Archive for category Noise Control/Noise Design

Date: 12月 6th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(アンプの脚・その4)

11月のaudio wednesdayで、
マッキントッシュのMCD350とMA7900の脚に少しばかり細工したことはすでに書いているとおり。

昨晩のaudio wednesdayでは、脚そのものを交換した。
別に高価なアクセサリーとして売られてるモノにしたわけではない。
東急ハンズで売っているモノを使っている。

たったこれだけの変更なのだが、トータルでの音の変化はけっして小さくない。
昨晩のaudio wednesdayではメリディアンのULTRA DACを、
9月に続いて、再び聴くことができた。

入力側の機器がこれだけよくなると、
脚による音の変化はそれだけ大きくなる。

パッと見て、脚が変っていることには気づきにくい。
私が言う前に気づいた人はいなかったが、
音の違いは、ほぼ全員が感じていた。

アンプの脚を交換しただけで、
しかも費用は千円もかかっていない。
たったそれだけで、どれだけの音の変化か、と疑う人は疑っていればいいし、
オリジナルに手を加えるなんてけしからん、と思う人も、そのまま変らずにいてくれればいい。

井上先生がよくいわれていたように、
情報量が増えれば増えるほど、ささいなことで音は少なからぬ変化をする。

結局、そういうことである。

Date: 11月 11th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(アンプの脚・その6)

あのスプリングが、こんなにも音を悪くしているのを知ったのは、
井上先生の試聴のときだった。

井上先生が、スプリングのところに布製の粘着テープを巻いてみろ、といわれた。
やってみると、あきらかに良くなる。
音の見通しがよくなるのである。

布製の粘着テープを貼ることで変ったのは、
この部分の振動(共振)に関することである。

井上先生は、さらに取ってみろ、ともいわれた。
これはちょっとやっかいだった。

このスプリングは鉄製で、径も細いとはいえない。
ラジオペンチ(ロングノーズプライヤー)でスプリングの端を掴んで力を加えていく。
スプリングを伸ばしながら、ケーブルから外していくわけだ。

力はけっこう要るし、時間もかかる。
四箇所外さなければならない。
もうやりたくない、と思った。

でも外した音を聴くと、また同じことをやるだろう。
そう思えるほどの音の変化だった。

音を聴けば、わかる。
スプリングは機械的共振で聴感上のS/N比を悪くしているし、
鉄という磁性体ということでも聴感上のS/N比を、二重に悪くしている。

トーンアームの出力ケーブルに流れる信号の微小ぐあいを考えれば、
この部分に鉄製のスプリングを使うのは論外ともいえる。
濁った音とはどういうものかは、こういう音のことである。

SMEもSeries Vに付属していたケーブルからはスプリングがなくなっていた。

Date: 11月 11th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(アンプの脚・その5)

私が書いたのを読んで、
プラスチック製の脚の空洞に綿を詰めるマッキントッシュのユーザーは、
ほとんどいないように思っている。

やらない人のなかには、音は変るだろうけど、
ラックに収まっているマッキントッシュの重たいアンプをひっぱり出して、
また収める手間がめんどうだ、と感じてやらない人もいれば、
マッキントッシュの盲目的信者で、オリジナルに手を加えることはけしからん、という人もいよう。

それでも、音は変る。
聴感上のS/N比がよくなる。
よくなる、といういいかたよりも、
プラスチック製の脚で劣化していたのが、ある程度回復する、というべき。

もしかすると、やる人もいることだろう。
やった人のなかには、たしかに効果があった、という人もいれば、
変らないじゃないか、という人もいるはずだ。

変らないと感じたのであれば、セッティングが聴感上のS/N比を考慮していない、
雑共振を抑えられていない、そういう状況下で使っているわけだ。

ある程度のセッティングになっていれば、
脚の空洞に綿を詰めた効果は、はっきりと音に出る。

もっとも綿を詰めただけで、
プラスチック製の脚のもつイヤなところを完全になくせるわけでもない。
そこから先は、いろいろと試してみればいい。
ネジだけで取り付けられているのが脚なのだから。

