Archive for category audio wednesday

Date: 7月 11th, 2025
Cate: audio wednesday

Westrex Londonを鳴らしてみて(その2)

渡辺茂夫と聞いても、どんな人か、ほとんどの人は知らないと思う。
私は、なんとなく名前だけは聞いた(見た)記憶があるけれど、
だからといって、どんな人なのかについては、ヴァイオリニストだった──、それだけだ。

前回のaudio wednesdayが終ってから検索して、
インターネットで知り得ることは調べたけれど、
そのことによってCDを買って聴いてみよう、とはならなかった。

それに三十年ほど前に発売されたCDは廃盤のようで、入手は難しい。それもあって、それ以上の興味は持たなかった。

おそらく先日のaudio wednesdayに来ていた人で、渡辺茂夫のCDを聴いたことのある人は、一人だけ。
CDを持って来られた人だけのはず。

誰のCDなのか、どういう人なのか、全くの説明なしに渡辺茂夫のCDをかけた。
それで考え良かった。
何の先入観もなしに、ウェストレックス・ロンドンの音とともに、
渡辺茂夫の演奏に、皆驚いたのだから。

このCDは東芝から出ていた。
ライナーノーツによると、88.2kHz、20ビットでデジタル変換されている。
ならば、QobuzかTIDALで、このスペックのまま配信をしてほしい。

とにかく49年ぶりに鳴った野口晴哉氏のウェストレックス・ロンドンは、聴く人みなの心を捉えてしまった。

Date: 7月 10th, 2025
Cate: audio wednesday

Westrex Londonを鳴らしてみて(その1)

昨晩のaudio wednesdayでは、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーを鳴らした。
おそらくだが、野口晴哉氏が亡くなられてから鳴らされていなかったスピーカーだろう。
となると49年間、鳴らされていなかったことになる。

できれば事前にチェックして準備しておきたかったのだが、
そういう時に限って時間の都合がつかなくて、
ぶっつけ本番になり、なんとなくだが細かな不具合が起きそうな気はしていた。

しかも、こういう予感は当たるもので、
パワーアンプのマッキントッシュのMC275のトラブルも重なって、
ウェストレックス・ロンドンからステレオで音が鳴ってきたのは、20時30分を過ぎていた。

一度、アンプを取りに家に戻ったりして、しかも暑いし、
大変な一日になったけれど、それでもウェストレックス・ロンドンから鳴ってきた音を聴くと、
やって良かったな──、だけである。

本領発揮までは、まだまだ時間が必要だけど、
堂々とした、リアリティのある音が聴けた。

最初、右チャンネルだけを鳴るようにしてかけたのは、渡辺茂夫のCDだった。
モノーラルの状態だったから、モノーラルのCDをかけたわけだが、
このCDは、最近、よく来られる方が持ってこられた。

前回、渡辺茂夫のCD、持ってきます、と言われていた。それをかけたわけだ。

持ってこられた方も、かけた私も、他の人皆、鳴ってきた音に驚いた。

Date: 7月 9th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十九夜(さそうあきら氏のDJ)

8月6日のaudio wednesdayは、さそうあきら氏にDJをお願いしている。

「神童」、「マエストロ」、「ミュジコフィリア」と言った作品からもうかがえるように、
たいへんな音楽好きの方である。

6月には「絵師ムネチカ」も発売されている。上の三作品とは違い、
直接音楽を描いた作品ではないけれど、
私は「絵師ムネチカ」を読んでいて、以前書いたように、
ワグナーの「パルジファル」をおもっていた。

このへんは個々人の音楽の聴き方と関係してくることだから、
全然、そんなことは感じなかったという人がいてもいい。

今年1月に、DJの件を依頼。さそうあきら氏のスケジュールの関係で、
8月に行うことに決まっていた。

来月、やっとその日がやってくる。

Date: 7月 8th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜(Westrex Londonを鳴らす・いよいよ明日)

明日(7月9日)のaudio wednesdayでは、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーを鳴らす。
シーメンスのオイロダインと同じスタイルのスピーカーである。

このスピーカーは、まだ鳴らしていない。前もって確認しておきたかったが、都合がつかなかった。
なので、明日はぶっつけ本番で鳴らすことになる。
細かな不具合が発生するかもしれないし、スピーカーそのものの目覚めも時間がかかるであろう。

明日は、そんな過程、音の変化を聴いてもらうことになるだろう。

Date: 6月 29th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜(Westrex Londonを鳴らす)

7月9日のaudio wednesdayでは、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーを鳴らす。
エラックのリボン型トゥイーター、4PI PLUS.2を加えて鳴らす予定。

野口晴哉氏のリスニングルームの写真を見たことのある人ならば、シーメンスのオイロダインのサイドに、
デッカのリボン型トゥイーターがあることに気づかれているだろう。

野口晴哉氏は、JBLのネットワーク、N8000でローカットしてデッカをオイロダインに加えられていた。

2024年からオイロダインを鳴らすようになったが、現状、デッカへの結線は外して、
オイロダインのみが鳴るようになっている。
ネットワーク等を整備して、デッカを加えた音にする。

