ゴールドムンドのEidos 20とパイオニアのDV600のことは、
どこかで書こう、とは以前から思っていた。
思ってはいたけれど、どの項で書こうかな、とは迷っていた。
今回別項「JBL SA750」を書いていて、ここに書くことにした。
Eidos 20のベースがDV600だということがインターネットで騒がれたころ、
DV600を購入して、Eidos 20に近づけよう、という人が現れた。
同じことを、私も考えていた。
DV600を二万円を切る価格で買ってきて、徹底的に改造していく。
Eidos 20と直接比較試聴してどうこうとかではなく、
ゴールドムンドがEidos 20のベースモデルとして選ぶくらいなのだから、
かなり楽しめるだろうし、いい結果も期待できるであろう、と。
DV600の改造記のウェブサイトは、二つくらいあったように記憶している。
それらのウェブサイトを見るまでもなく、
実際にゴールドムンドのように筐体をまったく別物にする、というのは、
かなりの手間であることは、やる前からわかる。
Eidos 20の内部写真では、二枚のプリント基板はDV600そのままのように見える。
少しは手を加えていた可能性も考えられるが、
それほど手の凝んだことをやっていたわけでもないだろう。
電源トランスは違っていた。
けれどいちばん大きな違いは、やはり筐体である。
CDプレーヤーは、アナログプレーヤー以上に振動の影響を受ける。
以前、20万円ほどの国産CDプレーヤーを、廃棄寸前までいじった経験からも、
これははっきりといえる。
DV600の筐体は、ペナペナといっていい。
ゴールドムンドの筐体は、しっかりとしている。
それに仕上げがまるで違う。
Eidos 20とDV600の音を聴いたことはないが、
おそらくそうとうに違っていたと予想できる。
これを金属加工の専門家でない者がやろうとすると、かなりの手間となる。
どこかに加工を依頼することになるはずだが、けっして安くはないどころか、
そうとうに高くつくことになるはずだ。
しかも一台作って、すべてうまくいく、ということはなかなかない。
試作機を二台、三台ほど作ることになったら、かかる費用はどれだけになるのか。
それに自身の手間賃をどう捉えるか。
まったくゼロとするのか、時給換算してみるのか。
日本で二万円を切る価格で売られていたDV600をベースしたEidos 20が、
約六十倍の価格になる。
このことを、ぼったくりと言い切るのは簡単だ。
私も120万円は高いな、と思うけれど、ぼったくりか、というと、
そこまでとは思っていない。
DV600の二万円は日本での価格であって、
ゴールドムンドはパイオニアから直接購入しているわけでないのだから、
しかもヨーロッパでの価格だから、二万円ということはなかったはずだ。
それをベースに、筐体がまったく別物に仕上げられてスイスから送られてくる。
価格の違いは、そうとうに出てきても別におかしくはない。
でも、くり返すが120万円はやはり高い(とは思うが、ぼったくりではないとも思う)。
ぼったくりと主張する人はそれでもいよう。
そういう人は、自分でEidos 20に近づける工夫をやってみるといい。