる。

この時のこと、音は別項で書いているし、
別冊サウンドコニサーを読んでもらえればわかる。

もうひとつは、スーパーマニアの取材で、
先輩編集者のNさんに連れて行ってもらったオーディオマニアのお宅での音。

その方は、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーユニットを、
国産エンクロージュアに収められていた。

その時も、いま思い出しても、そのウェストレックス・ロンドンが十全に鳴っていたとは思っていない。
それでもシルヴィア・シャシュのLPをかけられた時、
シャシュの声(歌)が鳴ってきた時、その実体感に驚かされた。

Model 3でのシャシュとウェストレックス・ロンドンでのシャシュ。
どちらがいい音とか、そういうことではなく、
左右のスピーカーの中央に定位するシャシュのボディが、厚い。

音像が肥大しているのではなく、シャシュのボディが前後に厚いのだ。
厚みのあるボディから声が発せられている感じが、見事だった。

日本人とは骨格からして違うのか、と思わせるほどの胸の厚み。
この厚みを、鳴ってくる音から感じとることができるかどうか。
他の人にとっては、どうでもいいことなのかもしれないが、
私はそうではない。

Date: 1月 16th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Sylvia Sass sings Dramatic Arias(その2)

シルヴィア・シャシュのLPは、新品と言っていいほどのコンディションだった。
というよりも一度も針を通していないようにも感じられる。

手元にある、このディスクを眺めていると、
audio wednesdayで、一度かけてみたいと思う。

2024年のaudio wednesdayは、すべてデジタルだった。
TIDAL、Qobuz、Apple Musicといったストリーミング、
それからアキュフェーズのDP100+DC330によるCD、SACDだった。

四谷三丁目の喫茶茶会記でもアナログを音源としたのは二回だけ。
LPとカセットテープの回だけと少ない。

今年のaudio wednesdayでLPの再生をやろうかな、
ぐらいには思っていたのが、シルヴィア・シャシュのLPが届いてからは、
絶対やろう、に変った。

アナログプレーヤーには、ウィルソン・ベネッシュのCircleを持ち込もうか、と考えている。
カートリッジは、シルヴィア・シャシュのLPがきっかけとなったわけだから、
デッカのMark Vにする。

LPもデッカ、カートリッジもデッカ、
デッカもウィルソン・ベネッシュ、どちらもイギリス。

シルヴィア・シャシュのLPは、ステレオサウンド試聴室で、
けっこうな数のカートリッジで聴いているけど、
デッカのカートリッジでは聴いていない。

Date: 1月 12th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Barbara Lea

バーバラ・リーの名前を聞いたのは、昨年の12月だった。
Googleで「バーバラ・リー」を検索すると、
アメリカの政治家ばかりヒットする。

「バーバラ・リー ジャズ」で検索すると目的の情報が表示されるが、それほど多いわけではない。

ジャズを体系的に聴いてこなかった私が知らなくても不思議ではないのかもしれない。
日本ではそれほど名が知られているわけではないようだ。

昨年末からやっていたトーレンスのTD124の整備は、
バーバラ・リーのSP盤を再生、デジタル録音するためだった。

今日は、その本番の日。
バーバラ・リーがリバーサイドからデビューするより前の録音、
直後の録音をおさめたSP盤。

時代はすでにLPになっていたし、テープ録音も普及していた。
なのにSP盤で、これらのディスクは一度も復刻されていない、とのこと。

11時ごろから始まって、途中昼食をはさんで終了は17時ごろ。
ずっとバーバラ・リーばかりを聴いていた。

それも録音順に聴いていった。
面白いもので、リバーサイド・デビュー以前の方が音がいい。
後半になると、盤質も悪くなっていっているように感じたし、
スクラッチノイズの量も増えてきて、質も悪くなっていく。

思うに、最初のころの盤は、まだSP盤に必要な技術が、世の中に残っていたのだろう。
それが数年のうちに失われていったのかもしれない。

このあたりのSP盤の事情については、ほとんど知らないといっていい。
本当のところがどうなのか。

楽しい一日だったし、興味深い時間でもあった。

Date: 1月 4th, 2025
Cate: ディスク/ブック

アストル・ピアソラ 闘うタンゴ 完全版

斎藤充正氏の「アストル・ピアソラ 闘うタンゴ 完全版」が、
青土社から、ようやく出版される。

改訂版ではなく、完全版。待ちに待った一冊。

Date: 1月 2nd, 2025
Cate: ディスク/ブック

Sylvia Sass sings Dramatic Arias(その1)

「清らかな女神よ」(Casta Diva, カスタ・ディーヴァ)を、
最初に聴いたのはマリア・カラスではなく、シルヴィア・シャシュだった。

あのころ、シルヴィア・シャシュは「マリア・カラスの再来」と言われていた。
デッカから二枚、アルバムが出ていた。

バックが青のアルバムと赤のアルバムだったので、
勝手にシャシュの赤盤、青盤と呼んでいた。

青盤のほうは、TIDALやQobuzで聴くことができるのに、
どうしてだか赤盤の方は、どちらにもない。

しかも赤盤の方に、「清らかな女神よ」がおさめられている。

あのころはシルヴィア・シャシュを、マリア・カラスよりもよく聴いていた。
コンサートにも行ったし、そのコンサートがNHK FMで放送されたのを、
ステレオサウンドの試聴室で、
ケンウッドのチューナーとナカミチのカセットデッキでエアチェックもした。

