audio wednesday (next decade) を一旦終えて(その後)
audio wednesdayが年に数回単発ならば、再開できる可能性が出てきた。
スペース的には大勢は入らない(そんなに大勢が集まることはない)けれど、音量の制約はない。
詳細は何ひとつ決まっていないけれど、来年になれば不定期ではあるが再開できそう。
器材の制約はあるが、その中でやっていくのも、個人的には楽しく感じている。
audio wednesdayが年に数回単発ならば、再開できる可能性が出てきた。
スペース的には大勢は入らない(そんなに大勢が集まることはない)けれど、音量の制約はない。
詳細は何ひとつ決まっていないけれど、来年になれば不定期ではあるが再開できそう。
器材の制約はあるが、その中でやっていくのも、個人的には楽しく感じている。
昨晩、お知らせしたように狛江でのaudio wednesdayは、10月を持って終了となった。
昨日、そう決めたわけだが、結果として10月のaudio wednesdayが終夜となって良かった、と思っている。
カラヤンとベルリンフィルハーモニーによるワーグナーの「パルジファル」を全曲鳴らすことができたからだ。
終りにふさわしい会となったなぁ、とひとり納得している。
11月に、ヴァイタヴォックスのCN191が鳴らせると楽しみにしていましたが、詳細を書きたくない事情により、前回(10月)で終了となりました。
いい場所が見つかれば、いつの日か再開するつもりでいます。
11月5日のaudio wednesdayでヴァイタヴォックスのCN191を鳴らすと決めてから、
先日のインターナショナルオーディオショウで聴くことができたし、
ヴァイタヴォックスからは新製品が登場するなど、不思議とヴァイタヴォックスとの縁(のようなもの)を感じている。
今回CN191を鳴らす器材は、いつもと同じである。
D/Aコンバーターは、メリディアンのUltra DACだ。
ここには日本製、アメリカ製ではなくヨーロッパ製を持ってきたいし、できればヴァイタヴォックスと同じイギリス製を、というのは、私のこだわりでしかない。
以前から感じていることなのだが、100dB/W/mほどの高能率スピーカーほど、MQAとの相性がいい。
野口晴哉氏のリスニングルームのスピーカーは、
シーメンスにしてもウェストレックス・ロンドンにしても高能率であるが、
その中でヴァイタヴォックスは低域もホーン型という存在。
それ故の難しさもあろうが、
オールホーン型という、いまでは稀少な存在となったスピーカーシステムを鳴らせるのは、楽しみでしかない。
ヴァイタヴォックスのCN191は、1977年の時点では一本796,000円だった。ペアで1,592,000円。
復刻されたCN191の価格は、ずっとわからなかった。エンクロージュアの手のかかる造りからして、かなり高価になっていることわかるし、
なんとなくだが、最低でもペアで800万円、もしかしたら1,000万円前後か、と思っていた。
今回のインターナショナルオーディオショウで価格がわかった。ペアで1,500万円ほどである。
約五十年ほどで十倍になったわけだが、復刻のCN191のホーンは、ずっしりと重たそうなウッドホーンになっている。
是枝重治氏の話では、ドライバーのS2も精度が高くなり、昔のS2よりもいい、ということだった。
ということはウーファーもエンクロージュアの造りも、昔よりも一段と良くなっているのかもしれない。
まだ日本では誰も復刻CN191の音を聴いていないのだろう。
そんな復刻CN191の音を想像しながら、11月のaudio wednesdayでは、昔のCN191を鳴らす。
11月5日のaudio wednesdayは、すでに告知している通り、ヴァイタヴォックスのCN191を鳴らす。
CN191がよく鳴っているのを、これまで聴いたことがない。
それでも鳴らしてみたいスピーカーの筆頭でもある。
野口晴哉氏のリスニングルームにあるスピーカーは、
ウェスターン・エレクトリックの594Aを中心としたシステム、
