Archive for category 604-8G

Date: 10月 29th, 2026
Cate: 604-8G, ALTEC

ALTEC 604-8G + Sansui EC10(その3)

JBLの2220Bの重量は7.7kg。アルテックの604-8Gは15.4kgと、2220Bのほぼ二倍。これだけの違いでもフロントバッフルへの加重、つまりテンション(ストレス)はずいぶん違うのだが、2220Bの奥行きは14.9cm、604-8Gは28.3cmと、これも二倍ほどある。

同じ重量であっても、奥行きの長短でフロントバッフルへの加重は違ってくるのに、重い604-8Gの方が奥行きが長いのだから、フロントバッフルだけで604-8Gを支えるのは、フロントバッフルの響きを相当に殺す(歪める)ことになるだけに、604-8Gの後方を、何らかの方法で支えることで、フロントバッフルへの負担を減らすことが重要となる。

同じことは、ホーンとドライバーの組合せでもいえる。JBLの375+537-500の組合せでは、ドライバーとホーン、金属製の脚を共締めしている。

375+537-500では、この部分の脚と音響レンズ後方の脚とで全体を支えている。375の重量は11kgを超える。これだけの重さのモノが、いわば宙ぶらりんとなっている。

375+537-500は前後の金属製の脚を含めての形に魅力があるとは思っているが、375の重量をなんらかの方法で軽く支えることで、音はずいぶんと変化する。

支えるといっても、強く突っ張ってしまうと必ずしもいい結果にはつながらないから、あくまでも軽く支えるくらいがいい。

四谷三丁目の喫茶茶会記でaudio wednesdayをやっていた時、アルテックのホーンとドライバーは、ここで述べたのと同じ考えで全体の重量を支えていた。

604-8Gでも、そうする。

Date: 10月 15th, 2026
Cate: 604-8G, ALTEC

ALTEC 604-8G + Sansui EC10(その2)

サンスイのECシリーズのカタログの冒頭には、こうある。
     *
JBLのエンクロージャーは厳選した高級合板や硬質圧縮材を使用、不要な共産や振動を防ぐ卓越した設計をしているようにECシリーズも厳選した素材を使って、入念な手造りの仕上げをしています。EC-10、EC-20、EC-30はすべてバスレフ型エンクロージャーですが、その最大の特徴はバッフル板に18mm、13層の北欧産桜等厚合板を採用したことです。緻密な材質で、板振動特性に優れた桜合板製バッフル板がエンクロージャーとしての完成度を高めています。
北欧産桜等厚合板のバッフル板と特殊硬質パーチクルボードの天板、側板の接続は〝止め構造〟を採用しています。これはバッフル板を含めて全ての板面の接合面積が広いため、強度が高い一体化構造となり、しかも板振動も理想的なものです。
また、内部には米松の補強材を十分取り付けており、ウーファーの圧倒的な重低音再生にも箱鳴りや音像のくずれはありません。
     *
JBLのスピーカーシステムのエンクロージュアの材質を全て知っているわけではないが、少なくともECシリーズ登場以前で、北欧産桜等厚合板が使われたことはない、と思っているし、井上先生が、ステレオサウンド 62号掲載の「JBLスタジオモニター研究」で、このように書かれている。
     *
 また補強棧が多く使われていることも目立つ変化である。とくに、4343系と比較すれば、天板と底板に、横方向に大きな補強棧が使われているのが特徴である。この補強棧の使用法は、低域の再生能力を改善する目的で使われる例が多く、国産のスピーカーシステムでは低域の改善方法として採用されている標準的な手法である。裏板の補強棧の使用法も4343系と大きく異なるが、エンクロージュア側板の補強棧が、横位置から縦位置に変更されていることも含み、エンクロージュアの鳴きを抑える方向ではなく、適度に響きの美しさをいかす方向のチューニングであることがわかる。これは、バッフルボードに約19mm厚の積層合板が採用されていることからも明らかなことである。積層合板がバッフル板に使用されたのは、正式に公表されたものとしては(筆者は以前JBLのエンクロージュアで、同じ型番のものでも、チップボードを使ったり、積層合板を使ったりしているものを見ている)、JBL初のことと思われる。
     *
サンスイのECシリーズはJBLとの共同開発なのだが、一方的にJBL側からのアドバイスを受けての設計ではなく、サンスイ側からも提案がなされたのではないのか。