野口晴哉氏は、オイロダイン・サイドのトゥイーター以外に、
ストックとして、あと4台、デッカを所有されていた。

ストックのためだけだったのか、
それともウェストレックス・ロンドンでも同じことをやられようとされていたのか。

そのこともあって、今回、エラックとともに鳴らす。
当日、どんな音が鳴ってくるのか。
その音次第で、8月のさそうあきら氏のDJの会のスピーカーを決める。

Date: 6月 11th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜(Westrex Londonを鳴らす)

7月9日のaudio wednesdayは、ウェストレックス・ロンドンのスピーカーシステムを鳴らす予定でいる。

野口晴哉氏のリスニングルームの壁には、シーメンスのオイロダインが埋め込まれている。
そのオイロダインの下に位置するのが、ウェストレックス・ロンドン。
オイロダインと同規模のモノ。

ウェストレックス・ロンドンのスピーカーのことはあまり知らない。
過去に二度聴いたことはあるが、別のモノである。

今回鳴らすウェストレックス・ロンドンは、野口晴哉氏が亡くなられてから鳴らされていないようである。
鳴らないということは、まずないだろうが、どんな音で鳴ってくるのかは、全く予想できない。

昨年5月のaudio wednesdayで鳴らしたウェストレックスの757Aのような驚きを体験できるのか。

Date: 6月 5th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜

7月のaudio wednesdayは、第一水曜日ではなく第二水曜日の9日になる。

まだテーマは決めていないけれど、9日の天候(気温)次第では、やりたいことがある。

なので、いま二つのプランを持っている。今月下旬には、はっきりする。

Date: 6月 4th, 2025
Cate: audio wednesday

カルロス・クライバーのシューベルト

今日は、audio wednesdayだった。
野口晴哉氏のリスニングルームで鳴らすフランコ・セルブリンのKtêma。

いろんな曲を聴いた。
どの曲が、印象深く心に響いたかは、人によって違うはず。

私にとっては、カルロス・クライバーとウィーン・フィルハーモニーによるシューベルトの「未完成」が、そうだった。

こんなに美しい響きなのかと陶然となって、聴き惚れていた。
今日は、この曲だけで、もう充分だ、と思うほどに、美しいのは、この部屋のおかげなのだろう。

陶然となりながら思い出していたのは、数ヵ月前に読んだ内田光子のインタビュー記事だった。

「神の存在は信じないけれど、シューベルトを演奏してる時は、もしかしたらいるのかもしれないと思ってしまいます」

そんなことを語っていたと記憶している。

Date: 6月 3rd, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十七夜(FRANCO SERBLIN Ktêmaと野口晴哉記念音楽室・いよいよ明日)

明日(6月4日)のaudio wednesdayでは、これまで四回鳴らしてきているフランコ・セルブリンのKtêmaを、
これまでの空間ではなく、故・野口晴哉氏のリスニングルーム(野口晴哉記念音楽室)で鳴らす。

どういう音(響き)で鳴ってくれるのか、
なんとなく予想できると言えばできなくもないが、
それでも音は実際に鳴ってきたのが、全てで、
それがたまたま予想の範囲、もしくは延長線上にあるのか、
そうでないところで鳴ってくれるのか、
私自身、とても楽しみにしている。

今回もリクエストを受けつける。

Speaker System: FRANCO SERBLIN Ktêma + ELAC 4PI PLUS.2

Control Amplifier: EINSTEIN The Tube II

Power Amplifier: Viola Forte

CD Transport: Accuphase DP100

D/A Converter: Meridian ULTRA DAC

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 6月 2nd, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜

今月のaudio wednesdayは、これまで通り第一水曜日ですが、
7月のaudio wednesdayは諸般の事情により、第二水曜日の7月9日に行います。

Date: 6月 1st, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十七夜(FRANCO SERBLIN Ktêmaと野口晴哉記念音楽室)

すでに告知している通り、6月4日のaudio wednesdayは、
野口晴哉記念音楽室で、フランコ・セルブリンのKtêmaを鳴らすわけだが、
私は、このことを贅沢なことと受け止めているし、貴重な経験へとつながっていくことだとも思っている。

私だけがそう思っているのかもしれない。
またKtêmaを鳴らすのか、ただ部屋が変るだけだろう、
そんな捉え方もできるし、そう思う人もいるのはわかっている。

同じオーディオという趣味をやっていても、それこそ価値観は、まるで違ったりする。
感性だけでなく、価値観が違う。

それが当たり前であって、感性も価値観も同じ人と出会えるのは、そうそうない。

とにかく今回、Ktêmaを、野口晴哉氏のリスニングルームだった空間で鳴らす。

Date: 5月 28th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十七夜(FRANCO SERBLIN Ktêmaと野口晴哉記念音楽室)

