Archive for category サイズ

Date: 1月 3rd, 2023
Cate: サイズ

サイズ考(LPとCD・その5)

その1)を書いたのは2014年10月14日。
これを書き始めた時は、いずれインターネットを介して音楽を聴くようになるとは思っていたけれど、
まだパッケージメディア(LPとCD)で音楽を聴いていた。

その4)が2017年1月31日だから、この時点でもLPとCDだけだった。
e-onkyoから購入しダウンロードして聴くようになったのは、2019年12月からだし、
TIDALで聴くようになったのは2020年からだ。

TIDAL、e-onkyo、どちらで聴くにしても、
LPのサイズ(30cm)、CDのサイズ(12cm)、そういう感覚はここにはない。
サイズがないからだ。

かろうじてサイズを感じるといえば、それはiPhoneのサイズである。
iPhoneで聴くこともあるし、コントローラーとして使うからなのだが、
そうであっても、LP、CDのサイズ感とiPhoneのそれとを同じように感じているのかといえば、
そうではないようだ。

その3)で、オーディオのサイズに関してはLPの直径が深く関係しているようだ、
と書いた。私の場合ではあっても、そうである。

若い世代になると、CDの12cmが、その基準となるのかもしれない。
だとすれば、LPもCDも体験せずに、
最初からストリーミングで音楽を聴くようになった世代にとって、
オーディオのサイズの基準となるのは何なのだろうか。

そんなものは、もうないのだろうか。

Date: 2月 22nd, 2022
Cate: サイズ

サイズ考(その77)

L07C、Mark 2500の寝起きが悪いということを読んで、
まず温度が深く関係していることは、誰でもが思うことである。

パワーアンプの場合、出力段のトランジスターに流れる電流を、
バイアス回路で管理する。

このバイアス回路は温度補償もかねて、出力段とどこかで熱結合されている。
それゆえに、バイアス回路をどこに置くのかは、
パワーアンプの音質を大きく左右することになる。

取り付け位置がまずいと、温度に関して不安定気味になる。
あまりシビアに反応しても、うまくないわけである。

といってあまり反応しない位置に取り付けてしまえば、
熱暴走で出力段のトランジスターを壊してしまうことにもなりかねない。

大型(大出力)のパワーアンプになればなるほど、ヒートシンクは大型化していく。
トランジスターの数も増える傾向にある。

ヒートシンク全体が常に同じ温度であるならばいいのだが、温度差は生じるし、
出力段のトランジスターのすべてが同じ温度で動作させるということは、
なかなか難しいことである。

SAEのMark 2500を見てみると、動作中の出力段の温度を、
サーモグラフィーを出力段の表面温度を測ってみたくなる。

Mark 2500の出力段は2パラレル・プッシュプルだが、
トランジスターの数は片チャンネルあたり八個である。

トランジスターを二段重ねで使う回路のためである。
この八個のトランジスターが水平に四個ずつ二列に並んでいる。

どうみても、これら八個のトランジスターの温度が同じになるとは、
なかなか考えにくい。

電源投入時と二、三時間鳴らした状態でサーモグラフィーで表面を温度を測ったら、
どんな結果になるだろうか。

Date: 2月 21st, 2022
Cate: サイズ

サイズ考(その76)

1970年代後半ぐらいから、
アンプのウォーミングアップの問題が、オーディオ雑誌でもとりあげられるようになってきた。

電源を入れてすぐの音は、そのアンプ本来の音ではない。
電源を入れておく。ただそれだけで済むのならば、まだいいが、
実際のアンプのウォーミングアップは信号を入れて鳴らしてから始まる。

それでも30分程度で終るのであれば、まだいい。
このころのアンプの中には二、三時間程度のウォーミングアップを必要とするモノがあった。

国産アンプでは、トリオのコントロールアンプL07Cがそうだった。
瀬川先生はステレオサウンド 47号で、
《2時間以上鳴らし込むと真価を発揮するクリアーで緻密な音質が独特》と書かれている。