その結果、ECシリーズが登場し、そこでの成果が4343の後継機の4344のエンクロージュアに活かされているようにも思われる。

そのECシリーズのエンクロージュアにアルテックの604-8Gを取り付けるわけだから、エンクロージュアの響きは殺さず、歪めず鳴らしたいと考えている。

Date: 10月 14th, 2026
Cate: 604-8G, ALTEC

ALTEC 604-8G + Sansui EC10(その1)

アルテックの604-8Gのためのエンクロージュアをどうしようかとあれこれ探していた時、ヤフオク!を眺めている時間は長くなっていた。

アルテック純正の620A、620Bエンクロージュアが出品されているのも何度か見ている。
落札しようかと思いながらも、いまひとつ決心がつかなかったのは、オリジナルであることの面白みが欠けること、それにネットワークはオリジナルを使うつもりは最初からなったから、フロントバッフルに開けられているネットワーク用の開口部をどうするかが、主な理由だ。

不要な開口部はメクラ板でふさげばいいのだが、このメクラ板の仕上げをどうするか。黒で塗るにしても、なんとなくしまらない感じがする。

何度も入札の一歩手前で留まっていた。次に目をつけたのは、タンノイなRectangular Yorkのエンクロージュアだった。620エンクロージュアよりも少しばかり小さいのも気に入っていた。

ヤフオク!には、620エンクロージュアよりも出ている。それらを眺めていて気づいたのは、フロントバッフルのユニット取付用開口部の中央、垂直に補強桟が入っているモノとないモノとがある。

Rectangular Yorkは、私がオーディオに興味を持つ以前の製品ということもあって、詳細をそれほど知らない。とはいえ、この違いは気になる。

Rectangular Yorkで画像検索していくと、搭載ユニットがHPD385に変更になってから、この垂直の補強桟が設けられたようである。
なぜかというと、HPD85になりユニットの重量が増している。アルテックもタンノイの同軸型ユニット、特にアルニコ時代のモノは重いだけでなく、ユニットの奥行きも長い。

このことはフロントバッフルへの荷重が、かなりあるというこたで、それだけフロントバッフルにはテンション(ストレス)がかかっている。

おそらくだが、開口部垂直の補強桟がなければ、HPD385になってからの荷重に、Rectangular Yorkのフロントバッフルは耐えられなくなっていたのだろう。

フロントバッフルへの荷重が増してテンションも大きくなると、フロントバッフルの響きは、それまでとは違ってくる。

Date: 6月 24th, 2025
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その32)

アルテックの604-8Gを中心としたワイドレンジなシステムの構築は、
おそらくなのだが、技術的な完成度を高めていこうとすればするほど、
604-8Gの限界もはっきりしてくるはず。

同軸型ユニットという構造、そして中高域をホーン型としたことによる制約が、
技術的に詰めれば詰めるほど、どうしても解消できない問題として残る。

そこを面白いと感じられるか、
限界が見えているから、といってその程度のモノと思ってしまうのか。

そういうところがあるから、アルテックの同軸型ユニットはスピーカーというモノ、
スピーカーシステムというモノを理解するのにつながっていると、私は思っている。

スピーカーというカラクリの面白さを、どこに見出すのか。こここそが肝心な一点のはずだ。

Date: 4月 9th, 2024
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その31)

ここでは、
アルテックの604-8Gを中心としたワイドレンジシステムの構築について書いている。
ウーファーについて書いている。

トゥイーターは、というと、エラックの4PI PLUS.2で決りだな、と、
4月3日のaudio wednesdayの音を思い出しながら、いま書いている。

4PI PLUS.2が終のスピーカーとしてやって来る前から、
604-8Gには4PI PLUS.2が合う、という確信めいたものはあった。

一般的にいわれている(おもわれている)ような604-8Gの音を、私は求めていない。
それだからこそ4PI PLUS.2だ、と目星はつけていた。

同じ同軸型ユニットでも、タンノイよりもアルテックにつけて鳴らしてみたい。
いままでは604-8Gをなんらかのエンクロージュアにおさめて、
その上に4PI PLUS.2を置くことを想像していたけれど、
604-8Gを平面バッフルに取りつけるというのが、大きくなってきている。