こんなふうに聴感上のS/N比を劣化させているものには、
RCAケーブルの保護用の金属のスプリングがある。

よく知られているところでは、SMEの以前のケーブルがそうである。
RCAプラグの根元に鉄製のスプリングがついていた。

Date: 11月 10th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(アンプの脚・その4)

今回のプラスチック製の脚を見て思うことは、
マッキントッシュというメーカーに関することだけでなく、
マッキントッシュはアメリカのメーカーだから、当然のことながら、
日本には輸入元がある。エレクトリである。

エレクトリは、このプラスチック製の脚を、なんとも思っていないんだな、と、そう思う。
プラスチック製の脚が、聴感上のS/N比を確実に悪くすることをわかっている人が、
エレクトリにはいない(ようだ)。

それともわかっていても、そのまま流通させているのか。
どちらにしても、輸入商社とはいえず、輸入代理店にすぎない。

何号か前のステレオサウンドで、エレクトリが取り上げられている。
そこで、エレクトリは輸入代理店ではなく、輸入商社である──、
そんなことが載っていた。

別項で書いているように、輸入代理店と輸入商社は、はっきりと違う。
輸入商社であってほしいわけだが、それはこんな細かいところへの配慮にあらわれる。

輸入商社であるならば、エレクトリはマッキントッシュにいうべきである。
それをやったのかやらなかったのか。

やったのだけれども、マッキントッシュがプラスチック製の脚を変更しないのであれば、
日本でまともな脚に付け替えればいいだけのことだ。
簡単に交換できることなのだから。

それだけで製品の評価は上る。
輸入したモノを右から左に流しているだけでは、輸入代理店にすぎない。

こんなことを書きたくなるほど、プラスチック製の脚は聴感上のS/N比をひどく悪くしている。
もったいないことだ、と思う。

Date: 11月 9th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(アンプの脚・その3)

マッキントッシュの盲目的な信者からは、
そんなことはけしからん、とか、
マッキントッシュはあえてプラスチック製の脚をつけているんだ、
だから、そのままの状態で聴くことが正しい、とか、
そんなことをいわれそうだが、
現実として、詰め物次第ではあるが、音はいい方向へと変化していく。

耳障りな雑共振をある程度抑えただけであっても、音はしなやかな方へと変化していく。
マッキントッシュのアンプの音も、ずっと以前のMC2300の音は、ずいぶんと変化してきている。
しなやかさ、柔軟さを身につけてきているからこそ、
いまどき、なぜ、こんなプラスチック製の脚をつけるのか、と疑問に思う。

ゴム脚よりも安いから、だろう。
今回脚に綿を詰める際に、MA7900の底板を見て、
こういうところもコスト削減しているな、と感じた。

1980年代のマッキントッシュの底板は、こんなに薄くなかった。
いまどきのハイエンドのアンプのように、
金属の削り出しで製造しろ、なんていわないし、
そんなのはマッキントッシュの製品には似合わない。

けれど、いまの筐体の、持った感じからも伝わってくる薄さも、
私のイメージとしては、マッキントッシュ製品にはふさわしくない。

あとちょっとだけ厚くしてくれれば、と思う。

井上先生だったら、MA7900、MCD350の脚について触れられていた、はずだ。
さらっと書かれていた、と思う。

別項で、MA7900の操作性と取り扱い説明書について書いている途中だが、
マッキントッシュが、多機能とツマミの整理を両立させようという試みは、
コスト削減が裏に隠れている、とみていい。

ツマミの数が減れば、パネルの加工が減る。
加工の箇所が減れば、ガラスパネルの場合、歩留まりもよくなるし、
コストも削減できる。

そういう事情はメーカーの内部だけに留めておいてほしい。
ユーザーに、そんなことをいっさい感じさせない仕上がりで製品を提供してほしい。

Date: 11月 9th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(アンプの脚・その2)