これまでは、その月のaudio wednesdayが終ると、翌日には次回の告知をしていた。
5月の会を終えても6月の会の告知をしなかったのは、父の容態があったからだった。
なんとなくだが、6月は中止もしくは延期になる可能性が高い、と感じていた。

父の葬儀も終え東京に戻って来ているので、6月4日にaudio wednesdayを行う。

今回は、野口晴哉記念音楽室でフランコ・セルブリンのKtêmaを鳴らす。

これまで鳴らしてきた空間も、天井が高く十分に広かったが、
野口晴哉記念音楽室は、さらに広く天井も高い。

空間の大きさだけでなく、オーディオ機器の設置も変ってくる。
野口晴哉記念音楽室には、オーディオ機器の設置に最適と言いたくなるところがある。
CDトランスポート、D/Aコンバーター、コントロールアンプ、パワーアンプまでが置ける。
代わりに電源周りがやや不利になるけれど、それでもこれまで四回鳴らしてきたKtêmaの鳴り方が、どう変化するのか。

実を言うと5月の会の時、野口晴哉記念音楽室で鳴らすことも考えたが、
エアコンのない、この空間だとまだ寒く感じた。
6月4日だと、そういうことはないだろう。

Date: 5月 23rd, 2025
Cate: audio wednesday

30年ぶりの「THE DIALOGUE」(その23)

ステレオサウンド 60号に「プロが明かす音づくりの秘訣」の一回目が載っている。
一回目は菅野先生である。
低音について、こう語られている。
     *
菅野 だいたいぼくは、よく締まっているのがいい低音と言われるけれども、必ずしもそうは思わないんです。やはり低音はふくよかなものであるべきだと思うんです。締まっているというのは、結局ブーミーな、混濁する、ピッチのはっきりわからないような低音が多いから、それに対するアンチテーゼとして、締まった低音=いい低音というふうに受けとられているんじゃないかと思うけれども、本来、低音は締まっていたのではいけないんで、やっぱりファットじゃないといけない。ファットでいて明快な低音がほんとうにいい低音じゃないかと思います。
 それはピアノなんかでもそうですね。銅巻線の部分というのは、とにかく膨らんだ、太い音がしなきゃいけない。締まっているというのは言い方をかえれば少しやせているわけですから、たしかに明快です。けれどもほんとうの低音の表情が出てこないと思うんです。
 ほんとうの低音の表情というのは、太くて、丸くて、ファットなものだと思う。それでいて混濁しない。言葉で言えばそういうことなんですけれども、それだけでは言い切れないような、低音の表情に対するぼくの要求があるわけです。
     *
60号は1981年9月発売の号である。

フランコ・セルブリンのKtêmaから鳴ってきたベースの音は、実にこんな感じだった。

こんなことを書くと、Ktêmaで鳴らせば、必ずそういう低音が聴けると思い込む人が絶対にいる。

うまく鳴らせば、というよりもきちんと鳴らせば、聴ける。
だけど勘違いしないでほしい。

きちんと鳴っていないKtêmaで聴いて、これが菅野先生が語られていた低音だ、と思わないでほしい。

Date: 5月 20th, 2025
Cate: audio wednesday

30年ぶりの「THE DIALOGUE」(その22)

“THE DIALOGUE”がうまく鳴っている音を聴いていると、
あれこれいろんなことを思ったり、考えたりするのは、
私にとっての“THE DIALOGUE”も、青春の一枚だからだ。

十代のころ、よく聴いたディスクが全て青春の一枚なわけではない。
よく聴いたけれど、青春の一枚と言えないディスクと、
青春の一枚と言い切ってしまえるディスクとの違いは、どこにあるのか、と自分でもよくわかっていない。

それでもひとつ言えるのは、
瀬川先生が、熊本のオーディオ店でJBLの4343で鳴らされた音を聴いているからだ。
もし聴いていなかったら、青春の一枚にはならなかったかもしれない。

Date: 5月 13th, 2025
Cate: audio wednesday

30年ぶりの「THE DIALOGUE」(その21)

フランコ・セルブリンのKtêmaで、“THE DIALOGUE”の見事な鳴り方を聴いて、
そのパワーリニアリティの優秀さに驚き、感心するとともに、
ホーン型スピーカーのローレベルにおけるリアリティということも考えていた。

リアリティであって、ローレベルにおけるリニアリティではない。
ホーン型スピーカーならばなんでもいいというわけではなく、
優れたコンプレッションドライバーによるホーン型スピーカーということになるが、
ホーン型ならではのローレベルでのリアリティは、
現代のダイレクトラジエーター型のスピーカーからは、まだまだ得られないではないのか。

そしてもうひとつ思うことがある。
ここで書いているローレベルのリアリティとは、
スピーカーによる演出に近いのではないか、ということであり、
このローレベルのリアリティは、ホーン型スピーカーのそれとは違う、もうひとつがある、ということ。

伝統的なBBCモニタースピーカーにも、ホーン型とは違うローレベルのリアリティがある。

そこに私は惹かれているように、今回Ktêmaでの“THE DIALOGUE”を聴いての気づきだ。