今回の会のような置き方でもいけるという手応えが、そうさせている。

それにエンクロージュアの上に4PI PLUS.2というかっこうは、
604-8Gのスタイルとうまく一致しないような気もしている。
単に見た目の問題だけなのだが、604-8Gの精悍な正面をみながら、
その上にきのこスタイルの4PI PLUS.2だと、ちぐはぐでしかない。

サランネットをつければ604-8Gは見えなくなるのだから、
それでいいじゃないか、といわれそうだが、サランネットをつければ、
それですべて解決するようなことだろうか。

サランネットで隠れていようと、
サランネット越しに604-8Gが見えている。
そのくらい焼きついているのだから、サランネットはもう関係なくなる。

Date: 4月 22nd, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その30)

1970年代の終りごろといえば、JBLの4343が爆発的に売れていたころである。
4343に憧れていた私にとって、それは素直にすごいことと受け止めていたけれど、
いまこうやって当時のことをふり返ると、
4343の人気が凄すぎて、その陰に隠れてしまった感のある、
いくつかの特徴的なスピーカーシステムを聴く機会が、
かわりに失われていた──、そういえるような気がしてならない。

当時、東京に住んでいれば、それほどでもなかったのかもしれないが、
田舎暮しの高校生にとっては、
聴きたいスピーカーがあるからといって、都会に出て行くこともできなかった。

ゆえに聴きたいスピーカーシステムはいくつもあっても、
すべてが聴けたわけではなく、聴けたスピーカーの方が少ない。

Concert Master VIは、どんな音がしたのだろうか。

聴けなかったスピーカーシステムがけっこうあると同時に、
ステレオサウンドで働いたおかげで、聴けたスピーカーシステムも多い。

セレッションのSystem 6000をじっくり聴けたことは、
いまふりかえってみても幸運だった、といえる。

しかも当時はSL600を鳴らしていたころでもあったのだから、
よけいに関心は強かったし、いろいろかんがえるところは多かった。

SL600はSL700へとなっていったが、
System 7000は残念なことに登場しなかった。

日本だけでなく、他の国でもSystem 6000はあまり売れなかったのだろうか。
それでもいい。

いまSystem 6000の可能性を捉え直してみると、
さほど大きくない平面バッフルにとりつけた604-8Gに合うサブウーファーは、
こういうところにヒントがあると思ってしまう。

Date: 4月 22nd, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その29)

ステレオサウンド 48号の特集はアナログプレーヤーだった。
しかもブラインドフォールドテストだった。

第二特集は、サブウーファーだった。
48号のころ(1978年ごろ)は、
サブウーファー新製品として各社から登場しはじめたころでもあった。

52号から連載が始まったスーパーマニア。
一回目は郡山の3Dクラブだった。

いまでこそ3Dといえば映像のほうなのだが、当時は違っていて、
いまでいうセンターウーファー方式を3Dといっていた。

この時代は、ハートレーのウーファーの他に、
エレクトロボイスの30Wも現行製品だったし、
フォステクスから80cm口径のウーファーが新製品として出てきた。

さらにダイヤトーンからは160cm口径の大型ウーファーのプロトタイプが出て、
ステレオサウンドでも取り上げている。

1970年代の終りごろはそういう時代でもあった。
そういう時代を見てきているから、
大口径ウーファーに対してのアレルギーみたいなものはない。

当時ハートレーの輸入元はシュリロ貿易だった。
シュリロから、224HSを搭載したサブウーファーも出てきた。

ハートレー・ブランドで売られていたが、
密閉型エンクロージュアはハートレー指定による国産だった。

このサブウーファー(型番はSub Woofer System)は密閉箱だったが、
当時のハートレーのスピーカーシステム、Concert Master VIは、
224HS搭載なのはサブウーファーと同じなのだが、
エンクロージュアは後面開放型である。

ダリのSkyline 2000は知人が気にいって購入していたから、
かなりの時間を聴く機会があった。

ハートレーは実機を見たことはあるが、音は聴いていない。

Date: 4月 19th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その28・余談)