今回やったことは、ずっと以前に別のアンプで実践している。
そのアンプの脚も、今回のマッキントッシュと同じでプラスチック製で、
内部に空洞がある。

ここに綿を詰める。
それだけである。

やった結果の音が気にくわなければ、すぐに元通りに戻せる。
綿を詰めた状態で、プラスチック製の脚を指で弾くと、
空洞のままでの音とは、明らかに違う。

もちろんプラスチックは空洞を埋めたところでプラスチックのままだから、
指で弾いた音が、プラスチックを感じさせる音から、
金属的な音や木質系の音に変換するわけではないが、
耳につく、イヤな感じの音は減る。

たったこれだけのことであっても、音は変化する。
中高域の、耳につきやすい帯域あたりの、
いわゆるツッパル感じの音が、かなり抑えられる。
完全になくなるわけではないが、そんな音が減るだけでも、
音は素直に拡がってくれるようになる。

そんな経験があったから、今回、マッキントッシュのMCD350とMA7900の両方に施した。
やった結果は、音にきちんと顕れる。

MCD350の上級機、MA7900の後継機、上級機も、
おそらく同じ脚がついているのではないだろうか。
それとも上級機ともなると、脚も変更しているのか。

それにしても、なぜ、こんな安っぽい脚をつけるのか。
音だけでなく、見た目も安っぽい。

何も非常に凝った脚をつけてくれ、とはいわない。
そんな脚は、マッキントッシュの製品には似合わない。
オーソドックスなゴム脚で、いい。

Date: 11月 8th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(アンプの脚・その1)

喫茶茶会記のCDプレーヤーとアンプは、現在マッキントッシュである。
MCD350とMA7900である。

MCD350になって約一年。
audio wednesdayでセッティングを変えて鳴らしても、
どうしても気になるところが残る。

同じ傾向はMA7900にも感じていた。
その原因のひとつは、最初からわかっていた。

MA7900もMCD350も同じ脚が使われている。
プラスチックの成型品で、内部が空洞になっているタイプである。
リブは四本入っているので、強度的には問題ないだろうが、
脚内部の空洞にしても、材質にしても、使ってほしくないと感じる。

こういう脚がついていると、どうして一般的なゴム脚にしないのか、とも思う。

MA7900、MCD350の脚を指で弾くと、耳につく、イヤな音がする。
この音が、アンプ、CDプレーヤーの音に影響しないのであれば、気にすることはないが、
残念なことに、というか、当然のことながら、はっきりと音に影響する。

情報量が多ければ、それだけ影響は大きいし、
重量があって、しかも重量バランスが悪ければ、また影響ははっきりと出てくる。

置き台と脚のあいだにフェルトを挿むというやり方がある。
もちろん何度も試している。

音は変化する。
でも、その変化量が、こちらの予想とはずいぶん違うのは、
脚の根本的な悪さに起因する、といってもいい。

数万円のアンプだったら、こんな脚でも、文句はいわないが、
マッキントッシュのCDプレーヤー、プリメインアンプ、
どちらも百万円をこえているわけではないが、決して安価とはいえない価格帯の製品だ。

それなのに、こんな安っぽい脚なのか。
昨晩のaudio wednesdayのテーマは、歌謡曲を聴くだった。
それに来月のULTRA DACに備えて、このところをなんとかしておきたかった。

とりあえず一旦脚を外し、内部の空洞に綿をつめて取り付けなおした。
MA7900、MCD350の両方、八本の脚に同じ細工をした。

Date: 10月 4th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その13)

聴感上のS/N比をよくするには、
スピーカーの場合、不要輻射を極力抑えることは有効である。

そのことからすると、喫茶茶会記のホーンにバッフルを取り付けたことは、
不要輻射面積を増やすことでもあり、
そのことによる聴感上のS/N比の劣化はある、といえばある。