本調子になるのが遅いアンプといえる。
それでもL07Cはコントロールアンプで消費電力は大きくないから、
電源をずっと入れっぱなしにしておけば、ウォーミングアップの時間はある程度短くなる。

問題はパワーアンプだ。
同時代のパワーアンプでは、SAEのMark 2500(2600)がそうだった。

瀬川先生の愛用だったパワーアンプのMark 2500は、
《鳴らしはじめて2〜3時間後に本当の調子が出てきて、音の艶と滑らかさを一段と増して、トロリと豊潤に仕上がってくるこ上が聴き分けられる》
とステレオサウンド 41号で書かれている。

休日ならば、それでもまだいい。
でも仕事が終り帰宅してからのわずかばかりの音楽鑑賞の時間。

なのにアンプが本調子になるのが二、三時間後では、
いい音に仕上がってきたころには、アンプの電源を落さなければならない──、
そういうことだってままある。

いい音になるための時間はしかたない、必要な時間である──、
そう割り切ったとしても、なぜ? という疑問は残る。

Date: 2月 11th, 2022
Cate: サイズ

サイズ考(その75)

サイズというよりも重量と振動に関して、
オーディオの世界でよく語られていることに、
重いモノは振動しにくいが、一度振動し始めるとなかなか振動がおさまらない、
一方軽いモノはすぐに振動するけれど、その振動はわりとすくに収束する──、
ということである。

この説に納得している人は多いように感じている。

正しいように思える説であるし、
間違っている説なわけでもない。
とはいえ、つねにそうなのか、というと私は昔から疑問に感じている。

そのモノに加えられる振動が、ごく短い波形であれば(たとえばパルス一波だけ)、
たしかにそうであろうが、実際の音楽信号は、そういうわけにはいかない。

つねに変化し続けている信号(振動)が加わるわけである。
決して短いとはいえない時間、加わるわけである。
この点がごっそり抜けての、重いモノは、軽いモノは──という説を、
素直に信じられるだろうか。

それに重いモノと軽いモノが同一の素材であれば、という条件が、この説にはつく。
けれど実際のところ、重いモノと軽いモノは材質が違うことの方が多い。

材質が違っていて、重いモノは、軽いモノは──を単純に比較することは無理である。

Date: 2月 9th, 2022
Cate: サイズ

サイズ考(その74)

同じ抵抗であるならば、1/4Wよりも1/2Wのほうが、
1/2Wよりも1Wのほうが、1Wよりも2Wのほうが……、
温度係数はよくなるし、音に関していい結果が得られる、ということになる。

富田嘉和氏は確かメタルクラッド型で数十Wの抵抗まで試されていた、と記憶している。
入力抵抗での実験でもあったはずだ。

入力抵抗だけであれば、かなり大型の抵抗の採用もありかもしれないが、
回路全体の抵抗を、そこまでW数の大きなモノにすることは、
スペースの関係上、現実的とはいえない。

それにW数に比例して抵抗のサイズも増していくということは、
温度係数だけの変化とはいえなくなる。
振動に関しても、サイズの違いは関係してくるし、
サイズの大きな部品を使うということは、配線(プリント基板のパターン)も、
変化していくことだってある。

だから実際の音の変化は、温度係数の違いだけではなく、
その他の要素も絡んでの複合的な変化といえば、そうである。

それでも温度係数の大きい・小さいは、音への影響は小さくないように感じている。

温度係数の観点からのみみれば、
現在の、表面実装型の部品は、ひじょうに小型だし、不利ともいえる。

けれど別の観点からみれば、W数が増すことで大きくなるサイズは不利なこともある。

Date: 2月 3rd, 2022
Cate: サイズ

サイズ考(その73)

抵抗器は、その種類によって温度係数が違うだけでなく、
同じ種類の、同じメーカーの抵抗器であっても、
W(ワット)数によっても温度係数は違ってくる。

同じメーカーの同じ品種(シリーズ)の抵抗であれば、
W数の大きい方が温度係数は優れている。

この温度係数は、温度変化による抵抗値の変化の具合をあらわす。
温度係数悪い抵抗は、温度変化による抵抗値の変化幅が大きく、
温度係数が優れている抵抗は、温度変化に変化による変化幅が小さい。