なのにいつしかあまり聴かなくなってしまった。

ここ、二年ほど、TIDALで、いろんな人の「清らかな女神よ」を聴いた。
聴けば聴くほど、マリア・カラスなのか、という想いは強くなくばかり。
そして、シャシュの「清らかな女神よ」を、もう一度聴きたくなった。

CDでは二枚組の廉価盤で出ていたはずだが、買いそびれた──、
というよりも、その頃はシャシュから遠ざかっていた。

聴きたいおもいはつのる一方で、
先程、ヤフオク!で、イギリス盤(もちろんLP)を落札した。

Date: 1月 1st, 2025
Cate: ディスク/ブック

愛と孤独のフォルクローレ

愛と孤独のフォルクローレ」が、世界思想社から出ているのを、
昨晩知った。

内容説明のところに、こうある。
《個人の物語を愛し、他者の音を聴かず、堂々と嘘を楽しむ…。》

オーディオも、全くそうだと思った。

Date: 12月 8th, 2024
Cate: ディスク/ブック

能×現代音楽 Noh×Contemporary Music(その4)

BOSEの901 Series Vが鳴らす「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」は、
スリリングであっただけでなく、それ以上に美しい。

というよりも美しいからこそ、よりスリリングだったのだろう。

BOSEのスピーカーから、そういう美しい音が鳴るものか──、
そう思っている人が多いと思うが、それも仕方ないこととも思っている。

901シリーズの音を、
きちんと鳴らされている901の音を聴いたことのある人の方が少ないのだから。

現代音楽とは、
作曲家の湯浅譲二氏によると「未聴の音楽」とのこと。
ならば現代音楽を聴くオーディオとは、「未聴の音」ともいえる。

未聴の音で鳴らす(聴く)未聴の音楽。
12月4日の音は、確かにそうだった、と自負している。

Date: 12月 7th, 2024
Cate: ディスク/ブック

能×現代音楽 Noh×Contemporary Music(その3)

12月4日のaudio wednesdayで、選曲者のHさんが最後にかけられて曲が、
青木涼子の「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」。

ちなみに4343を宇都宮から運んできてくれたHさんと、
今回の選曲者のHさんは別人。
二人とも喫茶茶会記からの常連。

「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」を最初に聴いたのは、
2017年1月のaudio wednesdayだった。

1月ということもあって、この時、来てくれたのは東京のHさんだけだった。
私と二人だけだから、「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」の七曲目を何度もかけては、
喫茶茶会記のスピーカーの調整をやっていた。

そして、けっこう詰めていった段階でかけたのが、
エトヴェシュ作曲の「Harakiri」だ。

これは、相当にスリリングだった。
このことがあったから、現代音楽をテーマにするならば、
Hさんに選曲を任せそうと思ったともいえる。

Hさんは、「Harakiri」のコンサートも体験されている。
その上で、「こちらの方(喫茶茶会記での音)が、音がいい」と言われた。

今回のBOSE 901 Series Vでの音は、
私の耳にもHさんの耳にも、さらにいい音であった。

本当に、いい音で鳴った。
青木涼子氏本人に聴いてもらいたい、とも思うほどに鳴っていた。

喫茶茶会記ではCDだった。
今回はTIDALだった。

Date: 11月 27th, 2024
Cate: ディスク/ブック

The CONCERTGEBOUW Legacy(その後)

10月25日に、”The CONCERTGEBOUW Legacy”が発売になった。
いままでの例だと、その日に配信も始まる。
リマスタリングされたアルバムだと、96kHz、24ビットであることが多い。

今回の”The CONCERTGEBOUW Legacy”もそうだと、勝手に思っていた。

10月25日に配信も始まれば、
11月のaudio wednesdayに間に合う、鳴らすことができると期待していた。

いくつのアルバムは配信された。
ストラヴィンスキーは、「火の鳥」だけだった。
「春の祭典」はなぜかなかった。

「火の鳥」も96kHzではなく、44.1kHzだった。それでも音は良くなっている。

「春の祭典」は、いつになるのか待っていたけれど、
私が検索したかぎりでは、しばらくなかった。

先日、思い出してみたら、「春の祭典」もあった。
以前からあるストラヴィンスキーのバレエ音楽三部作をすべてまとめたものではなく、
「春の祭典」と「ペトルーシュカ」とのカップリングの方だ。

これもよく仕上がっている。
11月のaudio wednesdayでは「春の祭典」をかけた。
機会をみて、リマスターの「春の祭典」をかける。

Date: 11月 1st, 2024
Cate: ディスク/ブック

FAIRYTALES(その7)

