Archive for category ディスク/ブック

Date: 9月 17th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Hounds of Love

ケイト・ブッシュの五枚目のアルバム、“Hounds of Love”、今日(9月17日)で発売から四十年を迎える。

まずイギリス盤のLPを買った。それから12インチ・シングル盤も数枚出たから、もちろん買った。
CDも買った。

日本盤のタイトルは、「愛のかたち」だった。
歌詞の日本語訳も欲しかったので、日本盤も買った。

ひとつ前のアルバム、“The Dreaming”から一変したように感じたサウンド。
いろんなウワサが流れていたから、ジャケットのケイト・ブッシュ、
それからイギリス盤のLPの中に入っていた写真を見て、安心したものだった。

“Hounds of Love”は、“The Dreaming”とともに、私の青春の一枚である。

Date: 9月 12th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Charlin Disques(その4)

(その2)で触れている7月26日の、少人数での会で鳴らしたシャルラン レコードの響き方に、
聴いていた人たちの反応を感じて、一度、ワンポイント録音を集めてのaudio wednesdayをやりたい、と思っていた。

シャルラン レコード以外にも、ワンポイント録音はある。(その3)でテラークや「カンターテ・ドミノ」、それからエーリッヒ・クライバーの「フィガロの結婚」を挙げたが、他にもある。

モノーラル時代のワンポイント録音、
ステレオ時代になってからでは、アナログのワンポイント録音、デジタルのワンポイント録音がある。

これらを聴いていくだけでも楽しくなるだろうが、私がぜひ聴いてみたいのは、
BOSEの901は、ワンポイント録音をどう表現するかだ。

ステレオサウンドで働いていたおかげで901は、聴く機会が何度もあったが、
ワンポイント録音を聴いた記憶はない。
少なくともワンポイント録音を集めて聴いたことはない。

901でワンポイント録音を聴くという記事を、オーディオ雑誌で見た記憶もない。

昨年12月のaudio wednesdayで鳴らした901は、まだ野口晴哉氏のリスニングルームに置いてある。

Date: 9月 10th, 2025
Cate: ディスク/ブック

ヨッフム/シュナダーハンのベートーヴェン

一週間前のaudio wednesdayでは、アナログディスクのみをかけた。
リクエスト以外のディスクは、すべて野口晴哉氏のコレクションから選んでいる。
輸入盤を中心に選んだ。

その中の一枚が、ヨッフムとシュナイダーハンによるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲だった。

野口晴哉氏のコレクションを眺めながら、この盤、聴いたことがないことに気づいて選んだ一枚。

協奏曲をそれほど好んで聴かない。
もちろんまったく聴かないわけではなくて、好きな演奏家の録音ならば聴くけれど、
積極的にいろんな演奏家の録音を聴いているわけではない。

そんな協奏曲への接し方をしているものだから、この盤(ヨッフムとシュナイダーハン)も聴いていなかった。
聴いていなかったから、その存在を知らなかったわけではない。
知っていたけれど、聴いていなかった。

初めて聴いて、ヨッフムはやはりいい指揮者だな、と感じていた。
ヨッフムは、昔から聴いている。

それでもヨッフムの良さがわかるようになったきたのは、ある程度、齢をとってからだった。

昔(21のころ)、伊藤先生の仕事場で、モーツァルトを聴きたいと言ったところ、
伊藤先生がかけてくれたのは、コリン・デイヴィスの盤だった。
伊藤先生の仕事場に、モーツァルトの交響曲のレコードがどれだけあったのか、
どういう盤があったのかは、これ以外まったく知らない。

正直、コリン・デイヴィス? と思っていた。
でも、いまならわかる。

同じように、いまヨッフムの良さを噛みしめている。

Date: 8月 31st, 2025
Cate: ディスク/ブック

Alice Ader(その7)

2026年2月に二度目の来日をするアリス・アデール。
2月10日の王子ホールに続いて、
14日、横浜のフィリアホールでも演奏する。

14日のプログラムは、バッハとシューベルト。
10日、14日、どちらも楽しみだが、シューベルトはとても楽しみ。

Date: 8月 28th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Alice Ader(その6)