もちろん理想は、温度変化に関係なく、常に抵抗値が一定である、ということ。
けれど、そんな理想の抵抗は、世の中には存在しない。
多かれ少なかれ、温度係数が、すべての抵抗に存在する。

とはいっても温度変化による抵抗値の変化は、わずかといえばわずかである。
しかも温度が一定ならば、変化しないわけなのだから、
何が問題なのか? と思われる人もいよう。

アンプ内部に使われている抵抗のほとんどは、音楽信号が通る。
音楽信号はつねに変動している。
その変動する信号が抵抗を通過することによって、
抵抗内部の温度が、わずかながら変化する。

この変化が、音質に影響するのではないか──、という推測である。

レベルの小さな信号が流れているときと、
大きな信号が、それも連続して流れる時とでは、
抵抗内部の温度が変化することは用意に考えられることだ。

けれど、その変化幅はごくわずかのはずだ。
そのごくわずかな変化幅が、どれだけに音に影響するのか。
ほんとうのところは、誰にもはっきりと測定し証明することは、
そうとうに難しいことだろう。

それでも抵抗のW数の大きいモノを使っていくことで得られる音の変化は、
温度係数と深く関係しているのではないか。

そういったことを富田嘉和氏がラジオ技術に発表されていた、と記憶している。
それに、世の中で音がよいと評判の抵抗は、温度係数の優れたモノが多い。

Date: 9月 30th, 2021
Cate: サイズ

サイズ考(SAE Mark 2500を眺めていると)

SAEのMark 2500が届いて三ヵ月ちょっとが経った。
コーネッタから音を出さない日も、毎日眺めているのだが、
こんなに小さかったっけ、と思う。

アメリカのアンプだから、19インチ・ラックマウントのフロントパネルをもつ。
それに300W+300Wの出力だから、決して小さいアンプなわけはない。

Mark 2500をステレオサウンドで知ったとき、
大きいアンプだな、と思っていたし、
実物を見ても、やはりそう感じていた。

なにをもってフルサイズというのか、
それを語るところから始めなくては──、と思いつつも、
Mark 2500は、当時のアンプとしてフルサイズといえる一台だった。

つまり大きなアンプだったのだ。

なのにMark 2500の登場から四十年以上が経ち、
Mark 2500はむしろ小さく感じられるようになっている。

金属ブロックを削り出してシャーシーを作っているアンプ、
大きく重く見せようとしているアンプを見慣れてしまうと、
Mark 2500のサイズはコンパクトだな、ということになる。

自然空冷でなく強制空冷ということでヒートシンクの造りが、
簡単なモノですんでしまっていることも、そう感じてしまえることに関係している。

おもしろいもので、Mark 2500のサイズとプロポーションが、
自分のモノとして毎日眺めていると、発売から四十年以上経っているのに、
やたら新鮮に思える。

中学生のころ、Mark 2500を小さく感じられるようになるなんて、
そして新鮮に感じられるようになるなんて、想像できなかった。

Date: 1月 21st, 2021
Cate: サイズ, 冗長性

サイズ考(その72)

ステレオサウンド別冊「コンポーネントステレオの世界 ’79」の巻頭、
瀬川先生の「’78コンポーネント界の動向をふりかえって」のなかに、こうある。
     *
 35ミリカメラの一眼レフの流れをみても、最初はサブ機的なイメージでとらえられていたものが、数年のあいだに技術を競い合っていまや主流として、プロ用としても十分に信頼に応えている。オーディオもまた、こうした道を追って、小型が主流になるのだろうか? 必ずしもそうとは言いきれないと思う。
 たしかに、ICやLSIの技術によって、電子回路はおそろしく小型化できる。パーツ自体もこれに歩調を合わせて小型化の方向をとっている。けれど、オーディオをアナログ信号として扱うかぎり、針の先でも描けないようなミクロの回路を通すことは、やはり音質の向上にはならないだろう。プリント基板にエッチングされた回路では電流容量が不足して音質を劣化する、とされ、エッチング層を厚くするくふうをしたり、基板の上に銅線を手でハンダづけする手間をかけて、音質の向上をはかっている現状では、アンプの小型化は、やはり限度があるだろう。オーディオがディジタル信号として扱われる時代がくれば、手のひらに乗るアンプも不可能ではなくなるだろうが……。
     *
この時代、国産アンプは、プリント基板の箔の厚みを増したことを謳ったモノが登場していた。
銅箔の厚みが増せば、電気抵抗もわずかとはいえ低くなる。
それによる音への変化ももちろんあるが、
プリント基板の振動(共振)という点でも違っていたであろう。