(その28)へのコメントがfacebookであった。

そこには、妄想ではなく猛走とあった。
いわれてみて、たしかに猛走でもあるな、と思った。

妄想(猛走)アクセラレーターと、今後は書いていこう。

Date: 4月 19th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その28)

アルテックの604-8Gを中心としてワイドレンジ化をねらったシステム。
システムの規模をまったく考慮しないのであれば──、と考えたプランもある。

604-8Gは15インチ口径の同軸型ユニットだから、
その下にもってくるウーファーのサイズとなると、
同じ15インチのダブルではつり合わない。

私の感覚では18インチのダブルか、その上の24インチ口径となる。
ハートレーのウーファーがある。
224HSが24インチ口径で、ぴったりである。

224HSは、マーク・レヴィンソンがHQDシステムに採用していた。
西海岸のアルテック、東海岸のハートレー、
組合せとしてうまくいくのかどうかはやってみないことにはわからないのだが、
クラシックを聴きたい私にとっては、決して悪くない結果を生むだろう、という期待はある。

けれど、このシステムの規模は私には大きすぎる。
ならば、どんなシステムを構想できるのか。

604-8Gをさほど大きくない平面バッフルに取り付けて、ということであれば、
まず私の頭に浮んだのは、ダリのSkyline 2000である。

このころのダリは、いまのダリとはずいぶん違うスピーカーシステムをつくっていた。
スピーカーシステムの完成度としては、いまのダリの製品のほうが上だろうが、
スピーカーシステムの魅力は、Skyline 2000の方が私にとってはずっと上である。

こんなふうに書いていると、ダリは少しばかりB&Wに似ているのかもしれない。
B&Wはずっと以前は、いろんなタイプのスピーカーシステムを手がけていた。

あのころといまのB&Wとでは、完成度の高いシステムを実現しているのは、
いまのB&Wである。誰もがそういうはずだ。

でも完成度の高さばかりがスピーカーの魅力なわけではない。
このことに触れはじめると、大きく脱線していくのではこのへんにしておくが、
ダリのSkyline 2000後面開放型のエンクロージュアのスピーカーシステムだった。

Date: 3月 26th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ
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同軸型ユニットの選択(その27)

ステレオサウンド 50号のマイ・ハンディクラフト、
別冊「HIGH-TECHNIC SERIES 4」、
同じく別冊「SOUND SPACE 音のある住空間をめぐる52の提案」、
これらの記事を何度もくり返し読んできた私にとっては、
アルテックの604-8Gと平面バッフルとの組合せが鳴らす音と響きは、
私自身が心から求める世界とは違っていることはわかっていても、
思いっきり鳴らしてみたい世界でもある。

でるだけ大きな面積の平面バッフルこそが、
こういう音を求めるには最良の結果をもたらすことぐらいはわかっていも、
現実に5.5畳ほどのワンルームに、1.8m×0.9mの平面バッフルを無理矢理入れて、
シーメンスのコアキシャルを取り付けて聴いていた私は、
いかにも大きすぎることを感じていた。

私の感覚からすれば、自分の身長よりも高いスピーカーはあまり使いたくない。
それは広いリスニングルームがあったとしてもだ。

このへんのことは、人それぞれの感覚があってのことだから、
どんなに背の高いスピーカーであっても、音が良ければまったく気にならない、
そういう人もいれば、私のような人もいる。

さほど大きくない平面バッフルに604-8Gを取り付けて、
サブウーファーはエンクロージュアにおさめる。

こんな構想を考えながら思い出しているのは、
ダルクィストのスピーカーシステムDQ10のことだ。

いまではDQ10といっても、どんなスピーカー?
ダルクィスト? という人のほうが多数だろう。

あえてQUADのESLのアピアランスに似せたDQ10は、
私は聴く機会はなかったけれど、
ハイエンドスピーカーの流れに連なっていく音だったのではないだろうか。

DQ10はウーファーだけがエンクロージュアに収まっていた。
他のユニットは最小限のバッフルに取り付けられていた。

サランネットを外した姿、いわば裸のDQ10はバラックのようでもあった。

Date: 3月 25th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その26)