アリス・アデールが、2026年、再び日本で演奏会を開く。
2月10日、王子ホールで、ショパンとモンポウのプログラム

2024年2月の初来日。招聘元のブログを読んで、また来てくれそうな予感はあった。
なので驚きこそないが、嬉しさは、やっぱり大きい。

今回の来日は、王子ホールでの一日だけなのか、それとも他のホールでも行うのか。
いまのところはっきりとしないが、一日だけでも、再びアリス・アデールが聴ける。

Date: 8月 27th, 2025
Cate: ディスク/ブック

宿題としての一枚(その16)

2023年1月からaudio wednesdayを再開し、今月6日の会で、二十回。

7月、8月は野口晴哉氏のスピーカー、ウェストレックス・ロンドンを鳴らした。
audio wednesdayで野口晴哉氏のスピーカーを鳴らしたのは、これが初めてではない。

昨年はウェストレックスの757Aと、そのレプリカを鳴らしているし、
audio wednesday以外でも、シーメンスのオイロダイン、
ウェスターン・エレクトリックの594Aを中心としたシステムも鳴らしている。

鳴らす度に、野口晴哉氏からの「宿題の一枚」は、なんなのか、と思う。
野口晴哉氏が、どういうレコードを所有されていたのかは、
レコード棚をけっこう見ているので、なんとなくは把握できている。

それでも「宿題としての一枚」となると、漠然とし過ぎている。

カザルスの無伴奏は、最初から、そうと意識していた。
けれどこれ以外は、なんだろうか。
いつか、これだ、と気づく日が訪れるのか。

Date: 8月 20th, 2025
Cate: ディスク/ブック

バッハ 平均律クラヴィーア曲集(その11)

リヒテルの平均律クラヴィーア曲集が、2012年にSACDで限定発売されていたことは、すでに書いている。
私は中古で手に入れたけど、再販されないのか、と思っていた。

今年4月に、出ている。今日、気づいた。
2012年版はハイブリッド盤だったが、今回のはSACDのシングルレイヤーである。
今回も限定なので、手に入れたい方はお早めに。まだ入手可能である。

マスターは2012年版と同じと思われる。
ただしハイブリッド盤とシングルレイヤー盤との音の違いはあるし、
ディスクの寿命という点でもシングルレイヤー盤を買っておこうかな、とも思う人はいるだろう。

ジャケットも2012年版とは違う。
同じジャケットで、Qobuzでも配信されている。
これまでのリヒテルの平均律クラヴィーア曲集は、RCAからとなっていたのが、
今回のはオイロディスクとなっている。

44.1kHz、16ビットなのは少し残念だが、それでもSACD再生環境を持たない人にとっては、
嬉しい配信であるはずだ。

2012年版は、オリジナルのマスターテープからは96kHz、24ビットでデジタルに変換されている。
もしかすると近いうちに96kHz、24ビットで配信されるかもしれない。

SACDは持っていても、その音は聴いてみたいだけに、密かに期待している。

Date: 8月 11th, 2025
Cate: ディスク/ブック

ソリの道をさがして(追補)

先日の投稿で紹介した「池成子伽琴独奏のための南道民謡・雑歌 ソリの道をさがして」のCD、
購入できるところがうまく見つからない、という声があった。

発売元のページをリンクしておく。

Date: 8月 8th, 2025
Cate: audio wednesday, ディスク/ブック

クラシック音楽における自然描写(さそうあきら氏の選曲)

8月6日のaudio wednesdayで、さそうあきら氏の選曲リスト。

ベートーヴェン:交響曲第六番「田園」 第一楽章
カール・ベーム/ウィーンフィルハーモニー

クープラン:「葦」、「オリーブ搾汁器」
クリストフ・ルセ(チェンバロ)

ラモー:「めんどり」、「野蛮人たち」
オリヴィエ・ボーモン(チェンバロ)