銅箔の薄いプリント基板と厚いプリント基板。
指で弾いてみると音は違っていたはずだ。

この数年後に、
ラジオ技術で富田嘉和氏が、2SK30一本(一段増幅)のラインアンプを発表された。
オーディオクラフトから製品化されているPL1000である。

発表後、部品についての記述があった。
抵抗を通常のW数よりもずっと大きなモノにすることによる音の変化の大きさを記されていた。
数十Wといった、かなり大型の抵抗まで試されていた、と記憶している。

通常の抵抗は1/2Wか1/4Wである。
抵抗のW数によって抵抗の精度はかわりない、といえる。

何が変るのか、といえば、富田嘉和氏によれば温度係数ということだった。

Date: 1月 31st, 2017
Cate: サイズ

サイズ考(LPとCD・その4)

幼かったころ、テレビからは「大きいことはいいことだ」というCMがよく流れていた。
森永のエールチョコレレートのコマーシャルソングで、山本直純氏が起用されていた。

子供の耳にも残りやすかったし、頻繁に流れていたようにも思う。
学校に行けば、誰かが口ずさんでいた。
それだけインパクトのあったコマーシャルだった。

「大きいことはいいことだ」と子供時代に刷り込まれてきた……、
とは思ってはいないが、
「大きいことはいいことだ」とは思うところがある。

大きいこと(というかモノ)が、すべていいとはいわないが、
何か大きいこと(モノ)を蔑む風潮が、オーディオにはあるようだし、
いつのころからが、その傾向が顕著になりつつあるようにも感じている。

特に大口径ウーファーに対してのそれは、
浅薄な知識による拒絶とでもいいたくなる言説を耳にしたり目にしたりする。

大口径ウーファーのすべてを認めているわけではないが、
大口径ウーファーでなければ得られない音の世界がある。

それにしても、なぜ大きいことは知性に欠ける、といった風潮が生れてきたのだろうか。

Date: 1月 24th, 2017
Cate: サイズ
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サイズ考(LPとCD・その3)

私にとって、大口径といえる(思える)サイズといえば、
なんといっても38cm(15インチ)以上のウーファーになる。

30cmだと大口径とは感じないのは、
それはLPと同じサイズだからのような気がする。

いいかえれば38cm以上を大口径と認識してしまうのは、
LPよりも明らかに大きいからである。

少なくとも私にとって、オーディオのサイズに関しては、
LPの直径が深く関係しているようだ。

仮に他の人もそうだとしよう。
私と同世代、上の世代はLPが基準となるが、
その下の世代で、音楽を自発的に聴きはじめたころはすでにCDだった、という人たちにとっては、
CDの直径、12cmが基準となるであろう。

とすればその世代の人たちにとっては、
15cm口径のウーファーから大口径となるのかもしれない。

38cm口径からを大口径と感じる世代と、
15cm口径からを大口径と感じる世代とでは、サイズ感は大きく違ってくる。

CDよりも小さな記録媒体。
ミニディスクではなくて、iPodやiPhoneが記録媒体、
さらにはインターネット上のクラウドともなると、もうサイズという概念はなくなる。
容量という概念すら消えてしまうだろう。

そうなってくると、もう10cm口径ですら大口径ということになるのだろうか。

人間のサイズに対しての感覚の形成について、
専門的なことは何も知らないし、何も調べていない。
ただ自分の感覚で書いているだけだから、まったく見当違いかもしれないとは思いつつも、
ヘッドフォンからスピーカーへと、オーディオの世界を拡げていく人が意外に少ないのは、
このあたりのことも関係しているのではないだろうか。

