Archive for category ロングラン(ロングライフ)

Date: 5月 4th, 2026
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(ソニーの場合・その4)

二十年近く前のことだが、親しい友人から聞いた話を、今回のソニーの修理拒否の件で思い出した。

友人は山手線内、けっこうな都心部に住んでいた。彼が言うには、メガバンクと呼ばれる銀行にとって、預金残高が一千万円未満の人は客ではない、利用者だ、という話を、
取引先のメガバンクの人から聞いた、ということだった。

その話を聞きながら、腹立たしいわけではなかった。そうだろうなぁ、と思っていた。
友人は、そんな話を銀行員から聞くぐらいに、銀行にとっては大事な顧客である。

私は顧客ではなく利用者の一人でしかない。
利用者からは利用料(手数料)を取る、というのは、当然でもあろう。

(その3)でのオーディオリサーチの件は、D75を約五十年使ってきている人は、D75の使用者であり愛用者であり、大事な顧客として対応してのことと思う。

Date: 5月 3rd, 2026
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(ソニーの場合・その3)

昨晩、facebook を眺めていたら、オーディオリサーチの投稿が表示された。オーディオリサーチをフォローしているわけではないが、
facebookが関心がありそうな投稿としての表示なのだが、このタイミングはたまたまなのはわかっていても、
ソニーのヘッドフォンアンプの修理拒否の件が、広まりつつある時に、というのは、単なる偶然と片づけていいのだろうか、と思わせる。
     *
Supporting legacy products remains a point of pride for Audio Research. This D75 recently returned for its first service in 52 years, receiving fresh electrolytic capacitors and a new set of vacuum tubes for many more years of music ahead.

Introduced in 1973, the D75 helped define an era with its clarity, low distortion, and effortless musicality. More than five decades later, it continues to earn admiration from listeners and collectors alike.
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1973年に発売されたパワーアンプ、D75が修理でオーディオリサーチに戻ってきた。
ほぼ五十年前の製品なのだから、修理を拒否したところで、誰も何も言わないはず。

オーディオリサーチはD75を修理している。その上で、“Supporting legacy products remains a point of pride for Audio Research.”と投稿している。

レガシー製品のサポートは、オーディオリサーチにとって今も誇りである──、と言っている。


どこに修理を依頼したらいいのか(ソニーの場合・その2)

(その1)で書いたことと直接の関係はないものの、一ヵ月ほど前に、ソニーのCDプレーヤー、CDP557ESDの調子が悪いからみてほしい、と言われた。

CDP557ESDは1987年ごろの製品で、当時180,000円だった。私はひとつ前のモデル、CDP555ESDを使っていたこともある。

CDP557ESDが登場したころは、スチューダーのA727だったから、CDP555ESDを使っていた割には、あまり記憶に残っていなかった。

聞けば、長いこと電源も入れられていなかったようで、久しぶりに電源を入れてみたら再生してくれたのが、
ディスクを交換したらTOCも読まなくなってしまった、とのこと。

何枚かのディスクを試してみると、TOCを読んだりよまなかったりするし、TOCを読んでも再生ボタンを押してもダメ。

急にCDを鳴らす必要があってとのことで、とりあえず、このCDプレーヤーでなんとかしたい。
試しに、レンズクリーナーのディスクがあったので、何度か試みるも改善されない。

こうなるとピックアップのレンズをクリーニングするしかない。天板を外して、まず感心した。
こんなにも律儀な作りだったのか、とまず思った。

時代が違うとはいえ、これだけの作りの製品を180,000円で出していたな、とも感心する。

感心してばかりでは先に進めないから、無水エタノールと綿棒でレンズを拭く。三度ほどくり返した後、ディスクを入れてみる。
すんなりTOCを読み、再生してくれるようになった。

ここでまた感心する。電源を入れられることもなく、本当に長い時間放って置かれていたのに、何事もなく再生してくれる。

天板を取り付ける前に、もう一度、CDP557ESDの内部を細かなところまで見て、また感心していた。

こんなことが最近あったから、余計に今回のソニーの修理拒否のことが、私の中では引っ掛かってしまった。

Date: 4月 30th, 2026
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(ソニーの場合・その1)