ラヴェル:「水の戯れ」
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

ドビュッシー:「水の反映」、「雪が踊っている」
アルトゥール・ベネデッティ・ミケランジェリ(ピアノ)

ディーリアス:「春初めてのカッコウの声を聴いて」
アンドリュー・デイヴィス/BBC交響楽団

バルトーク:弦楽四重奏曲第四番 第三楽章
アルバン・ベルク弦楽四重奏団

バルトーク:組曲「戸外にて」より「夜の音楽」
ゾルターン・コチシュ(ピアノ)

メシアン:「クロウタドリ」
エマニュエル・パユ(フルート)、エリック・ル・サージュ(ピアノ)

メシアン:「キガシラコウライウグイス」
アナトール・ウゴルスキ(ピアノ)

マーラー:交響曲第九番 第一楽章
サー・サイモン・ラトル/ベルリンフィルハーモニー

当日は、さそうあきら氏の解説付き、そして絵付きだった。

ベームの「田園」は、音楽を聴き始めたころのさそうあきら氏を虜にした音楽(演奏)。

Date: 8月 7th, 2025
Cate: ディスク/ブック

ソリの道をさがして

昨晩のaudio wednesdayの休憩時間に、さそうあきら氏の奥さまのリクエストでかけたCDが、
「池成子伽琴独奏のための南道民謡・雑歌 ソリの道をさがして」である。

伽耶琴(かやぐむ)の録音。
このCDが、とても新鮮だった。
ジャケットを見れば、韓国の琴なんだろうな、と、そのくらいのことはわかっても、
鳴ってきた音は、生々しくすごかった。
リアリティがとてもある。

ウェストレックス・ロンドンで聴いたのも良かったのかもしれない。

2008年ごろの録音だそうだが、かなりの優秀録音として話題になっていてもおかしくないほどなのに、
まったくそうでないのは、レコード店では扱っていないためだろう。

ディスク番号は、TOPCD-122。
私は先ほどヤフオク!で見つけて落札した。
「ソリの道をさがして」で検索すれば、販売しているところはすぐに見つかる。

Date: 8月 5th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Charlin Disques(その3)

会が終って、途中まで帰りが同じだった方(たぶん同世代だろう、女性の方)が、
「音楽は詳しくないんですけど、あのレコードの響きが、他のレコードとはまったく違っていて、驚きました」、
そんなことを話された。

シャルランのレコードを鳴らした後で、ワンポイント録音だ、説明した。
オーディオマニア相手ならば、シャルランのレコードといえば、それで済むが、
ワンポイント録音がどういうものなのかも、簡単に説明した。

この時の会に参加されていた人たちの反応は、
オーディオマニアの反応よりも素直だったような気がする。
スピーカーが、こんな感じで鳴ってくれるのか──、
そんな印象を持たれたようでもある。

シャルラン レコードは、数年前に、新たにCD復刻がなされている。以前のCDよりもずっと好ましい仕上がりのようだ。

来られた方の反応を見ていて、それに上記の方の話を聞いて、
近いうちにワンポイント録音ばかりかける会をやろうと考えている。

古くはエーリッヒ・クライバーの「フィガロの結婚」もそうだし、
オーディオマニアの間でよく知られる「カンターテ・ドミノ」もそうだ。

デジタル録音になってからでは、
デンオンから発売されていたインバルのマーラーの四番がある。
マイクロフォンは三本使用だが、テラークもワンポイント録音と言える。

Date: 7月 27th, 2025
Cate: ディスク/ブック
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Charlin Disques(その2)

そのシャルラン レコードのLPを、昨日(7月26日)、やっと聴くことができた。
野口晴哉氏のリスニングルームで、聴いていた。

野口晴哉氏のレコードコレクションの中に、シャルラン レコードは、きっとあるはず、と確信していたけれど、
かなりの数のコレクションゆえ見つけるのは大変かも……と思うだけだった。

昨日は、オーディオの会とは関係ない少人数の集まりで、
私はマッキントッシュのMC275用のKT88が届いたとのことで、
MC275のチェックとセッティングの用事だった。