604-8Gのシステム構想をあれこれ練るのは楽しい。
どんなシステムにするのかは、どんなエンクロージュアにするのかに大きくかかっている。

まず浮ぶのは、
ステレオサウンド 51号のマイ・ハンディクラフトに登場した
ジェンセンのバス・ウルトラフレックス型である。

604-8Gだけを鳴らすのであれば、このエンクロージュアがいい、といまでも思っている。
けれど、ここで考えているのは、6041を超えるシステムであり、
ワイドレンジを狙ったものであるから、トゥイーターとウーファーを足すことが前提となる。

バス・ウルトラフレックス型エンクロージュアに604-8Gをおさめ、
サブウーファーは別エンクロージュアにする、
トゥイーターはバス・ウルトラフレックス型エンクロージュアの上にのっける。

かなりおおがかりになるけれど、失敗することはあまりない、ともいえる。
けれど、ここで大事なのは6041を超えるということであり、
一つのスピーカーシステムとしてまとめることである。

そうなるとエンクロージュアをどうするのかが、とても難しく重要となってくる。
6041のエンクロージュアは内部で二分割されていた。
サブウーファーと604-8Gのクロスオーバー周波数は350Hzである。

個人的には604-8Gはもう少し下の帯域まで使いたい(鳴らしたい)。
そのためには604-8Gのバックキャビティはどのくらいにするのか。

それよりも604-8Gをとにかく朗々と鳴らしたい、という欲求が頭を擡げてくる。
バス・ウルトラフレックス型エンクロージュアという選択も、
そのことがあってのものだ。

となると平面バッフルに604-8Gと取り付ける、という方法を考えることになる。

Date: 3月 20th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その25)

アルテックの6041は、アルテックが自発的に開発したシステムとは、
当時高校生だった私でも、素直にそうとは思えなかった。

JBLの4343をそうとうに意識したスピーカーシステムだったし、
日本の輸入元の意向がそうとうに取り入れられたような気もしていた。

実際にそうだった、ようだ。
ステレオサウンドで働くようになって、
編集部の先輩から、そう聞いている。
6041のトゥイーターが日本製だということも、その時聞いている。

だからといって、私にとっての6041の魅力が半減したわけではなかった。
急拵えだったのだろう、おそらくは。

それでも瀬川先生が、あれだけ評価されているのだから、
じっくりとアルテックが本腰をいれて改良モデルを発表していけば、
ロングセラーモデルになったのかもしれない。

当時、アルテックの輸入元とピラミッドの輸入元は同じだった。
だからこそ6041にピラミッドのT1を──、ということを考えてしまうわけだ。

T1はペアで40万円ほどする非常に高価なトゥイーターだった。
6041に搭載されるには、高価すぎるトゥイーターではあった。
それでもステレオサウンド別冊「HIGH-TECHNIC SERIES 3」を読みふけっていた私には、
6041+T1の音は、素晴らしく魅力的なのでは、と思い描かせるだけの力量があったはずだ。

「HIGH-TECHNIC SERIES 3」では、4343の2405のかわりに、
T1にした音について、井上卓也、黒田恭一、瀬川冬樹の三氏が語られている。

T1の音は、JBLよりも明らかにアルテック寄りの音だったはずだ。
この高価なリボン型トゥイーターを聴く機会はなかった。

こんなおもいが、あの当時からある。
なので、いま604-8Gにトゥイーターを足すのであれば、
T1と同じリボン型のエラックの4PI PLUS.2が第一候補にくる。

Date: 3月 17th, 2022
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その24)

(その1)を書いたのは、2009年12月2日である。
この日に、私のところにアルテックの604-8Gが届いた。

(その2)で、
《タンノイとアルテック、ふたつとも手に入れてシステムを組むというのは、いまは無理だ》
とも書いている。

なのに、2020年夏にタンノイのコーネッタを手に入れたことで、
アルテックとタンノイ、両方所有することになった。
といってもアルテックの604-8Gは元箱に入ったまま。

コーネッタに搭載されているのはHPD295Aである。
マグネットは、ウーファーとトゥイーターで兼用されている。
アルテックの604は、いうまでもなく独立している。