昨晩、X(旧twitter)で、今日はFacebookでも見かけたから、広まっていくのだろう。

ソニーのヘッドフォンアンプ、TA-ZH1ESが製造中止になって、わずか三年半で修理をソニーから拒絶されたことである。

TA-ZH1ESは三十万円超の製品。それが修理できない、とのこと。修理ができないだけでなく、ソニーからの回答がまた失礼としかいいようのないもの。

詳しいことは、リンク先を読んでいただきたい。

それにしても、と思うのは、ソニーの修理部門の人たちは、東芝ビデオデッキクレームの件を忘れてしまっているのか、それとも知らないのか。

東芝ビデオデッキの時代よりも、いまはインターネットが普及しているだけでなく、ソーシャルメディアも登場し、
スマートフォンでいつでもどこでもアクセスでき、すぐにでも情報発信できるようになっていることを、メーカーはどう捉えているのか。

現在のソニーをオーディオメーカーと思っている人は、どれだけいるだろうか。昔からのオーディオマニアなら、そんなふうに捉えているかもしれないが、
もうソニーはオーディオメーカーとは思えなくなっているところに、今回の修理拒絶の件。

これから先、ソニーから魅力的なオーディオ機器が登場するとは思っていないけれど、
もし、素晴らしいオーディオ機器が、それも高級機で登場したとして、今回の修理拒絶を憶えている人は、故障した時のことを考えてしまうはず。

しかも、今回のヘッドフォンアンプは、アメリカのソニーから基板を取り寄せることで、個人での修理が可能とのこと。
この修理についても、4月30日の投稿で公開されているので、こちらもあわせて読んでほしい。

定番(その11)

定番モデルを持つメーカーは、それによる安定した収益によってできる冒険がある、と書いたけれど、
同じことはオーディオ雑誌にも当てはまる、と思っている。

定番の記事があればこその記事が作れる──、そう思っている。
そして、この定番といえる記事は、各オーディオ雑誌によって違ってくる。
オーディオ雑誌の個性(カラー)が、鮮明になる。

けれど実際はどうだろうか。
今のオーディオ雑誌に、それぞれの定番といえる記事があるだろうか。

昔からオーディオ雑誌を読んできたといえる人は、そういう視点で振り返ってみてほしい。
昭和のころは、確かにあった、そうだった、と思い出すはずだ。

Date: 4月 17th, 2025
Cate: ロングラン(ロングライフ)

プリント基板の寿命

真空管全盛期の真空管アンプには使われていなかったが、
トランジスターアンプになってからは、プリント基板が当たり前として使われているし、
真空管アンプにも使われるようになってずいぶん経つ。

古いアンプを修理した、という記事や投稿を見ても、
プリント基板については、ほとんど書かれていない。

悪くなった部品を交換した、とはあっても、プリント基板に関しては、まず記述はない。

けれどプリント基板にも寿命はある。
以前から気になっていたことで、インターネットで検索しても、
プリント基板の寿命についてはっきりしたことは見つけられなかった。

プリント基板の材質、品質によっても当然、寿命は違ってくるし、
使用条件によっても影響を受ける。

この使用条件は、筐体設計に関係してくることと、
ユーザーの使い方に関係してくるとがある。

筐体内温度がかなり高温になり、
しかも温度変化の大きい部屋に置いていたり、
埃が多く湿気も高い部屋で使用してたりすれば、
寿命は、高信頼性のプリント基板であっても短くなるのは容易に想像できる。

実際に、プリント基板のパターン(銅箔)が剥れることはある。

プリント基板の寿命は、何年とは言えない。
それでもプリント基板の劣化はいつかは起こる。

Date: 3月 14th, 2025
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングランであるために(JBL 4311というスピーカー・その7)

4310から続くシリーズは、いまも作られている。
4311になり、いまは4312となり、型番末尾にアルファベットがつくようになった。

ロングセラーモデルといえるわけだが、ロングライフモデルとも思っていた。

けれど最近は、少し考えを改めた。
なぜJBLは、4312SEからウーファーにローパスフィルターを足すようになったのか。

4310から4311、4312の途中までの特色は、
ウーファーにはネットワーク(フィルター)が介在しないことでだった。

このことによる音の特徴はあったわけで、それをJBLは辞めてしまった理由について考えると、
時代にそぐわなくなったということもあるだろうが、
長く使っていることで生じる劣化もあるのではないのか。

ローパスフィルターを必要としない設計のウーファーは、
ボイスコイルボビンとコーン紙の接合にコンプライアンスを持たせる。

このコンプライアンスによってメカニカルフィルターを形成しているわけだが、
この部分は経年変化によって、どう変化していくのだろうか。

硬くなっていくとしたら、メカニカルフィルターが効かなくなってくるわけで、
スコーカーの帯域までウーファーからの音がかぶってしまうようになるし、
反対に柔らかくなれば、メカニカルフィルターの効きが、より低い周波数に移行することになり、
スコーカーの受持帯域との間にギャップを生じることになるはずだ。

