聴感上のS/N比と聴感上のfレンジ(その17)
太い音は、褒め言葉だ、と(その16)で書いているが、
太い音が出てますね、こちらが褒め言葉としていったとしても、
受けとる側は人によっては、貶されたと受けとることだってある。
二、三年前だったか、ある人があるディスクをかけてほしいと、
audio wednesdayにもってきた。
聴き終って、雑談の感じで、ある人が「テレビ的な音」といった。
それに私も同意したわけだが、二人とも、その録音がひどいという意味で、
テレビ的な音といったわけではなかった。
けれど、そのディスクをもってきた人はそうではなかったようだ。
かなり心のどこかに「テレビ的な音」といわれたことがひっかかっていたようだ。
そのディスクの録音を貶された、侮辱された、とでも思っていたようだった。
けれど、そう受けとってしまうのは、ディスクをもってきた人の心に中に、
「テレビ的な音」を貶す表現として持っているからだろう。
もしかすると、彼自身、テレビ的な音と表現して、
ある種の音をバカにしているのかもしれない。
そうだからこそ、もってきたディスクに対して「テレビ的な音」といわれての反応のようだった。
こういう時に、ことこまかに説明したところで通じることは、まずない。
結局、その人が、その表現を普段どう使っているかが、こういうときに顕になるだけだ。