それでもアルテックの811Bホーンは、
そのままではホーンの縁を指ではじければ、けっこうな鳴きがある。

今回は30mm厚の合板をバッフルとした。
バッフルに取り付けたからといって、鳴きが完全に無くなるわけではないが、
鳴きの余韻の長さは違ってくる。

このことによる聴感上のS/N比は、少しよくなっている。
それはホーンとドライバーの置き方、支え方も変更した。

これまでの置き方よりも、エンクロージュアとの接触面積は、そうとうに小さくなっている。
それにドライバーの横に置いていた075を、インライン配置にしたことで、
ドライバーの周りがすっきりと片づいている。

バッフル板、支持のための部材を含めると、これまでよりも天板への荷重は重くなっている。

それによるエンクロージュアの天板の振動は、測定しているわけではないが、
ずいぶんと変化している。

天板の振動の変化は、音場感の変化にもつながる。
バッフルによる不要輻射面積が増えたことに関しては、
次回、対応する予定でいる。

Date: 9月 2nd, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(「生命現象の基本にゆらぎを発見」を読んで)

JT生命誌研究館というウェブサイトに、
サイエンティスト・ライブラリーという項目がある。

そこで大阪大学教授の柳田敏雄氏の「生命現象の基本にゆらぎを発見」が読める。

こういうサイトがあるのを、いままで知らなかった。
facebookのおかげで知った。

「生命現象の基本にゆらぎを発見」は、
オーディオとは直接関係があるわけではない。
それでも《ノイズばかりのざわざわした状態そのものがシグナルなのだろう》は、
やはりそうなのか、と思ったし、間違ってなかった、とも思った。

Date: 7月 28th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その12)

CR方法は、コイルに対しての手法であり、
コイルのあるところならば、いろいろてところに試せる。

スピーカーユニットのボイスコイル、
トランスの巻線、カートリッジのコイル、それからネットワークのコイルもそうである。

ネットワークのコイルに関しては、6月のaudio wednesdayで実験している。
6dBスロープのネットワークだから、コイルはウーファー側にだけ入る。
このコイルの直流抵抗は、約0.5Ω。

DALEの無誘導巻線抵抗は、もっと低い値まであるが、
ディップマイカは下限は1pFまで。
なので1Ωと1pFの直列回路をウーファーのネットワークのコイルに並列に接続した。

ここでの効果は、デメリットになるかもしれない、と半分くらい思っていた。
結果は、意外なことに、ここにおいても効果的だった。

コイルは定常状態を維持しようとする。
信号が流れていないコイルを信号を流そうとすると、
流させまいとしてパルス性のノイズを発生する。
反対の場合も同じである。ノイズが発生する。

このノイズに効いているのだろうか。
効いていないとは考えていないが、それだけとは思えない。

トランスを含めて、コイルのあるところ、今後試していく予定だが、
個人的に興味があるのは、真空管アンプのヒーター回路である。
それも出力管用のヒーター回路である。

ヒーターの点火方法は、定電流(定電圧ではない)点火だと考えている。
以前書いているから省略するがTL431を使った定電流回路が、いまのところはいい。

ただ電圧増幅管はまだいいが、出力管を定電流点火しようとするなら、
非常に大がかりになる。
出力管の定電流点火は、大きなメリットをもたらすだろうが、
その音は聴かない方が賢明だと思っている。

誰かがやったのを一度聴いてしまったら、きっとやってみたくなるはずだからだ。
アンプを設計したことのある人ならば、その大変さは想像できよう。
だから聴かない。

それでも……、とやはり考える。
定電流点火までは無理でも、従来の交流点火も見直せるのではないか。
そのひとつが電源トランスのヒーター巻線へのCR直列回路の取り付けである。

Date: 7月 28th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その11)

負荷側のインピーダンスが高域においてどんどん上昇していく。
信号源(アンプ)の出力インピーダンスよりもはるかに高い値になれば、
ロー送りハイ受けで、特に問題はないように考えがちだが、
負荷側の高域でのそうとうなインピーダンスの上昇は、
アンプ側からみれば、のれんに腕押し状態なのかもしれない。