実際のところ、どうなのだろうか。
私の周りには、以前鳴らしていたことはある人はいるけれど、いまも鳴らしている(長いこと使っている)人はいないから、
確かめようがないが、初期特性を維持したまま鳴っているとは考えにくい。

このことを配慮しての4312SEなのかもしれない。

Date: 1月 30th, 2025
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングライフということ(その2)

オーディオの歴史を振り返ってみると、
モノーラルからステレオの時代へとなっていき、
1982年にはCDが登場し、それから二十年経たないうちにSACDが出た。
さらにストリーミングで聴くことが当たり前になりつつあり、
サンプリング周波数も高くなっていっている。

プログラムソースの変化だけを大雑把にみても、これだけある。

オーディオの変化だけではなく、オーディオを取り囲む環境の変化もある。
インバーター方式に家電製品が登場するようになったのは1980年代からだろう。
これだけでも電源環境は大きく変った(悪くなった)。

それから携帯電話の登場、普及があり、
パソコンの普及も、そこに加わる。
高周波ノイズは、昔とは比較にならないほど増えて大きくなっている。

電源だけを見ても、ノイズの混入は当たり前と思っていた方がいい。
ノイズと書くと、高周波ノイズと受け止められがちだが、
同じくらい厄介なのは直流の混入である。

電源トランスによっては、直流が混入してくると、途端に唸りだす。
かなり大きく唸るトランスもある。

電源トランスの唸りは、それが聞こえない位置にアンプを置けば、
それで解決するものではない。
電源トランスの唸りは、音場の再現性に大きく影響する。
唸り始めたら、音場がこわれるとも言っていいほどだ。

Date: 1月 28th, 2025
Cate: ロングラン(ロングライフ)

ロングライフということ(その1)

別項で書いているように、12月上旬から声がほとんど出なくなっていた。
喋るのが、こんなに大変なことなのか、と思うほどに声が非常に出し辛く、
忘年会の参加をキャンセルしたほどだった。

1月も半ば過ぎになって、なんとか声が出るようになってきた。
それでもまだまだなのだが、普通に話す分には苦労しなくなった。

先週土曜日に、人と会っていた。
14時30分から22時過ぎまで、話していた。
オーディオメーカーにいたことのある人だ。

井上先生の話になった。
その人に、
「ユーザーが、この製品を何年使うのか、そのことも考えろ」
と言われたとのこと。

半年や一年程度で、ポンポンと買い替える人もいるが、
そんな人はそんなに多くない。
多くの人は長いこと使う。

ソーシャルメディアを眺めていると、
まだ、この製品を使っている人がいる──、
そういうことが当たり前にある。

五年、十年は使われる、と考えていた方がいい。
さらには、もっと長く使う人もいる。

オーディオメーカーは、何を考えなければならないのか、
井上先生が言わんとされたことは、この点にある。

信頼性の高い製品を作れ、とか、
アフターサービスの態勢をきちんとしろ、とか、
そういう当たり前のことではなく、
五年、十年、もしくはそれ以上の期間、
オーディオの状況が、どう変っていくのか、
それに対応するには、どういうことが必要なのか。

そのことをメーカーとして考えろ、ということだ。

Date: 9月 11th, 2024
Cate: ロングラン(ロングライフ)

定番(その10)

日本時間だと火曜日の未明に新しいiPhoneが発表になって、
ソーシャルメディアでは、前のモデルとたいして変わらない、とか、
ジョブスのいないAppleなんて──、
そんな、この時期になると毎年見かける投稿が、やっぱりあった。

思うに、iPhoneは定番モデルである。
時々iPhoneの売り行き低迷というニュースも流れるが、
しばらくすると順調というニュースもあったりする。

一年トータルで見ると順調に、予定通りの売れ行きなのだろう。

iPhoneの見た目も、そう大きく変っているわけではない。
確かに定番モデルといえる。

だからといって変化がないわけではない、
進歩していないわけでもない。
完成度は増している。

iPhoneという定番モデルがあるからこそ、
Appleはやれることがあるのだろう。
(その9)で書いているように、冒険だって可能になる。

Date: 8月 26th, 2020
Cate: ロングラン(ロングライフ)

定番(その9)

JBLのControl 1は、1986年ごろに最初のモデルが登場している。
現在はControl 1 PROである。

この間に何度かのモデルチェンジをしているし、
パワーアンプ内蔵モデルが登場した時期もあった。

つまり、それだけ売れているわけだ。

Control 1が登場した時は、ステレオサウンドにいた。
周囲の人たち、それもJBLのスピーカーを鳴らしている人たちの反応が、
どういうものなのかは知っていた。

