サイズ考(その75)
サイズというよりも重量と振動に関して、
オーディオの世界でよく語られていることに、
重いモノは振動しにくいが、一度振動し始めるとなかなか振動がおさまらない、
一方軽いモノはすぐに振動するけれど、その振動はわりとすくに収束する──、
ということである。
この説に納得している人は多いように感じている。
正しいように思える説であるし、
間違っている説なわけでもない。
とはいえ、つねにそうなのか、というと私は昔から疑問に感じている。
そのモノに加えられる振動が、ごく短い波形であれば(たとえばパルス一波だけ)、
たしかにそうであろうが、実際の音楽信号は、そういうわけにはいかない。
つねに変化し続けている信号(振動)が加わるわけである。
決して短いとはいえない時間、加わるわけである。
この点がごっそり抜けての、重いモノは、軽いモノは──という説を、
素直に信じられるだろうか。
それに重いモノと軽いモノが同一の素材であれば、という条件が、この説にはつく。
けれど実際のところ、重いモノと軽いモノは材質が違うことの方が多い。
材質が違っていて、重いモノは、軽いモノは──を単純に比較することは無理である。