可聴帯域ではしっかりと手応えがあるのに、
高域、それも可聴帯域をはるかに超えたところではまったく手応えがないのれんに腕押し、
つまり無負荷に近い状態になる──。

実際にスピーカーを最低でもMHZの領域まで測定してみないと、正確なところはいえない。
それでも可聴帯域よりも上、それもそうとうに上の帯域では、
可聴帯域とはずいぶん様相が違っているのは当然だろう。

それに対してアンプは、どう動作しているのか。
周波数特性的にはそこまでのびていない、というか、保証されていない
数kHzぐらいまでの周波数特性は測定されている。

MHzも、そうとうに上の周波数となると、いったいどういう挙動を見せるのか。
そんな上の方まで信号に含まれていない──、
確かにそうだが、ノイズはそうではない。

スピーカーユニットの端子に、できるかぎり最短距離でCRの直列回路を取り付ける。
特にコンデンサー側のリード線は短くしたい。

ここを安直に、スピーカーユニットではなく、
スピーカーシステムの端子に取り付けても意味はない。

CR直列回路によって超高域においてのインピーダンスは補正されているはず。
超高域においての無負荷状態は防いでいるはずだ。

ステレオ・ギャラリーQの出力トランスの16Ω端子に取り付けられているのは、
20Ωと0.05μFの直列回路である。

真空管アンプの出力トランスの二次側の直流抵抗は、20Ω程度ではなく、一桁低い。
だからCR方法の算出では、抵抗は数Ωであり、コンデンサーは数pFとなる。

ここまで低くすると、聴感上わからなくなるのでは? と思われるかもしれないが、
おそらく音の違いははっきりとあらわれると予想している。

Date: 7月 27th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その10)

その1)で書いているように、
CR方法は電源トランスに対して行われていたものだ。
それを私が「五味オーディオ教室」でのテレフンケンのS8のスピーカーでの記述。
そこに《配線図にはない豆粒ほどのチョークやコンデンサー》が、とあった。

このふたつのことを当時中学生だった私は、勝手に結びつけたわけだ。
だから本来は電源トランスであり、それを私はスピーカーユニットにも有効のはずだと考えた。
実際に有効である。

ならば次に考えるのは信号系のトランスである。
入力トランス、段間トランス、出力トランスなどがある。
いずれ試してみようと考えていたところに、Oさんから興味深い記事のコピーが届いた。

ラジオ技術(1968年10月号)掲載の300Bシングルアンプの製作記事である。
筆者は葉山滋氏(ラックスの上原晋氏のペンネーム)で、
記事を見ればわかるように当時話題になっていたステレオ・ギャラリーQのアンプそのものである。

一見すると見逃しやすいが、このアンプの出力トランスの16Ω端子には、
20Ωと0.05μFの直列回路が並列に接続されている。

これについて上原晋氏は、《段間に使われる積分形補正素子とは少し違う狙い》とされている。
スピーカーを接続しない状態でも、
超高域で出力トランスが無負荷になることを防止するもの、とのこと。

高域でインピーダンスの上昇するスピーカーは多く、
これらが接続された場合の20kHz以上の帯域で常に負荷がかかるようにするためである。

参考例としてラックスの出力トランスの、16Ω負荷時と開放時の周波数特性が載っている。
二次側が開放になっていると、20kHz以上で大きな差となる。
周波数特性のグラフは500kHzまで測定されているが、
500kHzでは15dBほどの違いであり、開放になっていると高域は確かにあばれている。

こういう現象が起るのは、
出力トランスの分割巻きれた各セクションの持つリーケージインダクタンス、
線間容量、対アース容量、各セクション間の結合容量の影響が、
適正な負荷がかかっていればバランスが保たれるのが、
無負荷ではバランスが崩れるために生じてしまう、とある。

Date: 7月 25th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その9)

CR方法は、7月のaudio wednesdayでも、
グッドマンのAXIOM 402に試している。
効果はあった。

その後、Beymaの30cm口径のダブルコーンフルレンジユニットでも試している。
この時の音を聴いていたのは私を含めて三人。
その効果は、誰の耳にも明らかだった。