私だって、その頃は、QUADのESLを鳴らしていたけれど、
4343への憧れはずっと抱いたままだったから、
Control 1登場のニュースは、複雑なものがあった。

この十年ぐらいで、JBLはずいぶん変った。
Control 1の登場が、いまのJBLにつながっているような感じを受けるし、
だからこそ、Control 1はPROとなり、いまも現行製品なのだろう。

4312が古くからの定番を引き継いでいる位置づけだとすれば、
Control 1は、はっきりといまのJBLの定番といえる。

Control 1 PROは、ペアで二万円前後である。
一ペアあたりの利益は小さいわけだが、
安価な製品だけに数は、かなり売れている、とみていいだろう。

おそらく安定して売れている製品だからこそ、
JBLは定番として、いまも製造している。

つまり定番をもつブランドは、ある程度の安定した収益が見込める。
定番をもっているからこそ、フラッグシップモデルの開発ができるし、そこに力を注ぎ込める。

冒険だって可能になる。

Date: 8月 22nd, 2020
Cate: ロングラン(ロングライフ)

定番(その8)

企業にとっての定番と、
ユーザーから見ての定番は同じなのだろうか。

定番といえる製品は、その企業(ブランド)の、いわば顔といえるモノ、
そして、時代が変っても売れ続けるモノであろう。

たとえばJBLにとっての定番といえば、どれになるのか。
オーディオマニアからみれば、LE8Tだったり、D130、375といったスピーカーユニット、
パラゴン、オリンパス、ハーツフィールドといった家具的雰囲気をもつスピーカーシステム、
4320、4343、4350といったスタジオモニターシリーズあたりを思い浮べるのは、
50より上の世代だろう。

でも、ここに挙げたモデルは、ほんとうに定番といえるのか。
いえるのは、スピーカーユニットぐらいである。

LE8TにしてもD130にしても、ほかのユニットもながいこと現行製品だった。
つまりは売れ続けていたわけだ。

4343はたしかに、ペアで百万円をこえるスピーカーシステムとしては驚異的な本数が売れている。
それでも4343は、1976年秋ごろに登場し、1982年頃には4344になっている。

そうやって考えてみると、4312こそが定番なのかもしれない。
4310の時代も含めれば、そうとうにながい。

とはいえ4312になってからは、4310(4311)のスタイルを大きく変えてしまった。
それでも流れを受け継ぐモノとはいえる面もある。

JBLというブランドの定番だからこそ、
JBLは70周年記念モデルに4312を選んだ、ともいえる。

それでも……、と思うところも残る。
4310(4311)は、上下逆転のユニットレイアウトとともに、
30cm口径のウーファーはアンプとのあいだには、ネットワークが存在しない。
表からは見えないものの、この特徴こそが4310(4311)といえたのだが、
70周年記念モデル以降、ウーファーにローパスフィルターが入るようになった。

この変更点は、スピーカーシステムとしての完成度という点からではなく、
あくまでも定番といえるかどうか、という視点で捉えるならば、違う、と思ってしまう。

JBLの現在の定番となると、Control 1ではないだろうか。

Date: 5月 23rd, 2020
Cate: ロングラン(ロングライフ)

定番(その7)

定番といえるモデルをもつメーカーとそうでないメーカーがある。
型番だけが定番を受け継いでいるから、といって、
そのモデルが必ずしも、誰もがみてもはっきりと定番といえるわけでないことは、
日本のメーカーの製品には、少なくない。

型番は違ってきているけれど、定番といえるそうモデルはある。
QUADのコンデンサー型スピーカーシステムである。

現在のQUADコンデンサー型は、ESL2812、ESL2912となっているが、
1981年に登場したESL63と基本的に同じままである。

ESL2912はパネルが六枚になっていて大型化されたモデルだから、
ESL63のそのままとはいえないが、基本的に大きく違っているわけではない。

ESL2812はパネル数もESL63と同じである。
外観は多少は変更されている。

けれどサンスイのプリメインアンプの607、707、907シリーズが、
新モデルが出るたびに、別のアンプに変っていったこととは対照的である。

日本ではQUADのESL2812の存在はないに等しいのかもしれない。

さっきQUADの輸入元のロッキーインターナショナルのサイトをみたら、
スピーカーのところに表示されるのは、小型ブックシェルフ型のみで、
ESLは、そこにはない。

QUAD本家のサイトをみれば、そこには2812、2912ともにきちんとある。
製造中止になったわけではなく、ロッキーインターナショナルが取り扱いをやめたのだろう。