シーメンスのオイロダイン、ウェストレックス・ロンドンは、いずれも部屋に組み込まれているため、
スピーカーの置き方をあれこれできるわけではない。
CN191はコーナーに置かれている。
コーナー型スピーカーだから、野口晴哉氏のリスニングルームでは、
そこしかないという位置にある。
シーメンスやウェストレックス・ロンドンがある面から90度横を向く位置にある。
これまで野口晴哉氏のリスニングルームは横長での鳴らし方だったのが、CN191では縦長での鳴らし方となる。
それに左右のCN191のあいだには、ブリュートナー (Blüthner)のグランドピアノがある。
とにかくこれまでといろいろ条件が違う。
どんな音が聴けるのだろうか、という期待と、どこまで鳴らせるだろうか、というおもいもあったりする。
それでもCN191は、秋にじっくりと聴きたいスピーカー(音)というイメージがある。
ワーグナーの「パルジファル」を最後までかけ通すというのは、四谷三丁目の喫茶茶会記でやっていたころから、
いつか必ず、と思い続けてきた。
「パルジファル」に限らない。
ワーグナーの作品を最後までかけ通すのは、「トリスタンとイゾルデ」でもやりたいし、
毎月「ニーベルングの指環」を一作品ずつ、四ヵ月続けてかけることも考えている。
実際にやったら、毎回来られる方が減っていきそうなので、今回の反応を見て、今後のことは考えていく。
明日(10月1日)も、何人来られるだろうか。
Speaker System: Siemens Eurodyn + Decca DK30
Control Amplifier: Marantz Model 7
Power Amplifier: Accuphase A20V
CD Transport: Accuphase DP100
D/A Converter: Meridian ULTRA DAC
いつもは開場18時、開始19時だが、それでは最後まで「パルジファル」をかけられないため、開場18時、開始も1終了時間は22時。
開場は18時から。
会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。
参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。
10月1日のaudio wednesdayは、カラヤンの「パルジファル」だけをかける。
ワーグナーの音楽を聴くということは、どういうことなのか。
その一つとして私が挙げたいのは、最初から最後まで通して聴くということだ。
ワーグナーのために時間を割く。今日は通して聴こう、と聴き始める。
もう四十年ほど前のことなのだが、カルロス・クライバーの「トリスタンとイゾルデ」を通して聴こうと思い聴き始めると、
なぜか決まった人からの電話がかかってくるということが数回続いた。
偶然でしかないのだが、数回(それも毎回)続くと、
現代においてワーグナーを通して聴くことの難しさを実感するしかない。
半ば強制的に聴くしかないのが、ワーグナーの音楽だともいえよう。
カラヤンの「パルジファル」の演奏時間は四時間と十五分ほど。
いつもと同じ19時開始だとかけ終らない。
なので今回は18時、開場と同時に開始する。
今回は休憩時間も設けずに、カラヤンの「パルジファル」をかけていく。
退屈なテーマといえば、確かにそうだ。
それでも四時間ちょっと、ワーグナーの音楽に触れ続ける。得られるものが、きっとあるはずだ。
それは人それぞれであっても、何かひとつは、ある。
10月1日のaudio wednesdayは、シーメンスのオイロダインでワーグナーを聴くが、テーマとなる。
ワーグナーのみをかける。
9月の会と同じくデッカのリボン型トゥイーターとの組合せ。
アンプ類は変らないが、10月はデジタルでD/Aコンバーターは、やはりメリディアンのUltra DACである。
デッカを鳴らすまでは、クナッパーツブッシュの「パルジファル」をかけるつもりでいたが、
9月の会の音を聴いていて、カラヤンの「パルジファル」に心が傾いている。