シャルラン レコードは、やっぱりあった。数枚あった。おそらく丹念に見ていけばもっとあるだろう。

野口晴哉氏のコレクションにあったシャルラン
レコードは、トリオレコードが取り扱っていたもので、
フランス直輸入盤である。

この盤がシャルラン レコードの初期盤なのかは私は知らないが、
とにかくフランス盤で聴ける──、そのことで充分だ。

聴いたのは、ティッセン・ヴァランターン(ピアノ)とRTF弦楽四重奏団によるフォーレ。

一緒に聴いていた数人の方たちは、オーディオに関心のある人たちではないのだが、
シャルラン レコードから鳴ってきた音というより響きに、
驚かれていたようだった。

シャルラン レコードがどういうモノなのかを知らない人たちだったからこその反応だったのだろう。

Date: 7月 26th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Charlin Disques(その1)

シャルラン レコードについて、何度か書いている。アンドレ・シャルランについても書いているけれど、
シャルラン レコードの音を聴いた、とははっきり言えないのは、
アナログディスクで聴いていないからだった。

CDでは聴いている。
けれどシャルラン レコードのマスターテープはもう存在しないのだから、
復刻CDの音だけを聴いてアンドレ・シャルランの意図するところを聴いたとは言えないのはことはないが、
それでも……である。

私がオーディオに興味を持ち始めたころは、まだトリオレコードが取り扱っていたから、
手に入れようと思えば買えたわけだが、
中学生にとって、買いたいレコードは山ほどあって、
シャルラン レコードは後まわししていた。そうやって手に入れる機会を逃す。

当時は、アンドレ・シャルランについての情報は乏しかった。
いまでもそれほど多くあるわけではないが、インターネットのおかげで、知ることができたことはいくつかある。

そうなると、よけいに聴きたくなる。

Date: 6月 18th, 2025
Cate: ディスク/ブック

Beethoven Für Elise

今朝、facebookを眺めていたら、アルフレッド・ブレンデルが亡くなったことを知った。

若いころ、ブレンデルは好きなピアニストではなかった。才能、実力はすごいと思っていたし、
コンサートにも行ったことはある。
でもブレンデルの新譜が出れば必ず買うわけではなかった。

どうしても好きなピアニスト、演奏家のディスクを買うほうを優先する。ブレンデルでは、後回しになってしまう存在だった。

ブレンデルを、そんな頃よりも少し好きになったのは、フィリップスから出た「エリーゼのために」を聴いたからだった。

このアルバムには「エロイカ変奏曲」も収められている。
こちらの方がメインだろう。
でも私の耳を捉えたのは、「エリーゼのために」だった。

Date: 5月 9th, 2025
Cate: ディスク/ブック

One Girl Best(その2)

「ムーミンのテーマ」を聴いたことがある人で、
テレビの音声以外で聴いたことがあるという人は、どのくらいいるのだろうか。

私は、子供の頃、テレビから流れてくる「ムーミンのテーマ」しか記憶にない。

今回聴いて感じたのは、丁寧に録音されている、ということ。
ムーミンはテレビアニメで、子供向けの作品だから──、といった甘えが感じられない。
むしろ子供たちが耳にして、口ずさむであろうから、きちんと作らなければ、というふうにも受け止めることができるほど、
そこには手抜きが一切感じられなかったからこそ、
きちんと再生することで、驚くことになったのかもしれない。

メリディアンのUltra DACの三種のフィルターで聴いていて、最も良かったLongフィルターの音は、
MQAです、と言われれば素直に信じてしまうほどの良さと好ましさだった。

Shortの音がひどかったのではない。
Shortの音だけ聴いても、きちんとした仕事による録音と感じることはできる。

それがMedium、そしてLongへと変えることで良くなり、
声の生々しさが増していき、同時に歌の表現の幅が広くなり、深みを増す。

あえてくり返すが、Longフィルターの音はMQAといってもいいほどだった。

テレビを通じてではあったものの、幼い頃に、
「ムーミンのテーマ」を毎週聴いていたことは、ふり返ると、
贅沢なことだったと思う。