Date: 1月 24th, 2017
Cate: サイズ

サイズ考(LPとCD・その2)

ステレオサウンドにいた時に、富士通のワープロが導入された。
OASIS 100Fというモデルだった。
5インチのフロッピーディスクがシステムディスクであり、記録メディアだった。
ずいぶん昔の話だ。

Macを使ったDTPの仕事を一時期していた時、
光磁気ディスクはバックアップ用にもデータの受け渡し用にも必要だった。
受け渡し用には3.5インチだったが、バックアップ用には容量の関係で5.25インチだった。

3.5インチのディスクも、私が使っていたころの容量は128MBだった。
その後、容量は増えていっている。

情報密度は増していき、記録媒体のサイズは小さくなる。

LPとCDは直径では半分以下であり、
面積的には1/4以下である。

その後、ミニディスクが登場し、音質面はともかくとして、サイズはさらに小さくなった。

プログラムソースといえばLPという時代にオーディオの世界に踏み込んだ者のサイズ感と、
CD以降の世代のサイズ感とでは、ずいぶんと違うのかもしれない。

LPでは直径30cmのディスクだったから、
アナログプレーヤーの大きさはそれなりのサイズになり、
アンプもスピーカーも、それなりの大きさであっても、バランスがとれていた。

けれどCDは12cmの直径である。
LPとCDのサイズの違いだけからすれば、
それまでの感覚でバランスがとれていたと感じていたアンプやスピーカーは、
すでに大きすぎなのかもしれない──。
そう考える世代がいても不思議ではないのかもしれない。

そう考えると、ヘッドフォンのみで、スピーカーで音楽を聴かない、
もしくは大型スピーカーを毛嫌いする人たちが増えていると聞くのも、
むしろ当り前なことなのかもしれない。

CD、ミニディスク……、いまではもっとサイズは小さくなっているといえるのだから。

Date: 3月 15th, 2015
Cate: サイズ

サイズ考(トールボーイ型スピーカー・その1)

セレッションのSL6、続いて登場したSL600、
以降、小型スピーカー、それもサブスピーカー的な小型スピーカーではなく、
メインスピーカーとしての小型スピーカーが数多く登場するようになった。

それ以前の小型スピーカーとの違いはいくつかあって、
そのひとつとして挙げられるのは専用スタンドが用意されることが増えてきたことでもある。

サブスピーカーとして小型スピーカーであれば、
本棚におさめたり、テーブルの上に置いたり、と、
メインスピーカーとしての設置とは違っているのが普通であった。

けれどメインスピーカーとしての小型スピーカーの設置となれば、
専用スタンドに乗せ、できるだけ左右に拡げ、左右の壁、後の壁からもできるだけ距離を確保する。
そういう設置が一般的になってきた。

つまり小型スピーカーとはいえ占有する空間は大型スピーカーの設置とあまり変らなくなる。
スペースファクターはサイズの割には良くない。

ならば多くの人がエンクロージュアを縦に長くしたらどうか、と考える。
いわゆるトールボーイのスタイルである。

専用スタンドとの組合せが前提なら、
スタンドの分もエンクロージュアにしてしまえば、占有床面積はほぼ同じままで、
内容積は二倍、三倍、もしくはそれ以上に増やせる。

ウーファーの数もダブルにしようと思えば可能である。
そうすれば低域再生に、小型エンクロージュアのままよりも余裕が生れる。

トールボーイは、小型スピーカーの行き着く形態のように思えた。
きっと誰もがそう思ったのかもしれない。
トールボーイのスピーカーシステムがいくつも出て来た時期があった。

だが小型スピーカーに傑作は少なくないが、
トールボーイ型となるとそうではなくなる。

Date: 1月 27th, 2015
Cate: サイズ

サイズ考(iPhone 6 PlusとApple Watch)