タンノイもウーファーを足して3ウェイにしたモデル、
さらにトゥイーターも足して4ウェイにしたモデルでは、
ウーファーとトゥイーターのマグネットは独立している。

このことからいえるのは、ウーファー、トゥイーターを足して、
ワイドレンジ化をねらうのなら、マグネットは独立していたほうがいいのかもしれない。

となると604-8Gではシステムでは、やはりワイドレンジをめざしたい。
6041への想いも、そこにはあるからだ。

アルテックのスピーカーシステム、6041は、別項で書いているように、
可能性としては面白くなりそうではあったものの、
結局、アルテックは完成度を高めていくことができなかった。

トゥイーターひとつとっても、6041搭載のトゥイーターがそれほど優れていたとは思えない。
瀬川先生はステレオサウンド53号で、
《♯6041用の新開発といわれるスーパートゥーイーターも、たとえばJBL♯2405などと比較すると、多少聴き劣りするように、私には思える。これのかわりに♯2405をつけてみたらどうなるか。これもひとつの興味である》
と書かれていた。

2405がついた6041の音は、どんなふうに変化しただろうか。
いい結果が得られたような気がするけれど、
実際の製品として、アルテックのスピーカーシステムにJBLのユニットが搭載されることは、
まずない、というよりも絶対にないことだ。

あの当時、6041のトゥイーターとしてベストだったのは、
ピラミッドのリボン型トゥイーターT1だっただろう。

Date: 12月 8th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その23)

この項の(その18)でふれているが、同軸型ユニットにおいて、
ウーファー用とトゥイーター用のマグネットが独立していた方がいいのか、
それともひとつで兼ねた方がいいのか、どちらが技術的には優れているのか、もうひとつはっきりしない。

タンノイのリビングストンは、ステレオサウンド別冊「世界のオーディオ」のタンノイ号で、
アルテックの604との比較、それにマグネットを兼用していることについて語っている(聞き手は瀬川先生)。
     *
これ(604のこと)に比べてタンノイのデュアル・コンセントリックは全く違います。まず、ホーンでの不連続性はみられません。第二にコーンの前に障害物が全くないということです。第三に、マグネティックシャントが二つの磁束の間にあるということです。結局、タンノイは一つのマグネットで二つのユニットをドライブしているわけですが、アルテックは二つのマグネットで二つのドライバーユニットを操作しているわけで、この差が大きなものになっています。
     *
第三の理由として語られていることについては、正直、もうすこし解説がほしい。
これだけではなんともいえないけれど、
少なくともタンノイとしては、リビングストンとしては、
マグネットを兼用していることをメリットとして考えていることは確実なことだ。

そのタンノイが、同軸型ユニットなのに、
ウーファーとトゥイーターのマグネットを独立させたものも作っている。

そのヒントとなるリビングストンの発言がある。
     *
スピーカーの基本設計の面で大事なことは、使われているエレメントが、それぞれ独立した思想で作られていたのでは、けっしていいスピーカーを作り上げることはできないと思うのです。サスペンションもコーンもマグネットも、すべて一体となって、それぞれがかかわり合って一つのシステムを作り上げるところに、スピーカーの本来の姿があるわけです。例えば、ボイスコイルを研究しているエンジニアが、それだけを取り上げてやっていると、トータルな相関関係が崩れてしまう。ボイスコイルだけの特性を高めても、コーンがそれに十分対応しなかったり、磁束密度の大きいマグネットにしても、それに対応するサスペンションがなかったりするわけで、そこでスピーカーの一体感というものが損なわれてしまう。やはりスピーカーを作る場合には各エレメントがそれぞれお互いに影響し合い、作用し合って一つのものを作り上げているんだ、ということを十分考えに入れながら作る必要があると思います。
     *
「一体」「一体感」「相関関係」──、
これらの言葉が、いうまでもなく重要である。

Date: 7月 7th, 2010
Cate: 604-8G, ALTEC, ワイドレンジ

同軸型ユニットの選択(その22)

タンノイの創始者、ガイ・R・ファウンテンと、
チーフエンジニアのロナルド・H・ラッカムのふたりが音楽再生においてめざしたものは、調和だった気がする。
それも有機的な調和なのではなかろうか。