Beymaのユニットのボイスコイルの直流抵抗は、
カタログには6.2Ωとなっていて、実測では6.3Ωだった。

6.3、6.2という値のディップマイカがないので、
6.8Ωと6.8pFの組合せで試している。

6.8pFという容量は小さい。かなり小さい。
今回の6.8Ωと6.8pFの場合、
6.8pFのコンデンサーのインピーダンスが6.8Ωになる周波数はどのくらいかといえば、
それは非常に高い周波数で、可聴帯域は超えているし、100kHzどころか、MHzの領域でもない。

6.8+6.8=13.6Ωだから、
2GHzにおいて、6.8Ωと6.8pFの直列回路のインピーダンスは13.534Ωとなる。

実際のところ、このCR直列回路がどのくらいの周波数から作用してくるのか、
なんともいえない。

Beymaのダブルコーンで試したのは、Oさんのお宅である。
われわれが帰ったあと、Oさんはシミュレーション回路で確認してみたそうだ。

スピーカーの等化回路に並列に、6.8Ωと6.8pFの直列回路が加わったとき、
差はまったく出なかった、そうだ。

そうだろう、と思っていた。
コンデンサーの容量がpFではなくμFならば、シミュレーション上でも違いは出るはず。
けれどpFである。

それでも音の違いとしてはっきりと出るのだ。

Date: 4月 29th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(余談)

昨日(4月28日)は、男三人で中野に昼ごろからいた。
目的はサンプラザで行われていたヘッドフォン祭でもあったし、
近くの中野四季の森公園でのラーメン女子博でもあったし、
そのあとの、まだ明るい時間からの飲み会でもあった。

そこで聴感上のS/N比の話題も出た。
日本テレガードナーのM12 GOLD SWITCHのことも話題になった。

M12 GOLD SWITCHはスイッチングハブ。
しかも相当に高価である。
それが、一週間ほどAさんのところにある、という。
試聴会をしよう、ということになる。

散会して、一時間ほどして、Aさんからメッセージがあった。
試聴会の日時の連絡だった。

そこには、聴感上のS/N比がとは、がテーマとあった。
ただ「聴感上の」と書いてあったのではなく、聴感上(情)、とあった。

聴感上と聴感情。
聴感上(ちょうかん・じょう)に対して、聴感情(ちょう・かんじょう)であり、
聴感上がシステム、部屋を含めて聴き手の耳に届くまでの領域に対し、
聴感情は、聴き手の内面の領域であり、
そこにおけるS/N比は、なにかヒントになりそうな予感もしている。

Date: 3月 16th, 2018
Cate: Noise Control/Noise Design

Noise Control/Noise Designという手法(その51)

バッファーアンプをつけ加えることは、
ノイズ的に考えれば、ゲイン0dBのノイズをつけ加えることである。

ゲイン0dBだからノイズのレベルは低いはずだが、それでもゼロというわけではない。
LNP2を測定してみれば、バッファーの有り無しでは、ノイズに違いがあるはず。

このゲイン0dBのノイズだけが、バッファーがあったほうが、
LNP2の表現力が増す理由のすべてではないと考えているが、重要な要素だと捉えている。

バッファーをつけなくとも、LNP2にはゲイン0dBにできる機能がある。
INPUT AMPのゲインは、どの時代のLNP2であっても0dBのポジションがある。

ここを0dBにしておけば、高価なモジュールLD2を二個追加する必要はなくなるのか。
別項「LNP2になぜこだわるのか」の(その5)、(その6)、(その7)、(その8)に書いているが、
このdB GAINの切り替えは、音に大きく影響する。

瀬川先生も書かれていたし、私も何度も試してみたが、ゲインは高くしたほうがいい。
鳴らすスピーカーの出力音圧レベル、パワーアンプのゲインによっては、
ゲインを高くすると、やや使いづらくなる面は確かにあるが、それでも音のよさにはかえられない。

矛盾しているではないか。
そういわれるかもしれない。
INPUT AMPのゲインの0dBの音は認めてなくて、
バッファーの0dBはいいのか、と。