ラドカ・トネフの“FAIRYTALES”。
このアルバムも、QobuzでもMQAで配信されている。

Date: 9月 13th, 2024
Cate: ディスク/ブック

The CONCERTGEBOUW Legacy

10月に、コリン・デイヴィスとコンセルトヘボウ管弦楽団のCDボックスが発売になる。
十八枚組で、もちろんストラヴィンスキーのバレエ音楽も含まれる。
「春の祭典」、「火の鳥」が新規マスタリングで聴けるようになる。
TIDALでも、新たに配信されるであろう。

11月のaudio wednesdayに間に合うはずだ。

Date: 9月 5th, 2024
Cate: ディスク/ブック

Pletnev plays Schumann(その2)

昨晩(9月4日)のaudio wednesdayでかけたディスクで、一番反応があったのが、ミハイル・プレトニョフのシューマンだった。

昨晩は、8月の会に続き、757Aを使ったオーディオ・ティーチインといえる内容で行った。

四谷三丁目の喫茶茶会記で行っていた時は、
オーディオに関心のある方ばかりといえたが、
狛江の整体協会の稽古場でになってからは、必ずしもそうではなく、
オーディオには関心がなかった(ない)けれど、
音楽をいい音で聴きたいという方が半数ぐらいなっている。

これまでは、いい音で音楽を聴いてもらう、
傾向の違うスピーカー(音)で聴いてもらうことをでテーマとしていたため、
いわゆる比較試聴はやってこなかった。

8月と9月は少し趣向を変えて、オーディオ・ティーチインをテーマにしたのは、
熊本にいたころ、瀬川先生が定期的に熊本のオーディオ店に来られて、
オーディオ・ティーチインをやられていたからだ。

757Aレプリカを中心にいろいろとセッティングを変えて、
その音の変化を聴いてもらったあとに、CDとSACDの比較を行った。

プレトニョフのシューマンをかける予定はなかったけど、
CDとSACDのハイブリッド盤ということで、
じゃ、これもかけよう、という軽い気持での選曲だった。

会が終ったあとの雑談で、
「プレトニョフのシューマン、面白かったです。これからプレトニョフを集中して聴いてみます」
と、こちらでの常連のSさんから話しかけられた。

こういうことが、けっこう嬉しかったする。

Date: 8月 21st, 2024
Cate: ディスク/ブック

能×現代音楽 Noh×Contemporary Music(その2)

2017年1月4日に、「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」を聴いている。
この日のaudio wednesdayには、常連のHさん一人だけだった。

「能×現代音楽 Noh×Contemporary Music」は、Hさんが持参されたCDだった。
この時聴いてなければ、おそらくいまも聴く機会はなかっただろう。

TIDALを使うようになってすぐの頃、
このアルバムがあるか検索したが、ヒットしなかった。
昨晩、ふと再び検索してみたら、あった。
他のアルバムもあった。

8月のaudio wednesdayに来られた方たちには話してあるが、
10月のaudio wednesdayのテーマは、現代音楽である。

現代音楽にうとい私は、Hさんに選曲をまかせるつもりでいる。
たぶん、このアルバムも選ばれるはず。

Date: 8月 16th, 2024
Cate: ディスク/ブック

バッハ 平均律クラヴィーア曲集(その9)

8月のaudio wednesdayでは、バッハの平均律クラヴィーア曲集をかけた。

まずグルダをかけた、
それからグールドをかけた。
そしてリヒテルを。
SACDでの再生だ。

何か意図があっての、この順番ではなかった。
思いついたままの順番だ。

リヒテルの演奏を長くかけた。
リヒテルの平均律クラヴィーア曲集を聴いたのは、
ステレオサウンドの試聴室でだった。

何かの試聴ではなく、サウンドボーイの編集長だったOさんから、
試聴室のレコード棚にあるから、一度聴いてみろ、と言われたからだったことは、(その1)で書いている。

国内盤だった。
まず、その音に戸惑った。
その戸惑いよりも、演奏の素晴らしさに意識は向く。

リヒテルの平均律クラヴィーア曲集については、これ以上は語らない。
関心を持ったら、ぜひ聴いてみるべきだからだ。

それにしても、この音、もう少しどうにかならないものか──、
リヒテルの平均律クラヴィーア曲集に感動した人は、
みなそう思うはずだ。
好きか嫌いでいえば、決して嫌いではないけれど、
それにしても……、とは思う。

2012年にSACDで出ている。
なぜか、その発売に気がつかずに、けっこう経ってから、
ヤフオク!で手に入れたことも書いている。

繰り返して書くのは、やはりリヒテルのSACDが素晴らしいことを、
先日の会でも深く感じたからだ。

Date: 7月 21st, 2024
Cate: ディスク/ブック

THE DREAMING(青春の一枚・その3)

ケイト・ブッシュの四枚目のアルバム、
「THE DREAMING」を、7月のaudio wednesdayでかけた。

かけるつもりは、最初はなかった。
それでもメリディアンのDSP3200にエラックのリボン型トゥイーターを足した音は、
「THE DREAMING」をかけることを、私に促した。

聴き終って、
「THE DREAMING」は私の青春の一枚であることを噛み締めていた。

「THE DREAMING」の中からどの曲を選んだのか。
どうして、その曲なのか。
その理由は書かないけれど、やはりこういうふうに鳴ってくれるのか、
その手ごたえが、私にとって最大の収穫だった。