定番(その9)
JBLのControl 1は、1986年ごろに最初のモデルが登場している。
現在はControl 1 PROである。
この間に何度かのモデルチェンジをしているし、
パワーアンプ内蔵モデルが登場した時期もあった。
つまり、それだけ売れているわけだ。
Control 1が登場した時は、ステレオサウンドにいた。
周囲の人たち、それもJBLのスピーカーを鳴らしている人たちの反応が、
どういうものなのかは知っていた。
私だって、その頃は、QUADのESLを鳴らしていたけれど、
4343への憧れはずっと抱いたままだったから、
Control 1登場のニュースは、複雑なものがあった。
この十年ぐらいで、JBLはずいぶん変った。
Control 1の登場が、いまのJBLにつながっているような感じを受けるし、
だからこそ、Control 1はPROとなり、いまも現行製品なのだろう。
4312が古くからの定番を引き継いでいる位置づけだとすれば、
Control 1は、はっきりといまのJBLの定番といえる。
Control 1 PROは、ペアで二万円前後である。
一ペアあたりの利益は小さいわけだが、
安価な製品だけに数は、かなり売れている、とみていいだろう。
おそらく安定して売れている製品だからこそ、
JBLは定番として、いまも製造している。
つまり定番をもつブランドは、ある程度の安定した収益が見込める。
定番をもっているからこそ、フラッグシップモデルの開発ができるし、そこに力を注ぎ込める。
冒険だって可能になる。