カラヤンの「パルジファル」が、Ultra DACの三種のフィルターによって、どんなふうに音が、表情が変るのか。
これ以外はない、と言えるほどぴったりくるフィルターは、三つの中にあるのか。
それによっては、たっぷりとカラヤンの「パルジファル」を鳴らす。
タイトルにも本文でも、デッカのDK 30としているが、
これは読まれている方がどんなトゥイーターか、イメージしやすいようにであって、
野口晴哉氏が使われているのは、
正確にはRomagna ReproducersのMK11HFである。
トゥイーターの裏面に、手書きでそう記してあるわけだが、おそらくMK11は、MK IIかもしれない。
つまりはデッカ・ケリーとも呼ばれるリボン型トゥイーターの原型のはずだ。
このRomagna ReproducersのMK11HFが、
いつごろ、どういう経緯からデッカ・ケリー(Decca Kelly)となり、頭文字のDK30となっていたのか、
そのへんの詳細は知らないが、MK11HFの造りはDK30よりもしっかりしている。
それでもシーメンスのオイロダインが隣にある環境で比較してしまうと、コンシューマー用だと思うしかない。
野口晴哉氏のオイロダインを鳴るようにしたのは、2024年5月。
オイロダインの裏側にはカバーがかけられていた。このカバーを外すと、少なくとも五十年以上、
野口晴哉氏が所有されてからだと、おそらく六十年くらいか、
それだけの月日が経っているとは思えぬほどのコンディションだということが、
見ただけで伝わってきた。
これは、今回、デッカのリボン型トゥイーターを鳴らすため、その結線のため、
オイロダインの裏側に回って、改めて実感していた。
オイロダインもデッカも、スピーカー端子はネジ式である。
このネジの状態が、まるで違う。
デッカの方は、長い年月が経っていていることを感じさせる。
そうだよなぁ、五十年以上経っているのだからと思いながら、
ネジを外して、端子まわりをきれいにしていった後で、オイロダインに目を向けると、
造りが違うとは、こういうことをいうのだな、と感心するほどに、輝きを失っていない。
ネジひとつとっても、メッキ処理が大きく違うのか、と思える。
劇場で、スクリーンの後ろという、決してスピーカーにとって、いい環境とはいえないところで、
連続して何時間も音を鳴らしていくスピーカーとしての造りが、そこにはある。
デッカは、そういう使われ方を想定したスピーカーユニットではない。
あくまで家庭用のスピーカーであって、お金を稼ぐためのスピーカーと同次元で比較するのが間違っているのはわかっている。
それでも野口晴哉氏のリスニングルームで、この二つのスピーカーが近接して取り付けられていて、それを間近で接すれば、どうしても比較してしまう。
オイロダインは、くたびれない。そう感じていた。
スピーカーシステムの最高域を補うトゥイーターのことを、一般的にスーパートゥイーターと呼ぶが、
野口晴哉氏のオイロダインにデッカのリボン型トゥイーターは、
その使い方(結線)からして、スーパーではなくサブトゥイーターという認識の方がいい。
そんなトゥイーターの使い方で、いったいどれだけ音が変るのか。
8月の会で、ウェストレックス・ロンドンのシステムに、
エラックのリボン型トゥイーターを足した時ほどの誰の耳にもわかりやすい変化ではないが、
明らかに音は変化している。
今回は、とにかくデッカを鳴らすことだけを優先して、
カットオフ周波数の細かな設定は一切やっていない。
なんとなく、このくらいの周波数でカットオフしよう、
コンデンサーの値は、このくらいになるから、近い値のコンデンサーを買ってきただけだ。
まず音を鳴らす。そしてしばらく聴く。調整はそれからでいい。鳴らさないことには、何も始まらない。
私の耳には、何が大きく違って聴こえたかというと、
音楽のタメ(演奏のタメ、歌い方のタメ)が、よく出るようになったと感じた。
その分、音楽がより濃厚に感じられる。
そしてこの「タメ」が、最新のオーディオが鳴らすのと、