輸入元が取り扱いブランドの全製品を輸入しないのは、昔からよくあることだ。
日本市場では売れそうにないと判断されたモノは取り扱わないようだ。

たとえばハーベスのトップモデル、Monitor 40.2は、
まだMonitor 40だったころから気になっているモデルなのだが、
Mプラス コンセプトのサイトには、ずっと以前からいまも、Model 40のページはない。

Date: 10月 21st, 2019
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(修理にまつわる難しさ)

この項で、二つの修理業者について以前書いた。
その一つの業者について、悪い、とまではいかないまでも、
いい評判ではなくなっている、というウワサを耳にした。

そこに修理を依頼したことはないから、
はっきりとしたことはいえない。

それに修理業者の評判は、難しい。
ある人が、故障したオーディオ機器を、どこかに修理に出す。
戻ってきた製品を、どう評価するのか。

たとえば、あるオーディオ機器を二台以上所有していて、
同じ時期に、同じ箇所が故障したばあいは、
一台はA社、二台目はB社に修理に出して、
戻ってきて、両社の修理の出来ぐあいを比較するならば、
そこそこにきちんとした判断はできようが、
たいていの故障は、そういう状況ではない。

一台しか持っていないオーディオ機器が故障して、
どこかに修理に出すわけだ。
修理から戻ってきたモノを、何かと比較することはできない。

結局、なんとなくの印象で、修理業者は評価されているところもあるはずだ。

そして、信頼できそうな修理業者は少ない。
だから、そういうところに修理依頼は集中するであろう。
そうなると、以前とは違ったトラブルとはいえない些細なことだって起るかもしれない。
でも、それは人によって受け止め方が違ってもくる。

さらに個人で修理を請け負っているところはそうではないが、
複数の人たちでやっているところだと、人の入れ替りもあるはず。
いろんな変化が起っているだろうし、これからも起るだろう。

よさそうなところがそうでなくなってしまう。
残念だけど、あり得ることだ。

ただ、それは業者側だけの問題なのだろうか、と思うから、
こんなことを書いている。

修理を依頼する側、つまりオーディオマニアの態度も、
時によって、人によって、修理業者を困らせ、
やる気を失わせているのかもしれない。

信頼できる、腕のいい修理業者がいなくなって困るのは、
われわれオーディオマニアだ、ということを忘れないでいただきたい。

Date: 8月 29th, 2019
Cate: ロングラン(ロングライフ)

どこに修理を依頼したらいいのか(大事なひとこと)

六年前に「チューナー・デザイン考(パイオニア Exclusive F3・修理のこと)」で、
パイオニアサービスネットワークのことを書いた。

パイオニアのExclusiveの修理をやっている会社である。
いまのところ現在形なのだが、9月いっぱいで修理の受付を終了する。

すでにいくつかのオーディオ関係のサイトやSNSで取り上げられている。
人によって受け止め方は違うけれど、
私は、いままでよくやってくれた、と思う気持が強い。

もちろんもっとながく続けてほしい、という気持はあるが、
それはもう無理というものだろう。

製造中止になってながい時間が経っているオーディオ機器の修理のことは、
これまでもいくつか書いてきた。

故障しないオーディオ機器は、まずないわけだから、
ほとんどの人がいつかは直面する問題である。

昨晩、Exclusiveの修理が終了することが話題になった。

メーカーであれ、輸入元であれ、オーディオ機器をオーディオマニアに売る。
そこでは、メーカー、輸入元の人が、
オーディオマニア(つまり客)に「ありがうとございました」という。

必ずしも客と顔を合せるとは限らないから、つねにそういうわけではなくても、
「ありがとうございました」というのは、売る側の人である。

けれど修理となると違ってくる。
修理を依頼してきた人(オーディオマニア、客)が、
メーカー、輸入元の人に「ありがとうございました」ということになる。

ユーザーから「ありがとうございました」という感謝のことばをもらえる。
修理、特に製造中止になってずいぶんな時間の経ったモノの修理はさらにたいへんなのだが、
この「ありがとうございました」のことばが聞けるからこそ、やりがいがある──、
そういう話をきいた。

修理代金をきちんと払っているのだから……、
なぜ客側が「ありがとうございました」といわなければならないのか──、
そう思う人はいるのか。

それでも、言おうよ、といいたい。
たった一言で、修理にかかわってきた人たちの気持は変る。

パイオニアサービスネットワークへも、多くの「ありがとうございました」があったのだとおもう。