今年発売と発表されているApple Watch。

Apple Watchがあるから、AppleはiPhone 6 Plusを出してきた、
つまり、大きいといわれるサイズで出してきた、と思う。

もしかするとApple Watchが実際に登場すると、iPhoneのサイズはまた大きくなるかもしれない。

Apple Watchがあれば、さまざまな通知はこれたけで確認できる。
さまざまな通知の中で、しっかりと確認したいものだけをiPhoneで見る、ということになるであろう。

Apple WatchとiPhoneの両方をもつことで、
iPhoneを取り出す頻度はかなり減ってくるのではないか。
ならばiPhoneのサイズは、収納しやすい、取り出しやすいといったことから解放されるのではないか。

別項「いい音を身近に(その16)」でふれた、
インダストリアルデザイナーの坂野博行さんの
「スタイリングは、サイズと構成の上に成り立つ」を思い出していた。

Date: 12月 4th, 2014
Cate: サイズ

サイズ考(iPhone 6 Plus)

iPhone 5Sを使っている。
その前はiPhone 4Sだった。
サイズは少し大きくなっている。

iPhoneはジーンズの前ポケットに入れている。
なのでiPhone 5Sのサイズがギリギリかな、と思っているし、
iPhone 6のサイズ、それもiPhone 6 Plusの大きさとなると、
もうジーンズの前ポケットに収まるとはいえないから、大きいな、と思っていた。

一ヵ月ほど前、ベビーカーを押しながら女の人が電車に乗ってきた。
そのお母さんがiPhone 6 Plusを取り出して操作している姿を見て、
iPhone 6 Plusを大きくない、と初めて感じた。

その人は革製のケースにiPhone 6 Plusをおさめていた。
だから手帳のように開いて、左手で持ち右手で操作だった。

iPhoneをどう捉えるのか。
電話が携帯できるようになり、そこにさまざまな機能が搭載されたモノとしてみるならば、
私にとってはiPhone 5Sがギリギリの大きさということになる。

けれど電子手帳に電話機能が搭載されたモノとしてみるならば、iPhone 6 Plusのサイズは、
大きいとはもう感じなくなっているし、むしろ魅力的な大きさだと思えてくる。

もし電車に乗ってきたお母さんが革製のケースを使っていなかったら、
iPhone 6 Plusをいまでも大きい、と受けとめていたはず。

革製の、しかも開いて使うタイプのケースに収めることで、少しとはいえサイズは大きくなる。
けれど、そのことによって両手でiPhone 6 Plusを自然に使うようになれば、
もう大きいとは感じなくなっている。

サイズに対する感覚のいいかげんさなのかもしれないし、
サイズは単なる数値で表されるものではない、ともいえる。

Date: 10月 14th, 2014
Cate: アナログディスク再生, サイズ

サイズ考(LPとCD・その1)

CDが1982年に登場して、もう30年以上が経つ。
CDは片手で持てる。
その名のとおりコンパクトなディスクである。

最初CDを見て触れた時、小さいな、と感じた。
それまでプログラムソースとしてもっとも聴いていた(さわっていた)のはLPの12インチだから、
CDのサイズはかなり小さく感じた。

CD登場以前からオーディオをやってきた者にとっては、
CDのサイズはシングル盤(7インチ)よりも小さいわけで、
けれどシングル盤が片面に一曲ずつしか記録できないのに対して、
CDは片面だけでLPよりも長い時間を記録できるから、よけいに小さく感じたものである。

それにシングル盤はドーナツ盤といわれるように中心の穴が大きい。
だから片手で持てるわけだが、実際にプレーヤーにのせるときには両手を使う必要がある。

CDはトレイにのせるのに両手は必要としない。
むしろ両手でやろうとすると面倒である。片手で持ち、片手でトレイにセットできる。
だからこそコンパクトディスクなのだと思う。

そんなCDを、いまでも小さいな、と感じることがある。
その一方で、アナログディスク(LP)を大きいと感じる人(世代)もいるようだ。

つまり12インチが私にとって標準サイズになっていることに気づかされる。
だから、いまでもCDを小さいと感じるわけだ。