往年の高能率スピーカーが鳴らすのとでは、大きく違っているところとも感じる。
それは何もオーディオの世界だけではなく、演奏家もそうだと思っているし、感じている。
シーメンスのオイロダインの最低域と最高域を、
エレクトロボイスの30Wとデッカのリボン型トゥイーターで補う。
これを聞いて、マークレビンソンのHQDシステムを思い出す人もいれば、
ステレオサウンド 38号を読んだことのある人ならば、上杉先生のシステムを思い出すはずだ。
HQDシステムは、QUADのESLを中心に、最低域をハートレーの224HS、最高域をデッカのリボン型(ホーンは外されている)で補っている。
しかもESLはダブルスタックという、かなり大がかりな構成。
上杉先生のシステムはオイロダインを中心に、最低域はエレクトロボイスの30W(しかもダブルウーファー)、トゥイーターはテクニクスのホーン型。
こちらも相当に大がかりな構成である。
野口晴哉氏が、30Wをどう使おうとされていたのか。いまとなっても、誰も知らないしわからない。
オイロダインにデッカのリボン型トゥイーターだから、ここに30Wだろう、と私が勝手に推測したいるだけだ。
仮にそうだったとしよう。それでもHQDシステムや上杉先生のシステムとは、違うといえば違う。
オイロダインは出力音圧レベル104dBという高能率型。
デッカのリボン型トゥイーターは公表されていないが、なんとなくではあるが、90dB前後だろう。
10dBほどの違いがあり、こういう場合、本来ならばデッカに専用アンプを持ってきて、マルチアンプシステムになる。
けれど既に書いているようにJBLのN8000を介してデッカは接続されているから、
デッカの受持帯域の音圧レベルは、オイロダインよりも低い。
野口晴哉氏が、いくつものスペアを所有されていて、
今回の会で鳴らしたデッカのリボン型トゥイーターもそうだ。
オイロダインの横で鳴っているペアの他に、あと四本ある。
これを眺めていると、オイロダインには出されていたのに、ウェストレックス・ロンドンの方には──、という疑問がわく。
なぜオイロダインにだけデッカなのか、
ウェストレックス・ロンドンにも予定されていたのか。
野口晴哉氏のスピーカーは、劇場用スピーカーの流れを汲むモノが多い。
というかほとんどがそうだ。
そうでないのはQUADとスタックスのコンデンサー型くらい。
オーディオ雑誌の記事でしか知らない人は、野口晴哉氏はワイドレンジ指向ではない、と思っていても仕方ない。
けれどデッカのリボン型トゥイーターがあるし、JBLの075、2405もある。
実はこれだけでなく、屋根裏にはエレクトロボイスの30Wが二本ある。
言うまでもなく30Wは、その型番からわかるように30インチ(76cm)口径のウーファーだ。
この30Wを、どう使われるつもりだったのか。
たぶん、ここに取り付けられるはずだったのでは──、と思うところはある。
そこだとして、30Wは、どのスピーカーとの組合せとなったのか。
ヴァイタヴォックスのCN191のスピーカーの位置からして違う。
594Aのシステムか、オイロダインか、ウェストレックス・ロンドンなのか。
可能性が高いのは、オイロダインなのではないだろうか。
今月のaudio wednesdayも暑かった。先月ほどではなかったけれど、暑さは残っていた。
来月はもう10月だから、さすがに暑いということはないはず。涼しいはず。
だからワーグナーだけの会にする予定だ。
シーメンスのオイロダインで、最初から最後までワーグナーだけをかける。
人によっては退屈な時間となるし、苦痛に近くなるかもしれず、辛抱の三時間となるだろう。
ワーグナーは、最初から面白おかしく、楽しく聴ける音楽をつくっていない。
それでも聴き続けることで、美しい旋律に心奪われることが起こる。
そんなワーグナーの音楽を、終始退屈な音楽にしてしまうスピーカー(音)もある。
ゆえにオイロダインで、ワーグナーを遠ざけてきた人に聴いてもらいたいだけでなく、ワーグナーの音楽をわかっている(つもり)の人も、含めて、だ。